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2024年12月26日 (木)

エネルギーの混乱:危機を利用して世界支配と利益を追求するアメリカ

Henry Kamens
2024年12月22日
New Eastern Outlook

 何より示唆に富んでいるのは、元平和部隊ボランティア、別名マイアミの金融家がノルドストリーム2ガスパイプライン購入を望んでいることだ。

 エネルギーの混乱:危機を利用して世界支配と利益を追求するアメリカ

 だが国際制裁体制が一体どう対応するかはわからない。アメリカ政府のやり方は不可解で、地政学的な軍事的威嚇より、エネルギーを支配し販売するのが狙いだ。これが最初から計画されていた可能性が高まっている。つまり、ヨーロッパのエネルギー依存をロシアからアメリカに変え、エネルギーでヨーロッパ人を「不利な立場において」より高い金額を支払うよう強いるのだ。

 武器化される制裁、エネルギー市場、地政学的紛争

 だが、何より示唆に富んでいるのは、元平和部隊ボランティアで、現在マイアミの金融家である人物が関与していることだ。この人物は、ノルドストリーム2ガスパイプライン購入を希望していると報じられている。トランプはそのような取り引きの進行を許可するかもしれないが、バイデンは大統領の座にある限りそれを阻止するだろう。国際制裁体制が事態を更に複雑にしており、このため、このような取り引きがどう管理されるのか、あるいはそもそも許可されるのかさえ不明瞭になっている。言うまでもなく、アメリカ連邦政府の果てしない偽善は、自ら作ったゴルディアスの結び目を何らかの方法で断ち切るだろう。

 興味深いことに、ウォール・ストリート・ジャーナル紙がスティーブン・P・リンチだと報じた買収予定者は目立たないようにしているが、ロシア・パイプライン買収はアメリカの長期的利益に合致すると主張している。

 これは、リビアの大失態を思い出させる。リビアで、クリストファー・スティーブンスアメリカ大使がCIAと契約した数人の警備員とともに任務中に殺害されたが、これは、世俗主義シリアのアサド政権との戦いで、欧米が支援するイスラム過激派集団に武器を供給する疑惑のCIA密輸計画を背景に起きたものだ。

 スティーブンスの死は、スティーブンスが直接指揮したわけではないにせよ、この地域における地政学的策略の一部だった大規模秘密作戦の悲劇的副産物だった可能性があると私を含めアメリカの中東政策を批判する多くの人々は今も信じ続けている。

 同様に、このノルドストリーム2のシナリオは、地政学的姿勢を示すというより、世界エネルギー市場を操作してヨーロッパ経済を混乱させ、ロシアに損害を与え、アメリカのエネルギー優位を固める狙いの方が大きいようだ。おそらくこれはヨーロッパとアメリカの納税者に費用負担させるエネルギー情勢の秘密転換という当初からの戦略だったのだろう。

 2023年2月、ノルドストリームパイプラインの[爆破・破壊]後、アメリカ支配下のNATOが脆弱性を評価し、NATO政府と民間部門の取り組みを調整するため、新しい海底インフラ調整センターを設置したのは興味深い。2023年3月には、重要インフラの強靭性に関するEU-NATOタスクフォースも新たに設置された。

 何か怪しい取り引きがありそうだ!

 MSNのノルドストリーム1と2のパイプラインとその破壊に関する報道や、2022年にパイプラインの少なくとも2本のうち1本を爆破した破壊工作の背後にウクライナのチームがいたと以前に報じられたWSJの報道を読んでいると、私は何か怪しいと感じる。

 トランプがこの合意に同意するかどうかは、フロリダ州マイアミ在住のリンチ氏がドナルド・トランプ大統領選挙運動に多額の寄付をしたことからも明らかだ。

 彼は元平和部隊ボランティアで、Linkinページによると、1992年11月から1994年12月にかけてロシアに足を踏み入れた最初の平和部隊ボランティアとして有名になった人物だ。これは、国があなたのために何ができるかではなく、あなたが国のために何ができるかを問うという信念を持つJFKの平和部隊でないことは明らかだ。むしろその逆だ。

 平和部隊ボランティアが服務宣誓を義務付けられているのは偶然ではなく、彼が「あなたが聞いたことのないほどの大金持ちになりたい」と主張している今、これは特に皮肉なことだ。  
アメリカ合衆国憲法を国内外のあらゆる敵から支持し擁護すること、アメリカ合衆国憲法に真の信頼と忠誠を誓うこと、いかなる心の留保や逃げる意図もなくこの義務を自由に引き受けること、そしてこれから着任する職務を誠実かつ忠実に遂行することを私は厳粛に誓います。神のご加護がありますように。
 彼は現在、新興市場や特殊状況や、財務面で危機に陥った企業の株を安価で買い、価値が上昇したところで売却する手法を志向する国際投資起業家だと自称している。これには旧ソ連(FSU)地域と関係がある高額で複雑な国境を越える取り引きに関する豊富な経験が含まれるはずだ。

 標準業務手順 (SOP)

 多少矛盾はあるものの、彼の忠誠心がどこにあるかは疑いようがなく、全ては大義、つまりアメリカ外交政策体制のためで、その標準業務手順(SOP)を要約するのは簡単だ。

 プーチン大統領が好んで言うような黒または濃紺のネクタイを締めたスーツ姿の男たちの履歴書を我々は以前にも見たことがある。有権者に匿名のままの「ダークスーツの男たち」は、政権が交代するたびにエリート層の安定した利益を追求し続けているのだ。

 たとえば、アフガニスタンで、同じ手法、同じ戦略が採用されている。そこで、ARF は、2004年初頭にアフガニスタンの農業や石材採掘や他のアフガニスタン経済の主要部門に投資するために設立されたベンチャー キャピタル ファンドだった。

 主要企業はアフガニスタン・キャピタル・パートナーズという会社で、ピエール・ヴァン・ホーランドという人物が率いている。ヴァン・ホーランドは、元ローズ奨学生で、超著名コンサルティング企業マッキンゼー・アンド・カンパニーの元マネージャーで、かつてはルワンダ虐殺を取材していたジャーナリストだったと主張している(彼の履歴書の主張が真実かどうか誰も確認していないようだ)。彼は、特にアメリカ大使館内に高位の友人がいることで知られている(アメリカ大使が崇拝していると信じられている)。

 LinkedInで彼を検索したところ、現在、彼は気候変動と生物多様性のための基金の責任者を務めており、ロンドンと南アフリカのケープタウンに滞在している。彼はオックスフォード大学で博士号を取得しており、クリントンと同じくローズ奨学生だった。アメリカがアフガニスタンに2兆ドルを費やしたという推定を見たことがあるが、多額の資金が流用されたのも不思議ではない。こうした計画から金銭的利益を得るような悪魔的精神を私は持っていない。

 混乱を引き起こして、戦利品を手に入れよう!

 そう、彼らはパイプラインが二度と使用されないようアメリカ人に所有させたいのか、それとも再び使用され、ロシアの安いガスをヨーロッパに高値で売って不当に儲けるのか、どちらかだ。結局、ウクライナの農地を誰が所有するのか見てみよう。モンサント、カーギル、ブラックロックだ。

 男性や青年が戦乱に飲み込まれてしまったため連中は労働力を輸入するだろう。世界は非常に複雑に、非常に脅威的になり、次に何が起きるか誰にも分からないが、歴史が教えてくれることがあるとすれば、何が起きるか予測できる人がいるはずだということだ。

 1918年のスペイン風邪の時の生々しい話を祖母が良く話してくれた。墓掘り人が死体の山に追いつけなかった話だ。今日、大規模取り引きや社会実験や薬物試験に携わる連中は命より利益を重視しているようだ。

 これは完璧な計画だ。外交政策と経済政策を個人の利益と一致させる。破産売却中のパイプライン買収の資金源は依然不明だ。戦略的投資家と日和見投資家が糸を引いているが、費用は納税者が負担する可能性が高い。

 だが、そのような投資の利益は、身元が隠されたままの連中に利益をもたらすのもので、金を払う納税者に利益をもたらすものではない。

 NATOにとってウクライナは絶望的状況にあるようだ。世界の再分割が進行中で、ウクライナは有限の資源をめぐる「新たなグレートゲーム」の一舞台に過ぎない。誰が資源を管理し、誰が利益を得るのかをめぐるゲームだ。

 北極などの他のホットスポットは、それほど目立たないが、同様に戦略的だ。北極には膨大な未開発資源があり、気候変動によって可能になった北極海航路は、フーシ派支配地域やスエズ運河、パナマ運河などの難所を回避し、アジア、ヨーロッパ、アメリカ間のより安全で迅速な貿易を約束する。

 混乱につけこむ不当利得

 ノルドストリーム2事件へのリンチの関与は、制裁やエネルギー市場や地政学的紛争がいかに武器化され、法外な費用をかけて、ロシアからアメリカへというエネルギー依存の癲癇をヨーロッパに強いているかを浮き彫りにしている。

 結局、この事件は、国家利益と個人利益が曖昧になる国家運営と不当利得の融合という、現代アメリカ外交政策の厳しい現実を示している。永遠の疑問は残る。混乱が目的なのか、それとも単にビジネスを行うための代償なのか?

 いずれにせよ、糸を引く連中は利益を得る態勢を整えており、悪影響に苦しむのは世界中の他の人々だ。

 ノルドストリーム2に対するリンチの野望が明らかになるにつれ、そこに働いている体系的パターンを認識せずにはいられない。リビアからウクライナ、更にその先まで、これは混乱や支配や利益の物語だ。

 こうした悪循環について歴史は警告しているが、教訓は無視され続けている。今後も国際社会は、このような搾取的戦略を容認し続けるのだろうか、それとも羊の皮を被った狼連中に挑戦する新たなパラダイムが出現するのだろうか。

 Henry Kamensはコラムニスト、中央アジアとコーカサス専門家

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/12/22/energy-chaos-how-the-u-s-leverages-crises-for-global-dominance-and-profit/

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