« ビル・クリントンが再度俎上に載せられているが今回彼をそこに追いやったのはトランプだ | トップページ | 国際体制の厳しい現実をヨーロッパに明らかにしたグリーンランド論争 »

2025年12月28日 (日)

トランプと植民地主義の遺産:なぜ彼はベネズエラ資源をアメリカの財産とみなしている

Simon Chege Ndiritu
2025年12月25日
New Eastern Outlook

 トランプは、21世紀において植民地時代の支配を臆面もなく強制しようとしている。つまり、20世紀に植民地および準植民地的手段を通じて獲得した鉱物資源の権利は今日も強制可能だという植民地勢力の信念を強制しようとしているのだ。

 ベネズエラに対するアメリカの攻撃

 トランプの考え方:「土地や石油や他の資産は彼らが我々から盗んだもの」

 2025年12月17日、ドナルド・トランプはベネズエラに対する脅迫をエスカレートさせ、アメリカから盗んだと主張する土地や石油や他の資産を返還しなければ、この中南米の国を攻撃すると脅した。ベネズエラはアメリカから何も盗んだことはなく、武力行使の恫喝は、加盟国が他者に対し武力行使の恫喝をすることを禁じている国連安全保障理事会決議2(4)に違反しているため、トランプ発言は不合理だ。また、トランプ発言は、当初麻薬密売を阻止するためと述べた数ヶ月に及ぶベネズエラ周辺での軍の態勢が、実際は軍事封鎖をすることを意図したもので、国連海洋法条約(UNCLOS)に違反していたのを認めることになった。既にトランプの動きは、米海軍により民間人の船が沈没し、数十人の民間人が超法規的に殺害される事態につながっている。国連も西側諸国もこの侵略を非難していない。

 ベネズエラに対するアメリカの攻撃京太に対する国連の沈黙と控えめな対応は現代の植民地主義の承認に等しい。

 トランプ大統領によるベネズエラ非難は、2007年にベネズエラがアメリカ、イギリス、ノルウェー、フランスの多国籍企業に所有されていたベネズエラの油田を国有化した行為を歪曲している。これら多国籍企業は、砲艦外交を含む植民地主義的慣行を通じてこれら石油権益を獲得したのだ。アメリカと同盟諸国は、政治的独立と土地と資源の支配権を切り離して、グローバルサウス諸国の主権を損なおうとしている。西側諸国は、独立したグローバルサウス諸国が土地と鉱物資源を植民地支配国の企業に譲渡し、国連憲章で宣言された権利が旧植民地に関して西側諸国の利益を増進させる結果を望んでいるのだ。

 …そして国連は一体何と言っているのか? 何も言っていない

 ベネズエラに対するトランプ大統領の最後通牒によって浮き彫りになった態度は、西側中心の世界統治機構により暗黙のうちに助長されているため危険だ。この官僚機構は、2025年9月初旬から、国連の承認や独立した司法手続きもないまま、数十人の民間人の殺害を助長してきた。これら民間人は、トランプ政権により「麻薬密売船」に乗っていると非難された後、カリブ海を航行中に米軍の標的になった。その後、トランプ大統領は目標を変更し、ベネズエラがアメリカから盗んだと主張する土地や石油や他の資産を返還するまで、米海軍がベネズエラ周辺で活動し、石油封鎖を実施すると宣言した。また2025年12月17日、加盟国による他国への脅迫を明確に禁じている国連安全保障理事会決議2(4)に対する軍事的脅威をトランプ大統領は強化した。この脅威は、ベネズエラからアメリカへ原油を輸送していた石油タンカーを米海軍がハイジャック・接収した数日後に発生した。このタンカー没収は国連の承認も得ていない。ワシントンによる民間人殺害や、国連海洋法条約(UNCLOS)違反や、国連安保理決議2(4)違反は、国際統治機関から意味ある抵抗を受けることなく続いており、植民地主義の論理が今日の国際関係においていかに根強く残っているかを示している。これらの機関はこれまで、21世紀における植民地略奪を擁護しようとするトランプの試みを幇助するかのように行動してきた。

 トランプが強制したい植民地の石油権益

 2007年にベネズエラ政府に石油権を奪われた西側諸国の石油企業は、公正かつ競争的な手段でこれらの権利を獲得したわけではない。植民地支配から脱却したばかりの政治的に弱体な政府を操り、西側諸国の植民地政府が強制的に譲歩を強いたのだ。1920年代、ベネズエラを含む中南米諸国政府は、西側諸国の絶え間ない干渉に直面し、権威主義体制の発展につながった。ベネズエラを含むこれら独裁者連中は、主権を外交的保護と外資の約束と引き換えにした。だが、この「外資」は石油採掘と輸出のみに向けられ、ベネズエラは石油国家へと変貌を遂げ、経済の他分野は未発達のままだった。(オランダ、イギリス、アメリカを含む)欧米諸国の石油企業は、ベネズエラ石油を採掘しながら、最低限のロイヤルティを支払い、法的監視を無視し、利益を本国に送金していた。これは本質的に植民地主義的な採掘行為だった。それから数十年後の1970年代、ベネズエラ政府はこれら企業との収益分配について再交渉を試み、最終的に1975年から1976年にかけて最初の国有化に至ったが、望んでいた経済発展は得られなかった。

 1922年から2000年代にかけて、ベネズエラは満足のいく社会経済発展を遂げることなく、植民地支配による搾取を目の当たりにしてきた。そのため政府が国民の利益のために原油を管理するのは予測可能で、2007年の国有化においても同様の試みがなされた。その後、アメリカはベネズエラに原油備蓄を放棄させるため、幾度となく経済活動と秘密裏の軍事行動を実施してきたが、トランプ大統領は公然と武力行使に踏み切る構えを見せている。ベネズエラへのトランプ大統領による最近の脅迫と非難は、21世紀における西洋植民地主義の帰結だ。トランプ大統領をはじめとする西洋植民地主義者連中は、地球上のあらゆる資源を自分たちの所有物とみなし、要求に応じていつでもこれら資源を譲り渡すべきだと考えているようだ。

 グローバル・ガバナンスを担う官僚機構が植民地主義を黙認しているため、トランプの態度はグローバル・サウスにとって永続的課題となっている。更に、アメリカ政治家の大半は、軍隊を使って植民地搾取を推進することを支持している。2025年12月17日に指摘されているように、下院はトランプのベネズエラへのあり得る軍事侵攻を制限する法案を圧倒的多数で否決した。既に米海軍にベネズエラからの石油輸送を阻止するようトランプは指示しており、軍はそれを実行し、ベネズエラ原油を輸送していたタンカーを拿捕した。国連安全保障理事会の一部メンバーはこの件について間接的な発言しかしておらず、実質的にワシントンが21世紀に植民地主義を強制するのを容認している。ベネズエラに対するアメリカ攻撃の激化に対する国連の沈黙と曖昧な対応は、現代の植民地主義を承認するものだ。全ての国の平等や軍事的脅威の禁止などの条項を含む国連憲章は、アメリカに関しては単なる提案に過ぎないようだ。

 露骨な植民地主義と国連の無力さの露呈

 ベネズエラに対する現在のアメリカの攻撃や、シリア、リビア、イラク、イエメンなどにおける過去の壊滅的状況から、国連のメカニズムがグローバルサウス諸国を近代植民地主義から守ることは決してできないことは明らかだ。西側諸国の安保理メンバーは、アメリカと同盟諸国が各国を侵略し資源を奪うたびに「懸念を表明する」といった偽善的声明を出すだけだ。正式な併合や植民地総督の不在が、このような残忍な介入を「民主的」なものにしていると西側諸国と主流メディアは称賛し、こうした策略を美化している。これら勢力は、数十年にわたり、民間人に危害を加えた残忍な制裁体制を美化し、アメリカの制裁の影響を組織的にベネズエラ政権のせいにしてきた。情報筋によると、トランプ大統領による2017年のベネズエラ制裁は2年間で4万人以上の死者を出したにもかかわらず、国連も西側諸国もアメリカ政府の責任追及を試みていない。ワシントンは長年にわたり制裁によってベネズエラ国民を殺害してきたが、今や宣戦布告や司法手続きを経ずに爆弾を使用し始めている。これは全て21世紀の植民地主義の再現として、ベネズエラ石油を搾取するためだ。

 欧米諸国が植民地的手段で獲得したベネズエラの土地と石油の権利をトランプが公然と要求していることは欧米諸国の植民地主義イデオロギーがいかに大胆になり、もはや「テロとの戦い」や「大量破壊兵器発見」といった詭弁の陰に隠れていないことを示している。

 Simon Chege Ndirituはアフリカ出身の政治評論家、調査分析専門家。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/12/25/trump-and-the-legacy-of-colonialism-why-he-considers-venezuelan-resources-us-property/

-----------

« ビル・クリントンが再度俎上に載せられているが今回彼をそこに追いやったのはトランプだ | トップページ | 国際体制の厳しい現実をヨーロッパに明らかにしたグリーンランド論争 »

アメリカ」カテゴリの記事

アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事

シェール・ガス・石油」カテゴリの記事

トランプ大統領」カテゴリの記事

ベネズエラ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ビル・クリントンが再度俎上に載せられているが今回彼をそこに追いやったのはトランプだ | トップページ | 国際体制の厳しい現実をヨーロッパに明らかにしたグリーンランド論争 »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ