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2025年10月26日 (日)

否決に終わった欧州委員会によるウクライナへの「ロシア資産」融資計画

2025年10月24日
Moon of Alabama

 一か月前、ベルギーに預けてあるロシア政府資金をEUが没収する突飛な新計画について私は論じた。

 ロシア資金は、EUがウクライナに支払う「賠償融資」に充てられる。この融資は、ロシアがウクライナに戦争賠償金を支払うまで返済義務がない。少なくとも公式発表ではそうだったが、後に、明らかに偽造された引用文だと判明した。  
ロシア資産を盗むためのもう一つの狂った発想:EU納税者に費用負担させる
 詳細を調べてみると、誰も答えられなかった多くの疑問が残った。  
メルツ(ドイツ首相)が言うように、なぜこの計画は「加盟諸国からの予算保証を必要とする」のか? それは、加盟国の納税者が最終的にそれを支払わなければならないことを意味するのではないだろうか? ロシアが訴訟に勝訴した場合、誰の資金が危険にさらされるのか? 何か問題が発生した場合、誰が支払うのか?
 ロシアは当然ながらウクライナに賠償金を支払うことはない。また、その借款はウクライナの修復や再建に使われることない。その代わりに、その資金はヨーロッパから武器を購入し、更に二年間戦争を継続するために使われるだろう。

 そもそもこの計画自体詐欺だった。メルツや他の関係者は直接そうは言わないが、結局「融資」の費用を負担するのはEU納税者になるのは明らかだ。

 今週初め、ファイナンシャル・タイムズのコラムが、この合意に関する私の解釈を裏付けたアーカイブ)。  
今週、EU首脳はウクライナへの「賠償融資」について議論する。これは、ウラジーミル・プーチン大統領が引き起こした破壊に対するロシアの賠償義務と結びついている。

 キーウには約1400億ユーロが融資され、モスクワからの賠償金からのみ返済される。賠償金がなければ、貸し手のEUは資金を回収できない。EUは、ロシア外貨準備の大部分が凍結されているベルギーの証券保管機関、ユーロクリアに対し、制裁対象のロシア投資の満期を迎えるにつれて蓄積された資金を融資するよう要求することで、自ら融資資金を調達する。その見返りとして、EUは加盟諸国と、その後のEU次期予算の裏付けとなる、いわば借用書を提出することになる。

 この計画には矛盾がつきまとう。ロシアに負担を強いるという印象を与えようと試みられているにもかかわらず、この提案は実際はロシア資産に手を加えないのだ。実際、ロシアの法的主張を変えることは明確に禁じられている。ここで強硬手段に出ることになるのはEUの民間金融機関(ユーロクリア)のみだが、他のG7諸国は参加方法を模索しており、ブリュッセルはロシア資産を一部保有する欧州の銀行が更に加わる可能性を示唆している。
 だが、新たな負担はヨーロッパ納税者にのみ課せられることになる。ロシアが賠償金を支払わなかった場合、EUはウクライナへの融資は免除するが、賠償金を賄うために発生した債務はEU自身が負担しなければならない。

 1400億ドルの資金調達は、既に超過しているEU加盟国の予算に更なる圧力をかけることになる。EU首脳はこれを認めず、ベルギーにリスク負担を強いて問題をごまかそうとした。しかし、問題の金額はベルギー政府の年間支出額を上回る。

 ベルギー首相バート・デ・ウェーバーはこの詐欺行為を拒否し、条件を提示した。  
第一に、ベルギーはEU加盟国間で法的リスクを完全に分担することを望んでいる。デ・ウェーバーは、ユーロクリアの役割を考えると、ベルギーは「巨大な訴訟」に直面する可能性があると警告し、いかなる決定でも、負担が単一管轄区域に偏らないようにしなければならないと述べた。「もしこれを実現したいのであれば、我々は共に取り組まなければならない」と彼は述べた。

 第二に、ベルギーは、訴訟や和解などにより資金返還が必要になった場合、全加盟国が返済に充当する明確な保証を求めている。資産はベルギーに拠点を置く金融市場インフラを通じて計上されているため「その影響を全てベルギーが受けるのは認められない」とベルギー首相は述べた。

 第三に、ロシアの国家資産が固定化されている他の管轄区域でも同様措置を取るよう彼は求めた。ベルギーは他国に「巨額資金」が所在していることを認識しており、実施が一か所に集中しないよう協調的措置を望んでいると彼は述べた。「もしこの件を進めるのなら、共に行動しよう」と付け加えた。
 この三番目の点は、アメリカが既にこの計画への参加を拒否しているため、合意を台無しにする要因になった。

 それ以上の議論は意味をなさなくなり、昨日、EU委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が最初に提案した考え丸ごとキャンセルされたアーカイブ)。  
ベルギーの反対により、凍結されたロシア国有資産を使うキーウへの1400億ユーロ融資をEU首脳は支持できなかった。これにより、ロシア侵略を阻止するため来年初めに資金を得るというウクライナの希望は打ち砕かれた。

 ベルギーは、ロシアがこの計画に報復した場合の法的・財政的影響を懸念し、財政的打撃を受けないという確固たる保証を要求した。資産はブリュッセルに拠点を置くユーロクリア中央証券保管機関に保管されている。

 EU26カ国の首脳ら(ハンガリーは棄権)は欧州委員会に「ウクライナの資金需要評価に基づく財政支援の選択肢をできるだけ早く提示する」よう求めたが、ロシア定資産に基づく融資は正式に支持しなかった。

 12月の次回会合でこの議論に戻ることで彼らは合意した。

 この計画が支持されなければ、年末までにウクライナへの財政支援を承認する委員会の目標が遅れる可能性があり、キーウ向け武器購入用資金計画も複雑化する可能性がある。
 ベルギーだけでなく、他の国々もこのリスクに気づいたようだ。  
[スロバキア首相]ロベルト・フィツォは「今後二年間のウクライナへの資金提供について別の選択肢を提示するよう欧州委員会に」要請し、自身の提案が受け入れられたと主張した。「どのような決定が下されるにせよ、スロバキアは、この点を完全に明確にしておきたい。私が率いる政府は、ウクライナ軍事費のための融資保証には決して署名しない。強調するが、国家予算からこの目的のために一セントたりとも割り当てるつもりはない」とフィツォは明言した。フィツォによれば、スロバキアはウクライナを支援する用意はあるが、それは人道支援に限るという。

 凍結されたロシア資産をウクライナ融資に充てる計画が、欧州委員会があり得るあらゆるリスクについて答えを示す前に公表したのは間違いだとスロバキア首相は考えている。首相は、「この計画は現実に直面し、12月に開催される次回の欧州理事会で決定が下される際に失敗に終わる可能性がある」と付け加えた。
 この発言により、このまったく愚かな発想は、ウルズラ・フォン・デア・ライエンの顔にもう一つ平手打ちを食らわせる結果となった。

 今後二年間の戦争資金として1400億ドル必要だとウクライナ大統領は主張している。EUは、この目的のためロシア資産を奪おうとしたが失敗に終わった。これほどの規模の融資を裏付ける解決策を全会一致で採択できる可能性は低い。

そうなると、資金が尽きてウクライナと西側諸国が和平を要請せざるを得なくなる状況に近づきつつある。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/10/eu-commission-plan-of-russian-assets-loan-to-ukraine-ends-up-defeated.html

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