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2025年1月29日 (水)

偉大なアメリカの見世物



ロレンツォ・マリア・パチーニ
2025年1月25日
Strategic Culture Foundation

 2025年1月20日の政治儀式は完遂された。今冒険が始まる。

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 2025年1月20日の政治儀式は完遂された。今や冒険が始まる。
 
できる人と、できない人がいるのだ

 我々は成し遂げたのだ。世界は再びアメリカ大統領就任式を迎えた。我々全員まだ生きており、式典は完璧に遂行され、国民は12時間の栄光を享受した。古代ラテン人が教えている通り、パンとサーカス(panem et circenses)は決して失敗しない。

 トランプ大統領就任式には、必要で有用な人々のみが招待され、厳密に必要でない人々は除外された。最新ハイテク・エリート連中がいた。彼らはアメリカの自由資本主義を、はやりで華やかで、何より大衆的新レベルに引き上げて刷新し、少なくとも二世代の文化を作り変えた人々だ。アメリカ大企業やそれ以降の大物連中や、最も抑制のきかない大物連中がいた。彼らは、浜辺でヨットに快適に座り、AIで解雇した従業員に飢え死にするしかない給料を払い、自分を「慈善家」と呼ぶのに何の問題も感じない連中だ。実に奇妙な宗教(またはそれに類するものの)教祖連中がいた。彼らは最も裕福な政治家に熱心に投票し直したが、退任するジョー・バイデンと就任するドナルド・トランプ両方から献身的支持を受けた唯一のラビを除いて。そこには権力者の横に立つことで偉大で重要とみなされる女性連中が行進し報道陣に笑顔を向けていた。見逃せない海外客もいた。

 丸一日かけて行われる儀式。アメリカ人を洗脳するのに四年かかるのとほぼ同じ長さだ。

 式典に人々を招待する理由、あるいは逆に招待しない理由を皆が理解しようと努めている。そして実際、奇妙な出席者と、更に重要な欠席者がいた。ゼレンスキーは出席しなかった。彼は自分は出席しないと決めたというが、ウクライナでの戦争作戦の力の弱体化に関するトランプの度重なる発言に対処しなければならないだろう。ドイツのショルツ首相も欠席した。とにかく大使は出席しているので就任式に招待されないのは普通だと思うと彼は述べた。イギリス王室は出席しなかったが、これは我々がすぐ想起しなければならない兆候だ。

 だが同時に、大西洋評議会がイーロン・マスクから直接授与した今年の女性に選ばれたジョルジア・メローニ首相のような人々もいた。彼女は、米国に新たな戦争経済を保証し、軍事費をGDPの2%に引き上げ、ウクライナ戦線に資金と武器を保証し、間もなく塹壕で虐殺される兵士たちを保証する責任を負っている。彼女は、中東やアフリカからの貿易のために地中海へのアクセスを確保する責任を負っているほか、南の大陸におけるロシアと中国の拡大を軍事的に制御する責任も負っている。彼女はまた、ジョルジオ・アルミランテ以降の前任者たちが彼女に教えた通り、ワシントンに奉仕する用意ができており、ヨーロッパの政治的再構築の保証人となる人物でもある。仕事をうまくこなせば、彼女は今の地位にとどまるだろう。何か問題が起きれば、彼女の椅子は飛び上がるだろう。

 狂気のアルゼンチン大統領ハビエル・ミレイもいた。彼は卑劣な税制や労働政策やシオニスト闘争の両面でトランプと同調しているのは確実だ。ミレイは南米におけるアメリカの拡張主義の狙いにとって、おそらくルーラより重要だ。一方、ルーラは、アメリカ人の好みからすると、あまりに強打者だ。

 そこには中国人もいた。トランプ大統領は好きではないが、商売では問題なく、ドルが生き残るためには欠かせない中国からは韓正国家副主席も出席していた。

 象徴的なのは、TikTokのCEO周受資(ショウ・ジ・チュウ)も出席していたことだ。なぜなら、特に各国の選挙が迫っている時、アメリカは情報戦ゲームをどう利用するか知っているためだ。

 Facebook、Amazon、Netflix、GoogleといったFANGの支配者連中は世界を支配し操作する無限の富を持ち、大統領就任とともに企業方針を変更する準備ができている。

 過程全体の論理は単純だ。アメリカに必要かつ役立つ人物だけ招待されたのだ。
 
象徴と儀式

 式典の見どころは、ワシントンDCの国会議事堂前で大勢の観客の前で行われる大統領宣誓だ。宣誓は伝統的にアメリカ最高裁判所長官が行うが、必要に応じて別の判事が行うこともある。文面は単純だ。「私はアメリカ大統領の職務を忠実に遂行し、全力を尽くしてアメリカ憲法を保全、保護、擁護することを厳粛に誓います (または、断言します)。」

 この瞬間で重要なのは、誠実さ、高潔さ、献身を象徴している就任宣誓の際に挙げる右手だ。挙手は多くの文化で「宣誓」という概念を想起させる伝統で、誠実に職務を遂行する誓いを象徴している。通常、大統領は聖書に手を置いて宣誓するが、憲法は聖書使用を明示的に要求していない。これは、国の歴史的、文化的伝統を反映した行為だが、宗教との強制的つながりを意味するものではない。

 今回、妻メラニアが持っていた二冊の聖書には手を出さないとトランプは決めていた。それは、あたかも聖書の権威を「認めない」と言っているかのようで、自分の望みを叶えるためなら、神の法を破ってでも何でもする覚悟がありそうだ。

 厳粛な儀式後、新大統領は就任演説を行い、政策の優先事項を述べ、国家の団結と希望のメッセージを伝える。この演説は大統領任期の構想と方向性を定める重要な瞬間だ。

 これに続いて伝統的にペンシルベニア通りでパレードが行われ、楽団やファンファーレが新指導者を祝う中、大統領はホワイトハウスから国会議事堂まで首都を移動する。

 この壮大な典礼は、良くも悪くもアメリカ合衆国がどのような国かを細部にわたり表現している。

 大いに注目をさらったのは、いわゆる「パーティーの本当の顔」イーロン・マスクだった。これは予想通りだった。言葉は少ないが実に的確。身振りは少ないが実に意味深長。ディープステート初代公職の主は、まさにスターのように登場した。こうした芝居がかった登場に、おそらく慣れる必要があるだろう。なぜなら、こうした登場は、特に最後の世代の人たちにとって、国際的観衆に大きな影響を与えるからだ。
 
明晰な言葉

 トランプ演説は、まさにMAGAスタイルに則った非常に明確な政治行動だった。

 演説は、アメリカの将来に対する楽観と自信の宣言で始まり、アメリカが新たな「黄金時代」に突入しようとしていること、アメリカを第一に考える政府の下で国民が繁栄し、新たな繁栄と世界的尊敬を得ることが約束されていると告げた。

 トランプ大統領は、国民から資源を奪い、犯罪者の入国を許し、国内国境より外国国境防衛を優先する腐敗した政府や、管理されない自然災害に見られるように国民を保護できていないことなど、アメリカ全土が抱える継続的課題を認めた。もちろん、医療制度や教育制度の破綻という古典的主題も見逃していない。

 ここでトランプは、腐敗を打倒し、国民に自由と繁栄を取り戻したいという国民の信任を得て、制御不能な移民、政府支出、エネルギー部門の有害な慣行などの政策を終わらせ、国境の強化、外国人犯罪者の排除、軍隊の強化などの措置を導入し、「常識革命」に沿ってアメリカの信頼と偉大さを回復すると言った。

 グリーン・ニューディール政策を廃止し、検閲を廃止し、汚職を廃止し、能力主義軽度を推進し、民族や性別による差別政策を終わらせ、生物学的な二つの性だけの立場を再確認し、更に、ワクチン接種政策に関連した理由で除隊させられた軍人を復帰させる。

 もちろん、ここ数週間で既に予告されていた帝国主義的植民地主義の新たな勢い(パナマ、グリーンランド、カナダなど)の世界再征服の派手で大げさな突進も見逃せない。宇宙にまで進出し、火星の植民地化を示唆している。全く気軽な言説でもなく、全く取るに足らない言説でもない。純粋なテレビ番組の大言壮語のように聞こえるかも知れないが、実際は、平均的なアメリカ人の考え方を麻痺させ、常に海外に良い印象を与え、今でも魅力的で独特の魅力を持つ「おもちゃの国」という考えを提示しているのだ。

 象徴的なのは、YMCAのビートに合わせてヴィレッジ・ピープルと彼が踊る場面、つまり、同性愛を象徴する1968年の歌に合わせて、自分の金とシオニストの寵愛のおかげで政治的出世を果たしたアメリカ人戦争狂億万長者が、アメリカ・インディアンの衣装を着た男と踊る場面だ。彼らの土地に侵入した連中に虐殺され、土地を収用され、伝統を一掃され、最後に残った人々が数エーカーの居留地に押し込められた、おかしな姿の人物の祖先を連想する。

 否定しようがない、まさにアメリカの繰り返しだ! この点、トランプに敬意を表さなければならない。とうとう、この国は、これまで常にしようとしてきたこと、世界征服の道を再び歩み始める。

 偉大さを取り戻すためにアメリカが強い団結と大志で立ち上がるという数々の約束。要する「アメリカン・ドリーム」だ。

 これは素晴らしいアメリカの見世物だ、皆様。

 皆様、良い夜をお過ごしください。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/01/25/the-great-american-show/

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 インドのニュース番組Firstpostの下記Youtube冒頭にも彼のダンス場面がある。
Trump's Pre-inauguration Dance Show | Vantage with Palki Sharma | N18G 3:23
 Judging Freedom トランプはプーチンを見事に恫喝できるのか
Scott Ritter : Can Trump Successfully Threaten Putin? 28:29
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