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2025年1月11日 (土)

ウクライナで起きていることに関する欧米主流議論の消滅



イアン・プラウド
2025年1月8日
Strategic Culture Foundation

 ウクライナ国防省の数字は福音書より真実だと欧米諸国の政府関係者やジャーナリストは考えている。

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 ウクライナに関する議論が、主流欧米メディアでは大量に抹消されている。グーグルも役割を演じており、欧米諸国では、起きていることに関する本当に独立した報道を検索して見つけるのが非常に困難になっている。ウクライナ人死傷者数やウクライナ超国家主義や大統領選挙やウクライナ経済状況などの主要問題を検索すると、通常コンピューターはノーと答える。

 欧米諸国国民から独立した情報と分析が積極的に隠蔽されている分野を見よう。
 
ウクライナ人死傷者数

 大半の説明で、100万人以上が死亡したり負傷したりしている戦争において、どちら側が最も被害を受けているかという問題は、学問的な問題に思えるかもしれない。なぜ殺戮を止められないのかというのが私の第一の疑問だ。

 だがロシア人犠牲者はウクライナ人より遙かに多いと欧米メディアはしばしば報じる。これは、ウクライナが戦場では負けているとしても、まだ戦争に勝つ可能性があるという主張を維持するためだ。これは全く間違いだ。

 欧米諸国のジャーナリストがいつも使う数字は、ロシア軍兵士が毎日前線で1,500人亡くなっているというものだ。この数字には根拠はなく、11月初旬のウクライナ軍情報部報告書から抜粋されたものだ。紛争では必然的に、双方が自分の利益のために相手側死傷者数を誇張すると認識しているにもかかわらず、ウクライナ国防省の数字を福音書より真実だと欧米諸国当局者やジャーナリストは考えている。

 ウクライナ側がほとんど認めないのは、これまでのウクライナ軍死傷者の衝撃的な人数だ。2004年12月、この件に関する珍しい発表で、ウクライナ軍兵士が4万3000人死亡したとゼレンスキーは示唆した。まじめな評論家で、その数字を信じる人はいない。70万人以上のウクライナ軍死傷者という推計を私は見たことがある。報道されている2024年中のロシア側とウクライナ側間での6回の死体交換を見ると、ウクライナに返還された死体(1611体)はロシア(273体)の6倍だった。これはロシアが前進し、ウクライナが後退しているため、ウクライナが6倍の死者を出したというわけではない。だがロシア人死傷率がウクライナより高いと本気で信じているまじめな専門家はほとんどおらず、むしろ逆だ。

 だが、ウクライナ人犠牲者について欧米メディアが語っていることは、ウクライナが戦場で負けており、ロシアより多く犠牲者を出し、早急に和平を求める必要があるという多くの現実主義者の評価を再確認することとなるだろう。

 「ロシアの方が苦しんでいる」という物語は、勝てない戦いを戦い続け、欧米諸国から更に数十億ドル支援を得ようとする果てしないゼレンスキーの追求を後押しするための単なる宣伝手段にすぎない。
 
ウクライナ超国家主義

 ウクライナ人のほとんどがナチスだなどと私は決して思っていないが、ナチスに同調する団体がウクライナ国家政策に不釣り合いな影響力を持っていることを示す証拠は山ほどある。これについて欧米メディアはほとんど報しない。

 たとえば、ナチス協力者ステパン・バンデラ誕生日を記念して最近リヴィウで行われた超国家主義者の松明行進は欧米諸国では全く報道されなかった。ユダヤの7本枝燭台メノラ像破壊も同様だ。キーウにおける意思決定の中核に極めて不快な超国家主義者がいるという示唆は、全てロシア寄りプロパガンダとして片付けられてしまうのだ。

 かつてはこうではなかった。ポーランドとウクライナが開催した2012年サッカー欧州選手権に向けて準備を進める中、ポーランドとウクライナのサッカーファン間で反ユダヤ主義の危険性があるとイギリス・メディアは広く報じた。2012年に西ウクライナの極右極右政党が最高会議で議席を獲得した際、スヴォボダの反ユダヤ主義と人種差別的傾向についてキーウ・ポスト紙が報じた。2014年のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ追放クーデターの余波、マイダン抗議運動における右派セクターなどの極右国家主義者の蔓延を欧米メディアは慎重に報道した。むしろ彼らが関与または共謀した可能性を示唆する証拠があるにもかかわらず、特に狙撃兵が抗議行動参加者を100人殺害したことに関して欧米メディアは連中の役割を軽視している。2015年、スヴォボダ、ウクライナ愛国者、社会民族会議をネオナチ組織とポリティコは依然表現していた。2019年、ガーディアン紙の写真付き記事は、アゾフ大隊もネオナチで、白人至上主義の見解を広めていると示唆していた。だが2024年春には、この同じ集団が、ボリス・ジョンソンによりロンドン改革クラブに歓迎され「英雄」として迎えられた。

 ウクライナ軍式典、フランスで訓練を受けたアンナ・オブ・キーウ大隊卒業式でさえ、ネオナチ・ウクライナ反乱軍の黒旗と赤旗が掲げられるのは今やごく当然のことになっている。胸を交差させるファシスト式敬礼は、ウクライナ軍隊列の写真で当たり前に見られる。「スラヴァ・ウクライナ」という言葉は「ハイル・ヒトラー」よりも容易に欧米政治指導者の口から出てくるが、それは明らかに、彼らが、それがネオナチと関連しているのを好ましく思っていないためだ。

 ウクライナ超国家主義の最も有害な側面は、2014年以来、ウクライナ語をウクライナで話される唯一の言語にしようとする執拗な追求だ。これは、ヤヌコビッチ失脚から2日後の2014年2月24日、ロシア語をウクライナ公用語の一つとみなすことを認めるコレスニチェンコ言語法を取り消すとウクライナ最高会議が宣言して初めて明らかになった。ウクライナの他の無謀な動きよりも、ロシア語を第一言語とするウクライナ国民のかなりの割合に対しロシア語を否定しようとする、この行為がおそらくロシア介入を誘発したのだ。

 ウクライナにおける超国家主義の問題を語るのを拒否して、欧米評論家連中は、超国家主義勢力拡大とキーウにおける戦争体制維持に寄与している可能性がある。またウクライナが戦争から脱却し、将来EU加盟への道を歩み続ける可能性も阻んでいる。
 
民主的選挙の欠如

 戦争の制約によりウクライナ自体が著しく非民主的段階にあるため、超国家主義の問題は今のところ差し迫った課題と見なされていないのかもしれない。ウクライナ大統領選挙の中断について欧米評論家も、ほとんど語らないためだ。

 ウクライナ選挙は2024年3月に行われるはずだったが、戒厳令下にあるため無期限延期された。これは必ずしも不当な措置ではない。第二次世界大戦のせいで、イギリスでは1935年から1945年までの10年間選挙が行われなかった。イギリスでは保守党と労働党という二大政党を代表する連立政権が政権を担っていた。保守党が議会で圧倒的多数を占めていたにもかかわらず。戦時中、国家利益のためイギリスでは政治権力が共有されていたのだ。

 だがウクライナではそのような権力分立は存在しない。全ての権力をゼレンスキーは大統領府に集中させている。大統領令により、あらゆる問題に彼は決定を下せ、例えば、いかなる役人もロシアと和平交渉を行うのを違法にできる。今のところ、戦争終結のためにロシアと交渉するというあらゆる決定は完全に彼の権限にある。

 だがウクライナは、戦争に徐々に負けながら、毎年数十億ドル相当の援助と融資を受け続ける最悪状況に陥っている。戦場でもっと劇的な形でウクライナが負けていれば、ゼレンスキー大統領に和平を求める国内圧力はもっと強かったはずだ。だが当面、ゆっくりとした敗北に金を払い続けるのに欧米スポンサーは満足しているようだ。ゼレンスキー大統領が訪問すると欧米指導者連中はスーパーヒーローのように扱うが、ウクライナ世論調査では、大統領選で、ゼレンスキー大統領はザルジニーに負けることが示されており、ゼレンスキー大統領は再選に立候補すべきでないと多くのウクライナ人は考えている。今や多くのウクライナ人が国外で暮らしているので選挙実施は不可能だなどの言い訳をゼレンスキー大統領は使い始めている。だが最近のモルドバ選挙では、海外在住有権者がマイア・サンドゥに投票したため問題にならなかったようだ。ここでの本当の問題は、100万人以上のウクライナ人がロシアに移住しており、ゼレンスキーは彼らに投票してほしくないと思っていることだ。

 多くの独裁者が陥る罠にゼレンスキーは陥っている。つまり自分が国家で、したがって不可欠な存在だと信じているのだ。したがって、戦争終結交渉はゼレンスキーの利益にはならない。それはほぼ確実に彼の政治生命の終焉を意味するためだ。

 ゼレンスキーは選挙で選ばれていない独裁者だとトランプ大統領が国家情報長官に指名したトゥルシ・ギャバードでさえ評している。だが、それについて欧米メディアが報じるのを耳にすることは決してあるまい。連中は三年間ゼレンスキーを称賛してきたが、彼が解決策の一部ではなく、問題の一部の可能性があると示唆すれば、欧米メディアの信頼性に傷をつけることになる。
 
ウクライナ経済の現状

 戦争が長引く中、ロシア経済の状況について欧米諸国からかなり報道がされている。ロシアは2024年に最終数字が発表されれば、3%以上成長すると予想されているにもかかわらず、戦争支出による大規模財政刺激策により、高いインフレと金利が引き起こされ、経済崩壊が差し迫っていると欧米諸国ジャーナリストは報じている。だがロシアの基盤は依然強固で、国家債務は僅か14%、国際準備金は6200億ドルを超えている(現在制裁により凍結されている金額を含む)。近い将来ロシアが戦争を継続できなくなることを示す証拠はない。

 一方、ウクライナ経済は完全に外国援助に依存している。2024年に設定された930億ドルの予算のうち、費用のほぼ50%は、欧米諸国からの融資、またはウクライナ国民への国内債券によって賄われることになっていた。更に125億ドルは、最大援助国たるアメリカから無償援助の形で提供される。つまりウクライナは2024年に440億ドル以上の新たな債務を抱え、これはGDPのほぼ4分の1に相当し、2025年も同様債務を抱えることになる。債務がGDPの100%を超えて急増し、返済計画もないことから、戦争経費はウクライナにとって完全に持続不可能だ。実際、援助国政府がウクライナに貸した金が返済できるかどうか全く明らかではない。そして最悪なのは、2026年以降もウクライナが請求書を支払い続ける計画がないことだ。従って完全にあり得ることだが(そうでないよう願いたいものだが)、最終的に欧米諸国指導者連中がゼレンスキーに説得されて2026年まで戦い続けることになった場合、連中は代償を支払う必要があると知って衝撃を受けるかもしれない。

 もしこれが欧米メディアで報道されれば、欧米諸国の有権者間で、戦争を解決に導くよう遙かに強い圧力がかかるだろう。ウクライナは勝っていないのに、依然我々の費用でゼレンスキーが小切手を切っているためだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/01/08/the-cancellation-of-western-mainstream-debate-on-whats-happening-in-ukraine/

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