禅とニューヨーク・タイムズ見出し書きの技巧

イスラエルと欧米同盟諸国の犯罪を公然と免罪する必要がある際に、これら変人が創造的になる様子は驚くべきものだ。
ケイトリン・ジョンストン
2025年6月5日
この記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。
私がこれまで見た中で最も狂った見出しの一つをニューヨーク・タイムズが掲載したばかりだが、これは実際、重要なことを物語っている。
「ガザでの命懸けの援助物資配布」と見出しは大声で叫んでいる。
あなたが、記事が残りの部分は読まず、見出しだけざっと読む大多数の一員でおられるなら、イスラエルがここ数日、援助活動拠点で飢えた民間人を虐殺し、それについて嘘をついていたのに全く気づかないはずだ。そもそも彼らを飢えさせているのが、イスラエルであることさえ気づかないはずだ。
Who keeps shooting and killing starving Palestinians during “aid deliveries”? Who starved them in the first place? pic.twitter.com/IljdDFmuT6
— Assal Rad (@AssalRad) June 4, 2025
見出しはあまりに受動的で漠然とした書き方をしており、まるで援助物資の配布自体が命懸けであるかのようだ。まるで小麦粉の袋がアサルト・ライフルを拾い上げ、食料を求めて列に並ぶ必死のパレスチナ人に向けて発砲しているかのようだ。
副題もいかがわしい。「イスラエル軍、食糧配給所付近で繰り返し発砲。」
うわー? 彼らは食糧配給所「付近」で発砲したんだな? 救援物資配布場所の付近で、彼らがライフルを発砲したのは、上記の救援物資配布がいかに致命的かということと何か関係があるのだろうか? 読者の我々は、この二つの情報を結びつけて考えるよう期待されているのだろうか? それとも、我々は、互いに関連性があるかどうかわからない二つの別データとして捉えるよう意図されているのだろうか?
「警告射撃」に応じなかったため、援助を待つ人々の「付近」にイスラエル国防軍兵士がライフルを発砲したのをイスラエルが認めていると記事自体が明記しているため、ここで起きたことを理解するのにシャーロック・ホームズである必要はない。だが大手メディアでは、見出しは記事を書くジャーナリストでなく編集者が書くために、彼らは見出し以外の部分を読まない大多数の人々に対して、自分のプロパガンダに都合が良いように記事を組み立てられるのだ。
What are you doing @nytimes? What is this shit pic.twitter.com/X42jTdK06i
— Assal Rad (@AssalRad) May 22, 2025
先月ジェニンを訪問しようとしていた外国政府代表団にイスラエル国防軍が「警告射撃」したことについて「欧米外交官たちを解散させるためイスラエル軍が空に向け発砲」という驚くほど巧妙な見出しがニューヨーク・タイムズに載った。
これは欧米諸国全体で激しい非難と非難を招いた事件だが、イスラエル国防軍の行動を可能な限り無害な形で描くためなら、ニューヨーク・タイムズ編集者は、どれだけ苦労を惜しまない」のか考えよう。彼らは空に向けて発砲した。「欧米諸国の外交官を解散させるため」発砲したのだ。まるで外交官がトウモロコシ畑のカラスか何かのように。ああ、そうだ、外交官が集まりすぎたら解散させるため数発撃たないといけないのだ。当然のことに過ぎない。
イスラエルと欧米同盟諸国の犯罪を公然と免罪しなければならない時に、こうした変人連中がど創造力を発揮する様子は驚くべきものだ。イスラエル国防軍が戦争犯罪をすると、人生で一度も芸術を創作したこともない堅苦しいマスメディア編集者連中が突如詩人に変貌し、英語を巧みに操り、重要ニュース報道というより禅の公案のような文章を紡ぎ出すのだ。
こういう連中をいくら軽蔑しても、しすぎることなどあり得ない。
__________________
私の記事は完全に読者の皆様のご協力で成り立っている。もしこの記事を気に入っていただけたら、寄付箱に少しお金を投じられる方法がいくつか、ここにある。メーリングリストや、ソーシャルメディアや、書籍や、グッズや、各記事のオーディオ/ビデオ版へのリンクはこちらをクリックしてください。私の記事は全て、海賊版制作や再出版や翻訳やグッズへの使用など、あらゆる方法で自由にご利用いただける。全ての記事は夫のティム・フォーリーとの共著。
ビットコイン寄付: 1Ac7PCQXoQoLA9Sh8fhAgiU3PHA2EX5Zm2
記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/06/05/zen-and-the-art-of-new-york-times-headline-writing/
----------
日刊IWJガイド
「本日午後7時より『米経済破綻と社会崩壊の危機! 岩上安身によるエコノミスト・田代秀敏氏インタビュー第2弾 前編』を撮りおろし初配信!」2025.6.10号 ■はじめに~<岩上安身によるインタビュー配信!!>本日午後7時より、「貿易政策と安全保障政策の融合!?『トランプ関税』の衝撃波が世界を襲う! 逆に米国には、経済破綻と社会崩壊の危機が迫る!? 岩上安身によるインタビュー第1195回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第2弾 前編」を撮りおろし初配信します! 配信終了後、会員向けIWJサイトのアーカイブにアップします! ぜひ、お見逃しなく!
■6月も3分の1が過ぎようとしています! 6月1日から9日までのご寄付・カンパは、5万1000円で、月間目標額の約1%です! 今期第15期の期末である7月末まで、あと1ヶ月半あまりです! 今期のご寄付の目標額の不足分は、8月から5月までの10ヶ月間で約1863万円にのぼっています! 代表の岩上安身の個人貯金で支えるのは、もはや限界です! 緊急のご寄付、カンパをどうぞよろしくお願いいたします! 会員登録もぜひ、よろしくお願いいたします!
■【中継番組表】
■<速報>米ロサンゼルスで、トランプ政権による不法移民の取り締まりが暴動に発展! トランプ大統領は「合衆国政府の権威に対する反乱」として、連邦法にもとづき、60年ぶりにカリフォルニア州知事やロサンゼルス市長の要請なしに、暴動鎮圧のため州兵を派遣! 9日には米軍が海兵隊派遣も発表! カリフォルニア州は、トランプ大統領による州兵派遣を「違法」と提訴!! トランプ大統領は、カリフォルニア州のニューサム知事(民主党)の逮捕を示唆!! 米国の社会崩壊について、本日午後7時より撮りおろし初配信の「岩上安身による田代秀敏氏インタビュー第2弾 前編」をぜひご視聴ください!
■<シリーズ特集 7月20日参院選! 投票に行こう! 第12回>衆参ダブル選挙になれば、東京24区(八王子市)から衆院選への出馬の意向を示す、ITビジネスアナリストの深田萌絵氏への注目度が急上昇! 裏金と統一教会問題で、萩生田光一・自民党元政調会長に失望した、新たな保守層の受け皿へ! 深田氏の特筆すべき点は、保守的スタンスながら、改憲による緊急事態条項の導入に、明確に反対しているところ!
« ウクライナ - 兵士6,000人の死と、消えた数千人の「拉致」された子どもたち | トップページ | 熊たちの沈黙 »
「アメリカ」カテゴリの記事
- 「規則に従って行動している」かどでイランを爆撃して粉々にするとトランプが警告(2025.06.13)
- トランプとマスクが仲違いした。それが、どうした?(2025.06.12)
- 『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』:ロイ・コーンのマッカーシズムからドナルド・トランプのファシズムまで(2025.06.07)
- 禅とニューヨーク・タイムズ見出し書きの技巧(2025.06.10)
「マスコミ」カテゴリの記事
- 禅とニューヨーク・タイムズ見出し書きの技巧(2025.06.10)
- あなたの心をプロパガンダで操られにくくする方法(2025.05.17)
- 「世界に轟く死を願う」―真実を伝えたためイスラエルに暗殺されたジャーナリスト(2025.04.30)
- アメリカ援助に依存する「独立系」メディアを主流メディアが後押し(2025.02.12)
「イスラエル・パレスチナ」カテゴリの記事
- イスラエル国防軍の残虐行為が激化する中、ガザ地区のインターネットをイスラエルが遮断(2025.06.13)
- スカイ・ニュース、グレタ・トゥーンベリをナチスと中傷しイスラエル国防軍による攻撃を正当化(2025.06.09)
- 禅とニューヨーク・タイムズ見出し書きの技巧(2025.06.10)
- 今やグレタ・トゥーンベリ暗殺を主張するイスラエル支持者連中(2025.06.08)
- イスラエル大使館職員殺害事件に関する考察(2025.05.27)
「Caitlin Johnstone」カテゴリの記事
- イスラエル国防軍の残虐行為が激化する中、ガザ地区のインターネットをイスラエルが遮断(2025.06.13)
- スカイ・ニュース、グレタ・トゥーンベリをナチスと中傷しイスラエル国防軍による攻撃を正当化(2025.06.09)
- 禅とニューヨーク・タイムズ見出し書きの技巧(2025.06.10)
- 今やグレタ・トゥーンベリ暗殺を主張するイスラエル支持者連中(2025.06.08)
- イスラエル大使館職員殺害事件に関する考察(2025.05.27)
« ウクライナ - 兵士6,000人の死と、消えた数千人の「拉致」された子どもたち | トップページ | 熊たちの沈黙 »
コメント