あなたに安全を約束するアメリカにご用心

イアン・プラウド
2025年4月4日
Strategic Culture Foundation
意図は善意ながら見当違いで思慮の足りない介入でアメリカは世界を一層危険にしている。
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ドナルド・トランプは、ウクライナの鉱物資源を略奪し、全ての安全保障を一層しながら、ヨーロッパ防衛費を引き上げ、グリーンランドを占領しようとしている。おそらく世界には違う国際警察官が必要だ。
アメリカとウクライナ間で断続的に行われている鉱物資源取り引きの条件は、合意に至らないたびに、アメリカに有利になるよう厳しくなっているようだ。どうやらトランプ大統領は、ウクライナの鉱物資源のほぼ全ての優先的な採掘を望んでいるだけでなく、未払いのウクライナ戦争債務にも利息を課すのを望んでいるようだ。
ウクライナ戦争支援でアメリカはで3500億ドルの損失を被ったというトランプの主張は、ほとんど虚偽だ。アメリカが代理戦争を支えるため数百億ドルを注ぎ込んだのは確かだが、その資金の多くはアメリカ国内に留まり、米軍の在庫補充やRTXやノースロップ・グラマンなどの大手軍需企業への支払いに充てられている。大手軍需企業は2021年の戦争前と比較して、2024年には2倍のキャッシュフローを記録するとフィナンシャル・タイムズは報じた。アメリカの5大企業は260億ドル、つまり総収入の約半分を稼いでいる。
ウクライナでの壊滅的戦争を終わらせようとするトランプ大統領の努力を私は常に称賛してきた。だが、ウクライナの返済に関する彼の主張は、ウクライナが戦争を始めたという別の誤った仮定に基づいている。
アメリカの二大政党政府は、トランプ政権の最初の任期中も含め、ロシアに対するウクライナの敵対姿勢を積極的に奨励し、実際に資金援助した。イギリスはこの点でアメリカを支持し、EUを従わせた。
最初は、ポロシェンコ、次いでゼレンスキーが、NATOの完全加盟までアメリカと西側同盟諸国が終始彼らを支援してくれると誤解し、その過程で、予想通り、ロシアの軍事対応に直面したことは、二人がどちらも世間知らずで愚かだったことを証明した。
確かに、ウクライナの強力な超国家主義者連中は、特にドンバス地方の権限委譲問題で両大統領の悩みの種だった。だが、ウクライナ西部以外での彼らの全国的影響力を誇張するのは簡単だ。スヴォボダ党は、2012年に最盛期に全国投票の10%強を獲得した。少なくともアメリカの承認を得て欧州が認めたクーデターとヤヌコビッチ追放は、極右に本来より大きな力を与えた。
当時、ロシアとの戦争で、ウクライナは勝てず、NATOも決して戦うことはないと欧米の独立観察者たちは見抜いていた。この核心的真実は、その後の悲劇的な10年間を通じて変わることはなかった。
だから、ウクライナはアメリカに金を返済すべきだと主張するトランプは不誠実だ。また、それは付け足りだ。一歩引いて考えてみれば、アメリカのウクライナ戦争資金援助は、率直に言って2024年に1兆8000億ドルに達した膨大な年間連邦予算赤字と比較して、はした金にすぎない。年間生産高で言えば、ウクライナ全土を9倍以上買える金額だ。
戦争が始まって以来、アメリカが実際にウクライナに投資した総額は、毎年500億ドルというのが、より現実的だ。これは、アメリカが環境保護庁に支払っている額とほぼ同じだ。巨額とは言え、驚天動地というほどではない。
アメリカの財政支出総額は、アメリカは経済生産高で世界第三位の国になる。もしそれで、あなたがびっくりしないのなら、びっくりするべきだ。
ウクライナでの不必要な戦争に何十億ドルもつぎ込むバイデン政権の決定は、地球上最も強力な国が、ノーと言う力のない弱く政治的に脆弱な旧ソ連国家に対して行った政策選択だった。バイデン政権やボリス・ジョンソンなどの連中が彼にした約束を信じたのは、ゼレンスキーが愚かだったということだ。
財政的に言えば、アメリカがウクライナ戦争に浪費した資金は、悪い取り引きとして帳消しにできる。
問題は、もしアメリカに押し込まれた戦争費用を払うためにウクライナが天然資源を略奪されるのを許せば、一体誰がアメリカに自国防衛を任せるだろう、ということだ。
ヨーロッパ防衛も同じだ。最初2%、次に3%、そして時に5%と防衛費を増額するようトランプ大統領は強くヨーロッパ諸国に要求してきた。そうすることによる経済的経費は確実に広範囲にわたる政治的混乱と政治の極左と極右への移行をもたらすだろう。
ドイツ政府が法律を大幅に変更して防衛費の赤字を認めたことで、ヨーロッパ諸国は復活したロシアに対抗するため、歴史的再軍備の準備を整えている。ヨーロッパの防衛費増額に私は神学的に反対しているわけではないが、その資金のほんの一部でも外交に費やしてほしいと思う。
しかし、私は、この優先順位の変更が、ロシアとの関係をひどく損なおうとするアメリカ主導の取り組みにより強制されたもので、ロシアの防衛費が現在の約40%だった2014年以前には存在しなかった軍事的脅威に対するバリケードを築いているのではないかと懸念する。そして、アメリカは我々を守らないと言いながら、それでも我々は防衛費をもっと払うべきだと言うのは、かなりシニカルなところがある。
アメリカが防衛に多額の費用を費やしていること自体が安全を保証するものではない。グリーンランドで見られる通り、それは昔ながらの脅迫と威嚇の手法だ。グリーンランドはどこからも遠く離れており、地理的に自然の敵もいないため、アメリカによる防衛を必要としていないのに、事実上、主権と莫大な天然資源を放棄し、防衛費を払うよう要求されているのだ。
グリーンランドを占領することでアメリカが被る経済的負担はごく僅かなはずだ。デンマークのブロック補助金を遙かに上回る、その地域への未曾有の投資がアメリカは可能なはずだ。トランプがグリーンランドを欲しがっているためだ。
これは、ほとんどの主要諸国が一つの中国の一部として受け入れている島に対するより自然な主張を言い張るように中国が奨励されるかもしれない台湾のような他戦域にとって、これは一体何を意味するのだろう? もし今私が台湾の政治指導者だったら、2024年に合意した80億ドル・パッケージのような更なるアメリカ軍事支援を案じるはずだ。
中国の膨大な軍事力に比べれば、この数字は大海の一滴に過ぎないだけではない。ウクライナのために軍隊を派遣するという印象を一切避けてきたのと同様に、台湾を巡る戦いにアメリカが軍隊を派遣するとは到底思えない。中国が挑発されて自国の主権領土とみなす海上封鎖を開始した場合、善意や道徳的憤りは無意味になる。また、ロシアに対して成功したように、中国に対する世界的な経済、社会、文化封鎖をアメリカが扇動するのはより困難なはずだ。現実主義的な観点からすれば、台湾を巡る緊張の高まりと、その結末は、余りに予測可能すぎるのではないかと私は危惧する。
今のところ、アメリカは意図は善意ながら見当違いで思慮の足りない介入で、どこへ行っても不安定さを生み出し、貪欲さを助長して世界を一層危険にしているように私には思える。おそらく世界には新たな世界警察官が必要なのだ。あるいは単に国家間紛争を仲裁する世界会議の場としての国連に戻るだけで良いのかもしれない。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/04/04/beware-of-americans-offering-to-make-you-safe/
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; The Unz Review
マイケル・ハドソンとリチャード・ウルフ、経済学者二人のトランプ関税批判
Youtube動画だけでなく、彼らの対話の書き起こし文もある。
Trump’s Trade Policies: A Fast Track to Economic Ruin Michael HudsonApril 3, 2025
The Dialogue Works
Dialogue Works イエメンから帰国したぺぺ・エスコバル、アメリカ・イスラエル合同イエメン壊滅空爆作戦を語る。
Yemeni Missiles Hit US Warships! Middle East on Edge! | Pepe Escobar 34:13
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