« 最も正直な帝国の姿 | トップページ | 日本の国家安全保障戦略 »

2025年3月 2日 (日)

ウクライナでのトランプ大統領の本当の狙いを推測するゲーム

2025年2月28日
Moon of Alabama

 ウクライナ和平に対するドナルド・トランプ大統領の本当の立場に関する推測ゲームは続いている。

 筆者を含め一部の評論家は、トランプがウクライナ問題に熱心になりすぎたために失敗したと考えている。また、裏で和平交渉に取り組みながら、トランプは国民を欺いていると考える人もいる。

 最近のブログ投稿二つは推測ゲームの一部だった。
   最初の記事を要約すると、こうだ。  
トランプが取っていると思われる姿勢のいずれも、つまりウクライナ資源協定を利用して、アメリカ人をウクライナに駐留させて戦争を継続させることも、ウクライナ資源協定を利用して、最終的にウクライナと決別することも、現地の事実の現実的評価と一致しない。少なくともゲームの狙いが和平なら一致しない。

 私の結論は、トランプにはウクライナ和平計画が全くないのだ。
 そして二番目の記事はこうだ。  
鉱物資源採掘というロシアの申し出を受け入れずに、合意を強く求めることで、トランプはウクライナでの戦争継続を決意したのだ。

 それは彼の和平構想の失敗につながるだろう。
 ウクライナ戦争は今やトランプのベトナム戦争になる運命にある。

 Naked CapitalismのYves Smithは、私の最後の見解を支持している。ナポリターノ判事とダグラス・マクレガー大佐の最近の会話を引用して彼女は次のように書いている。  
この部分は私が警告していたことを裏付けているが、ウクライナ鉱物資源取り引きが成立すれば、アメリカがウクライナに関与し支援することになるという点を評論家の多くは受け入れようとしないようだ。

 言い換えれば、もし和平交渉が失敗すれば(より正確には交渉開始さえも失敗すれば)この取り決めには何の価値もなく、トランプにとって大きな恥辱になる。
 その場面でナポリターノ判事はトランプの言葉を引用した。

 トランプ:ゼレンスキー大統領は合意に署名するために来ている。これは素晴らしいことだ。我々はそこに行き、そこで活動し、その土地にいることになるので、ウクライナにとっても素晴らしい合意だ。そうすれば、ある種自動的に安全が確保される。我々がそこにいる間、誰も我が国民に干渉することはないからだ。だから我々はそういう形でそこにいる。だがヨーロッパはそれを非常に注意深く見守るだろう。イギリスとフランスが、いわゆる平和維持軍を地上に派遣したい、自発的に派遣したいと言っているのを知っている。それは良いことだと私は思う。

 ナポリターノ判事もマクレガーもトランプの姿勢を嫌っている。
ナポリターノ: ご存知のとおり、我々は彼を尊敬し、ロシア人との話し合いに応じる彼の姿勢を称賛している。だが、このような発言は、甚だしい無知か、非常に誤った情報に基づくものだ。大佐、あなたの考えを聞かせてください。

マクレガー: いや、それは丁寧な言い方だと私は思う。率直に言って、ウクライナ人ではない人をウクライナに送り込むという考えをトランプ大統領はやめるべきだ。そして、その考えから離れるべきだ。これを聞いて私は本当にがっかりした。大きな誤解があったからだ...
 だが悲観的な解釈を否定する人もいる。

 イギリスのスターマー首相とトランプ大統領の記者会見についてギルバート・ドクトロウは次のようにコメントしている

 オルタナティヴ・メディアのトランプに関する最も聡明で世故に長けた評論家の数人さえ、トランプを過小評価し、公の場での発言に一日ごとに矛盾や矛盾があるのは、彼が構想を成功裏に終わらせられない説得力ある証拠だと見なすことに固執している。これはまさに今日私が「Judging Freedom」のラリー・ウィルカーソン大佐インタビューで見聞きしたことだ。アメリカとイスラエルの関係やロシア・ウクライナ戦争の戦場の状況に関してウィルカーソン大佐の見解を私は大いに尊敬している。
...
 いや、このトランプという男は欺瞞の名人だ。今日のキース・スターマーとの記者会見は、ウクライナのヨーロッパ平和維持軍をアメリカが支援するという漠然とした考えは、厳密に言えば、モスクワと相互に受け入れられる最終解決策をワシントンがまとめて、適切な時期に、ウクライナとヨーロッパに押し付けるまで、ヨーロッパを黙らせておくための戦術であることを示す明確な証拠だった。

 ドクトロウが言及したウィルカーソン発言(@4min)。  
ナポリターノ:[トランプは]ウラジーミル・プーチンの考えを理解していないのですか?

 ウィルカーソン:そうではなさそうです。実際、これは非常に賢明でない発言です。なぜなら彼はまともな取り引きを交渉する能力を自ら損なっているためです。これは単なるたわ言で、彼がそのように話し続ければ、たわ言は益々増えるばかりです。それがドナルド・トランプの問題点です。彼は少なくとも暫定的に問題を解決した後、先に進み、口先で解決した問題を台無しにするのです。そんなやり方で外交するのが私はわかりません。
 ジョン・ミアシャイマー教授はそう思っていない(@14分)。  
この政権を見て、外交政策分野で起きていることを見ると、密室で起きていることと、実際の意思決定過程や公式の場で起きていること区別する必要があると私は思う。

 まず密室で何が起きているのかから始めよう。

 ドナルド・トランプと政権幹部全員、ロシアの要求が何か十分に知っており、トランプや他の人々が合意は成立すると述べた事実は、我々がそれら要求が何かを知っており、それらの要求に応じるつもりであることを意味する。これで話は終わりだ。そして、これには平和維持軍や安全保障などの狂った考えも含まれる。プーチンはそれが受け入れられないことをはっきりと明らかにしており、今やトランプは事実上それを受け入れたのだ。これは密室で行われる私的対話だ。

 そして、公開討論があり、公開討論は、トランプが言いたいことを何でも自由に言えること、毎日のように独り言を言うこと、事実にあまり注意を払わないこと、言葉遣いにあまり注意を払わないことなどから、かなり乱暴で狂ったものになっている。結局、議論でトランプが本当に言いたいのは何なのか、彼は矛盾しているのではないか、などといった議論に陥ってしまう。

 彼が公式の場で何を言うか私は余り注意を払わないようになっている。問題は彼らが内輪で何を言っているかなので、内輪では彼らは言わねばならないことを知っていると私は考えている。既に少なくとも一度、彼らはロシア人にそれを言っており、今詳細を詰める必要があるのだ。
 ドクトロウとミアシャイマーが、イヴ・スミスや私やマクレガーやウィルカーソンより正しいことを私は願う。我々が見聞きする公式芝居は背後にある本物の政策の見せかけに過ぎない。

 だがウィルカーソンと同様に、たとえ本気で言っていなくとも、公式の場で余りに多く話すと、それが現実になってしまうのではないかと私は懸念するのだ。

 だが良い面として、(ヨーロッパ)陣営をトランプがうまくまとめているのがわかる。

 フランスのマクロン大統領とイギリスのスターマー首相は、ウクライナ駐留欧州軍に対するアメリカの支援を得られなかった。好戦的で無能な欧州連合外務上級代表カヤ・カラスはワシントンにやって来たが即無視された。彼女とマルコ・ルビオ国務長官の会談は「スケジュール問題」で頓挫した。(噂によると、最近のミュンヘン安全保障会議でヘグゼス国防長官に「宥和」とカラスは叫んだという。)

 ヨーロッパ諸国は最終的に「トランプ大統領の足元で尻尾を振る」ようになるというプーチン大統領の予想は現実になった。  
「その性格と毅然とした態度から、トランプは、かなり早く秩序を確立するだろう。そして彼ら全員早速、おとなしく尻尾を振って、ご主人の足元に立つのを我々は目にするだろう」と全ロシア国営テレビ・ラジオ放送記者パベル・ザルビン・インタビューで彼は語っていた。
 トランプが持っているだろうどんな計画であれ、彼らは従うだろう。

 ウクライナの平和にとって残された最も困難な障害はゼレンスキー大統領だ。ウクライナを巡る和平交渉で失うものが最も大きいのは彼だ。今日遅くトランプ大統領は彼に、あまり価値のない「鉱物取り引き」に署名させるだろう。だが、それで彼を従わせて支配するのに十分だろうか?

 すると、トランプは次に一体どんな措置を取るつもりだろう? 現状での停戦をロシアは認めず、欧州における分割不可能な安全保障体制という大きな戦略的パッケージを一気に実現することを望んでいる。

 それを実行する意欲と能力がトランプに本当にあるのだろうか?

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/02/the-guessing-game-over-trumps-real-aims-in-ukraine.html

----------

 クリス・ヘッジズ、ジミー・ドーア・ショー出演

 The Chris Hedges Report
The Deep State and Trump — Full Interview w/ Jimmy Dore 1:19:10
I went on The Jimmy Dore Show this week to discuss some of my latest columns on the second Trump administration, and to respond to some takes on Trump's dismantling of the deep state from journalists.

Chris Hedges
Mar 02, 2025

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
XGrokへの問い「問:福島教授の説明が正しいとすると、安倍元首相を殺害した弾は前方から来たことになる。発射場所、銃撃者は誰か、動機は何かについて、何かの推論があるか」→確かに弾が前方から来た可能性が浮上する。これらは仮説に留まり、さらなる証拠や検証が必要。

« 最も正直な帝国の姿 | トップページ | 日本の国家安全保障戦略 »

アメリカ」カテゴリの記事

アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事

ロシア」カテゴリの記事

トランプ大統領」カテゴリの記事

Moon of Alabama」カテゴリの記事

ウクライナ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 最も正直な帝国の姿 | トップページ | 日本の国家安全保障戦略 »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ