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2025年6月 9日 (月)

スカイ・ニュース、グレタ・トゥーンベリをナチスと中傷しイスラエル国防軍による攻撃を正当化



イスラエル国防軍がマドリーン号を急襲する直前、同船には反ユダヤ主義者やハマス支持者が満載なので攻撃されて当然だとスカイ・ニュース司会者ジョナサン・サミュエルズは強く示唆した。

ケイトリン・ジョンストン
2025年6月9日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 イスラエル国防軍(IDF)が、ガザ地区におけるイスラエル封鎖を突破するため物資を積んでいた帆船「マドリーン号」を急襲した。報道によると、乗船していた全員イスラエル軍に拉致され、その中には環境活動家のグレタ・トゥーンベリも含まれている。

 拉致に先立ち、この船の通過を許せば「船団の波」が封鎖に挑むことになるので、この船のガザ地区到着を阻止する決定が下されたとイスラエル高官がイスラエルのチャンネル12ニュースに語った

 これは本稿執筆時点で依然進行中のニュースで、多くの情報が明らかになっていない。だが、ここで一つ指摘しておきたいのは、イスラエル国防軍がマドリーン号を攻撃する直前、同船には反ユダヤ主義者とハマス支持者が多数乗っており、攻撃を受けるのは当然だとスカイニュース司会者ジョナサン・サミュエルズが強く示唆していたことだ。

 マドリーン号の支持を表明したイスラエル人ジャーナリスト、ギデオン・レヴィとのけんか腰のインタビューで、トゥーンベリは反ユダヤ主義で非難されており、同乗者もハマス支持者と非難されているため無実ではないとサミュエルズは異議を唱えた。

 「ガザへのそのような目的を阻止する道徳的権利がイスラエルにはあると確信しているのですか? ジョナサン」とレヴィは尋ねた。「つまり、グレタ・トゥーンベリや彼女の友人のような無辜の人々に対してさえガザを封鎖する、ヘブライ語で言う「フツパ・厚かましさ」は一体どこから来るのですか?」

 「ええ、おそらく彼女は、それほど無実でないという批判もあるかもしれない」とサミュエルズは反論した。「彼女は反ユダヤ的だと非難されている。それに、船内にはハマス支持者と非難されている人もいる。だから、これは非常に危険な状況になる可能性があり、彼らがそれに巻き込まれるのは余りに無知すぎるのではないだろうか?」

 ちなみに、サミュエルズがここで言及している「反ユダヤ的」という非難は、私がこれまでの人生で見てきた中でも最も愚かな反ユダヤ主義の中傷だ。

 2023年10月、トゥーンベリは「ガザを支持する」というプラカードを掲げた写真に登場し、親イスラエル派の激しい反発を招いた。最終的に、写真に小さなタコのぬいぐるみが写っているのを指摘し、タコは反ユダヤ主義の象徴だと主張し、これを反ユダヤ主義的ヘイトクライムと捏造する口実を見つけた人がいたのだ。

 自閉症のトゥーンベリは、その後、写真を削除し「以前の投稿に写っていたぬいぐるみが、私が全く認識していなかった反ユダヤ主義の象徴だと解釈される可能性があると知りました。写真の玩具は自閉症の人々が感情を伝える手段としてよく使う道具です。私たちは当然ながら、いかなる差別にも反対し、あらゆる形態の反ユダヤ主義を非難します。これは譲れないことです。だからこそ、前回の投稿を削除したのです」と述べた。

 そして、このひどくばかげた非難こそ、ジョナサン・サミュエルズがグレタ・トゥーンベリを中傷し、彼女が乗船している船に対するイスラエル軍の攻撃を正当化する根拠になったのだ。

 誤解のないようハッキリ言っておくが、この狂気じみたイスラエル擁護は、支援船に対してイスラエルが行動を起こす前に吐き出されたものだ。イスラエルが、この船を襲撃するのか、海上から爆撃するのか、あるいは乗船者全員射殺するのか我々には分からなかった。イスラエルがこれから行うこと全て、更に他のガザへの支援船の大量虐殺も含め、あらゆることを、サミュエルズは事前に正当化していたのだ。

 欧米世界でイスラエルを公然と批判する人は、文字通り全員反ユダヤ主義やハマス同調者だと非難されてきた。どんな聴衆がいようと、ガザでのイスラエルによる大量虐殺を少しでも批判すれば、そうした非難を受けるのを避けられない。スカイ・ニュースのキャスターが、イスラエルによる攻撃、ひいては殺害の正当化として、そうした非難を持ち出す事実は、イスラエルを批判する人は誰であれ殺害されてしかるべきだと、少なくともジョナサン・サミュエルズの目には映っていることを意味する。

 イスラエル擁護派はマドリーン号攻撃を既に主張しており、マスメディアの広報担当者連中は既に同船乗客は攻撃に値すると中傷している。そして今攻撃が起きたことで、情報生態系は、イスラエル支持者による攻撃に晒され、飢えと包囲に苦しむ民間人に援助を届けようとしている活動家を拉致するのは実際良いことで、当然だと主張している。

 これは、イスラエルが何をしようと、この変人連中が擁護することを示している。彼らがどんな人間なのかも分かる。これまで耳にしたイスラエル擁護の主張は、どれも事実や道徳や論理に基づくものでなく、ジェノサイドを犯すアパルトヘイト国家の情報権益を推進したい欲望だけに基づいている。イスラエル擁護全般について知っておくべきことは全て、この言葉に詰まっている。

 イスラエル支持は真実に基づいていない。倫理や合理性にも基づいていない。彼らは征服と支配が狙いで、殺戮や暴政や窃盗を繰り返し、その行為を言葉で正当化する単なる残虐な連中だ。イスラエルとその擁護者連中は、民族浄化や拡張主義という自らの狙いを推進するため、何が正しく何が真実かなど全く考慮せず、必要な言葉を何でも口にする。

 これは皆ただの雑音だ。そこには実質的内容がないため、イスラエル擁護派の言葉を一言一句、頭の中で翻訳しても意味不明な叫び声のような言葉にしか聞こえない。連中は悪事を働き、その行動に反対する人々を阻止するため、たわ言を連発しているに過ぎない。

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画像はSky Newsのスクリーン・ショット (フェアユース)。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/06/09/sky-news-smears-greta-thunberg-as-a-nazi-to-justify-idf-attack/

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