ジェノサイドを推進するために同情を武器にするイスラエルと擁護者連中

イスラエルを批判する人々を迫害する任務を負う欧米諸国の警察でさえ、イスラエルを支持する人全員が常にできるだけ早急に被害者役を演じてしまうのは興味深い。
ケイトリン・ジョンストン
2025年2月23日
この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。
湯名人ダリア・カーツと彼女がガザでのイスラエルの残虐行為を支持しているのを活動家、作家のイヴ・エングラーが批判すると、エングラー発言で「自分の身の安全が不安になった」とカーツが述べた後、イヴ・エングラーはモントリオール警察に捕らえられた。
自分に対する告訴について書いた後、自分の事件に世間の注目を集めて「警察に嫌がらせをした」かどで告訴されたとエングラーは報じた。
イスラエル支持者全員、機会があれば必ず被害者役を演じるのは興味深い。イスラエル批判者を迫害する任務を負う欧米諸国の警察でさえそうだ。この被害者ライブRPG行動の手本をイスラエルは示しており、悪党集団全体が、その例に倣っているのだ。

だが興味深いのは被害者とみなされること自体には何の価値もないことだ。価値があるのは同情だ。イスラエル支持者が求めているのは同情だ。被害者を演じるのは、その狙いを実現する手段にすぎない。You can’t make this up. Initially the Montreal police accused me of harassing an anti-Palestinian media personality because I posted about Israel’s genocide. Now they are charging me for harassing the police for writing about the charges levelled against me.
— Yves Engler (@EnglerYves) February 20, 2025
At 9:30 AM tomorrow… pic.twitter.com/xRajDQfLAX
もし人を操る行動をしがちな性格障害者をご存知なら、彼らが人を操る主要手段の一つが同情心なのにお気付きかも知れない。自分へのできるだけ多くの同情心を引き出すために、彼らは、あらゆる手段を講じる一方、敵とみなす相手に対する人々の同情心を全て潰そうとする。人生で関わる人々の同情心を少しでも支配するために、彼らは心理社会的チェス盤上のほぼ全ての駒を犠牲にするのだ。
彼らがそうするのは共感が言説を支配するための基盤だからだ。誰かに共感すれば、その人が言うことを信じ、起きていることに関する、その人の言説を信頼する可能性がずっと高まる。人に共感がなければ、その人の言うことが何であれ、遙かに懐疑的に見られることになる。
これはまさに社会的動物としての人間に備わっている性質だ。部族外の人々よりも自分の部族に属していると認識している人々に信頼を置くよう進化の過程で我々は条件付けられている。つまり自分の集団内の人々に共感するのだ。そのため、たとえばトランプやMAGA評論家が特定問題に特定の立場を取るとすぐ、これまで抱いたことのない意見をトランプ支持者が表明し始める。彼らは情報源に共感しており、ある問題に関する彼らの立場を支持するのだ。

人々を巧みに操るのが巧みな連中はこれを理解しているので、全員が自分に同情するように、自分の利益と対立する人には同情しないようにするため全力を尽くす。16か月にわたる大量虐殺の残虐行為と民族浄化計画の後でさえ、依然我々が10月7日のことを話しているのはそのためだ。10月7日に殺害され拉致された人々に対するイスラエルへの同情を引き出すために、そしてイスラエルに殺害され拉致された桁違いの人数のパレスチナ人に対する同情を全て踏みにじるために、イスラエルと欧米諸国政府やメディアのイスラエル擁護者は熱心に働いてきた。これによりイスラエル権益に役立つ言説が、この問題に関する欧米諸国の主流合意を支配するようになり、武器やブルドーザーやイスラエルの敵の弱体化や、最終的には、かつてパレスチナ領だった場所での、パレスチナ人からイスラエルのユダヤ人への最終的置き換えなど、具体的な物質的利益をもたらしている。Hello, @EnglerYves. I'm advising you in this one message only that you are harassing me. You're threatening and you're making me afraid for my safety. You must stop this harassment — and communication with me. Stop now. https://t.co/S3nIUjOguk
— dahlia kurtz ✡︎ דליה קורץ (@DahliaKurtz) July 5, 2024
被害者ライブRPG行動が同情を生み、同情が信じられる言説を生み、信じられる言説が具体的物質的利益につながることがおわかりだろう。巧みな操作者全員が、この力学を理解し、自分の生活の中でそれを利用している。唯一違うのは、彼らが使用する特定の言説と、彼らが引き出そうとする物質的利益だ。ある人を操つる者は、同情を利用して女性から性的好意を引き出し、男性から敬意を引き出すかも知れない。別の人を操つる者は、同情を利用して金や資源を引き出すかも知れない。また別の人を操つる者は、同情を利用して、社交界で地位を得るかも知れない。規模も目的も異なっているが力学は同じだ。
通常このことを、普通の人は理解していない。こうした操作は、我々のレーダーの下をかいくぐる傾向があるため、こうした類の操作に我々は非常に影響を受けやすいのだ。普通の人は、操作に長けた人よりも、真実を語り、正しいことをすることに遙かに価値を置いている。人を操る連中より、普通の人は、人間関係を遙かに重視しているためだ。普通の人は、お互いにやりとりし、理解し、つながるために言語を使うが、人を操る連中は、物質的利益を引き出すために言語を使用する。これは社会環境と関わる二つの劇的に異なる方法であり、一部の人々には、もう一方の関わり方の特徴があることに普通の人は全く気づかないことがよくある。そのために普通の人は操る理想的標的になる。
10月7日や、ハマスに拘束されたイスラエル人人質事件で、自分が被害者だとイスラエルが叫ぶ時、我々はそれを目にする。社会における全く作り話の「反ユダヤ主義」危機についてイスラエル支持者が悲鳴を上げる時、我々はそれを目にする。欧米帝国のプロパガンダ機関が、敵を「いわれのない」侵略の邪悪な加害者として描き、帝国は単なる無実の受動的目撃者にすぎないと主張する時、あるいは大量石油埋蔵の上にたまたまいる、あれこれの邪悪な独裁政権の下で暮らす貧しい抑圧された人々への同情を喚き立てようとする時に、我々はそれを目にする。連中は世論の同情を操作して言説を支配し、言説を支配して、自分たちの物質的な思惑を推進しようとしているのだ。
大学キャンパスで、彼のイスラエル批判を黙らせるためにホロコーストという切り札を使おうとした若いイスラエル擁護論者を怒鳴りつけるノーマン・フィンケルシュタインの伝説的ビデオがある。このビデオが広く共有され、多くの人の共感を呼んだ理由の一つは、フィンケルシュタインがたまたまホロコースト生存者ユダヤ人の息子で、それゆえ大きな権威を持って発言できたためだ。だが、もう一つの理由は、イスラエルの国家利益のために同情を操ろうとする試みを非常に巧みに阻止しているためだ。議論の場から同情を取り去り、イスラエル擁護論者最大の武器を彼は奪ったのだ。
イスラエルとその支持者連中は、ほとんどの人々よりも言説の力を良く理解している。だからこそ連中には言説支配に特化したハスバラという特別な名前の慎重に培われた規律があるのだ。ハスバラというのは、イスラエルとその行為に関する肯定的情報を海外に広めるためイスラエルに関する言説を操ることを狙う広報活動だ。
我々の世界の本当の通貨は、お金でも資源でもなく、金でもなく武器でさえない。世界の本当の通貨は言説と、それを支配する能力だ。言説を支配できれば全員を支配できるためだ。
平均的な人間生活は精神的言説に支配されているので、世界について人間が互いに語り合う言説を支配できれば、人間を支配できるのだ。
瞑想をしたことがおありなら、人間の意識が心の雑音に支配されているのをご存知だろう。私たちの心は、物事がどうなっているのか、自分がどうなっているのか、周りの人がどうなっているのか、何が起きているかなど絶えずおしゃべりしているのだ。自分が関心ある特殊権益について、大勢の人が頭の中でこの強力な言説を洪水のように流すのを支配できれば、そうでない人よりも、自分の権益を推進する可能性がずっと高くなる。あなたは多くの本当の権力を得られるのだ。
世の中には山ほど虐待が存在する。それは人を操る連中がこの力学を理解しているのに普通の人々がそれを理解していないためだ。我々が気づかないうちに我々の共感の糸は絶えず揺さぶられ、それにより権力者の権益を推進する信念体系に我々は追い込まれる。
だからこそ、どこで共感が武器化されようと、同情を控えることが極めて重要だ。誰かが武器を使って人を傷つけていたら、最初にすべきことは、彼らから武器を取り上げることだ。10月7日の犠牲者や西洋社会の偽「反ユダヤ主義」緊急事態について、イスラエル擁護者が、あなたの心の琴線に触れようとする時、あなたは彼らに譲歩してはならない。あなたがその方向に向ける同情は、あなたに何もしていない中東の人々を殺害し虐待する武器として使われるからだ。
ガザでの大量虐殺を再燃させるため、イスラエルの子どもの死を利用して、イスラエルと擁護者連中が世間の同情を煽ろうとする時には、これを心に留めておくべきだ。
言説を支配する者は世界を支配し、共感を支配する者は言説を支配する。人を操る連中に人々を支配する力を与えてはいけない。
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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/02/23/israel-and-its-apologists-weaponize-sympathy-in-order-to-facilitate-genocide/
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