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2025年6月10日 (火)

禅とニューヨーク・タイムズ見出し書きの技巧



イスラエルと欧米同盟諸国の犯罪を公然と免罪する必要がある際に、これら変人が創造的になる様子は驚くべきものだ。

ケイトリン・ジョンストン
2025年6月5日

 この記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 私がこれまで見た中で最も狂った見出しの一つをニューヨーク・タイムズが掲載したばかりだが、これは実際、重要なことを物語っている。

 「ガザでの命懸けの援助物資配布」と見出しは大声で叫んでいる。

 あなたが、記事が残りの部分は読まず、見出しだけざっと読む大多数の一員でおられるなら、イスラエルがここ数日、援助活動拠点で飢えた民間人虐殺し、それについて嘘をついていたのに全く気づかないはずだ。そもそも彼らを飢えさせているのが、イスラエルであることさえ気づかないはずだ。


 見出しはあまりに受動的で漠然とした書き方をしており、まるで援助物資の配布自体が命懸けであるかのようだ。まるで小麦粉の袋がアサルト・ライフルを拾い上げ、食料を求めて列に並ぶ必死のパレスチナ人に向けて発砲しているかのようだ。

 副題もいかがわしい。「イスラエル軍、食糧配給所付近で繰り返し発砲。」

 うわー? 彼らは食糧配給所「付近」で発砲したんだな? 救援物資配布場所の付近で、彼らがライフルを発砲したのは、上記の救援物資配布がいかに致命的かということと何か関係があるのだろうか? 読者の我々は、この二つの情報を結びつけて考えるよう期待されているのだろうか? それとも、我々は、互いに関連性があるかどうかわからない二つの別データとして捉えるよう意図されているのだろうか?

 「警告射撃」に応じなかったため、援助を待つ人々の「付近」にイスラエル国防軍兵士がライフルを発砲したのをイスラエルが認めていると記事自体が明記しているため、ここで起きたことを理解するのにシャーロック・ホームズである必要はない。だが大手メディアでは、見出しは記事を書くジャーナリストでなく編集者が書くために、彼らは見出し以外の部分を読まない大多数の人々に対して、自分のプロパガンダに都合が良いように記事を組み立てられるのだ。


 先月ジェニンを訪問しようとしていた外国政府代表団にイスラエル国防軍が「警告射撃」したことについて「欧米外交官たちを解散させるためイスラエル軍が空に向け発砲」という驚くほど巧妙な見出しがニューヨーク・タイムズに載った。

 これは欧米諸国全体で激しい非難と非難を招いた事件だが、イスラエル国防軍の行動を可能な限り無害な形で描くためなら、ニューヨーク・タイムズ編集者は、どれだけ苦労を惜しまない」のか考えよう。彼らは空に向けて発砲した。「欧米諸国の外交官を解散させるため」発砲したのだ。まるで外交官がトウモロコシ畑のカラスか何かのように。ああ、そうだ、外交官が集まりすぎたら解散させるため数発撃たないといけないのだ。当然のことに過ぎない。

 イスラエルと欧米同盟諸国の犯罪を公然と免罪しなければならない時に、こうした変人連中がど創造力を発揮する様子は驚くべきものだ。イスラエル国防軍が戦争犯罪をすると、人生で一度も芸術を創作したこともない堅苦しいマスメディア編集者連中が突如詩人に変貌し、英語を巧みに操り、重要ニュース報道というより禅の公案のような文章を紡ぎ出すのだ。

 こういう連中をいくら軽蔑しても、しすぎることなどあり得ない。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/06/05/zen-and-the-art-of-new-york-times-headline-writing/

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