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2025年6月11日 (水)

熊たちの沈黙



アラステア・クルック
2025年6月9日
Strategic Culture Foundation

 弱気派の沈黙はすぐに終わり、ロシアの決断を我々はより詳しく知ることになろう。

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 ロシア指導部は、反撃策を決定する「コンクラーベ」をしている。

 トランプ大統領は二日間沈黙を守っている。前例のないことだ。ここ数日、ウクライナと支援諸国は、ロシアの戦略核爆撃機部隊への大規模攻撃を試み、モスクワ行き民間列車に橋を二つ崩落させ、ケルチ橋を攻撃し、ロシア人将軍を爆弾で暗殺した。

 二世紀前にクラウゼヴィッツが指摘した通り、軍事力の狙いは結果の強制、すなわち最終的に敵に望ましい行動を取らせることだ。従って軍事冒険では、最初から明確な思考が求められる。実現可能な政治的目標を持ち、それが実現の見込みがなければならない。

 すると、このウクライナによる「非正規」攻撃の背後にある狙いは何だったのか? 一つは、確実に、ウクライナと同盟軍が依然特殊部隊のような革新的作戦を展開できる能力を持っていることを示すための広報活動だった。だから継続支援に値するのだ。ダグ・マクレガー大佐は次のように警告している。  
「これは大部分、ウクライナは戦争を継続できるという印象を与えるためのPR活動だった。欧米メディアから聞こえてくる情報は全て、おそらく真実ではないか、少なくとも酷く誇張されている。我々は自らを傷つけ、残っていたモスクワとの関係も損なってしまったのだ。これが今回の本当の悪影響だ。」
 分かった。だがPR活動は戦略ではないし、今回の攻撃は軍事戦略全体のパラダイム・シフトの可能性を示唆するものでもない。欧米諸国やウクライナが突如ロシアに対する政治戦略を発見したわけではない。そんなものは存在しない。欧米諸国による無数の声明は、大部分ごちゃ混ぜの妄想に過ぎない。

 だが第二の目標としては、確かに明確な戦略的最終目標を持っていた可能性があり、実現可能性と、望ましい結果をしいる可能性があることを示したのだ。様々な攻撃により、大統領としてアメリカ外交政策を支配していないという不快な現実をトランプ大統領は突きつけられた。ディープステート集団は、まさにそれをはっきりさせたのだ。

 マイク・フリン将軍は以下のように警告している。  
「現在選挙で選ばれた大統領による支配の外でディープステートは行動している。これらディープステート連中は、アメリカを含む欧米諸国との大規模紛争にロシアを挑発するため意図的な取り組みをしている。」

 実際、凍結された紛争を圧力や更なる圧力や痛みによって(常に弱いとみなされている)プーチン大統領に受け入れさせて、ウクライナでのアメリカ敗北を覆すのを願うという青臭い物語をキース・ケロッグ将軍やジャック・キーン将軍などの連中は語っている。

 ナチス政権は強力ではなく、ドイツ社会の崩壊を狙う戦略爆撃で打倒できると第二次世界大戦中のイギリスも同様に考えていたのだ。現在、制裁を伴うロシア「爆撃」をケロッグ将軍は提唱しているが、これはそのような戦術が「士気を著しく低下させるに違いない」というイギリスの確信を反映している。

 トランプに対する将軍連中の助言は、政治的リアリズムの基準を満たしていなかった。ロシア崩壊の始まりという幻想と、ロシアとその軍隊に対する絶望的な誤読に基づいていたためだ。あるいは、ロシアとの関係正常化というトランプの政策を、トランプの顧問連中が、意図せずに、あるいは意図的に「裏切った」のかもしれない。

 今トランプは、プーチン大統領に一体何と言うのだろう? 彼は実際は事前警告を受けていた(つい数日前「私がいなければ本当に悪いことがロシアに起きていたはずだ」と彼が書いたのを想起願いたい)が、顧問連中が全ての詳細は伝えていなかったと主張するのだろうか? それとも顧問連中に騙されたと率直に認めるのだろうか? それともロシア内部への攻撃を承認した過去の大統領の「調査結果」に基づいてCIAは行動していただけだと主張するのだろうか?

 これら仮定上の答えは全て一つのことを意味するはずだ。トランプは状況を掌握できていない。彼やヨーロッパ同盟諸国(例えばイギリス)は信頼できない。

 いずれにせよ、ゼレンスキー、ひいてはNATO支援者連中がSALT/START条約の脆弱性を悪用して、民間コンテナに隠蔽された無人機を使って、米ロ条約で保護されている爆撃機を攻撃しようとしていたのをトランプの顧問連中は知っていたはずだ。START条約第12条は「空軍基地内の全重爆撃機は公然と公開展示する」よう明確に義務付けている。この規定は奇襲「先制攻撃」による核攻撃に備えるための信頼醸成措置(目視監視)だった。

 START 1では、長距離核兵器または戦略核兵器の保有量を30~40%削減した。新STARTでは、配備されている戦略兵器を更に4分の3削減した。2021年、バイデン大統領とプーチン大統領は新STARTを2026年2月まで延長した

 もちろん、これを可能にした正体不明の支援者連中は、主要ライバル核兵器保有国の戦略核戦力を攻撃する重大さを理解していた。

 もし敵対勢力(おそらく非国家主体)がコンテナに隠された安価で入手しやすいドローンを用いて、アメリカ国内の戦略長距離核兵器搭載爆撃機を攻撃した場合に、アメリカは一体どのように対応するだろう? ポケベルや携帯電話が爆弾として兵器化され、遠隔操作で起動して民間・軍用を問わず飛行場を攻撃できる「スリーパー」ドローン時代という新たなリスクの時代に我々は暮らしているのだ。

 1941年12月、真珠湾に停泊中のアメリカ空母を破壊する狙いで日本軍が真珠湾を攻撃した後、真珠湾における日本大勝利の余韻の中、山本五十六提督は次のように語ったと伝えられているとラリー・ジョンソンは述べている。「我々がしたことは、眠れる巨人を目覚めさせ、恐ろしい決意を植え付けただけではないだろうか。我々は真珠湾で大きな戦術的勝利を収め、それによって戦争に負けたのだ。」

 弱気派の沈黙は間もなく終わり、ロシアの決意をより詳しく知ることになるだろう。だが「言うことは本気で、言ったことは実行する」とトランプが理解されていた状況は終わった可能性が高い。ロシアは激怒している。

 次に何が起きるか不明だ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/06/09/silence-of-bears/

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