発狂したヨーロッパ

ソニア・ファン・デン・エンデ
2025年3月9日
Strategic Culture Foundation
過激化して現実から乖離した欧州エリート連中は、ロシアに対する戦争言説と恐怖をあおる言説を毎日繰り返し国民を恐怖に陥れている。
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ウクライナ問題に関するEUの頑固さは驚くべきもので、現実との大きな乖離を示している。戦争で負けているのに、ヨーロッパはこの事実に気づいていないようだ。敗北を認めるどころか、EU政治家たちは錯乱状態で、紛争の第二段階を企んでいるようだ。アメリカの支援なしでもこの戦争に勝てると彼らは主張しているが、もし失敗したらどうなるのか? その時、彼らは停戦を懇願するのだろうか?
歴史を振り返ってみよう。ドイツ、フランス、ウクライナ、ロシアの間で締結されたミンスク合意1と2(2014-2015年)は、戦闘を停止し、ウクライナ国内のドンバス地域に何らかの自治権を与えることを目的としていた。だが、ロシアとの和解を選挙公約に掲げていたにもかかわらず、ゼレンスキーは別の計画を持っていた。彼はクリミアを奪還し、ドンバスを支配下に置くことを目指し、爆撃作戦を激化させた。2022年1月までにドンバス爆撃は激化し、特にドネツクで多数の民間人の犠牲者を出した。
その後、元イギリス首相ボリス・ジョンソンと(バイデン政権)アメリカがゼレンスキー大統領にロシアと和平を結ばないよう指示していたことが明らかになった。ウクライナがNATO加盟の野望を放棄し、軍事制限を課し、侵略があった場合、欧米諸国の支援を確保することを提案したイスタンブール・コミュニケにつながったトルコでの交渉を思い出す。合意に近づき、双方大幅な譲歩を検討していたが、2022年5月に交渉は突如中断された。平和に興味のない欧米諸国はロシアの敗北を求め、「偽旗」ブチャ事件とされる事件を受けて交渉は頓挫した。
ドナルド・トランプ率いる新政権誕生により、ウクライナとロシア間で持続可能な平和条約を結ぶための取り組みが進められている。停戦だけでなく永続的平和だ。だがウクライナの姿勢が進展を阻んでいる。和平にウクライナやヨーロッパは必要ないとアメリカは主張しているが、もちろんこれはたわ言だ。たとえ(バイデン政権下)アメリカが紛争を扇動したにせよ、解決策はウクライナとロシアから生まれなければならない。平和条約か降伏が不可欠だ。
だが、バイデン前政権より洗脳されたヨーロッパ・エリート連中は譲歩を拒んでいる。これは、ヨーロッパが80年以上もしてきたように、アメリカに魂を売る危険性だ。アメリカが事実上大陸を占領するのを許したことで、ヨーロッパは主体性を失った。今アメリカに見捨てられたヨーロッパは衝撃を受け、必死に自分を再発見しようとしている。
アメリカの影響から自由な強く独立した大陸であると証明することをEUは目指している。だが、この自立の追求は、戦争という危険な道へとヨーロッパを導いている。「ヨーロッパ再軍備」計画は、事実上ロシアに対する宣戦布告だが、ヨーロッパ指導者連中はこれを否定するだろう。
ヨーロッパ・エリート層のせいで何百万人もの命が失われた世界大戦の惨状を彼らは忘れてしまったようだ。当初アメリカは、第二次世界大戦への関与を避けていたが、最終的に介入した。ヨーロッパがロシアを挑発し、アメリカが再びヨーロッパを「解放」せざるを得なくなる歴史が繰り返されるのだろうか。それとも、政治家連中を捕らえている戦争狂からヨーロッパは自らを解放するのだろうか。
第二次世界大戦以来、ヨーロッパがアメリカ占領下にあったのは事実だ。1945年以来、アメリカはあらゆる主要な紛争を引き起こし、ヨーロッパをアフガニスタン、リビア、イラク、シリアの戦争に引きずり込んできた。その結果は今も明らかだ。ほとんどの難民はヨーロッパに渡り、アメリカは中東に火をつけた後、文字通り手を引いたのだ。
現在のヨーロッパに対するアメリカの「説教」は同情や怒りから生まれたものではない。アメリカは破産寸前で、麻薬中毒やホームレスや崩壊しつつあるインフラに取り組んでいる。「アメリカ第一主義」や「アメリカを再び偉大にする」というスローガンは、たとえ帝国主義や植民地主義や、いかがわしい取り引きの復活を意味するにせよ、超大国の地位を取り戻したい願望を反映している。アメリカは自国生存に気をとられているのだ。
少なくとも2022年から、ヨーロッパはロシアとの戦争に国民を準備させてきた。トランプ政権発足以来、欧米メディアは戦争言説で溢れている。政治家連中は今や48時間でなく72時間、緊急計画について語り、差し迫った紛争をほのめかしている。オランダのような裕福な国が戦争経済に移行しつつある。
ヨーロッパの防衛力は紛争に対処できるが官僚主義と費用制約が軍備生産を妨げている。兵士不足が事態を更に複雑にしているが、ヨーロッパ・エリート連中はひるんでいない。だがヨーロッパ人口の相当部分は戦闘を望んでいない。ドイツでは最近の選挙でロシアとの平和を主張する政党「ドイツのための選択肢(AfD)」への幅広い支持が明らかになった。だが選挙は操作されたとされ、ザーラ・ヴァーゲンクネヒトの政党BSW(ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟=理性と公正のために)はソーシャルメディアで悪者扱いされた。新議会がおそらく拒否するだろう防衛費増額を新首相メルツは速やかに承認した。
フランスのマクロン大統領はロシアに対する核兵器使用さえ示唆し、オランダを含む他のEU諸国はロシアが2014年の停戦交渉を妨害したと非難した。オランダ首相は自国の経済的安定よりウクライナを優先し、適切な承認なしに30億ユーロを防衛費に割り当てた。
だが代替メディア情報源は、ヨーロッパ市民はロシアと戦う気がないことを示唆している。主流メディアはこの件について沈黙を守っており、代わりに兵役義務再導入について議論している。ヨーロッパ諸国政府は、表面上はウクライナを守り、ロシアのヨーロッパへの攻撃を阻止するため、ロシアとの戦争に備えることだけに集中しているが、彼らはそれが馬鹿げた考えだと知っている。
ロシアとの戦争に対するヨーロッパ世論に関する信頼できる情報は阻止されたり抑圧されたりすることが多いため、ほとんどない。だがX(旧Twitter)などのソーシャルメディアや代替メディアは特にドイツとオランダで広範な反対があることを示唆している。
イギリスも信頼できるデータは不足しており、反対意見は主に代替メディアやソーシャル・メディアで表明されている。EU寄りメディアは戦争に取り憑かれたバブルの中にいて、ヨーロッパと西側諸国を紛争に備えさせることに固執している。ヨーロッパ政治家の言説は憂慮すべきもので愚かでもある。ヨーロッパが最後にそのような狂気を見せたのは第一次世界大戦前で、男たちは口笛を吹きながら戦争に赴いたが結局何百万人もの命を奪った致命的なゲームに巻き込まれただけだった。歴史は繰り返されるのだろうか? ヨーロッパ人口の多くは高齢化しており、新しい移民が戦闘に召集されるかもしれない。彼らは決して手に入らないかもしれないEUパスポートのため死ぬ覚悟があるのだろうか?
「欧州再軍備」計画承認後、欧州政治家連中は戦争狂騒に陥り、好戦的演説を繰り広げ、クラスター爆弾や地雷に関する条約を破棄した。過激化し現実から乖離した欧州エリート連中は、ロシアに関する戦争言説や恐怖をあおる言動を日々繰り返し、国民を恐怖に陥れている。戦争の現実とロシア打倒の不可能性を彼らは理解していない。世界経済フォーラムに「有望な若手指導者」として育てられたこれら指導者の多くはEU政府に潜入し、買収され、売り飛ばされ、ゲームは終わっており、戦争は解決策ではない事実に気付いていない。
最も危険な人物は(EUの)ウルズラ・フォン・デア・ライエンや(NATOの)マルク・ルッテなどの旧エリート連中だ。彼らは最も過激化しており、止められるず、スキャンダルや脅迫に巻き込まれている可能性が高く、今やEUやヨーロッパの政治指導者連中を脅迫している。彼らの無謀さは、ヨーロッパを再び混乱に陥れる恐れがある。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/03/09/europe-has-gone-mad/
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3.10は東京大空襲があった日。3.11は東日本大震災が起きた日。 クリス・ヘッジズの記事『今度は地球丸ごと道連れ』を思いだす。
Judging Freedom 今回の対談相手は哲学者アレクサンドル・ドゥーギン氏
ナポリターノ氏、ラリー・ジョンソン氏らと共にラブロフ外相に招かれモスクワ訪問中。
ロシア正教が広く浸透している理由や欧米のキリスト教との差違やアメリカやヨーロッパにおけるロシア嫌いの原因を問う。
[ EXCLUSIVE ] - Judge Napolitano w/ Prof. Aleksandr Dugin {Moscow, Russia} - pt.1 20:31Judging Freedom
Larry Johnson : Ukraine without US Intel (Live from Moscow) 21:00トランプに莫大な寄付をして当選を実現させ、自身選挙にもでていないのにDOGEで大量首切りを推進するイーロン・マスク、アメリカのみならず、世界的に不評を買っている。テスラ売り上げは低迷し、株価下落が止まらない?
マスクの横暴に反対する人々がテスラ販売店前でデモをするのに対抗するため警官が並んだりしている。
Anti-Elon Musk protests erupt at Tesla dealerships across US 1:01Wired
Mar 8, 2025
What’s Driving Tesla’s Woes?As Tesla faces a global sales slump, and with shares down for the seventh consecutive week, could Elon Musk's antics really be to blame?
今朝の孫崎享氏のメルマガ題名
トランプ大統領、関税が市場に与える影響の中、景気後退の可能性を否定せず。繁栄の「移行期」移行期は常にある…少し時間がかかる、と説明、2025年第1四半期の経済成長がアトランタ連邦準備銀行マイナス予測、NYニューヨーク連銀は健全と指摘。📉 主要株価指数は下落。🛢️ 原油価格が下落。
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コメント
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キエフの軍勢が民族浄化作戦を始めて、ドンバスやルハンスクの住民の殺害を開始した10年以上前が、本当の戦争の開始時期です。
数年前の特別軍事作戦は、地域住民の救出のため、やむを得ない行動でした。
明らかに、欧米の側が、紛争を起こしているのです。
軍需産業の金儲けのためとか、ライバル政権の不安定化のためとか。
戦争は、受益者のたくさんいる、北米大陸でやってほしいものです。
投稿: ?%# | 2025年3月11日 (火) 17時54分