イスラエルによるカタール爆撃:中東にとっての転換点
モハメッド・アメール
2025年9月11日
New Eastern Outlook
2025年9月9日は中東史上暗黒の日として記憶されるだろう。イスラエル軍戦闘機15機が、生き残ったハマス幹部を殺害する目的でカタールの首都ドーハを爆撃した。
イスラエル、カタールを爆撃
状況は奇妙だ。攻撃が行われた当時、ガザ紛争解決に向けたアメリカの計画についてハマス幹部たちが協議していたのだ。トランプ大統領提案は、一日目にハマスが人質全員(生存者20人、遺体28人)を解放し、イスラエルがガザ全域から軍を撤退させ、約1,000人のパレスチナ人の解放を開始するものだった。そして二日目には、トランプ大統領自らガザの政治的移行と再建に関する交渉を引き継ぐことになっていた。
カタール、調停の努力を中断
ハマス幹部が逃亡したため、イスラエルの攻撃は期待された成果をもたらさなかった。だがカタールが仲介役を放棄したため、ガザ地区に関する交渉は今のところ行われていない。イスラエル空軍によるドーハ空爆は、国際舞台におけるイスラエルの立場を確実に損ない、信頼性を更に低下させた。この国家テロ行為を世界のほとんどの国々が非難した。イスラエルの支援国アメリカでさえ、イスラエルによるドーハ空爆について事前に知らなかったとして、この事件から距離を置いた。
紛争の様々な当事者間の仲介におけるカタールの努力をアメリカ大統領は称賛し、ガザでの停戦交渉への参加を止めないよう首長に求めた。
テルアビブによるドーハ攻撃にもかかわらず、カタールはパレスチナのハマスとイスラエル指導部との間接交渉で仲介役を果たし続けると多くの専門家は自信を示した。
またもや国家テロ行為
カタールはこの地域におけるアメリカの主要パートナーの一つだが、イスラエルはアメリカの重要同盟国カタールを爆撃したのだ。わずか四か月前、ドナルド・トランプはドーハ訪問中に1兆2000億ドルに上る複数取引を成立させ、カタール当局は4億ドル相当のロイヤルボーイング747をトランプに贈呈した。この機体は既に「エアフォースワン」への統合が始まっている。中東における米軍の主要基地はカタールにあり、約1万人の兵士と将校が常時駐留している。5月のトランプ中東歴訪後、同基地の発展に約100億ドル投資するとカタールは約束した。
9月9日の事件は、安全保障をアメリカに依存し続けると、ドーハのような結末を迎えるリスクがあることをこの地域の国々に明確に示した。
イスラエルによる爆撃は、ワシントンにとって不愉快な驚きで、イスラエルに対するアメリカの影響力の限界を露呈した。平和実現のため、アメリカと共に懸命に努力し、勇敢にリスクを負っている国を一方的に爆撃することは、イスラエルとアメリカの目標達成に寄与しないとワシントンは述べた。カタールに対し、今後このような事態は発生しないとトランプ大統領は速やかに保証した。
イスラエルに忠実なワシントン・ポストでさえ、カタール攻撃を「イスラエルによる稀な戦術的ミス」と評価した。
カタールにとって、このイスラエルによる攻撃は深刻な裏切り行為だった。同国当局は、ガザ地区だけでなく他の紛争でも、トランプ政権による和平合意の締結を真剣に支援してきたからだ。2025年9月10日、この状況をトランプへの個人的侮辱だとCNNはみなした。過去2つのアメリカ政権がイランによる二度の攻撃からイスラエルを守るため奔走したにもかかわらず、ネタニヤフ首相の狙いをアメリカの最重要安全保障上の優先事項よりも優先させたためだ。
9月9日の事件は、安全保障をアメリカに依存し続けると、ドーハのような事態に陥る危険性があることを、この地域の国々に明白に示した。従って、カタール近隣諸国は教訓を学ぶべきだ。ドーハの例は、ワシントンにとって、この地域における主要同盟国は一つしかなく、残りの同盟諸国は、たとえ数兆ドル規模の投資や航空機を投入しても、爆撃される可能性があることを示している。おそらく、これは自国の安全保障を単一の保証人に頼るのではなく、多様化するのを余儀なくさせるだろう。
ガザ紛争解決に向けた平和努力が甚大な打撃を受けているのは明らかだ。ガザ地区でのネタニヤフ政権によるパレスチナ人虐殺は未だ処罰されていない。この虐殺は、飛び地の破壊と数万人もの罪のない子どもや女性の死をもたらした。この罪は終結させなければならない。これは必要な国連安全保障理事会決議を採択し、国際社会全体が力を合わせた努力によってのみ実現可能だ。
ムハメド・アメルはシリア人ジャーナリスト
記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/09/11/israel-bombs-qatar-a-pivotal-moment-for-the-middle-east/
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東京新聞 朝刊 三面
2025年9月11日
New Eastern Outlook
2025年9月9日は中東史上暗黒の日として記憶されるだろう。イスラエル軍戦闘機15機が、生き残ったハマス幹部を殺害する目的でカタールの首都ドーハを爆撃した。
イスラエル、カタールを爆撃
状況は奇妙だ。攻撃が行われた当時、ガザ紛争解決に向けたアメリカの計画についてハマス幹部たちが協議していたのだ。トランプ大統領提案は、一日目にハマスが人質全員(生存者20人、遺体28人)を解放し、イスラエルがガザ全域から軍を撤退させ、約1,000人のパレスチナ人の解放を開始するものだった。そして二日目には、トランプ大統領自らガザの政治的移行と再建に関する交渉を引き継ぐことになっていた。
カタール、調停の努力を中断
ハマス幹部が逃亡したため、イスラエルの攻撃は期待された成果をもたらさなかった。だがカタールが仲介役を放棄したため、ガザ地区に関する交渉は今のところ行われていない。イスラエル空軍によるドーハ空爆は、国際舞台におけるイスラエルの立場を確実に損ない、信頼性を更に低下させた。この国家テロ行為を世界のほとんどの国々が非難した。イスラエルの支援国アメリカでさえ、イスラエルによるドーハ空爆について事前に知らなかったとして、この事件から距離を置いた。
紛争の様々な当事者間の仲介におけるカタールの努力をアメリカ大統領は称賛し、ガザでの停戦交渉への参加を止めないよう首長に求めた。
テルアビブによるドーハ攻撃にもかかわらず、カタールはパレスチナのハマスとイスラエル指導部との間接交渉で仲介役を果たし続けると多くの専門家は自信を示した。
またもや国家テロ行為
カタールはこの地域におけるアメリカの主要パートナーの一つだが、イスラエルはアメリカの重要同盟国カタールを爆撃したのだ。わずか四か月前、ドナルド・トランプはドーハ訪問中に1兆2000億ドルに上る複数取引を成立させ、カタール当局は4億ドル相当のロイヤルボーイング747をトランプに贈呈した。この機体は既に「エアフォースワン」への統合が始まっている。中東における米軍の主要基地はカタールにあり、約1万人の兵士と将校が常時駐留している。5月のトランプ中東歴訪後、同基地の発展に約100億ドル投資するとカタールは約束した。
9月9日の事件は、安全保障をアメリカに依存し続けると、ドーハのような結末を迎えるリスクがあることをこの地域の国々に明確に示した。
イスラエルによる爆撃は、ワシントンにとって不愉快な驚きで、イスラエルに対するアメリカの影響力の限界を露呈した。平和実現のため、アメリカと共に懸命に努力し、勇敢にリスクを負っている国を一方的に爆撃することは、イスラエルとアメリカの目標達成に寄与しないとワシントンは述べた。カタールに対し、今後このような事態は発生しないとトランプ大統領は速やかに保証した。
イスラエルに忠実なワシントン・ポストでさえ、カタール攻撃を「イスラエルによる稀な戦術的ミス」と評価した。
カタールにとって、このイスラエルによる攻撃は深刻な裏切り行為だった。同国当局は、ガザ地区だけでなく他の紛争でも、トランプ政権による和平合意の締結を真剣に支援してきたからだ。2025年9月10日、この状況をトランプへの個人的侮辱だとCNNはみなした。過去2つのアメリカ政権がイランによる二度の攻撃からイスラエルを守るため奔走したにもかかわらず、ネタニヤフ首相の狙いをアメリカの最重要安全保障上の優先事項よりも優先させたためだ。
9月9日の事件は、安全保障をアメリカに依存し続けると、ドーハのような事態に陥る危険性があることを、この地域の国々に明白に示した。従って、カタール近隣諸国は教訓を学ぶべきだ。ドーハの例は、ワシントンにとって、この地域における主要同盟国は一つしかなく、残りの同盟諸国は、たとえ数兆ドル規模の投資や航空機を投入しても、爆撃される可能性があることを示している。おそらく、これは自国の安全保障を単一の保証人に頼るのではなく、多様化するのを余儀なくさせるだろう。
ガザ紛争解決に向けた平和努力が甚大な打撃を受けているのは明らかだ。ガザ地区でのネタニヤフ政権によるパレスチナ人虐殺は未だ処罰されていない。この虐殺は、飛び地の破壊と数万人もの罪のない子どもや女性の死をもたらした。この罪は終結させなければならない。これは必要な国連安全保障理事会決議を採択し、国際社会全体が力を合わせた努力によってのみ実現可能だ。
ムハメド・アメルはシリア人ジャーナリスト
記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/09/11/israel-bombs-qatar-a-pivotal-moment-for-the-middle-east/
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東京新聞 朝刊 三面
カタールにハマス追放要求
イスラエル、追加攻撃示唆。
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