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2025年10月 8日 (水)

洗脳か想像か? 欧米諸国のロシア恐怖装置

フィル・バトラー
2025年9月21日
New Eastern Outlook

 欧米メディアによるロシア「洗脳キャンプ」描写は、ロシア国内および軍の声明の実際内容以上に西側諸国の不安をより多く明らかにしている。



 ここ数週間、西側諸国のメディアは冷戦時代のお決まりの表現を再び用いて「洗脳キャンプ」について警告を発している。そこではロシアの子どもが軍事化され「再教育」され、クレムリン・プロパガンダの道具にされているとされる。ガーディアンをはじめとするメディアは、ロシアと占領下のウクライナ全土に広がる200以上のキャンプ網を描写する見出しを掲げた。表現は意図的に印象的で、ヒトラー・ユーゲントの神話と現代のディストピア小説を融合させたかのようだ。

 厳しい現実

 だが、こうした報道は、ロシア国内の現実以上に西側諸国エリート層の不安を露呈することが多い。ロシア公式発表と並べると対比は際立っている。西側諸国のニュースがヒステリーを煽る一方、ロシアの速報は戦場における消耗戦の味気ない記録か、青少年教育、文化プロジェクト、人権インターンシップといった驚くほど平凡な詳細を報じている。

 ロシア国防省は、統計情報を毎日容赦ないほど発信し続けている。9月16日、タス通信は、ウクライナ軍が複数戦線で1日に1,435人の兵員を失ったと報じた。速報には、破壊された集落、旅団、車両、砲兵、補給所が列挙されており、具体的内容はプロパガンダ誇張というより会計士報告書に近い。これら報道には映画的要素はほとんどなく、整然としていて、反復的で、事実に基づいた内容で、西側諸国の特派員の息詰まるような言説とは対照的だ。

 西側の戯画とロシアの声明と間の不条理な矛盾自体こそ物語だ

 戦争が悪化する時

 戦場からロシア国内の情勢に目を向けると、その対比は一層深まる。9月にクレムリンから出された大統領公報では、ネイティブ・トイ全国コンテストの決勝戦が特集された。2万8000件を超えるゲームやおもちゃのアイデアが提出され、そのうち3000件は子ども自身によるものだった。参加者への挨拶で、ウラジーミル・プーチン大統領は彼らの創造性を称賛し、おもちゃが道徳心や家族観、芸術的センスやロシアの歴史や伝統への理解を育む上で果たす役割を強調した。子どもがボードゲームやパズルや創造的な遊び道具を作るこのような催しを、西側諸国の報道で伝えられる「軍事化された洗脳キャンプ」の風刺画と結びつけるのは容易ではない。

 大統領児童権利委員室が発表したもう一つのプログラムは、市民としての才能育成に重点を置いていた。「成功のための委員」プロジェクトは、ロシア全土の82地域から1,334人の若者を招き、法的分析やコピーライティングや調査や戦略立案といった課題に取り組ませた。中には人権団体でインターンシップを経験した者もいた。マリア・リヴォヴァ=ベロヴァ委員は彼らの勤勉さを称賛し、若者を国家の才能プールとして支援するという大統領の呼びかけを強調した。これは権威主義的な洗脳とは全く異なるものだ。奨学金制度やインターンシップ制度を実施している国では、若者のキャリア開発の手法としてよく知られている。

 本物の洗脳を見る

 西側諸国による最も扇動的非難は、ロシアが2万~2万5000人のウクライナ人の子どもを「誘拐」したというものだ。だが、ウクライナ代表団が最終的に公式リストを提出した際、名前の数は339人だった。法的保護者が存在する限り子どもは返還されなければならないという大統領の立場に基づき、内務省と連携しながら各件を個別に処理することをリヴォヴァ=ベロヴァは確認した。「これは純粋に人道的配慮です」と彼女は強調した。2万5000人と339人の差は、多くのことを物語っている。

 これらの例をまとめると、一つのパターンが浮かび上がる。西側諸国の報道機関が、洗脳キャンプ、児童誘拐、若者の軍事化といった扇動的イメージを作り上げているのに対し、ロシアの情報源は、消耗戦の記録や、子どもの競技会や、インターンシップや、法的精査といったありふれた現実を示している。これはロシアの制度が批判の的にならないことを示唆するものではない。他の国家と同様、ロシアは国民的物語を追求し、若者のアイデンティティを形成しようとしている。しかし、西側諸国の風刺画とロシアの声明との間の不条理な矛盾こそ、この物語の本質だ。「ロシア恐怖装置」は、情報を伝えるためではなく、条件付けのために機能し、西側諸国の聴衆に冷静な分析ではなく、恐怖と嫌悪感で反応するように仕向けているのだ。

 皮肉なことに、本当の洗脳は、大規模なインフラ整備が進むモスクワで行われているわけではない。洗脳の儀式は、ロンドン、ワシントン、ブリュッセルの報道機関で、何年も前から行われている。

 フィル・バトラーは政策研究者、評論家、政治学者、東ヨーロッパ専門家で、最近のベストセラー「Putin’s Praetorians(プーチンの近衛兵)」などの著書がある。

記事原文のrl:https://journal-neo.su/2025/09/21/indoctrination-or-imagination-the-wests-russia-scare-machine/

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