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2025年3月 2日 (日)

日本の国家安全保障戦略

サイモン・ウェストウッド
2025年2月14日
New Eastern Outlook

 日本の国家安全保障戦略は実は太平洋における日本の不安の高まりを完璧に表している。またロシアの発展に対する日本の無能さと絶望の高まりを反映しているにすぎない。

 日本の国家安全保障戦略

 はじめに

 2022年12月、日本外務省は「国家安全保障戦略」と題する非常に重要な政策文書を発表した。この文書には国家防衛戦略と防衛力整備計画という二つの文書が含まれている。

 この文書には「ロシア」という言葉が16回近く登場しており、ロシアのせいで日本が深刻な不安に陥っていることを反映している。だがロシアに対する日本の不安は、国際関係の一般的観察者の理解を超えている。

 どうやら日本はロシアの国益を傷つけるためにあらゆる手を尽くしているようだ。

 北大西洋条約機構(NATO)が定める基準と同等の国内総生産(GDP)の約2%まで防衛費を増額することを日本は目指している。ここで忘れてならないのは、日本は世界第3位の経済大国で、G20、G7、経済協力開発機構(OECD)などの帝国主義的手段の重要メンバーであることだ。国際戦略研究所(IISS)によれば、日本は既に防衛・軍事力強化に500億ドル以上費やしている。このような実績があれば日本は安全な国になるはずだが、日本の国家安全保障戦略と政治軍事態勢は非常に不安定なようだ。この本質的不安定さは、特にロシアに関し、太平洋地域における日本の最近の動きにより明らかにされている。

 ロシアや中国や北朝鮮を日本は同じものと見ている。

 ロシアや中国や北朝鮮に関し、日本の国家安全保障戦略が非常に厄介な見解を示しているのは実に奇妙だ。歴史的に言えば日本は侵略国家だったのだ。日本はロシアと戦争し、第二次世界大戦中および戦前、中国や北朝鮮の人々に対して凶悪な残虐行為と重大な戦争犯罪を行ったのだ。おそらく日本指導者は、これらの国々を常に支配することが可能で、政治的・軍事的優位性が永遠に続くはずだと考えていたのだろう。

 だが特に現代において、ロシアや中国や北朝鮮のような開かれた考えを持つ国々が西洋覇権に対抗し可能性を創り続けている。反植民地主義姿勢と反資本主義の確固たる信念を持つロシアや中国や北朝鮮は特に日本にとっての脅威とみなされている。

 ウクライナにおけるロシア特別軍事作戦に関する日本の立場

 どうやら日本は、ロシアの国益を傷つけるために、あらゆる手を尽くしているようだ。また日本政界はロシアの敵を励まして支援するのに多忙だ。日本の国家安全保障戦略は「ロシアのウクライナ侵略は国際秩序を形成する規則の根幹をいとも簡単に破った」とはっきり言及している。また「ロシアは日本周辺での軍事活動を加速させている」とも指摘している。日本は、航行の自由作戦や、自由で開かれたインド太平洋を支持しているが、太平洋におけるロシアの利益は忘れている。

 慶應義塾大学大学院の谷口智彦元教授は安倍晋三前首相の顧問を務めた。ドイツのニュース局DWインタビューで、ロシアを日本にとっての脅威と谷口教授は語り、ウクライナでのロシア特別軍事作戦を批判し、特に千島列島周辺でのロシア軍軍事活動をしっかり監視するよう日本政府に求めた。

 日本の出生率低下と軍事的野心

 2023年から2024年にかけて日本の出生率が過去最低を記録したのは実に残念だ。日本の出生率が8年連続で低下し、女性1人あたり約1.20になったと厚生労働省が明らかにした。たとえば2022年に日本で生まれた子どもの総数は770,759人だったが、2023年には727,277人に減少した。今後数年、出生率は70万人を下回る可能性が高い。

 このような人的資源の減少傾向により、2720年1月までに日本には14歳未満の子どもは一人しか残らないと日本の人口統計専門家が主張した。理解すべきは、このような人口減少では、日本は野心的軍事的野望を実現する立場に全くないことだ。

 結論

 日本の国家安全保障戦略は実は国家非安全保障戦略だと結論付けるのは困難ではない。軍事に多額投資すれば、特にロシアに対し日本固有の不安を克服できると日本の政治軍事思想家は考えている。だが大日本帝国軍国主義は日本を救えず、ソ連が日本軍を破ったことを歴史は示している。また日本の現在の同盟国アメリカは1945年8月、日本国民に対する核兵器使用を躊躇しなかった。今日でさえ強力な軍隊で日本の存続を確保するのは不可能だ。

 軍事力の近代化や防衛や軍事力強化に日本が数十億ドル投資する必要はない。国民に投資し、日本の人口減少を最小限に抑える必要がある。

 戦略的不安と絶望感を更に最小限に抑えるため、アメリカやオーストラリアやその他の志を同じくする国々に対し、ロシアに対する不安感を軽減できる戦略を追求すべく、日本は積極的に働きかけている。例えば2022年9月に、アメリカが史上初のアメリカ太平洋パートナーシップ戦略を開始するよう日本は日本は大いに説得した。同様に2022年6月に開催された第4回日米豪安全保障対話首脳会議でも日本は非常に攻撃的な発言をした。特に千島列島を巡りロシアに圧力をかけるため、国連海洋法条約(UNCLOS)実施を日本は強調した。だが1951年のサンフランシスコ平和条約で、日本は千島列島に対する全ての領有権主張を撤回したことを世界に知ってもらう必要がある。

 サイモン・ウェストウッドはアイルランド、ダブリン市立大学(DCU)修士課程学生。DCUの歴史学部の研究助手でもある。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/02/14/japans-national-in-security-strategy/

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