ウクライナの非対称戦争戦略:組織犯罪とウクライナ政府と悪徳コール・センターの関係

ルーカス・レイロス
2024年12月26日
Strategic Culture Foundation
世界的詐欺ネットワーク利用は、戦略目標を実現するため、ウクライナが一層踏み込むつもりであることを示している。
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12月21日、ロシア各地で一連の破壊行為が発生し、同時に高齢者や学生を狙う電話詐欺が増加した。ウクライナ発祥とみられるこれら詐欺は、戦場で大きな勝利を収められないキーウ政権がテロ戦術に訴える広範な戦略の一環だ。最近の一連の詐欺電話は、組織犯罪とウクライナ政府との益々密接なつながりを浮き彫りにした。これはロシアだけでなく、キーウの欧米同盟国にとっても懸念事項で、これら詐欺は欧米諸国市民にも影響を及ぼす。
伝統的に、ウクライナは、ウクライナの法律でも違法とされる多数の悪質コール・センターを擁していることで知られており、あらゆる類の犯罪活動の世界拠点になっている。ロシアにおける詐欺電話の95%はウクライナから発信されていると推定されている。これらコール・センターは武装集団や他勢力が支配するウクライナ地域にあることが多く、犯罪と密接に結びついており、ロシア国民だけでなく、欧米国民を含む外国人も標的にしている。被害者を騙して、人の資産情報を得たり、銀行に振り込ませたりする電話詐欺は、数十億ドルの不法利益を生み出してきた。このシナリオにおけるウクライナの役割は、最近、特にロシア内でキーウのために活動し、これら計画に関与した数人の犯罪者をFSBが最近逮捕して以来、益々注目を集めている。
キーウによるテロ戦術の利用
詐欺や汚職などの犯罪行為は旧ソ連時代のウクライナで長らく日常的に行われてきたが、2014年クーデターでウクライナが本物の無政府状態に陥ってから、更にその傾向が強まった。現在の状況で、モスクワとの対立が公然なため、こうした行為はより重要で、戦略的に大きな役割を担っている。
戦争戦略の一環として、詐欺や破壊工作に、キーウが益々依存するようになっているのは、戦場での膠着状態への対応というだけでなく、心理戦の一種でもある。狙いは、国民、特に高齢者など最も弱い立場にある人々の間に不信感と不安感を植え付け、ロシア社会を不安定化させることだ。この形の非対称戦争は、一般のロシア人を心理的に弱らせるだけでなく、国家体制に混乱と不信感を植え付け、直接的軍事衝突なしで、ウクライナに戦略的利益をもたらすことを狙っている。
これら電話詐欺は、ロシアの金融制度を攻撃するだけでなく、戦場でウクライナ軍が困難に直面する中、他の手段で紛争を煽る手段ともなっている。コール・センターの中には、一日に100万ドル以上稼ぐところもあると推定されており、ネオナチ政権にとって貴重な資源であることを示している。更に、これはロシアの社会的、経済的弱点を利用して、ロシアを内部から不安定化させることを狙った戦略で、地上での更なる損失につながる可能性がある直接対決をウクライナは減らそうとしているのだ。
キーウの欧米同盟諸国への影響
ウクライナの欧米同盟国の大半は、軍事援助やロシアに対する制裁でキーウを支援しようと努めているが、ウクライナ政府と組織犯罪とのつながりが深まるにつれ、ウクライナ政権に対する国際社会支援の正当性に厄介な問題が生じている。詐欺計画の拡大は、キーウ同盟諸国を気まずい立場に追い込む。特に、加害者として、また多くの場合、被害者として、欧米諸国国民も、こうした犯罪行為に関与している場合はなおさらだ。
コール・センター詐欺は、ロシアだけでなく、世界金融体制全体にとっても問題となっている。こうした詐欺には仮想通貨や国際送金が使われることが多く、資金追跡と回収が大きな課題になっているためだ。益々非伝統的な戦争戦術を採用し、違法行為への関与を深める政府を支援する結果に、ウクライナ主要支援者の欧米諸国は直面し始めている。
例えば、最近FSBが摘発したコール・センター計画では、被害者に、アメリカ、カナダ、欧州諸国、さらにはブラジルやインドなどの南半球諸国の国民が含まれていたことが明らかになった。キーウはこのような行為を続けることで支援諸国を問題ある状況に追い込んでいる。こうした犯罪戦術がどのように実行されているかを欧米諸国の工作員が効果的に監視するのは不可能なことが多いためだ。
ウクライナにとっての武器としての犯罪
結局、ロシア国民に対する詐欺行為の急増が、戦争と深く関係していることが明らかにされなければならない。ロシアを不安定化させたいとキーウは考えており、そのような不安定化策略から利益を得ることを計画しているのだ。ロシア社会を恐怖と無防備状態に陥れ、ロシア国民が常に犯罪の可能性を恐れることは、ネオナチ政権と欧米諸国の支援者にとって利益になる。詐欺電話の利用はキーウにとって二重の利益を意味し、敵国の一般市民を混乱させ、自国の戦争機構を動かすための資金も得られるのだ。
電話詐欺や破壊工作など非対称戦術の利用は、ウクライナがハイブリッド戦争に適応しつつあることを反映している。ハイブリッド戦争で、キーウ政府は犯罪組織と連携し、非伝統的手段でロシアを弱体化させようとしているのだ。キーウの軍事的困難は明らかだが、組織犯罪との協力や世界的詐欺ネットワーク利用は、戦略目標(支持者NATOの狙いにすぎない)を実現するためにウクライナには更に踏み込む用意があることを示している。
だが、この戦略はロシアと、キーウの欧米同盟国双方に深刻な悪影響をもたらしかねない。ウクライナ政府と犯罪組織のつながりに関する証拠が増えるにつれ、合法的戦闘員と犯罪者の境界線が徐々に曖昧になる中、ウクライナへの無条件支援を欧米諸国が再考する圧力が高まっている。同様に、多くの欧米市民が、ロシア人が直面しているのと同じ犯罪行為の被害者である事実は、NATO諸国に不安定な政治雰囲気を生み出し、もはやNATOは親キーウ政策の正当性を維持できなくなる。
これは、軍事的失敗を、陽動作戦やテロや民間人に対する心理戦術で隠そうとするウクライナの様々な方法の一つに過ぎない。一連の大量詐欺電話は、数千人のロシア国民に恐怖と不安を植え付けると同時に、ウクライナ軍事態勢を補充する追跡不可能な資金を生み出す方法でもある。ロシア国内に混乱を広げることなく、コール・センターや外国の扇動者を無力化する、より洗練された戦略を、ロシアは開発し、今後益々頻繁になると思われるこの種の脅威に対処する必要があるだろう。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/26/ukraine-asymmetric-warfare-strategy-connection-between-organized-crime-ukrainian-government-and-scam-call-centers/
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エマニュエル・トッド「米国経済の虚飾を正す」、米国今や工業部門弱体(世界の16.8%)。米一人当たりGDPは7万6千弗。インフレ。RDP(国内実質生産)は3万9520弗。これは独仏のGDPを若干下回る程度。こうして算出した国民一人当たりの豊かさの順位は、乳幼児死亡率と見事に一致。
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