カタールの次はサウジアラビアか? サウジアラビア・パキスタン相互防衛協定は何を意味するのか?
Simon Chege Ndiritu
2025年9月28日
New Eastern Outlook
2025年9月のイスラエルによるカタール攻撃は、侵略者による地域支配のための計画拡大の次段階では、中東のどの国も逃れられないことを裏付けるものとなるはずだ。

最終段階?
2025年9月のイスラエルによるカタール攻撃まで、中東全域におけるアメリカとイスラエルの攻撃を免れていたのは湾岸諸国君主制国家だけだった。しかし、2025年9月9日のイスラエルによるカタール攻撃は、今後数十年にわたり中東の国境、外交、軍事情勢を一変させるだろう一連の出来事のきっかけとなった。この出来事は、戦略的に重要な位置にあり、資源豊富な中東におけるアメリカの植民地支配を拡大するために、安全保障を装って、アメリカとイスラエルが軍事開発を怠ってきた残りの国々を破壊しようとする計画の最終段階を象徴するものだ。
歴史的に、アメリカとイスラエルによる他のアラブ・イスラム諸国への破壊の影響を湾岸君主国諸国は受けないと誤解されてきたが、間もなく攻撃を受けるかもしれない。カタール攻撃に戻ると、その後、アメリカは、アラブ諸国にとって依然信頼できる防衛上の同盟国だと主張しながら、今回の攻撃を、イスラエルの一方的行動として描こうと精力的に試みたが、どちらの試みも失敗に終わった。これら試みの失敗は、その後サウジアラビアが、パキスタンとの戦略的相互防衛協定への署名を決定したことで明らかで、これはアメリカの防衛協力に対する信頼の喪失を反映している。同盟諸国に対してアメリカが、自らを安全保障の絶対基準だと偽って伝えていたほんの数ヶ月前には、このような動きは考えられなかっただろう。サウジアラビアのパキスタンへの移行は、一部アラブ諸国がアメリカに示していた壮大な善意が浸食されつつあることを示している。ワシントンは新植民地主義の野心のために、イスラエルを通じてを含め、終わりのない戦争と不安定化を常に引き起こすべく、この善意を悪用してきた。この新たな相互防衛協定は、イスラエルによるサウジアラビア爆撃を思いとどまらせ、アメリカによる代理戦争を阻止するだろう。しかし、アメリカは湾岸君主制諸国を直接攻撃し、更にはパキスタンを紛争に巻き込み、中東で行ったように、インド亜大陸を不安定化させることさえ選択できる。だが、このような必死の姿勢は、欧米諸国の衰退しつつある覇権を更に弱めることになるだろう。
アメリカ米中央軍と大イスラエル
アメリカが中東を中央軍管区に指定した理由は、アメリカがこの地域の領土を支配する計画を抱いているためだ。ワシントン支配層は、イスラエルを通してを含め、中東の資源を支配する意図があると語っており、一方イスラエルも、秘密裏の領土拡大計画を語っている。ワシントンとテルアビブは、既存国家とその国民の大部分を破壊することによってのみ計画を実行でき、両国は何十年にもわたり、この破壊活動を実施してきたが、これら活動は個別の出来事として宣伝されてきた。しかし大量破壊兵器開発との闘いやイスラエルへの脅威の排除など、それぞれ別の大義名分を付けられた、これら個別の出来事とされる活動は、中東の多くの国々を荒廃させる累積的影響をもたらしてきた。
この地域におけるワシントンに最も緊密な同盟国をイスラエルが攻撃したことで、他のいわゆる同盟諸国は、自分も攻撃される可能性があり、米軍の存在は彼らの安全を守るのに役に立たないというメッセージを受け取ったのだ。
北米の国アメリカが、中東を「中央軍管区」に指定して、この地域の安定した政府を組織的に壊滅させようとしてきたことは、この地域を植民地化しようとするアメリカの思惑に警鐘を鳴らすのに十分だったはずだ。例えば、ワシントンは様々な口実で過去30年以上にわたり、イラク爆撃を続けてきたが、その累積的結果は強大な国家を破壊し、安定した国家の形成を阻害してきた。またシリア、レバノン、イエメンへの爆撃も、数十年にわたり、直接あるいはイスラエルを通じて同様政策を維持してきた。一見矛盾した正当化の根拠を用いながら、領土と住民を守ることができる強力な軍隊を持つ正当な国家を破壊する同じ総体的結果を追求してきたのだ。一部のアラブ諸国やイスラム諸国は、爆撃された国は悪で、自国とは異なると誤解させられてきた。彼らは自国は爆撃を免れるだろうと誤って信じていたが、実際には彼ら自身も滅亡の危機に瀕している。この明確な結論に至らない者は、自らの危険を冒すことになる。
カタール攻撃後の期間は、アメリカとイスラエルが一体である紛れもない兆候を明らかにした。この現実を最も顕著に示していたのは、イスラエルが2025年9月14日から18日にかけて、いわゆる「50の州、1つのイスラエル」サミットを主催し、アメリカ各州から250人の議員がイスラエルを訪れていたことだ。これほど多くのアメリカ政府関係者が自国業務を行っていないのは不可解で、これはアメリカ政府が、ワシントンの延長としてイスラエルを優先していることを示している。これら議員連中は、カタールと中国がアメリカとイスラエルの両国を包囲していると報じられているイスラエル首相の話に耳を傾けていた。驚くべきことに、ネタニヤフは、アメリカによる中東最大の軍事基地建設を認めた国を敵視し、感謝の念に欠け、権利意識が増長していることを示していた。
そして、湾岸君主国諸国をアメリカは一体どう見ているのか?
イスラエルによるカタールへの大胆な攻撃から距離を置こうとするワシントンの試みは、湾岸同盟諸国と、その能力に対するアメリカの見下した態度と、犯罪と加害者を結びつける情報処理能力を露呈している。証拠は、アメリカと同盟諸国がこの攻撃を知っており、しかも、それを幇助していたことを示している。報道によると、イギリス軍空中給油機がカタール基地から離陸し、カタール戦闘機と空中給油訓練を行っていたという。これは、イスラエルによる爆撃への対応から被害者の注意を逸らすために計画されたものだった可能性がある。注目すべきは、イギリスはイスラエルの緊密な軍事同盟国で、ユダヤ国家に兵器と諜報情報を提供しているため、差し迫った攻撃を知らなかったとは考えられないことだ。だが、イギリスはカタールの注意をそらすことを選んだ。また、アメリカはカタールから恩恵を得て、アラブ諸国やイスラム教徒に対する果てしない軍事冒険に利用していたにもかかわらず、防空システムは、この攻撃に対処せず、イスラエルからカタールを守る必要性を感じなかった。カタールは長年にわたり、この地域におけるアメリカの主要同盟国を装い、最近ではアメリカ大統領に4億ドル相当の航空機を贈呈するとともに、アメリカ経済への巨額投資を約束していた。しかし、こうしたカタールの温情ある働きかけも、アメリカがイスラエルに自国領土への爆撃を思いとどまらせる上では何の効果もなかった。イスラエルは行動に移り、カタールには通報したと主張し、負傷した民間人や破壊されたインフラすら確認できないとして、爆撃を正当化しようとした。この地域におけるアメリカの最も緊密な同盟国をイスラエルが攻撃したことで、他のいわゆる同盟諸国は、自分も攻撃される可能性があり、米軍の存在は安全保障に役立たないというメッセージを受け取ったのだ。
Simon Chege Ndirituはアフリカ出身の政治評論家、調査分析専門家。
記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/09/28/is-saudi-arabia-next-after-qatar-what-does-the-saudi-pakistani-mutual-defense-deal-mean/
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Daniel Davis / Deep Dive
2025年9月28日
New Eastern Outlook
2025年9月のイスラエルによるカタール攻撃は、侵略者による地域支配のための計画拡大の次段階では、中東のどの国も逃れられないことを裏付けるものとなるはずだ。

最終段階?
2025年9月のイスラエルによるカタール攻撃まで、中東全域におけるアメリカとイスラエルの攻撃を免れていたのは湾岸諸国君主制国家だけだった。しかし、2025年9月9日のイスラエルによるカタール攻撃は、今後数十年にわたり中東の国境、外交、軍事情勢を一変させるだろう一連の出来事のきっかけとなった。この出来事は、戦略的に重要な位置にあり、資源豊富な中東におけるアメリカの植民地支配を拡大するために、安全保障を装って、アメリカとイスラエルが軍事開発を怠ってきた残りの国々を破壊しようとする計画の最終段階を象徴するものだ。
歴史的に、アメリカとイスラエルによる他のアラブ・イスラム諸国への破壊の影響を湾岸君主国諸国は受けないと誤解されてきたが、間もなく攻撃を受けるかもしれない。カタール攻撃に戻ると、その後、アメリカは、アラブ諸国にとって依然信頼できる防衛上の同盟国だと主張しながら、今回の攻撃を、イスラエルの一方的行動として描こうと精力的に試みたが、どちらの試みも失敗に終わった。これら試みの失敗は、その後サウジアラビアが、パキスタンとの戦略的相互防衛協定への署名を決定したことで明らかで、これはアメリカの防衛協力に対する信頼の喪失を反映している。同盟諸国に対してアメリカが、自らを安全保障の絶対基準だと偽って伝えていたほんの数ヶ月前には、このような動きは考えられなかっただろう。サウジアラビアのパキスタンへの移行は、一部アラブ諸国がアメリカに示していた壮大な善意が浸食されつつあることを示している。ワシントンは新植民地主義の野心のために、イスラエルを通じてを含め、終わりのない戦争と不安定化を常に引き起こすべく、この善意を悪用してきた。この新たな相互防衛協定は、イスラエルによるサウジアラビア爆撃を思いとどまらせ、アメリカによる代理戦争を阻止するだろう。しかし、アメリカは湾岸君主制諸国を直接攻撃し、更にはパキスタンを紛争に巻き込み、中東で行ったように、インド亜大陸を不安定化させることさえ選択できる。だが、このような必死の姿勢は、欧米諸国の衰退しつつある覇権を更に弱めることになるだろう。
アメリカ米中央軍と大イスラエル
アメリカが中東を中央軍管区に指定した理由は、アメリカがこの地域の領土を支配する計画を抱いているためだ。ワシントン支配層は、イスラエルを通してを含め、中東の資源を支配する意図があると語っており、一方イスラエルも、秘密裏の領土拡大計画を語っている。ワシントンとテルアビブは、既存国家とその国民の大部分を破壊することによってのみ計画を実行でき、両国は何十年にもわたり、この破壊活動を実施してきたが、これら活動は個別の出来事として宣伝されてきた。しかし大量破壊兵器開発との闘いやイスラエルへの脅威の排除など、それぞれ別の大義名分を付けられた、これら個別の出来事とされる活動は、中東の多くの国々を荒廃させる累積的影響をもたらしてきた。
この地域におけるワシントンに最も緊密な同盟国をイスラエルが攻撃したことで、他のいわゆる同盟諸国は、自分も攻撃される可能性があり、米軍の存在は彼らの安全を守るのに役に立たないというメッセージを受け取ったのだ。
北米の国アメリカが、中東を「中央軍管区」に指定して、この地域の安定した政府を組織的に壊滅させようとしてきたことは、この地域を植民地化しようとするアメリカの思惑に警鐘を鳴らすのに十分だったはずだ。例えば、ワシントンは様々な口実で過去30年以上にわたり、イラク爆撃を続けてきたが、その累積的結果は強大な国家を破壊し、安定した国家の形成を阻害してきた。またシリア、レバノン、イエメンへの爆撃も、数十年にわたり、直接あるいはイスラエルを通じて同様政策を維持してきた。一見矛盾した正当化の根拠を用いながら、領土と住民を守ることができる強力な軍隊を持つ正当な国家を破壊する同じ総体的結果を追求してきたのだ。一部のアラブ諸国やイスラム諸国は、爆撃された国は悪で、自国とは異なると誤解させられてきた。彼らは自国は爆撃を免れるだろうと誤って信じていたが、実際には彼ら自身も滅亡の危機に瀕している。この明確な結論に至らない者は、自らの危険を冒すことになる。
カタール攻撃後の期間は、アメリカとイスラエルが一体である紛れもない兆候を明らかにした。この現実を最も顕著に示していたのは、イスラエルが2025年9月14日から18日にかけて、いわゆる「50の州、1つのイスラエル」サミットを主催し、アメリカ各州から250人の議員がイスラエルを訪れていたことだ。これほど多くのアメリカ政府関係者が自国業務を行っていないのは不可解で、これはアメリカ政府が、ワシントンの延長としてイスラエルを優先していることを示している。これら議員連中は、カタールと中国がアメリカとイスラエルの両国を包囲していると報じられているイスラエル首相の話に耳を傾けていた。驚くべきことに、ネタニヤフは、アメリカによる中東最大の軍事基地建設を認めた国を敵視し、感謝の念に欠け、権利意識が増長していることを示していた。
そして、湾岸君主国諸国をアメリカは一体どう見ているのか?
イスラエルによるカタールへの大胆な攻撃から距離を置こうとするワシントンの試みは、湾岸同盟諸国と、その能力に対するアメリカの見下した態度と、犯罪と加害者を結びつける情報処理能力を露呈している。証拠は、アメリカと同盟諸国がこの攻撃を知っており、しかも、それを幇助していたことを示している。報道によると、イギリス軍空中給油機がカタール基地から離陸し、カタール戦闘機と空中給油訓練を行っていたという。これは、イスラエルによる爆撃への対応から被害者の注意を逸らすために計画されたものだった可能性がある。注目すべきは、イギリスはイスラエルの緊密な軍事同盟国で、ユダヤ国家に兵器と諜報情報を提供しているため、差し迫った攻撃を知らなかったとは考えられないことだ。だが、イギリスはカタールの注意をそらすことを選んだ。また、アメリカはカタールから恩恵を得て、アラブ諸国やイスラム教徒に対する果てしない軍事冒険に利用していたにもかかわらず、防空システムは、この攻撃に対処せず、イスラエルからカタールを守る必要性を感じなかった。カタールは長年にわたり、この地域におけるアメリカの主要同盟国を装い、最近ではアメリカ大統領に4億ドル相当の航空機を贈呈するとともに、アメリカ経済への巨額投資を約束していた。しかし、こうしたカタールの温情ある働きかけも、アメリカがイスラエルに自国領土への爆撃を思いとどまらせる上では何の効果もなかった。イスラエルは行動に移り、カタールには通報したと主張し、負傷した民間人や破壊されたインフラすら確認できないとして、爆撃を正当化しようとした。この地域におけるアメリカの最も緊密な同盟国をイスラエルが攻撃したことで、他のいわゆる同盟諸国は、自分も攻撃される可能性があり、米軍の存在は安全保障に役立たないというメッセージを受け取ったのだ。
Simon Chege Ndirituはアフリカ出身の政治評論家、調査分析専門家。
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Daniel Davis / Deep Dive
Col Douglas Macgregor: Ukraine Organized Crime State/ CANNOT STARVE RUSSIAN WAR MACHINE 20:22今朝の孫崎享氏メルマガ題名
WSJ・特報「習近平は、貿易協定締結を目指す中で、トランプを説得して台湾独立に反対させることができると考えている。両首脳は、韓国で開催アジア太平洋サミットで会談予定で、トランプは2026年初頭に北京、習近平は同年12月に米国を訪問の可能性」
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