なぜウォロディミル・ゼレンスキーは傀儡指導者の長い系譜の最新版に過ぎないのか

イアン・プラウド
2025年1月31日
Strategic Culture Foundation
ゼレンスキー大統領が権力の座に居続けられるのは、彼の法外な勝ち目のない戦争を支持する西側諸国の支援があるからに過ぎない。
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特にアメリカとイギリスも第二次世界大戦終結以来、傀儡指導者が権力にしがみつくのを支援する傾向を示してきた。ゼレンスキーは、その長いリストの最新例にすぎない。
過去数世紀にわたり、大国は、より強力なライバル国が足場を築くのを阻止し、他の弱い国々には従順な指導者を据えようと懸命に努力してきた。
ゼレンスキーは必ずしも西側諸国政府によって就任したわけではない。ウクライナを欧米リベラル風装いで再構築するプロジェクトは、既に2014年2月、ヴィクトル・ヤヌコビッチ前大統領の打倒とともに始まっていた。従順なペトロ・ポロシェンコ大統領は、2022年以来ゼレンスキーがそうだったように、西側諸国の首都で温かく迎えられた。2019年の選挙後、イギリス政府内で、政治家として、ゼレンスキーを真剣に受け止めるべきかどうかについて深刻な疑問が浮上した。約束した通りには蔓延する汚職を彼は撲滅しなかった。大統領になった前任者たちより、彼は民主的でもリベラルでもなかった。
2022年2月にウクライナで戦争が始まった時、状況は劇的に変化した。ある評論家が述べた通り、戦争はゼレンスキー大統領の頭上を覆う暗雲を払いのけ「英雄的な戦時大統領で、自由世界の守護者の世界的象徴」という作り出された役割に彼が変身するのを可能にした。確かに、戦争の最初の6か月間、そのイメージはゼレンスキー大統領にとってうまく機能し、今も彼は欧米諸国政治家や主流メディア間で永続的魅力を維持している。
だが時が経つにつれ、ゼレンスキーは弱点を露呈した。大統領選挙が行われるはずだった2024年3月以降、選挙で選ばれておらず、明らかに民主主義志向のリベラル派ではない。
彼の政府は、ソ連崩壊以降の他のウクライナ政府と同様腐敗しているように見える。2023年の世論調査では、調査対象となったウクライナ人の77%が、ゼレンスキーが腐敗の責任者だと考えていることが示された。
彼は1年半前から、ウクライナがロシアとの戦争に勝てないのを知っていた。この認識こそ、広く報道されたインタビューで、このことを指摘した際、人気の高い元軍司令官ヴァレリー・ザルジニー解任のきっかけになったのだ。
だがゼレンスキー大統領は、戦争を継続し、更なる戦闘支援を西側諸国に迫り、戦闘を終わらせるためのロシアとの直接交渉への揺るぎない反対を貫くため全力を尽くしている。
トランプが政権を握った今、ゼレンスキーはここ数日、交渉に関する自身の立場を巧みに修正したり撤回したりしようとしている。だが、多くの公平な外部観察者にとっては、ゼレンスキーの立場の背後にある理由は二つの考え方しかない。
ウクライナが単独では勝てないロシアとの戦いに、最終的にNATOが巻き込まれるかもしれないという頑固な願望。
たとえNATO介入はなくとも欧米諸国は外部援助で彼の政府を支え続けるという信念。
ロシアとの戦いにNATOが直接参加する可能性は一度もなかったことから、ゼレンスキーは、欧米諸国の支援者に見捨てられるまで、権力にしがみつくためなら何でもする、もう一人の傀儡指導者のように見えることになる。
傀儡支配者は儲かる商売だ。あなたの国は、あなたの存在を後援する国々から何十億ドルもの援助を受ける。あなたの言葉は、後援国のジャーナリストが聞きたがり、あなたは自由民主主義の白衣を着たキリストの再来だと信じようと彼らは必死だ。あなたが彼らの国を訪問すると、群衆が集まって拍手喝采し、あなたの素晴らしさに驚嘆して見つめる。あなたは友人なので、敵が批判されるような腐敗や悪い指導力で批判されることはない。主な問題は、あなたが不要になり、時間切れになったら、追放されるか、脇に追いやられるか、投獄されるか、暗殺されるかのいずれかであることだ。
いくつか例を見てみよう。
グエン・バン・チューは、1963年にCIAが支援したクーデターでゴ・ディン・ジエムが打倒された後、南ベトナムで権力の座についた元陸軍将校だ。1967年から1975年、北ベトナムがサイゴンを占領する直前まで大統領を務めたチューの最も注目すべき業績は、とてつもなく腐敗した政府を監督したことだ。1960年代と70年代でさえ、この小国は毎年平均15億ドル、アメリカから受け取っていた。これはGDPの約15%に相当した。その多くはチュー政府の腐敗した役人の懐に入った。だがチューは、アメリカ人が聞きたがっていることを言い、南ベトナムを共産主義の北に対する防壁だと宣伝した。アメリカには、北ベトナムに勝つという国内の政治的意思も、戦場での軍事力もないことが明らかになると、チューは舞台から逃亡して、台北で贅沢な亡命生活を築いた。
アフガニスタンのハーミド・カルザイは、2002年にアフガニスタン大統領に就任して以来、タリバンに敗れるまで、アメリカが押し付けた傀儡指導者の現代的な現れだ。もちろん、アフガニスタンには、近代超大国が傀儡政権を据えてきた歴史があり、これは1986年の無血クーデター後、ソ連がムハンマド・ナジーブッラーを政権に就けた時にも当てはまった。欧米諸国のメディアや政治家からアフガニスタンの救世主として広く称賛されたカルザイは、未曾有のレベルの汚職と腐敗を特徴とする政府を監督した。ワシントン・ポストによると、アフガニスタンは西側諸国から数十億ドルの援助を受けたが、それを使い尽くせず、その結果「資金の約40%が反乱分子や犯罪組織や腐敗したアフガニスタン当局者の手に渡った」という。カルザイ大統領は2014年の選挙で失脚し、今では欧米あやつり人形劇史上、ほとんど忘れ去られた人物になっている。
ミャンマーのアウンサンスーチーは、従来の意味での傀儡支配者ではないが、かつてビルマと呼ばれた国との歴史的植民地関係から、欧米、特にイギリス外交官から称賛される反政府派人物の典型だ。オックスフォード大学で教育を受け、イギリス人(現在は故人)と結婚した彼女は、軍によって直後に鎮圧されたミャンマーの選挙で勝利したことで、1990年にノーベル平和賞を受賞した。1999年に私がイギリス外交官になった際、東南アジア省は彼女こそ同国唯一の真の指導者だとみなし、常に彼女の善い状態に執着していた。何年も自宅軟禁されていたアウンサンスーチーは、ついに2015年の総選挙で圧勝した。彼女は2016年にイギリスを訪問し、キングチャールズ・ストリートのダルバール宮殿の壮大な植民地時代の中庭で彼女を歓迎し崇拝するイギリス外交官の群れに私は加わった。控えめで上品な口調で話す彼女は、ミャンマー西部でイスラム教徒のロヒンギャ族に対する大量虐殺が行われたとされる時期に首相を務め、軍の行動を断固擁護した。現在、彼女は依然強力な軍に捏造された可能性がある汚職容疑で有罪判決を受け、自宅軟禁状態にあり、二度と自由になることはないかもしれない。だが欧米諸国での崇拝は薄れ、彼女がイギリス・メディアに登場することはほとんどない。
80年代と90年代にパキスタン首相を二度務めたハーバード大学とオックスフォード大学卒の美しく魅力的なベーナズィール・ブットーは酷く腐敗していることがイギリス外務省に知られていた。だが彼女は我々の言語を話したため、欧米自由民主主義的価値観の世界的スーパースターとして称賛された。2007年に自爆テロ犯に暗殺され、彼女の実績を巡り長らく消え消えなかった疑問は沈黙させられた。だが汚職疑惑に関し、イギリス外務省が深刻な懸念を抱いていた夫のアースィフ・アリー・ザルダーリーが現在パキスタン大統領だ。
ウォロディミル・ゼレンスキーが権力の座に居続けているのは、勝ち目のない彼の戦争を法外な金で支持する欧米諸国の支援があるからに過ぎないことは今や明らかだ。戦争が終われば、必ず終わるのだが、彼が、追放されるか、脇に追いやられるか、投獄されるか、暗殺される、彼以前の傀儡連中と同じ運命を辿ることを歴史は示唆している。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/01/31/why-zelensky-merely-latest-in-long-line-puppet-leaders/
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スコット・リッター最新記事『ワシーリー・ゴロボロドコの悪夢』
ワシーリー・ゴロボロドコというのはゼレンスキーを大統領にさせた「喜劇映画」彼が主人公の高校教師を演じる『国民の僕』での役柄。
現在「エセ大統領が、しがない亡命者になる」という続編上演中。
Scott Ritter Extra
Vasily Goloborodko’s NightmareScott Ritter
Feb 19, 2025
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