ゼレンスキー大統領には強硬な態度を取りつつネタニヤフ首相には武器を送るトランプ

金曜日に我々が目撃したのは、おそらくは、アデルソンがトランプに内々話すのと同じような調子で、トランプがゼレンスキーと公式の場で話す様子だった。
ケイトリン・ジョンストン
2025年3月2日
この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。
譲歩するようハマスに迫り、1月19日に調印された停戦協定条件を変更するため、現在ガザ猛攻撃の「一時的再開」をベンヤミン・ネタニヤフ首相が検討しているとイスラエル・メディアは報じている。
ザ・タイムズ・オブ・イスラエル紙は次のように報じている。
ガザでの人質停戦合意の第二段階に進むための停滞している交渉について、首相が高官級協議を行う中、テロ集団ハマスに更なる譲歩を迫るため、ハマスとの戦闘の一時的再開を「ベンヤミン・ネタニヤフ首相が検討している」と土曜日放映されたイスラエル・テレビ報道で報じられた。
「土曜日夜に正式に期限を迎える合意の第一段階、42日間を延長するというイスラエル提案を拒否し、ハマスは合意を第二段階に進めるよう主張している。イスラエルは過去一か月間、この交渉をほぼ拒否してきた。約2,000人のパレスチナ人捕虜と引き換えに、33人のイスラエル人人質が解放されたが、そのうち8人は死亡していた。ガザ地区で人質にされていた5人のタイ人も別途解放された。」
「停戦は深夜に失効すると見込まれる中、日曜日にネタニヤフ首相とイスラエル・カッツ国防相は他の治安当局者らと会談し、ガザでの戦闘再開可能性と可能な全て戦線見直しに向けた準備について協議する予定だとチャンネル12ニュースが報じた。」
Headlines should not be that ‘Hamas refuses to extend the first phase of the ceasefire’ - they should be that ‘Israel refuses to begin talks on the second phase of the ceasefire’, which would bring a definitive end to the war. Israel has also repeatedly violated the ceasefire.
— Sana Saeed (@SanaSaeed) March 1, 2025
イスラエルの第1段階延長案をハマスが「拒否」したという描き方は、アメリカとイスラエルの広報機関による現在のプロパガンダ方針にすぎない。実際は停戦合意条件では、イスラエルとハマスは今週末に合意の第2段階に進むはずだったが、イスラエル軍の撤退と永続的平和への誓約を伴うことになるとして、イスラエルは、終始、合意第2段階の交渉を拒否している。停戦の第1段階を第2段階に継続するのではなく、「延長」すべきだというこの考えは、アメリカとイスラエルが数日前に推進し始めたに過ぎない全く新しい提案だ。
従って、文書通りの停戦協定を拒否し、新たな合意条件を作成しようとしているのはイスラエルであり、ハマスは合意した停戦条件を主張しているだけなのだ。
だが、ハマスが平和を拒否しているという言い方に今我々は圧倒されている。Axiosのイスラエル諜報工作員バラク・ラビドのツイートは下記の通りだ。
「イスラエルは人質解放と引き換えにガザ停戦を延長するというアメリカ提案に同意したが、ハマスは拒否したとイスラエル首相府は主張している。」トランプ政権がイスラエルに更に多くの兵器を送る中、これが同意ねつ造装置が我々に伝える公式見解だ。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との物議を醸した論争で和平にこだわる厳格な逞しい男を装った直後、議会監視をすり抜け、ネタニヤフ政権に30億ドルの兵器を送るためホワイトハウスは「緊急権限」を行使したばかりだ。
The Zelensky show was nice but doing this on the eve of the possible collapse of the Gaza ceasefire deal is absolutely despicable (article by @KyleAnzalone_) pic.twitter.com/THhdVSLvVz
— Dave DeCamp (@DecampDave) March 1, 2025
読者の皆様も既に耳にしておられるだろうが、ロシアとの和平を妨害したゼレンスキー大統領の役割をトランプ大統領とJ・D・ヴァンス副大統領が公然と厳しく叱責し、更に「第三次世界大戦に賭けている」と非難して国際的注目を集めて以来、欧米諸国政治メディア丸ごと大騒ぎになっている。
聖ゼレンスキーが公衆の面前で辱められたことで民主党は憤慨し、トランプとヴァンスの、この「いじめ」行為を嘆いている。一方、共和党は、トランプがワシントンの好戦的代理人のいかなる非難も受けない、強く英雄的平和推進者である証拠として、この試練全体を称賛している。だがゼレンスキーが公に叱責されたことに関し、最も直接的で明白な点は、大量虐殺を再開する準備をしているベンヤミン・ネタニヤフに対して、この同じ政権が同じエネルギーを注いでいないように見えることだ。
そしてもちろん、そうではない。世界で最も裕福なイスラエル人で超巨額寄付者のミリアム・アデルソンに買収されており、お抱えだとトランプは公式に認めている。一方、JD・ヴァンスは悪意に満ちたシオニスト億万長者ピーター・ティールの弟子だ。金曜日に我々が目撃したのは、公式の場でトランプがゼレンスキーに話しかける様子だった。それは、おそらくアデルソンが内々トランプに話しかける様子と同じだったはずだ。彼がネタニヤフにそのような態度でに話す姿を見るとは決して期待できない。
ウクライナで事態が和平に向かっているのは良いことだが、この戦争は決して永続的なものにするよう意図されていなかった。この戦争は、ロシアの血をできるだけ流して、ロシアの気を逸らすための一時的泥沼に過ぎず、他の場所での戦略目標を推進するためのもので、最近、この帝国によるシリアでの政権転覆作戦成功にそれが表れている。アメリカ帝国の他のあらゆる手先と同様、ゼレンスキーも利用後、廃棄予定だったに過ぎない。帝国戦争装置の歯車は回転し続けている。
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画像はWikimedia Commons/The White House (パブリックドメイン)より。 記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/03/02/trump-sends-netanyahu-weapons-while-talking-tough-to-zelensky/
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The Chris Hedges Report
How the Media Walked us into Autocracy (w/ Ralph Nader) | The Chris Hedges Report 57:28Ralph Nader joins Chris Hedges to chronicle his life's work fighting corporate power, and provides insight as to how the American public can continue fighting it today.
Chris Hedges
Mar 07, 2025
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
1次の数字をお教えください。(1)中国GDPに占める貿易割合、(2)中国の輸出に占める米国の比重、(3)トランプ政権での米国の対中関税率の変化、(4)関税で中国の対米輸出の量的変化の予測 2:中国は2025年5%の経済成長を目的としているが、米国の関税政策がこの成長目的をどの程度鈍化させるか
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