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2025年9月22日 (月)

アラブ首脳会議:決意なき言説? アラブ連帯の限界、ドーハ2025

セス・フェリス
2025年9月20日
New Eastern Outlook

 ドーハのアラブ・イスラム緊急首脳会議は、イスラエルによるカタール攻撃を非難したが、意味ある行動はとれず、アラブ諸国とパレスチナの連帯における言論と現実の乖離が広がっていることを露呈した。



 ドーハで開催されたアラブ・イスラム緊急サミットでは「善意」や大胆な宣言や劇的声明が出されたにもかかわらず、イスラエルによるカタール領への致命的攻撃に対する彼らの反応は、少なくとも第一印象では、概ね象徴的なものにとどまっていた。この地獄への道が「善意」で舗装されているかどうかは、時が経てば分かるだろう。

 出席した代表者たちの強い非難と集団的連帯表明にもかかわらず、彼らは、イスラエルとアメリカに本当の圧力を「かけられる」、および/または「かけるべき」経済的、外交的、その他の具体的行動をとることはしなかった。

 卑劣な行為が空虚な言説を上回り続ける限り、パレスチナ人にとっても、より広い地域全体にとっても、言葉や宣言は無意味になる。

 アラブ・サミットはせいぜい口先だけのサービスだ!

 2025年9月15日、イスラエル攻撃の激化とカタール領への標的爆撃を受けて開催された緊急アラブ・イスラム首脳会議に、アラブおよびイスラム世界各国の指導者がドーハに集まった。

 こうした修辞的連帯の一例は、パキスタンのシェバズ・シャリフ首相によるものだ。彼はサミットでイスラエルの国連加盟資格停止を求め、唯一現実的な解決策は二国家共存だと主張した。彼はこれをカタールの主権侵害と呼び「カタールの姉妹国が攻撃を受けた…我々はこの攻撃を強く非難する」と宣言した。

 結局、ドーハ首脳会談は、アラブとイスラム世界における「言説と現実」の溝が広がっていることを露呈した。

 イスラエルの攻撃は、アメリカが支援する停戦案を協議するために会合していたハマス幹部を標的にした。この未曾有の侵略行為により、少なくとも六人が死亡した。内訳はハマス構成員五人とカタール治安部隊員一人だ。国際社会に加え、モサドでさえ、このような挑発的戦術に懸念を表明した。目的が手段を正当化しないというのではなく、この作戦は、より慎重に、地政学的現実と、より否定的な報道の可能性を考慮して実施されるべきだったというのだ。

 そして何が? だから何だ?

 しかし、高官級会合ではこうした発言が自由に飛び交っているものの、ガザで進行中のジェノサイドや、ネタニヤフ首相の「大イスラエル」構想を阻止するには程遠い。今後の展開は不吉だ。ヨルダン川西岸地区がまだ最悪の事態に見舞われてはいないとしても、次にイスラエル国籍を持つパレスチナ人がイスラエルの恐るべき戦争機構の怒りに晒される可能性は無視できない。

 多くのパレスチナ人にとって、言葉以上のものを望むのはもはや必要不可欠なものとなっている。なぜなら言葉はどれほど力強くても、爆弾、占領、飢餓、強制的な避難、そして民間人への意図的攻撃の前には無力だからだ。世界食糧計画(WFP)によると、ガザでは三人に一人が数日間何も食べておらず、推計によれば既に500人近くが餓死している。

 被迫害者が迫害者になる

 骸骨同然の子どもの写真が広く拡散しているにもかかわらず、イスラエルは自国の明白な大量飢餓撲滅作戦を否定し、過激な反ユダヤ主義に煽られた偽ニュースだと一蹴している。だが世界、特に若い世代は目覚めつつある。精密ミサイル攻撃で住宅が倒壊したり、食料配給所で人道支援活動員を装ったアメリカ軍事請負業者に男女子供が射殺されたりする映像が溢れかえる世界では、もはやイスラエルは無力な被害者だという見方を信じる人はいない。むしろ、イスラエルはしばしば被害者だと主張しているのと全く同じ種類の攻撃で、加害者となっている。

 前進するキリスト教兵士たち

 人々が次々と死んでゆく中「我々は心から侵略を拒否する」と言うのは、末期癌の子どもを見て、病気を非難するようなものだ。具体的行動に裏付けられていなければ、言葉はほとんど意味を持たない。イスラエルによるカタールと周辺地域への残忍な攻撃は、より広範な平和への展望を損ない続けており、最終目的は、アメリカを中東戦争に引きずり込むことだ。

 パレスチナ人は息を詰めて見守っている。ガザが「浄化」されれば、ヨルダン川西岸地区がイスラエルの次なる高級不動産開発の標的となるのを知っているからだ。イスラエルは既に、いわゆる「入植者」運動を開始し、違法入植地建設を猛スピードで進めている。世界の目がガザに向けられる中、ヨルダン川西岸地区では数千人ものパレスチナ人が銃を突きつけられ、家や土地を奪われている。

 「イスラエルの自衛権」と繰り返し唱える洗脳された欧米諸国をよそに、イスラエル財務大臣は使い古された二重表現を捨て去った。最近テルアビブで開催された都市再開発会議で、ベザレル・スモトリッチ財務大臣は得意げにこう主張した。「最も専門的な人々が作成した事業計画がトランプ大統領のテーブルに載っている…これがいかにして不動産ブームを巻き起こすだろう」

 誰か依然この戦争が土地と利益とパレスチナ人の完全絶滅以外の何かのためだと考えているなら、私はあなたにフロリダ州パームビーチの美しい海辺の不動産を売って差し上げる。

 答えのない根本的疑問は、意味ある連帯とはどのようなものか、そして短期的にも長期的にも、どれだけ費用がかかるのかということだ。ほとんどの人が答えたがらない疑問だ。

 アラブの連帯は、せいぜい口先だけの約束だ!

 真の影響を与えるには「心からの拒絶」だけでなく行動が必要だ。そうしなければ、暴力の連鎖がヨルダン川西岸、1948年の占領地、更にその先へと広がるのを防げる。歴史が示している通り、行動がなければ、子どもの末期症状は治療されないままになる。

 アラブとイスラムの非統一は常態化しており、湾岸諸国(UAEなど)がイスラエルと静かな関係を維持していることからもそれが明らかだ(例えば、サミット開催中にテルアビブにUAEの軍用機が着陸している)。一方、トルコなどは防衛技術の共有を提案しているものの、具体的な反イスラエル陣営は存在しない。

 「進行中のジェノサイド」を止めるには、サミットに欠けていたもの、すなわち統一経済ボイコットや軍事的抑止力(例えば、提案されているタスクフォースによるもの)や、ジェノサイドを助長するアメリカなどの国への圧力(例えば、更なる石油禁輸措置など)が必要になるだろう。これらが欠如している限り、ドーハ、イスラマバード、ワシントン、あるいは欧州各国首都から発せられる言葉は、どれほど響きが良くとも、爆弾や飢餓や子どもの頭部への銃撃から身を守れない。

 CNNでさえ、見出しで正確に時折的を射た報道をした。カタール首脳会談で、アラブ指導者らはイスラエルに対し強気な発言はしたが、行動はほとんど起こさなかった!

 無力で意気地もないOPEC

 カタール、サウジアラビア、UAEといった国々の大胆な発言にもかかわらず、これらの国々はイスラエルやその主要同盟国、アメリカに対し、停戦仲介を求める強い圧力をかけられない、あるいはかける意思がないように見える。こうした具体的措置の欠如は、1973年のヨム・キプール戦争において、石油輸出国機構(OPEC)が石油禁輸措置を強力な武器として世界各国に影響を与え、停戦を確保した際にアラブ諸国が示した統一戦線とは著しく対照的だ。

 1973年の禁輸措置は、中東の地政学における転換点となった。イスラエルを支持する国々への石油輸出を停止することで、アラブ諸国の指導者たちは、イスラエルに対して停戦を迫る圧力をかけることを余儀なくされた。

 パレスチナ問題は、かつてないほど切迫しているにもかかわらず、特に一部アラブ諸国において、今やその緊急性を失ってしまったようだ。経済的現実や裏取引やイスラエルや欧米諸国との共通利益が、かつてOPECやアラブ連盟に見られた決意を弱めてしまった。焦点は協調と利益に移り、パレスチナ人の窮状は脇に追いやられている。

 「二度と繰り返さない!」という権利を独占できる者はいない。

 ロサンゼルス・ホロコースト博物館が、かつてインスタグラムに投稿したものの、シオニストの反発を受けて突然削除された「二度と繰り返さない」という言葉は、ユダヤ人にたいして「二度と繰り返さない」だけを意味するものではない、としている。この二重基準は、1939年8月22日にアドルフ・ヒトラーが発した恐ろしい命令を想起させる。  
したがって、私は死の頭部隊を、今のところ東方のみに準備させ、ポーランド語(パレスチナ語)に由来し言語を話す男女子供を、容赦なく、情け容赦なく死に至らしめるよう命じた。こうして初めて、我々に必要な生存圏(レーベンスラウム)を獲得できるのだ。一体誰が今日、アルメニア人の絶滅について語っているだろう?
 この発言は1915年のアルメニア虐殺を直接的に指しており、勝利者に歴史を記させれば残虐行為は忘れ去られることを示唆している。この引用は、厳しい現実を浮き彫りにしている。断固たる行動を取らなければ、ガザ地区で今も続くジェノサイド(国連発表)と、ヨルダン川西岸地区で同時に起きている苦しみは、世界の集合意識から薄れてしまう危険性がある。イスラエルの残虐行為は、経済的・政治的現実と選択的記憶喪失により、まもなく覆い隠されるだろう。

 吠えるが噛まない!

 結局、ドーハ首脳会談は、アラブ・イスラム世界における「言説と現実」の溝が拡大していることを露呈した。指導者たちは憤りを表明したものの、決意や決意は示さなかった。強力な禁輸措置、協調的ボイコット、厳しい制裁の呼びかけ、信頼できる抑止力や、もちろん軍事行動といった交渉力を高める手段は一切示さなかった。

 パレスチナ人にとって現実は実存的だ。爆弾が落ち、飢餓が広がり、家族が死者を埋葬する一方、「連帯」の宣言は外交芝居に過ぎない。

 1973年の記憶は、アラブ諸国の団結した行動が短期間でどれほど成果を上げられるかを示すものだ。しかし同時に、忘れ去られたジェノサイドの記憶は、無作為が何をもたらすかを示している。集団の意志が最終的に言葉に結びつかない限り、パレスチナの悲劇はパレスチナ人土地収奪の単なる一章にとどまらず新たな章に化してしまう危険性がある。

 これは、最も気にかけていると主張する人々の不作為により、すぐさま歴史から消し去られるもう一つの警告になるだろう。

 セス・フェリスは調査ジャーナリスト、政治学者、中東問題専門家

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/09/20/arab-summit-rhetoric-without-resolve-the-limits-of-arab-solidarity-doha-2025/

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 植草一秀の『知られざる真実』
UIチャンネル第600回記念放送
鳩山元総理が理事長を務める東アジア共同体研究所のYoutube番組である「UIチャンネル」が9月22日に第600回記念放送を行う。

この番組にお招きを賜った。

9月22日(月)午後8時放送のUIチャンネル
テーマは「混迷する日本政治と活路」
https://www.youtube.com/live/Uo2LJF52sJk
をぜひご高覧賜りたい。

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