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2025年10月20日 (月)

打ち上げられたクジラをパレスチナ人が引き裂いたとイスラエル外務省が虚偽主張


この出来事はイスラエルとその虐待行為について多くを語っているので私の心に残ると思う。

ケイトリン・ジョンストン
2025年10月18日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 過去二年間見てきた大量虐殺プロパガンダの中でも特に異常な行為の一つとして、イスラエル外務省が公式ツイッター・アカウントで、浜辺に「座礁」した「クジラ」を「引き裂いた」という虚偽主張で、絶望し飢えた民間人を残酷な野蛮人だと中傷する投稿をした

 「浜辺に打ち上げられたクジラをガザ地区の人々は引き裂いた。これは際限のない残虐行為だ。だが、グレタ・P・R・トゥーンベリから何も聞いていない」と同省はツイートし、ロープを使って人々が浜辺のクジラの死骸を移動させている映像を添えた。

 これについては解明すべき点が多々あるが我慢して聞いてほしい。このプロパガンダの例は、イスラエルが行った最も邪悪な行為のトップ10,000リストにも入らないかもしれないが、この大量虐殺アパルトヘイト国家が、いかにしてパレスチナ人の人間性を奪っているかを物語っているためだ。


 動画に映っている動物は、一見すると「クジラ」ではなくジンベイザメだと分かる。背中にクジラに見られない特徴的な斑点や隆起があることから、ジンベイザメだとすぐ分かる。ジンベイザメはクジラの一種ではなく、世界最大の魚類だ。巨大な体の大きさから、Whale shark=鯨ザメという名前が付けられたのだ。

 動物は「クジラ」だとイスラエル外務省は虚偽主張をした。「飢えた民間人が魚を食べる」という表現では、彼らを忌まわしい野蛮人として描く宣伝にならないためだ。

 クジラは魚と異なり、空気呼吸をするため、陸に打ち上げられても数時間、あるいは数日間生き延びられる。この投稿は、西洋の環境保護主義者の心を掴むべく、感覚を持つ哺乳類を未開の亜人種連中が生きたまま引き裂くイメージを伝えるため作成されている。

 「座礁した」魚など存在しない。水中には魚もいれば、死んだ魚もいる。動画に映っているジンベイザメは死んでおり、おそらくしばらく前に死んでいたのだろう。

 念のため言っておくが、イスラエル政府は魚類をクジラと誤認したわけではない。イスラエル報道機関は、数週間前にイスラエル沖でジンベイザメが目撃されたと報じた後、ガザ地区沿岸で食用としてジンベイザメが屠殺されたと既に報じていた

 彼らはそれが死んだサメだと知っていたが、冷酷かつ計算高い決断を下し、ガザ地区にクジラが打ち上げられ、地元住民の手で悲惨な最期を遂げたという嘘を広めたのだ。


 飢えた民間人が窮地に陥った時に、子どもに本物の鯨肉を食べさせるのをねたむのは怪物だけなので、これはある意味、無用な区別だ。ガザの人々は、イスラエルに飢えさせられているという圧倒的で一貫した合意人道支援団体にはある

 だが、パレスチナ人を堕落した害虫のように見せるために、わざわざそのようなことで嘘をつく事実は、イスラエルがこれらの人々を根絶やしにしようとする憎しみの激しさを見事に物語っている。

 お考え願いたい。まず、表面上、イスラエル政府は、パレスチナ人の命は一頭のクジラの命より価値が低いと主張しているのだ。この事実一つだけでも、パレスチナ人の命の価値をイスラエル人が、いかに低く評価しているか分かる。

 そして、生き物が海へ戻るのを助けるべきだったのに、座礁したクジラが原始的な残酷好きな連中に引き裂かれたと彼らは嘘をつき、更にイスラエルさを誇示した。この生き物が死んでいたのを彼らは知っていたのだ。

 そして彼らは最近、ガザに援助を届けようとして拉致された後、イスラエル軍から拷問と性的屈辱を受けたという以前の報道を認めた活動家グレタ・トゥーンベリに対する異常な執着を加え、一層イスラエル化した。

 そして世界が見ている前で、二年もパレスチナ人に計り知れない苦しみを与えてきたのに、彼らを「限りなく残酷」だと非難する偽善を加え、どういうわけか、それを一層イスラエルらしくするのに彼らは成功した。

 二年にわたる大量虐殺残虐行為を生き延び、飢え、自分の子供が飢えるのを見つめ、空腹が増すにつれ益々絶望的になることを想像願いたい。そして、そこに多くの家族を養えるはずの、この巨大な魚がやって来たのだ。

 まるで神からの贈り物のように思えたはずだ。どれほど高揚感を感じるか想像願いたい。

 そして、あなた方を苦しめる連中が、この奇跡的な命を与える安堵の瞬間さえ、残酷で野蛮なものに歪曲する手口をどういうわけか見つけていたと知ったらどうなるか想像願いたい。

 ジンベイザメの出現をパレスチナ人が喜ぶ動画を共有しているのを見て、その映像が巧妙な構図でなければ、ガザの人々と支援者たちに希望を与える可能性もあるとイスラエルのプロパガンダ担当者連中は認識していたはずだ。そこで彼らは、その希望を打ち砕くため、湯気の出る糞を投下しようと、あらゆる手を尽くしたのだ。

 イスラエルはパレスチナ人に対して余に多くの驚くべき悪行をしてきたため、今日のソーシャルメディアでのこのプロパガンダ行為一つに注目するのは、ほとんど些細なことに思える。だが、この行為はイスラエルと、その虐待行為について実に多くのことを語っているため私の記憶に深く刻まれるだろう。

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 記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/10/18/israel-foreign-ministry-falsely-claims-palestinians-tore-apart-a-beached-whale/

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コメント

 この記事におけるイスラエルのように、平気で嘘の報道をするのが、日本マスコミです。
 特に、インターネットが普及してからは、個人を装う右翼業者が、暗躍することが増えました。
 ネットのニュースサイトへ、個人を装って、対外ヘイト的な書き込みを繰り返す右翼事業者が、一種のマスコミとして世論に影響を与えているのは、現在の日本の深刻な問題です。

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