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2025年6月23日 (月)

ライオンと約束



ロレンツォ・マリア・パチーニ
2025年6月15日
Strategic Culture Foundation

 本物の反撃は今始まる。イランがチェス盤上で次に何を起こすかが今後の状況を決定づけるとロレンツォ・マリア・パチーニは買いている。

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夜明けの攻撃

 グレゴリオ暦2025年6月13日、ペルシャ暦1404年ホルダッド23日、ヘブライ暦5785年シワン17日は、歴史上、記憶される日になるだろう。

 イスラエル国はイラン・イスラム共和国を夜間に攻撃した。

 最初のミサイルは民間標的に命中した。テヘランでの住宅爆破と崩壊で命を落とした子どもの姿は、象徴的であると同時に悲劇的だ。数分間で、イスラエル国防軍は複数の軍関係者や研究者の自宅、国内各地に点在する原子力発電所、軍事基地、防空軍基地、緊急対応拠点を攻撃した。

 イランの最も著名で重要な人物が何人か殉教した。IRGCのホセイン・サラミ参謀総長、ゴラム・アリ・ラシド将軍、テヘランチとフェレイドゥーン・アバシの研究者、モハンマド・バゲリ少将、軍参謀総長、更新リスト

 攻撃を実行するために、イスラエルはイラクの基地を利用し、シリアとヨルダンの空域も作戦に利用した。アサド政権は防空システムと早期警戒システムを備えて、イランと連携して活動していた。バッシャール・アサド政権崩壊後、イスラエルは狙った全てを破壊し、イスラエル基地へのトルコ軍立ち入りを禁じ、最後通牒まで突きつけている。そして、権力を掌握したイスラム主義者連中は、シリア上空に何の影響も及ぼしていない。

 これまで、空襲を実行する前に、モサドはイランの防空システムを破壊し、レーダーと防空部隊を無力化していた。

 この攻撃による被害は、インフラと人命の両面で甚大だった。民間人の犠牲者数はまだ集計されておらず、報告もされていない。

 イランは直ちに約200機のドローンで反撃したが、アメリカ、イスラエル、イギリスの戦闘機が迎撃した。この協調作戦には、フランスも舞台裏で関与していた。

 イランに対する攻撃の規模を過小評価してはならないが、同時に、その影響を誇張したり、攻撃やイランの対応を巡るメディアの誇大宣伝に惑わされたり混乱したりしないことも重要だ。

 今回作戦で330発のミサイルと100機のドローンを使用したとイスラエルは発表した。比較すると、これはロシアがウクライナに対し数百回繰り返してきた共同ミサイル攻撃の一つで使用された数とほぼ同数だ。今回の攻撃でイラン軍事機構が跡形もなく消滅することは決してあるまい。相対的に見れば「ライジング・ライオン作戦」は煙幕にすぎない。

 国内の失敗と進行中の危機から人々の注意を逸らすため、イスラエルと西側同盟諸国は、意図的にテヘランとの派手なエスカレーションに焦点を当てている。ロシアとの代理戦争の行き詰まりや、国内の経済的・社会的緊張の高まりを、欧米諸国は、人々に忘れさせようとしているのだ。同時に、ガザにおけるジェノサイド行為に対する国内外の批判の高まりをイスラエル指導部は黙らせようとしている。この批判は今や、シオニストによる植民地主義計画全体にとって本物の脅威になっている。

 これら全て、帝国主義的/植民地主義的計算に基づいている。つまり、イランは反撃はしつつも、いつもの慎重さを保ち、大規模エスカレーションは避けるという確信に基づいている。もしこの計算が正しければ、「真の約束」の新たな出来事で、我々はイランのミサイル実証に直面することになる。その典型的メディア・イメージは、テルアビブ上空にアイアンドーム・ロケットの明るい軌跡が映し出され、それに応じてへイバル・シェカン極超音速ミサイルが人口密集地から遠く離れた標的を攻撃するものだ。だが、もしこの計算が間違って、イスラム共和国が限界点を超えてしまった場合、この劇は終わりを迎え、それと共に全ての予測は打ち砕かれるだろう。

 テルアビブというならず者国家は、史上最も危険な政治体制であることを改めて証明している。これは、この完全に制御不能な国民国家の存在によって特徴づけられる中東の歴史における、またしても悲劇的な一ページだ。民族至上主義、人命の完全な軽蔑、国際法への無関心、そして終末兵器の使用という、これほどまでに複雑な状況を抱えた国家はかつて存在しなかった。まさに世界全体にとって脅威となる国家だ。

 イランに対するイスラエル作戦の名称は明確なメッセージだ。「昇る獅子」。ユダの獅子はイスラエルの救世主で、統一王国、すなわち有名な大イスラエルの象徴だ。だが同時に、古代ペルシアとシャー以前の政権の象徴でもある。

 実際、イランこそ彼らの救世主の出現を阻む最後の障害だとラビたちは宣言している。これはシーア派神学者ではなく、ラビたちに宣言されている。

 キリスト教の聖書であるヨハネの黙示録第5章には、これから起こることの兆候がいくつか見られる。メシアと理解されるにせよ、反メシアと理解されるにせよ、ユダの獅子の勝利は、黙示録の封印の間にある重要な一節だ。「泣くな。見よ、ユダ族のしし、ダビデの若枝であるかたが、勝利を得たので、その巻物を開き七つの封印を解くことができる」。また、創世記第49章には「ユダは、ししの子。わが子よ、あなたは獲物をもって上って来る。彼は雄じしのようにうずくまり、雌じしのように身を伏せる。だれがこれを起こすことができよう。つえはユダを離れず、立法者のつえはその足の間を離れることなく、シロの来る時までに及ぶであろう。もろもろの民は彼に従う。」とある。この封印の続きが大患難時代だ。

 シオニスト国家がイラン攻撃を決意した根深い神学的根拠は我々の想像を遙かに超えるものだ。彼らにとって、これは根源的で、身近で、根本に関わり、避けて通ることができない問題だ。イスラム教と革命を掲げるイランは、反シオニストとして生まれ、常にアル=クドゥス(エルサレム)とパレスチナ解放の大義を守り、イスラエルの計画に対する最大の障害となる抵抗軸を形成してきたため、イランはイスラエルにとって最大の敵だ。イランは、政治だけでなく宗教的信仰に基づく「もう一つの」偉大な政府であり、イスラエル人にとって、イスラエル国民と異なり、彼ら自身の他に政治権力はあり得ない。

 ペペ・エスコバルが指摘している通り、近代史において、これほど有害な組み合わせを蓄積した政治構造はかつてなかった。

  • メシア的民族的優位性
  • 人間の命を完全に無視する(「選ばれなかった」者以外の者は全て「アマレク人」だ)
  • 国際法の完全な無視
  • 致死性兵器への無制限の使用。
このような死のカルトに対して一体何ができるだろう?
 
準備

 強調しておきたいのは、包括的共同行動計画(JCPOA)を含む国際協定で求められる民生用ウラン濃縮に関する義務をイランは常に遵守してきたことだ。これはトランプ政権時代にアメリカが一方的に同条約から離脱するまでのことだ。その後、ネタニヤフ政権との緊密な関係で知られるIAEA事務局長ラファエル・グロッシは、イランがIAEAへの誓約をもはや遵守していないと突如宣言し、イラン核計画の軍事利用の可能性を疑わせる事態を招いた。

 イスラムの原則に反するとして核兵器を明確に禁止するファトワー(宗教的戒律)をハーメネイ師が発布したことを忘れてはならない。75発から200発の核弾頭を保有すると推定されるイスラエルの核開発計画に、ラファエル・グロッシは、一体なぜこれほどの注意を払わないのか不思議に思う。IAEAは過去、イスラエルが特定民間研究所への訪問のみを許可し、核兵器拠点として知られるディモナなどの主要施設を組織的に除外していることを確認している。更にイスラエルやインドやパキスタンと異なり、イランは核拡散防止条約(NPT)に署名しており、少なくとも形式的には国際的透明性への誓約を示している。

 従って、国際法に従って行動しようと努めてきた国がある一方、他方で、既に極めて重大な犯罪で告発されているにもかかわらず、国際法を認めず、他者を裁き、処罰する権利を主張する国があるのだ。イランはウランなどの天然資源を有し、ニジェールやナミビアなどの他の供給国と良好な関係にあるにもかかわらず、自国民の福祉のためにこれら資源を平和的に利用するのを妨げられているのは皮肉なことだ。

 昨夜のイスラエルによる空爆は、中東における新たな戦争の連鎖を引き起こす恐れがある危険なエスカレーションで、イランはこれに無関心でいるのは困難だろう。イスラエルは再び、インダス川からジブラルタルに至る地域全体にとって真の不安定化要因になっている。一方、イランは、特にアメリカとの大規模紛争を回避しようと努めてきたが、今やその状況に直面せざるを得ない状況に置かれている。

 ネタニヤフ首相が述べた通り、たとえ作戦が数日続いたとしても、イランの核開発計画を壊滅させることにはなるまい。せいぜい計画の進行を遅らせる程度だろうが、おそらくイランは自衛と抑止手段として核兵器を選択する方向に傾くだろう。更に、自国主要機関への外部からの浸透についてイランは真剣に問い直さなければならないだろう。

 攻撃を受けた核施設には、アラク、フォルドゥ、ブシェール、エスファハーンなどがあり、その中には深刻な状態にあるナタンズ施設も含まれているのを念頭に置く必要がある。

 イマーム・ハメネイ師の言葉はすぐに届いた。今朝早々最高指導者はこう宣言した。

 本日夜明け、シオニスト政権は我らが愛する祖国が犯した犯罪に汚く血塗られた手を伸ばし、かつてないほど多くの住宅街攻撃により邪悪な本性を露呈した。政権は厳しい罰を覚悟しなければならない。神のご意志があれば、イスラム共和国軍の強大な手は政権を見捨てることはないだろう。数名の司令官と科学者が敵の攻撃で殉教した。彼らの後任者と同僚は、神のご意志があれば、直ちに職務に復帰するだろう。この犯罪により、シオニスト政権は自らに苦く苦痛に満ちた運命を準備し、必ずその運命を味わうことになろう。

 ハマスの哀悼と支援の言葉も同様に重要だった。

 我々ハマス運動は、イラン・イスラム共和国との完全な連帯を表明する。また、イラン指導部と国民に対し、革命防衛隊司令官ホセイン・サラミ少将、イラン軍参謀総長モハンマド・バゲリ中将、そして多数の核科学者をはじめとする高官の殉教に深い哀悼の意を表す。神のご慈悲と、負傷者の早期回復を祈る。今日、イランは、パレスチナと、その抵抗への揺るぎない支持姿勢と、自国の独立した決断の堅持の代償を払っている。この危険な侵略に対し、国民と主要部隊が一致団結して立ち向かう必要がある。

 復讐の旗、アシュラの赤い旗が即座に掲げられた。それは強大な力の象徴で、全世界へのメッセージだった。イランは必ず反撃する。

 国連でイラン政府は安全保障理事会の会合を呼びかけ、今回の侵略行為を「宣戦布告」と非難した。これは極めて重大な行為で、ロシア連邦も常駐代表を通じてこれを国際法違反と認め、イスラエルが全責任を負うべきものだ。

 イスラエルの攻撃を議論するためにニューヨークで開催されていた安全保障理事会緊急会合において「昨夜、世界で最も危険でテロリスト的政権であるイスラエル政権は、アメリカ政権の全面的政治的支援を受けて、イランの複数都市で一連の協調的かつ計画的軍事攻撃を実行した」とイラヴァニ氏は非難した。この発言はイラン通信(IRNA)によって報じられた。

 「これら違法な侵略行為は、平和的核施設、軍事施設、重要な民間インフラや住宅地を標的としていた」と大使は述べ、特に主要標的の一つが「国際原子力機関(IAEA)の厳重な監視下にある」ナタンツ原子力発電所であることを強調した。「これらの行為は宣戦布告だ」とイラヴァニ氏は述べた。「これは強力な同盟国の保護のおかげで罰せられずに行動してきたイスラエル政権による、無政府主義的で不安定化をもたらす攻撃的行動の長い歴史における最新の章だ。この状況は終わらせねばならない」。また大使は、いわゆる「テロ攻撃」への「疑いようのない共謀」でアメリカを非難した。「意図的な武器供与を含め昨夜イスラエルが犯した罪への意図的支援をアメリカ当局は躊躇なく認めている」「アメリカ兵器を使ったイスラエルによる攻撃で殺害された」イラン人犠牲者をイランは忘れないとイラヴァニ氏は改めて強調し、また安全保障理事会の常任理事国アメリカによる「意図的で、組織的で、全面的に支持された侵略」は「国際法と国連憲章の重大な違反」だと非難した。

 数時間のうちに、ロシア連邦から発言と支援が寄せられ、続いて中国、北朝鮮、パキスタン、サウジアラビアからも発言と支援が寄せられた。

 しかし、アメリカからの最初の発言は、マーク・ルビオ国務長官が一夜にして発表し、この事件にアメリカは関与していないと宣言したものの、数時間後、イランに対するより残忍な攻撃計画を警告する記事をドナルド・トランプ大統領自身がトゥルースに投稿し、その後まもなく、実際ネタニヤフ首相と前日に会い、この作戦について話し合ったことを明らかにした。

 これがトランプを裏切った者連中によるトランプに対する罠だったのかどうかは別の記事で論じる。今明らかなのは、アメリカが再び深刻な状況に陥っていることだ。
 
反撃

 殉教者への復讐を訴えるべく街頭に繰り出した市民を驚かせた行動として「真の約束作戦3」が開始された。テルアビブはイラン極超音速ミサイルによる複数回の爆撃を受け、甚大な被害を被った。この光景は、中東だけでなく、世界中で大いに称賛された。

 アメリカは直ちにメディア攻撃を開始した。世界のどこかで深刻な事態が発生する可能性があると元CIA長官マイク・ポンペオが警告し、背後にイランがいる可能性を示唆した。イランはアメリカを含むほぼ全ての国にテロリスト細胞を抱えており、近いうちにサイバー攻撃や他の攻撃に利用される可能性があると彼は主張した。自ら「世界的脅威」と考えるものを阻止する必要があるとポンペオは述べ、イスラエルへの強力な支援を求めた。

 この低強度通常紛争がどれだけ続くのか確かなことは言えない。今のところ複雑な国際外交の仕組みは非常に遅いものかも知れないが、国際的対応は迅速かつ断固たるものでなければならない。

 一つ確実なのは、イランは決して降伏しないことだ。

 これはネタニヤフ首相を阻止し、イスラエルをシオニスト国家として国際舞台で政治的に攻撃する重要な機会だ。今世界は再びこの国の悪を目の当たりにしている。そして、この国が屈服し、降伏を余儀なくされるまで、あるいは敵の攻撃により滅ぼされるまで、世界の破壊的な怒りが収まらないのは誰の目にも明らかだ。

 本当の反撃は今始まる。チェス盤上でイランが次に何を起こすかが今後の状況を決定づけるだろう。

 忘れてはならない。これを始めたのはイランではない。歴史がそれを記録に残すだろう。

 現在、イランがホルムズ海峡を封鎖し、イエメンがバブ・エル・マンデブ海峡を封鎖する可能性がある。どちらの選択肢も現在検討されている。シオニスト政権の行動が直接の結果として世界のエネルギー安全保障を不安定化させる可能性があるとテヘランは主張している。

 興味深い事実:ロシア人作家ドミトリー・グルホフスキーの『METRO 2033』の世界における出来事は、イスラエルによる対イラン核攻撃から始まった。

 これに続き世界大戦が起き、終末がもたらされたのだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/06/15/the-lion-and-the-promise/

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The Chris Hedges Report でっち上げ諜報「正当化」一方的攻撃 イラクと同じ
'They Cooked Up Their Own Intelligence' Chris Hedges on Israel’s war on Iran | The Listening Post 10:44
The war on Iran feels eerily familiar – from justifications that hold no water to the uncritical reporting in the media. Chris Hedges joins us to unpack the unsettling parallels with the 2003 Iraq War

Chris Hedges
Jun 23, 2025

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トランプ21日の演説[イランの主要核濃縮施設は完全に撃破。平和がすぐに訪れなければ、他の標的を正確、迅速に攻撃する]、 イラン外務省声明[野蛮な侵略を最も強い言葉で非難する. 米国はこの犯罪が招く極めて危険な結果の全責任を負う。イランの安全と国益の為全力で抵抗する権利を有する。

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