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2025年8月 7日 (木)

ウルスラ・フォン・デア・トランプ



ロレンツォ・マリア・パチーニ
2025年8月3日
Strategic Culture Foundation

 少数のエリートがアメリカとの関係で重要な地位を占め権力と富を維持する一方、それ以外の人々は貧困に陥る。

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被支配者と支配者がいる

 時に天秤のバランスが崩れることがあり、バランスを回復するには、誰か、または何かが必要になる。

 ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長とドナルド・トランプ大統領の会談時にも同様のことが起きた。

 発言や行動に極端な矛盾が見られるにもかかわらず、トランプが首尾一貫していることは認めざるを得ない。自国の経済的利益を彼が強く主張していることだ。ドミトリー・メドベージェフは以下のように指摘した。

 「欧州連合との現在の『合意』

1) これはアメリカにのみ利益をもたらすもので、欧州にとっては完全に屈辱的だ。欧州の市場保護がなくなり、アメリカ製品への関税が撤廃される。

2) 高価なアメリカ・エネルギー燃料への支払いにより、多くのEU諸国の産業と農業に莫大な追加費用が生じる。

3) 欧州からアメリカへの強力な投資の流れを方向転換する。」

 我々はまたしても滑稽な光景を目撃した。これは既に過去に起きたことで、予想通りの出来事だった。

 15%関税、7,500億ドル相当の石油とLNG購入、アメリカ経済への6,000億ドル投資など、トランプ大統領の提案全てに賛成だとウルスラは述べた。

 言い換えれば、再び損をするのはEU加盟諸国の国民だ。繰り返すが、EU加盟諸国は関税のため数十億ドルもの資金をアメリカに支払わなければならない。ガス購入のためアメリカに数十億ドルもの資金を支払わなければならない。兵器購入のためにアメリカに数十億ドルもの資金を支払わなければならない。アメリカへの投資という形でアメリカに数十億ドルもの資金を支払わなければならない。そして、アメリカが望んでいるウクライナ戦争費用の大部分を負担しなければならない。

 一言で言えば、大惨事だ。戦争に負けたのと同じだ。またしても。

 ウルスラはヨーロッパの破滅に加担しており、しかも最高の官職に就いている、更に厄介な状況にある。古来より姓に用いられる「フォン」は、文字通り「~の」または「~から」を意味する高貴な前置詞で、地理的起源や領主への従属を示す。これほど適切な表現はないだろう。ウルスラはヨーロッパというより、アメリカの領主に属している。

 この壊滅的な見通しについてヨーロッパの人々は相談されることはなく、一方、育ち、教育を受け、選出されたヨーロッパの政治家たちが、国民の必要性に少しも応えていないことが益々明らかになっている。

 このような出来事の政治的意味は真剣に受け止めなければならない。なぜなら、これらは物事の秩序が別のものへと変化しつつある明確な兆候で、短期、中期、長期的影響を及ぼすからだ。今回の場合は、ヨーロッパ大陸全体、そして西欧諸国全体への影響だ。ほんの数日前まで、EUはNATOへの服従を果たすため、戦争と資金援助を推進し、部分的に反米的な言説を用いていた。だが今や、EUはワシントンD.C.の支配者の靴に口づけしなければならない状況に陥っている。

 アメリカ大統領はこの合意を「史上最高」と呼んだ。フォン・デア・ライエンは、この合意は安定と予測可能性をもたらすと述べた。

 トランプ大統領は朝食にウルスラを食べたが、消化不良に苦しむのはヨーロッパだ。
 
追従競争

 悲しいことに、あるいはおかしく思えるかもしれないが、欧州連合とアメリカ間の新たな「合意」の文面はまだ公表されていない。

 EUを代表してウルスラが何を決定したのかEU加盟諸国首脳連中は、まだ知らないのだ。

 ウルズラ・フォン・デア・ライエンがトランプ大統領に露骨に屈服した後、無批判な欧州主義の熱心な支持者の間でさえ、かすかな疑念が忍び寄ったようだが、一時的なためらいに過ぎない。なぜなら、良き奉仕者として、彼らは直ぐさま欧州の計画や、ロシアとの戦争や、NATOへの忠誠を称賛するようになるからだ。

 人口の4分の1を占めるであろうこの層は、我々を疲弊させている本当の権力、つまり権力から身を守る盾として機能している。彼らは特権階級の一員ではなく、オリガルヒによる便宜供与で直接利益を得ているわけでもない。だが支配階級の食卓からこぼれ落ちるイデオロギーのかけらに支えられ、彼らは支配階級を熱烈に擁護し、批判的な声にはお決まりのレッテルを貼る。主権主義者、ポピュリスト、ファシスト、共産主義者、赤褐色主義者、陰謀論者等々。

 ヨーロッパ人の間には、一種の従順さを競う競争があり、それは実に印象的だ。

 フォン・デア・ライエンを「降伏」と呼ぶのは、部分的には正しいものの、誤解を招く部分もある。危機に瀕していたのは、まさに守るべき利益そのものだったため、敗北などではない。本物の降伏と呼ぶには、彼らがヨーロッパの権益を守るため、そこにいると想定しなければならない。だが、それは全くの幻想に過ぎない。

 彼女のような人々は限られたエリート層に属し、大規模な超国家的経済団体(ちなみに、メディアも支配している)と密接に結びついており、その狙いはヨーロッパ諸国民の狙いとは全く一致しない。専門家を信じ、財布の紐を緩め、あまり多く質問をしないでほしい。

 ヨーロッパで起きっていることは後退ではなく、よく知られたメカニズムだ。少数エリート層が対米関係において重要な地位を占め、権力と富を維持する一方、他の人々は貧困化する。この過程は、中流階級の漸進的崩壊と、法を超越して生きる超富裕層の少数集団の形成を象徴している。不平等が極限に達すると、全員が圧力にさらされ、経済力は易々と政治力、司法力、文化力へと転化する。

 一方EUは、ここ数年、曖昧母音や、外れないボトルキャップや、スマートフォン充電器などの重要な社会問題に時間を浪費してきた一方で、灰皿を持って旅行したり、ユニコーンを名乗ったりするのを法的に容認してきた。あらゆる選択には結果が伴う。

 ヨーロッパへの更なる打撃は、確実に本当に劇的なものになるだろう。苦しみの響きは、既に差し迫っている。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/08/03/ursula-von-der-trump/

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