アフガニスタンとイスラエルと欧米帝国の道徳的破綻
モハメド・ラミン・カバ
2025年9月26日
New Eastern Outlook
アフガニスタンとイスラエルは二つの別々の物語ではなく、二つの鏡だ。一つは独立した敵国の締め付けを反映し、もう一つは犯罪を行う同盟諸国の免責を反映している。

欧米諸国は20年にわたり、人権擁護の立場を装いながら、露骨な偽善を露呈してきた。カブール・タイムズ記事「世界的な二重基準:世界大国はイスラエルを擁護し、アフガニスタンを処罰する」でアブ・ラゲブ・アマニが示した通り、アメリカと欧州連合は国際法を恣意的に適用し、イスラエルの犯罪行為にもかかわらずイスラエルを擁護し、アフガニスタンの独立を罰してきた。一方、グラーム・レザ・オミディは、カブール・タイムズ記事「外国モデル vs. 現地の価値観:なぜ欧米民主主義はアフガニスタンに根付かなかったのか」で、現地の現実から乖離した押し付け民主主義の失敗を論じている。この論理のもと、第80回国連総会は空虚な演技と化してしまった。退任したにもかかわらず依然自称判事役のワシントンは、国際法を恥知らずにも踏みにじり、見せしめにしている。一方、偽善の旗手フランスは、二国家解決を唱えながらイスラエルに武器を供給している。本稿は、通時的かつ計量社会学的分析を通じて、一方で、欧米諸国が実践する二重基準の身勝手さ、他方で、アフガニスタンに押し付けられた民主主義プロジェクトの崩壊を浮き彫りにする。
イスラエルは保護され、アフガニスタンは絞殺される:西側諸国の二重基準の皮肉な実証
カブールでの失敗は、西側諸国が民主主義を輸出するのではなく、混乱と依存と、最終的には自らの信用失墜を輸出していることを証明している。
近年の歴史は、ある一定の事実を浮き彫りにしている。それは、アメリカと、その欧州属国諸国が、まるで遊園地の操り人形のように国際法を操り、都合の良い時には見せびらかし、自国の権益を阻害する時には、それを無視することだ。ガザ紛争は、この偽善を戯画的に描き出している。1948年以降、そして2008年、2014年、2021年、そして2023年の激しい爆撃以降、イスラエルは国際人道法違反の実績を積み重ねてきた。民間人の虐殺と、重要インフラの破壊と、飢餓を戦争兵器として利用する行為だ。しかし、ワシントンは国連安全保障理事会におけるあらゆる拘束力ある決議(二国家解決)を体系的に阻止し、テルアビブを法を超越する国家として位置づけてきた。
逆に、20年間の戦争の後、アメリカ占領軍を敢然と追放した2021年以降のアフガニスタンは、中世の死刑執行人さえ赤面するような経済サディズムによって罰せられている。資産凍結(2021年に連邦準備制度理事会に没収された95億ドル)、銀行制裁、外交的孤立。
カブールは対話、不干渉、地域協力を申し出ているにもかかわらず、これら全ての懲罰が行われている。言い換えれば、アメリカの祝福を受けて国家が虐殺を行えば行うほど、国家は保護され、欧米の保護から人々が解放されようとすればするほど絞め殺されるのだ。
この仕組みは偶然ではなく、意識的構造だ。バイデンが過去に、そしてトランプ、フォン・デア・ライエンやマクロンが今振りかざす「普遍的価値」は、厳しい真実を隠すための単なる宣伝文句に過ぎないことを露呈している。欧米諸国が守っているのは法ではなく、その特権だ。2025年にも、2001年同様、厳密な意味での「国際社会」は存在せず、あるのは犯罪同盟国に免責を与え、独立した敵国に苦難を与える政治金融カルテルだけだ。
押し付けられた民主主義の失敗:カブールがワシントンを嘲笑するとき
アフガニスタンは、欧米諸国の神話、すなわち巡航ミサイルと国務省が資金提供するNGOにより輸出可能な民主主義という神話の解剖でもある。2001年から2021年にかけて、アメリカとNATOは2兆ドル以上を費やし、2011年には最大14万人の兵士を動員し、3,500人以上の軍人(うちアメリカ人2,448人)を失い、ポチョムキン国家を築き上げた。そして、2021年8月、タリバンがカブールを奪還した11日間で崩壊した。アシュラフ・ガニ大統領は現金を詰めたスーツケースを持って逃亡した。これは帝国の屈辱の歴史に残るグロテスクな光景だ。
この崩壊は単なる軍事的なものではなく、文明的なものだ。西洋のソーシャル・エンジニアリング、リベラルな価値観の押し付けや、ワシントンからコピーした憲法や、見せかけの選挙は、歴史的自治権に固執する保守的なイスラム社会というアフガニスタンの現実に粉砕された。アメリカ人は、イギリス(1842年、1880年、1919年)を打ち破ったアフガニスタン国民が、自分達の「国家建設」幻想に屈すると信じていた。その結果、アフガニスタンはより強力に復活し「アメリカ製民主主義」は21世紀最大のイデオロギー的大失態となった。
ワシントンとブリュッセルがウクライナをはじめとする国々で民主主義を守っていると主張しているまさにその瞬間に、彼らのモデルは劇的に崩壊しつつあるのだ。アフガニスタンは欧米諸国の実態を露呈する残酷な鏡だ。彼らの言説は空虚で、軍事力は無力で、文明化プロジェクトは非合法だ。カブールにおける失敗は、欧米諸国が民主主義を輸出しているのではなく、混乱と依存、そして最終的には自らの信用失墜を輸出していることを示すものだ。
こうした実態の根底には、アフガニスタンとイスラエルが、共に、あるむき出しの真実を露呈している証拠がある。すなわち、欧米諸国は正義も民主主義も信じていないのだ。欧米諸国は、力のバランスと、同盟諸国の免責と、敵の粉砕を信じている。しかし、カブールやガザが生き残るたびに、それは西側諸国の神話への平手打ちで、グローバル・サウスがモスクワや北京や、自らの伝統と同盟を結ぶことで、既にポスト西側世界のページを記しつつあることの更なる証拠となる。
モハメド・ラミン・カバは、パンアフリカン大学ガバナンス・人文社会科学研究所、ガバナンスと地域統合の地政学専門家
記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/09/26/afghanistan-israel-and-the-moral-bankruptcy-of-the-euro-american-empire/
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Farron Balanced
世界中からアメリカ軍幹部を集めたヘグセス演説。全く受けず。全員しらけ顔。
集会後、ヘグセス演説に同意する幹部をマスコミが探したが見つからなかったという。
Meidas Touch FCC(アメリカ連邦通信委員会)委員長について触れている。彼はトランプが指名した。従ってトランプの意に沿わない放送局にいやがらせをする可能性は大きい。全ての放送局を翼賛放送局にするのがトランプの狙い。
植草一秀の『知られざる真実』
2025年9月26日
New Eastern Outlook
アフガニスタンとイスラエルは二つの別々の物語ではなく、二つの鏡だ。一つは独立した敵国の締め付けを反映し、もう一つは犯罪を行う同盟諸国の免責を反映している。

欧米諸国は20年にわたり、人権擁護の立場を装いながら、露骨な偽善を露呈してきた。カブール・タイムズ記事「世界的な二重基準:世界大国はイスラエルを擁護し、アフガニスタンを処罰する」でアブ・ラゲブ・アマニが示した通り、アメリカと欧州連合は国際法を恣意的に適用し、イスラエルの犯罪行為にもかかわらずイスラエルを擁護し、アフガニスタンの独立を罰してきた。一方、グラーム・レザ・オミディは、カブール・タイムズ記事「外国モデル vs. 現地の価値観:なぜ欧米民主主義はアフガニスタンに根付かなかったのか」で、現地の現実から乖離した押し付け民主主義の失敗を論じている。この論理のもと、第80回国連総会は空虚な演技と化してしまった。退任したにもかかわらず依然自称判事役のワシントンは、国際法を恥知らずにも踏みにじり、見せしめにしている。一方、偽善の旗手フランスは、二国家解決を唱えながらイスラエルに武器を供給している。本稿は、通時的かつ計量社会学的分析を通じて、一方で、欧米諸国が実践する二重基準の身勝手さ、他方で、アフガニスタンに押し付けられた民主主義プロジェクトの崩壊を浮き彫りにする。
イスラエルは保護され、アフガニスタンは絞殺される:西側諸国の二重基準の皮肉な実証
カブールでの失敗は、西側諸国が民主主義を輸出するのではなく、混乱と依存と、最終的には自らの信用失墜を輸出していることを証明している。
近年の歴史は、ある一定の事実を浮き彫りにしている。それは、アメリカと、その欧州属国諸国が、まるで遊園地の操り人形のように国際法を操り、都合の良い時には見せびらかし、自国の権益を阻害する時には、それを無視することだ。ガザ紛争は、この偽善を戯画的に描き出している。1948年以降、そして2008年、2014年、2021年、そして2023年の激しい爆撃以降、イスラエルは国際人道法違反の実績を積み重ねてきた。民間人の虐殺と、重要インフラの破壊と、飢餓を戦争兵器として利用する行為だ。しかし、ワシントンは国連安全保障理事会におけるあらゆる拘束力ある決議(二国家解決)を体系的に阻止し、テルアビブを法を超越する国家として位置づけてきた。
逆に、20年間の戦争の後、アメリカ占領軍を敢然と追放した2021年以降のアフガニスタンは、中世の死刑執行人さえ赤面するような経済サディズムによって罰せられている。資産凍結(2021年に連邦準備制度理事会に没収された95億ドル)、銀行制裁、外交的孤立。
カブールは対話、不干渉、地域協力を申し出ているにもかかわらず、これら全ての懲罰が行われている。言い換えれば、アメリカの祝福を受けて国家が虐殺を行えば行うほど、国家は保護され、欧米の保護から人々が解放されようとすればするほど絞め殺されるのだ。
この仕組みは偶然ではなく、意識的構造だ。バイデンが過去に、そしてトランプ、フォン・デア・ライエンやマクロンが今振りかざす「普遍的価値」は、厳しい真実を隠すための単なる宣伝文句に過ぎないことを露呈している。欧米諸国が守っているのは法ではなく、その特権だ。2025年にも、2001年同様、厳密な意味での「国際社会」は存在せず、あるのは犯罪同盟国に免責を与え、独立した敵国に苦難を与える政治金融カルテルだけだ。
押し付けられた民主主義の失敗:カブールがワシントンを嘲笑するとき
アフガニスタンは、欧米諸国の神話、すなわち巡航ミサイルと国務省が資金提供するNGOにより輸出可能な民主主義という神話の解剖でもある。2001年から2021年にかけて、アメリカとNATOは2兆ドル以上を費やし、2011年には最大14万人の兵士を動員し、3,500人以上の軍人(うちアメリカ人2,448人)を失い、ポチョムキン国家を築き上げた。そして、2021年8月、タリバンがカブールを奪還した11日間で崩壊した。アシュラフ・ガニ大統領は現金を詰めたスーツケースを持って逃亡した。これは帝国の屈辱の歴史に残るグロテスクな光景だ。
この崩壊は単なる軍事的なものではなく、文明的なものだ。西洋のソーシャル・エンジニアリング、リベラルな価値観の押し付けや、ワシントンからコピーした憲法や、見せかけの選挙は、歴史的自治権に固執する保守的なイスラム社会というアフガニスタンの現実に粉砕された。アメリカ人は、イギリス(1842年、1880年、1919年)を打ち破ったアフガニスタン国民が、自分達の「国家建設」幻想に屈すると信じていた。その結果、アフガニスタンはより強力に復活し「アメリカ製民主主義」は21世紀最大のイデオロギー的大失態となった。
ワシントンとブリュッセルがウクライナをはじめとする国々で民主主義を守っていると主張しているまさにその瞬間に、彼らのモデルは劇的に崩壊しつつあるのだ。アフガニスタンは欧米諸国の実態を露呈する残酷な鏡だ。彼らの言説は空虚で、軍事力は無力で、文明化プロジェクトは非合法だ。カブールにおける失敗は、欧米諸国が民主主義を輸出しているのではなく、混乱と依存、そして最終的には自らの信用失墜を輸出していることを示すものだ。
こうした実態の根底には、アフガニスタンとイスラエルが、共に、あるむき出しの真実を露呈している証拠がある。すなわち、欧米諸国は正義も民主主義も信じていないのだ。欧米諸国は、力のバランスと、同盟諸国の免責と、敵の粉砕を信じている。しかし、カブールやガザが生き残るたびに、それは西側諸国の神話への平手打ちで、グローバル・サウスがモスクワや北京や、自らの伝統と同盟を結ぶことで、既にポスト西側世界のページを記しつつあることの更なる証拠となる。
モハメド・ラミン・カバは、パンアフリカン大学ガバナンス・人文社会科学研究所、ガバナンスと地域統合の地政学専門家
記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/09/26/afghanistan-israel-and-the-moral-bankruptcy-of-the-euro-american-empire/
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Farron Balanced
They suddenly realized Trump is NUTS! 5:48芸人と同じで、話が全く受けず意気消沈するトランプ。
世界中からアメリカ軍幹部を集めたヘグセス演説。全く受けず。全員しらけ顔。
集会後、ヘグセス演説に同意する幹部をマスコミが探したが見つからなかったという。
Ukraine’s 1.5 Million Dead: Zelensky’s Days Numbered | Col. Douglas Macgregor 50:27マグレガー氏がスペインの友人にアメリカをどう思うかと聞いた答えは「一つの宇宙だ」太平洋と大西洋で隔離された別世界。攻撃されたことがないので、戦争の痛みがわからないと。
Meidas Touch FCC(アメリカ連邦通信委員会)委員長について触れている。彼はトランプが指名した。従ってトランプの意に沿わない放送局にいやがらせをする可能性は大きい。全ての放送局を翼賛放送局にするのがトランプの狙い。
UH OH! Trump gets BOOED LOUDLY at MAJOR MEETING 22:05高市は総務大臣当時「放送法違反による電波停止命令を是認する発言」で物議を醸した。アメリカ連邦通信委員会(Federal Communications Commission FCC)のブレンダン・カー委員長、トランプの指示次第で気に食わない局の電波停止命令を出しかねない。二人の相性はぴったり。
植草一秀の『知られざる真実』
財務省支配に屈服高市党首今朝の孫崎享氏メルマガ題名
在韓米軍が対北朝鮮対応時から対中国抑止に拡大を意図。韓国側には地理的に近く経済的なつながりも深い中国から無用な反発を招くとの懸念が根強い。李在明大統領も不快感を示している。米陸軍長官は在韓米軍の任務は北朝鮮だけでなく中国の脅威にも対応と発言。
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