欧米諸国の支援によるイスラエル犯罪に対する反発が極右勢力を後押し

イスラエルに高価な兵器を送り、批判者を黙らせるのに二大政党が躍起になっているため、アメリカ世論はイスラエルに厳しく反対してつつある。しかもアメリカ世論は、微妙な区別をするのが得意でないことが多い。
ケイトリン・ジョンストン
2025年4月10日
この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。
現在アメリカ人の大多数がイスラエルに対し、否定的見方をしており、回答者の53%が、このシオニスト国家に対し否定的な見解を抱いており、これは僅か三年前の42%から増加していることがピュー研究所の最新調査で判明した。
これは、最近のドナルド・トランプ大統領との会談後、アメリカが公然と戦争準備を進めているイランとの交渉には、同国の民生用核インフラの「リビア式」解体が不可欠だとベンヤミン・ネタニヤフ首相が表明したのと時を同じくする。これは当然ながら、イランにとって全く受け入れがたい条件だ。
また、移民のソーシャルメディア投稿を「反ユダヤ主義的」発言の有無について審査するとトランプ政権の市民権・移民局(CISA)が発表した。これは、もちろん実際はイスラエルとその残虐行為への批判を意味する。これは、イスラエルに対するワシントンの公式見解に反する政治的発言を、アメリカ国民が見聞きするのを阻止するためのトランプ政権の執拗な取り組みの最新の動きに過ぎない。
If you're wondering why the empire is working so frantically to stomp out all speech that is critical of Israel, here's why. https://t.co/2RPUEqm39j
— Caitlin Johnstone (@caitoz) April 9, 2025
このような展開は、欧米諸国における極右の台頭を後押しすると予想される。イスラエルに高価な兵器を送り、批判者を黙らせるのに二大政党が躍起になっているため、イスラエルに対し、アメリカ世論は厳しい批判姿勢を強めている。そして、アメリカ世論は微妙な区別をするのが得意ではない。
「反ユダヤ主義」は急速に自己成就的予言になりつつある。ダビデの星を掲げジェノサイドを遂行する国家の利益を守るため、政府によって言論の自由を奪われるのに欧米人がうんざりするにつれ、彼らの多くはユダヤ人を責めることになるだろう。欧米諸国が中東におけるイスラエルの敵の殺害に手を貸すようになるにつれ、多くの欧米人がユダヤ人を責めるだろう。イランとの戦争の陣太鼓が轟き、我が子がイスラエルのために死に送られるのではないかと親たちが恐れるにつれ、多くの人々がユダヤ人を責めるだろう。
これが良いことだと言っているのではない。非常に悪いことだ。だが、それが現実だ。
イスラエルと、その堕落に対する政府支援に嫌悪感を抱く西洋人が増えるにつれ、極左はシオニズムとユダヤ教の違いや、西洋帝国と、中東における、その権益について国民に語り、一方、極右はそれを全てユダヤ人のせいにするだろう。
どちらの方が、より主張しやすいだろう? どちらがより単純だろう? どちらがより理解しやすいだろう? 自国は本質的に高潔だとプロパガンダで洗脳されてきた国民の認知バイアスに対し、どちらの方が挑発の度合いが低いだろう? 我々が支援する中東での残虐行為に対する西側諸国の責任を強調する視点と、全てを邪悪な宗教的少数派による反体制的操作のせいにする漫画的視点と。
Actually, what fuels antisemitism is murdering children by the thousands under the banner of the Star of David while adamantly insisting that your actions are inseparable from all Jews and the totality of Judaism.
— Caitlin Johnstone (@caitoz) December 26, 2023
イスラエルと欧米同盟諸国の犯罪行為に左派から反対する我々は、極右の主張が広まるのを阻止すため全力を尽くすが、我々が失敗したとしても、我々のせいではない。それは、これまでずっと「反ユダヤ主義」との闘いの名の下、自国民の市民的自由を踏みにじり、中東に爆弾を降らせ、ダビデの星の旗の下、何万人もの子どもの虐殺を支持してきた欧米諸国政府のせいだ。
今後ユダヤ人に対する卑劣なヘイトクライムがいくつか起こるのは確実だ。そうした事件を指して「だからこそイスラエルが必要なのだ!だからこそ我々を守ってくれるユダヤ人国家が必要なのだ!」と言えるので、シオニスト連中は大喜びするだろう。
だがもちろん、これはユダヤ人だけに影響を与えるわけではない。移民や、人種的少数派や、LGBTQの人々や、社会の隅に追いやられている他の共同体は全て、白人至上主義派閥の台頭で被害を受けるだろう。社会における反ユダヤ感情の高まりに乗じて、彼らの人気は高まっている。主流派「MAGA」運動は、これまでどれほど醜悪なものであったにせよ、露骨にヒトラー主義的な派閥が将来大きな権力を握った場合に比べれば、これら集団にとって遙かに危険度は低いだろう。
確かに事態は、この方向に向かいかねないように思われる。特に経済状況がこれほど悪化し、もしイランとの戦争に発展すればなおさらだ。イスラエルを守るために言論の自由を抑圧するのをやめ、イランやイエメンなどの地域に対する欧米諸国の好戦的言論をやめ、イスラエルによるパレスチナ人大量虐殺的行為支援をやめるだけで、こうした事態は容易に回避できるはずだ。
だが我々を非常に暗い方向へ引きずり込むことに支配者連中は固執しているようだ。
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画像はWikimedia Commons/IDFより。
記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/04/10/the-backlash-against-israels-western-backed-crimes-will-fuel-the-far-right/
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Judging Freedom
Prof. John Mearsheimer : Are Russia and China a Threat to the US? 35:24今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トランプ人気下降へ。当然次期民主党候補に注目。ニューサム・加州知事・ウィトマー・ミシガン州知事、・シャピロ・ペンシルバニア州知事・ブティジェッジ元運輸長官 ・プリツカー・イリノイ州知事等既存勢力候補。左派系コルテス下院議員(Xフォロアー1,275.2万人。サンダースと協調)伸びるか。
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