« 2025年 - 敗北の危機に瀕しているウクライナ | トップページ | ウクライナで起きていることに関する欧米主流議論の消滅 »

2025年1月10日 (金)

腐敗しつつある寄生帝国



エドゥアルド・バスコ
2025年1月6日
Strategic Culture Foundation

 イギリス人は非常に傲慢で、依然、世界の国々は臣民の群れだと考えている。アメリカに対する従属的支持は、彼らに多少生存の余地を保証するだけで特権はほとんど保証しない。

❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。

 第二次世界大戦での勝利は、大英帝国の白鳥の歌だった。その後、イギリスは歯止めのきかない衰退に見舞われ、イギリスがアメリカに頼って助かったおかげで、どん底は免れた。その結果、イギリスはアメリカ帝国の属国になった。これは戦争自体から始まった。戦争以前、イギリスとアメリカは世界市場を巡って競争していた。中南米で、イギリスの競争力がアメリカに負けたのは、第二次世界大戦が始まってからだった。その後、イギリスは数億人の臣民を失い、約50の植民地が独立し、その後30年で国家になった。

 今や陽の沈まない帝国は単なる郷愁に過ぎない。イギリス人は非常に傲慢なため、依然、世界の国々は臣民の群れだと考えている。アメリカへの従属的支援は、彼らに多少生存の余地を保証するだけで、特権はほとんど保証しない。ブッシュがイラクに侵攻して、荒廃させた時、イギリス企業に残されたのは搾取する果肉だけで、美味しい果汁はアメリカ多国籍企業に取られた。だがトニー・ブレアの後継者連中はハゲタカ政策を維持し(イラク侵攻へのイギリス企業参加は違法だとチルコット調査委員会が裁定したにもかかわらず)、一年以上にわたり、アメリカと共にイエメンを爆撃し続けている。自由航行のために海を解放するという名目で…アメリカはとっくにロンドンに取って代わり、偉大な海洋国家になっている。

 だが、これは堕落した従属的な大英帝国が、他の国々に害を及ぼさないことを意味するわけではない。アフガニスタン人は英仏米による侵略を直接受け、タリバンは報復として2021年に彼らを追放し、勝利デモで英国国旗を掲げて棺を並べた。だが大英帝国主義者はアメリカと共謀してバッシャール・アル・アサドを打倒して再び争いに加わり、MI6は現在CIAと連携してポップスターとなったテロリストやトルコを恫喝して、ラタキアとタルトゥースの軍事基地からロシアを追放するよう懸命に働きかけている。既にロシアがシリア領内にいる限り安定はないと彼らは示唆している。労働党のキール・スターマーが15年間イギリスを支配した保守党と違う政策を採用すると信じていたのはウブな有権者だけだった。ワシントンやロンドンや欧米諸国が共同支援しているガザでの大量虐殺は誰の目にも明らかだ。

 アメリカがイギリスに認めている僅かな領土を不安定化させ支配するためにイギリス帝国主義が使うのは武力だけではない。2019年から2020年にかけて、香港で覆面デモ参加者の手で翻っていたイギリス国旗は、旧植民地への干渉をはっきり表していた。

 中国はアメリカにとって最大の敵で、アメリカ支配層のほとんどにとって、ロシアより一層大きな敵であるため、アジア太平洋地域で広大な封じ込めネットワークが構築されつつある。イギリスも当然その一部だ。2021年に設立されたオーストラリア・イギリス・アメリカ連合(AUKUS)は、オーストラリアを中国に対する攻撃手段としてアメリカとイギリスが利用するのを可能にする協定を、つい最近正式化したばかりだ。太平洋諸島にある欧米諸国の軍事基地も、そのネットワークの一部で、中国と対立する英米両国による、これら小国に対する強力な支配を可能にしている。そしてファイブ・アイズ同盟のおかげで、これら小国国民のデータはCIAとMI6のファイルに入れられている。

 だが、ワシントンのご主人連中にとってロンドンが依然有用なことを証明する主な手段は金融だ。アジア、アフリカ、中南米におけるヨーロッパ植民地化の基本的特徴は、現地の金を盗み、それをイギリスの銀行に預けることだった。これは当時のポルトガルやスペインなど他の大国も行っていた。略奪の伝統は続いており、今日でも、いわゆる「グローバル・サウス」の多くの国が国際的金準備の一部をイギリスの銀行に送っている。

 だが、これには想像以上に高い代償が伴う。ニコラス・マドゥロに対するクーデター作戦の一環として、イングランド銀行は2020年にカラカスから19億5000万ドルの金準備を差し押さえた。しかもベネズエラや国際社会の一部から苦情が寄せられた後も、それを返還することはなかった。アルゼンチンが同じ運命をたどる可能性をハビエル・ミレイは気にしていないようで、既に中央銀行から10億ドルの準備金(推定46億ドル)を引き出してイギリスに送金している。近年、アルゼンチン金準備の60%がロンドンに向けられていると推定されている。

 これがロンドンのシティ紙エコノミストが、ミレイ大統領へのインタビューやアルゼンチン大統領の執筆した記事や「アルゼンチンの経済的奇跡」を称賛するポッドキャスト三本を11月に公開した理由の一つだ。ミレイ大統領の夢は、彼が何度も述べている通り、アルゼンチンを実質的にイギリス植民地(アメリカでなく!)だった時代に戻すことだが、当時アルゼンチン経済と政治に対する支配が強かったため、第二次世界大戦で負けた場合イギリスを排除するためだけに多数のアルゼンチン軍人がナチス・ドイツを支援し始めた。

 アルゼンチン支配の過酷さを表現する逸話をフアン・ドミンゴ・ペロンがかつて語ったことがある。イギリスが鉄道を支配していた。いつもの通り、鉄道はアルゼンチン人自身が建設したもので、イギリス人が建設したものではないのに。田舎から都市や港まで肉を輸送するため、アルゼンチン人はイギリスに金を払わなければならなかった。この逸話は、1905年にイギリスが設立した食肉加工工場に関するものだった。  
「イギリス人は投資資金として100万ポンド、当時の為替レートで1100万ペソを持ち込んだ。機械を設置した後、彼らはアルゼンチン国立銀行に融資を要請し、まんまと一億ペソまで増額された。従って、一億ペソの中、外資は僅か10%だった。だが最初の送金で、投資された資本の10%がロンドンに送られた。その後、連中は投資した資本を全て本国送還し、その後50年、年間1000万ペソの割合で、合計5億ペソの資本を引き揚げた。」
 カリブ海の小さな島々は、中南米の大国政府より大きな威厳と主権を示してきた。バルバドスは2021年にイギリスから独立し、共和制を採用した。アフリカ人がイギリスに奴隷にされ連れて行かれたジャマイカは、現在100億ドルの賠償金を要求している。カリブ海諸国は、奴隷制と植民地略奪に対し、イギリスに総額33兆ドルの賠償を求めている。これは単に盗人帝国が更に豊かになるのを可能にした富の一部の返還に過ぎない。

 ロンドンはシリア産の石油とアルゼンチン産の金で彼らに補償するのだろうか?

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/01/06/a-decaying-and-parasitic-empire/

----------

 日刊IWJガイド
「とんでもないトランプ氏の領土拡張野心が発覚! グリーンランド購入とパナマ運河の管理権の奪取には軍事力も辞さないと明言!」2025.1.10号

はじめに~トランプ氏がとんでもない領土拡張野心を明らかに! カナダの併合、グリーンランドの購入併合、パナマ運河をわがものに、メキシコ湾をアメリカ湾へと呼称変更! しかも、グリーンランド購入とパナマ運河の管理権の奪取には軍事力も辞さないと明言! これこそ「力による現状変更」「国際法違反」「国際秩序を乱す」行為ではないのか!?

« 2025年 - 敗北の危機に瀕しているウクライナ | トップページ | ウクライナで起きていることに関する欧米主流議論の消滅 »

アメリカ」カテゴリの記事

中南米」カテゴリの記事

イギリス」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 2025年 - 敗北の危機に瀕しているウクライナ | トップページ | ウクライナで起きていることに関する欧米主流議論の消滅 »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ