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2025年3月27日 (木)

「漏洩」は偶然だったのか、それとも戦争を推進するための心理作戦なのか?

2025年3月25日
Moon of Alabama

 トランプ政権高官の内部通信のこの「漏洩」には、いくつか興味深い側面がある。  
ドナルド・トランプ大統領の国家安全保障担当トップ、国防長官らが、今後のイエメン攻撃戦争計画を、安全なメッセージ・アプリのグループ・チャットに文章を送信した。このグループ・チャットには、アトランティック誌編集長も含まれていたと、月曜日にオンラインに掲載した記事で同誌が報じた。国家安全保障会議は、この文章のやり取りは「本物と思われる」と述べた。

 この文章のやり取り内容には「標的や、アメリカが配備する兵器や、攻撃手順に関する情報など、イランが支援するイエメンのフーシ派反政府勢力に対する今後の攻撃の作戦詳細が含まれていた」と編集長ジェフリー・ゴールドバーグが報じた。
 アトランティック誌はアメリカ最悪の雑誌だ編集長の
ジェフリー・ゴールドバーグは、第一次パレスチナ・インティファーダの際、イスラエル国防軍の刑務所警備員に志願するためアイビーリーグ大学を中退した。深刻な囚人虐待の隠蔽に加担していたことを回想録でゴールドバーグは明かしている。
 ゴールドバーグは、彼が嫌いな「アメリカが起こす戦争」をまだ見ていないネオコンだ。彼の報道を信用するのは危険だ。

 彼は下記のように状況を語っている。
 3月11日火曜日、私はマイケル・ウォルツと名乗るユーザーからSignalで接続要求を受け取った。Signalはオープンソースの暗号化メッセージング・サービスで、他のテキスト・メッセージング・サービスでは実現できないプライバシーを求めるジャーナリストや他の人々に人気がある。件のマイケル・ウォルツとはドナルド・トランプ大統領の国家安全保障顧問だと私は考えた。

…  私は、これが実際の国家安全保障顧問で、ウクライナやイラン、あるいは他の重要な問題について話し合いたいのだと期待して、接続要求を受け入れた。

 二日後の木曜日、午後4時28分、私はSignalのチャット・グループに参加するという通知を受け取った。それは「フーシPC小グループ」と呼ばれていた。

...  3月14日金曜日の午前8時5分「マイケル・ウォルツ」はグループにメッセージを送信した。「チーム、大統領の指示に従って、今朝のハイサイド受信箱に結論とタスクの声明が入っているはずだ。」(ハイサイドとは政府用語で機密コンピューターおよび通信システムを指す)

...  この時点で、興味深い政策討論が始まった。「JDヴァンス」というアカウントが午前8時16分に返信した。「チーム、私はミシガン州で経済の催しに参加するため今日は外出している。だが、我々は間違いを犯していると思う。」(ヴァンスは当日、実際ミシガンにいた。)ヴァンスの説明には更に「アメリカ貿易の3%がスエズ運河を経由する。欧州貿易の40%がスエズ運河を経由する。国民がこのことや、なぜそれが必要なのか理解しない現実的なリスクがある。これをする最も強力な理由は、大統領が言った通り、メッセージを送ることだ」と書かれている。
 
議論中に、ジョン・ラトクリフCIA長官、ヘグゼス国防長官、スティーブン・ミラー・ホワイトハウス副首席補佐官が加わる。ヴァンスの抵抗にもかかわらず、イエメンへの爆撃作戦は準備万端だ。

 午前11時44分「ピート・ヘグセス」というアカウントがSignalに「チーム・アップデート」を投稿した。このアップデートやその後の特定文章のは引用しない。そこに含まれていた情報は、アメリカの敵が読んだ場合、特に中央軍の責任地域である中東全域で、米軍や諜報員に危害を加えるために使用された可能性がある。このSignal会話の衝撃的無謀さを示すため私が言いたいのは、ヘグセス投稿に、標的やアメリカが配備する兵器や、攻撃の順序に関する情報などイエメンに対する今後の攻撃作戦詳細が含まれていたことだ。
...
 ヘグセスの長い文章によれば、イエメンで最初の爆発が感じられるのは二時間後の東部時間午後1時45分のはずだという。そこで私はスーパーマーケットの駐車場で車の中で待った。このSignalチャットが本当なら、フーシ派標的はすぐに爆撃されるだろうと私は考えた。1時55分頃、Xをチェックし、イエメンを検索したところ、首都サナアの各地で爆発音が聞こえてきた。

 私はSignalチャンネルに戻った。1:48に「マイケル・ウォルツ」がグループに最新情報を提供していた。この文章も引用はしないが、彼はこの作戦を「素晴らしい仕事」と表現していた。数分後「ジョン・ラトクリフ」は「幸先の良い出だしだ」と書いた。ほどなくして、ウォルツは拳とアメリカ国旗と火の三つの絵文字で返信した。すぐに他のメンバーも加わり「MAR」は「ピートとチーム、よくやった!!」と書き、「スージー・ワイルズ」は「皆、特に戦域と中央軍の皆に称賛を! 本当に素晴らしい。神のご加護がありますように」と文章を送った。「スティーブ・ウィトコフ」は祈る両手と、曲げた上腕二頭筋と、二つのアメリカ国旗という五つの絵文字で返信した。「TG」は「素晴らしい仕事と効果!」と返信した。事後協議には、特定個人の死亡の可能性など、被害評価も含まれていた。フーシ派が運営するイエメン保健省は、攻撃で少なくとも53人死亡したと報じたが、その数は独自には確認されていない。
 参加者の幼稚な行動が、この登場人物が本物であることをほぼ裏付けている。

 しかし、多くの疑問が残る。

 ディック・チェイニー元顧問のマイケル・ウォルツは、一体なぜ、戦争推進派で反トランプ派のジェフリー・ゴールドバーグを連絡リストに加えたのか? ウォルツはゴールドバーグに一体何を漏らすつもりだったのか?

 Signalは暗号化チャット・アプリで、最近までアメリカ政府に資金提供されていた。そのこと自体が、信用できない十分な理由だ。また複数外国組織がSignalを解読しようとしているという報告もある。より安全な通信システムを使える政府高官が一体なぜSignalを使ってチャットするのだろう。

 なぜヴァンスらは、紅海における「航行の自由」がヨーロッパの利益のためであり、ヨーロッパはそれに費用負担すべきだと示唆しているのか。その枠組みは正しくない。

 フーシ派が紅海を封鎖した理由は、シオニストによるガザでの大量虐殺だ。港湾への海上交通が停止したことで最も被害を受けたのはイスラエルだ。紅海封鎖により、アフリカを回る輸送に時間がかかり、コンテナ船が不足したため、アメリカを含む全ての国にとって、コンテナ一個あたりの海上輸送費用が2,000ドルから8,000ドルに上昇した。

 ヨーロッパを厳しく非難し、資金を要求するのは、トランプの全般的政策の一環だ。イスラエルやガザについてほとんど触れない会話の中でこれを「漏洩」するのは、その言い分の強化だ。これが、この「リーク」を疑わしいと私が思う主な理由だ。

 Signal使用と、それによる機密戦争計画の送信は、もちろんいくつかの法律や規則に違反する。

 国家安全保障担当大統領補佐官ウォルツがこの件で処罰されるという噂もある。だが、これによって解雇や他の処分があると私は思わない。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/03/was-this-leak-accidental-or-is-it-pro-war-psyops.html#more

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