ルビオと中国と長期戦
リカルド・ヌーノ・コスタ
2025年1月19日
New Eastern Outlook
マルコ・ルビオは今やいくらでも文句を言えるが、本格的に多極化した世界に加わる以外に選択肢はない。
ルビオと中国と長期戦
最近までトランプを「詐欺師」と呼んでいた頑固な「ネバー・トランプ」派だったが、来週からトランプのアメリカ国務長官になるマルコ・ルビオは、最近、世界経済と貿易の現状について不満を述べた。「今の道を進み続けると、10年も経たないうちに、我々の生活で大切なことのほとんど全て、中国がそれを許すかどうかに依存するだろう。服用する血圧薬から、観る映画まで、その間にある全てのもので、我々は中国に頼ることになる」とルビオは語った。
一般的に、中国は遙かに洗練された賢明な方法で相手の正当な利益を配慮できた。
今や、中国の優位というシナリオが実現しないよう緊急に「方向転換」することを彼は提案している。
古臭い反共産主義で知られる、このキューバ系アメリカ人上院議員は、既に二年前、ブラジルが中国とドルでなく各々の通貨で二国間貿易を行うことで合意した事実に不安を抱いていた。
アメリカ支配階級の統合失調症を、ルビオは反映している。最近まで、中国がやっていること全てを「社会主義は機能しない」と軽蔑していたのは、同じ「最小国家」擁護者連中だった。最も傲慢な連中は、50年間で8億人を貧困から中国が救い出したことを認めようともしなかった。これは世界人口の10%に相当する。また、2020年以降、世界が不況に陥らなかったのは中国経済のおかげだということも認めようとしない。実際、中国は2008年の金融危機後、既に不況に陥っていた世界経済の原動力となっている。
2001年に欧米諸国がアジアの大国、中国をWTOに加盟させた際、資本主義の論理により中国の力が弱まり、計画経済と中国共産党(中国文明党と呼ぶ人もいる)の中央集権的計画に代わり、市場の見えざる手が台頭すると欧米諸国が考えたのは間違いだった。この国が10億人を超える人口と5000年の歴史を持ち、欧米諸国の干渉によって受けた屈辱の記憶が今も生きている事実は、あまり重要でない細部とみなされた。
ラッシュ・ドーシの『The Long Game』(中国の大戦略 覇権奪取へのロング・ゲーム)(2022年)を読むようお勧めするが、著者が伝えたい考えのためではなく、むしろ逆だ。これは、アメリカと「民主主義と自由主義の価値観」により、世界は支配されるべきだという倒錯した前提に基づく不誠実な本だ。ルビオと同様限定的な考え方で、過去30年間に起きた世界的構造変化を否定しているように見える著者は、直接の影響圏であるアジアでの中国の優位性さえ認めていない。アメリカが世界中に約800の軍事基地と、世界貿易を麻痺させて中国を窒息させるため無数の要衝を持っているのをドーシは当然と考えているが、中国が海外に軍事基地を1つ(ジブチ)しか持っていないことや、二国間または多国間を問わず、世界経済貿易構想を一切持っていないことを嫌悪している。それらは全て「漠然として」「不透明」だが、その理由は説明されていない。
興味深いのは、著者が中国を非難する商業的拡大は、アメリカが何十年も行ってきたこととそれ以上でもそれ以下でもないことだ。違いは、中国は一般的に相手の正当な利益を遙かに洗練された知的な形で配慮でき、アメリカと異なり、民間人を爆撃したり、軍事的に従属させたり、例えば経済や通貨の計画に従わせたりすることはおろか、一発の銃弾も発射せずに、相手との高レベルの相関関係を実現している点だ。
ブルッキングス研究所や他のいくつかのシンクタンク専門家ドーシは、中国の台頭は不可避と考えているが、アメリカは中国の進出を遅らせ、アジア支配を阻止できると考えている。わずかに異なる考えを持つ様々な著者を引用しながら、彼は漠然とした概念を主張し、中国が自国の価値観に基づいた世界を築きたいと考えている証拠をほとんど示していない。この本は、引用されている豊富な事例と歴史的、文献的参照の点で価値があるが、誤った原則から出発しているという欠点がある。
マルコ・ルビオの指針となるべきドーシの最大矛盾は、一方で自由主義の理論的長所を称賛しながら、結局、アメリカと中国の現在の利害対立解決策として、過去数十年間に中国が世界の国々に対して行ってきたことの模倣を提案している点だ。つまり基本的な国家の存在や計画やインフラや外交や多国間主義、つまりアメリカが世界最大の経済大国だった時にやりたくなかったこと全てだ。今マルコ・ルビオは、いくらでも文句を言える。本格的に多極化した世界に加わる以外、彼に選択肢はない。
リカルド・ヌーノ・コスタは地政学専門家、作家、コラムニスト、geopol.pt編集長
記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/01/19/rubio-china-and-the-long-game/
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Danny Haiphong マルクス経済学者の分析に、好意的コメントだらけ。
2025年1月19日
New Eastern Outlook
マルコ・ルビオは今やいくらでも文句を言えるが、本格的に多極化した世界に加わる以外に選択肢はない。
ルビオと中国と長期戦
最近までトランプを「詐欺師」と呼んでいた頑固な「ネバー・トランプ」派だったが、来週からトランプのアメリカ国務長官になるマルコ・ルビオは、最近、世界経済と貿易の現状について不満を述べた。「今の道を進み続けると、10年も経たないうちに、我々の生活で大切なことのほとんど全て、中国がそれを許すかどうかに依存するだろう。服用する血圧薬から、観る映画まで、その間にある全てのもので、我々は中国に頼ることになる」とルビオは語った。
一般的に、中国は遙かに洗練された賢明な方法で相手の正当な利益を配慮できた。
今や、中国の優位というシナリオが実現しないよう緊急に「方向転換」することを彼は提案している。
古臭い反共産主義で知られる、このキューバ系アメリカ人上院議員は、既に二年前、ブラジルが中国とドルでなく各々の通貨で二国間貿易を行うことで合意した事実に不安を抱いていた。
「アメリカから完全に独立した第二の経済を彼らは世界に生み出している」と彼は劇的不満を述べ、次のように付け加えた。この「リベラル」ドラマに注目願いたい。
「5年後には制裁について話し合う必要はないだろう。ドル以外の通貨で取り引きする国があまりに多くなり、制裁を課す能力がなくなるためだ。」
アメリカ支配階級の統合失調症を、ルビオは反映している。最近まで、中国がやっていること全てを「社会主義は機能しない」と軽蔑していたのは、同じ「最小国家」擁護者連中だった。最も傲慢な連中は、50年間で8億人を貧困から中国が救い出したことを認めようともしなかった。これは世界人口の10%に相当する。また、2020年以降、世界が不況に陥らなかったのは中国経済のおかげだということも認めようとしない。実際、中国は2008年の金融危機後、既に不況に陥っていた世界経済の原動力となっている。
2001年に欧米諸国がアジアの大国、中国をWTOに加盟させた際、資本主義の論理により中国の力が弱まり、計画経済と中国共産党(中国文明党と呼ぶ人もいる)の中央集権的計画に代わり、市場の見えざる手が台頭すると欧米諸国が考えたのは間違いだった。この国が10億人を超える人口と5000年の歴史を持ち、欧米諸国の干渉によって受けた屈辱の記憶が今も生きている事実は、あまり重要でない細部とみなされた。
ラッシュ・ドーシの『The Long Game』(中国の大戦略 覇権奪取へのロング・ゲーム)(2022年)を読むようお勧めするが、著者が伝えたい考えのためではなく、むしろ逆だ。これは、アメリカと「民主主義と自由主義の価値観」により、世界は支配されるべきだという倒錯した前提に基づく不誠実な本だ。ルビオと同様限定的な考え方で、過去30年間に起きた世界的構造変化を否定しているように見える著者は、直接の影響圏であるアジアでの中国の優位性さえ認めていない。アメリカが世界中に約800の軍事基地と、世界貿易を麻痺させて中国を窒息させるため無数の要衝を持っているのをドーシは当然と考えているが、中国が海外に軍事基地を1つ(ジブチ)しか持っていないことや、二国間または多国間を問わず、世界経済貿易構想を一切持っていないことを嫌悪している。それらは全て「漠然として」「不透明」だが、その理由は説明されていない。
興味深いのは、著者が中国を非難する商業的拡大は、アメリカが何十年も行ってきたこととそれ以上でもそれ以下でもないことだ。違いは、中国は一般的に相手の正当な利益を遙かに洗練された知的な形で配慮でき、アメリカと異なり、民間人を爆撃したり、軍事的に従属させたり、例えば経済や通貨の計画に従わせたりすることはおろか、一発の銃弾も発射せずに、相手との高レベルの相関関係を実現している点だ。
ブルッキングス研究所や他のいくつかのシンクタンク専門家ドーシは、中国の台頭は不可避と考えているが、アメリカは中国の進出を遅らせ、アジア支配を阻止できると考えている。わずかに異なる考えを持つ様々な著者を引用しながら、彼は漠然とした概念を主張し、中国が自国の価値観に基づいた世界を築きたいと考えている証拠をほとんど示していない。この本は、引用されている豊富な事例と歴史的、文献的参照の点で価値があるが、誤った原則から出発しているという欠点がある。
マルコ・ルビオの指針となるべきドーシの最大矛盾は、一方で自由主義の理論的長所を称賛しながら、結局、アメリカと中国の現在の利害対立解決策として、過去数十年間に中国が世界の国々に対して行ってきたことの模倣を提案している点だ。つまり基本的な国家の存在や計画やインフラや外交や多国間主義、つまりアメリカが世界最大の経済大国だった時にやりたくなかったこと全てだ。今マルコ・ルビオは、いくらでも文句を言える。本格的に多極化した世界に加わる以外、彼に選択肢はない。
リカルド・ヌーノ・コスタは地政学専門家、作家、コラムニスト、geopol.pt編集長
記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/01/19/rubio-china-and-the-long-game/
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Danny Haiphong マルクス経済学者の分析に、好意的コメントだらけ。
Richard Wolff: The END of the US Empire, Trump’s Denial & the Rise of BRICS 1:04:13今朝の孫崎享氏メルマガ題名
AP:「AP通信: 中国はルビオに、ベールに包まれた警告で行儀よくするよう指示(注、かつてルビオは新疆ウイグル問題で中国非難、入国禁止を受けている)、読売新聞「対中強硬派のルビオ氏「米国民第一の米中関係を追求」、王毅氏「正当な発展の権利は守る」 台湾問題で見解対立
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