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2024年12月

2024年12月31日 (火)

イスラエルはガザの民間人を故意に殺害しており、それは議論の余地さえない



念のため言っておくが、イスラエル国防軍がガザ地区の民間人を直接、意図的に殺害しているのは完全に確立された事実だ。

ケイトリン・ジョンストン
2024年12月27日

物語マトリックスの端からのメモ

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。



 念のため言っておくが、イスラエル国防軍がガザの民間人を直接、意図的に殺害していることは完全に確立された事実だ。大量虐殺の初期の頃は、この事実への異論があった時期もあるが、それはもはや真実ではない。事実は明らかで、問題は解決した。今、事件が起きているのだ。

 イスラエル軍兵士は、民間人を意図的に殺害し、その後偽って彼らをテロリスト扱いしていると報道機関に話している。イスラエル狙撃兵に頭を撃たれて死んだり負傷したりする子どもに頻繁に遭遇していると数え切れないほどの医師が証言している。イスラエル・メディア報道によれば、イスラエル国防軍は民間インフラを意図的に標的にしており、ハマス・メンバーと疑われる人物が、戦場ではなく、自宅で家族と過ごしている時に、AIシステムを使って彼らを特に狙っているという。

 議論は終わった。「人間の盾」議論は完全に徹底的に論破された。これが起きていることをまだ否定するなら、それはあなたの世界観があまりに間違っていて、事実と現実を否定する必要があるためだ。



 10月7日に起きたことについて、我々は嘘を吹き込まれた。10月7日をもたらしたイスラエルによる虐待についても、我々は嘘を吹き込まれた。10月7日を大義名分として、過去15か月間、何が行われてきたかについても、我々は嘘を吹き込まれた。それでも、イスラエルの行動に対する批判に応えて、10月7日についてイスラエル擁護者連中は、うわ言を吐き、真剣に受け止められると依然期待している。





 こうである必要はない。物事がなぜ現状のままでなければならないのかを説明する話を富裕層や権力者から山ほど聞かされるが、それらはただのお話にすぎない。

 歴史を通じて、あらゆる社会政治的現状には、権力に奉仕する物語があり、物事がなぜそうなっているのかを説明し、権力者がこの世で実際に働いている一般の人々より遙かに快適に暮らしている理由を正当化してきた。かつて人々は、王は神から直接権威を授かったので、一般大衆より優れ、価値があると言われていた。今日では、様々な支配者が様々な物語で自分たちの支配を正当化し、大きな不平等がなぜ素晴らしいのか説明しているが、それら物語は、王権神授説の古い物語と同じくらい架空のものだ。

 今日、社会を支配する富豪連中は、勤勉と巧みな革新により莫大な富を築き、社会で最も生産的なメンバーであるため、一銭たりとも無駄にしない権利があると信じるように我々は教えこまれている。昔の農民が王権神授説を教えられたのと同じように、資本主義があらゆる制度の中で最も公平で公正で、アメリカが主導する世界秩序が、自由と民主主義が全ての人の利益のために保護され促進されることを保証すると我々は教えられている。

 これらは全て作り話で、君主の血が特別なため目に見えない神により魔法の王権が与えられたという話と同じくら真実味がない。だが、我々に考え方を教える責任のある人々や、この洗脳を鵜呑みにする人々によって、これらが重大事実として扱われている。

 現実には、我々は望む時にいつでも物事のあり方を変えることが可能で、そうしない理由などない。我々の人数は支配者より遙かに多く、現在舵を握っているオリガルヒや帝国経営者連中は、生態系を破壊し、不平等と搾取を増大させ、複数の戦線で我々を核戦争へと追い込んでいる。

 十分な数の人々がそうする意志を奮い起こせば、いつでもそのハンドルを連中から奪い取る能力が我々にはある。我々が信じているかもしれないそれと反対言説は全て、支配者連中が自分たちの利益のために我々の心に植え付けた架空の考えの戯言にすぎない。

❖  歴史の現時点で、政治的にホームレスであることは何も悪いことではない。この特定の時空領域で人類全体は依然酷く混乱し、機能不全に陥っており、最も優れた政治派閥でさえ自分の心理状態や内なる明晰さに責任を取らない非常に神経質な人々に支配されている。信頼できる政党や派閥を見つけられたら素晴らしいことだが、そうでない場合、誰かのワゴンに永久に縛られることなく、価値ある大義や運動が出現するたびに、ケースバイケースで支援しながら、個人として立ち上がるのは全く問題ない。

 人類が成熟するにはまだ道は長く、人類の最大利益のために一貫して行動すると信頼できる統一政治派閥が出現するまで、しばらく時間がかかるかも知れない。

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 画像はWikimedia Commons/IDFより。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/12/27/israel-is-killing-civilians-in-gaza-on-purpose-and-its-not-even-debatable/

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 クリス・ヘッジズ ジミー・カーターを神格化するな。退任後は良いこともしたが、在任中は、国内、国外ともに失策。

 The Chris Hedges Report

Don't Deify Jimmy Carter

Jimmy Carter may have done good works out of office, but in power he fomented a series of domestic and foreign policy disasters.

Chris Hedges
Dec 31, 2024
 テヘラン大学英文学教授による最新の中東状況解説。
Mohammad Marandi WARNS: Israel & Syria Will Come Center Of Battle After Netanyahu's DEADLY Delusion  1:11:57
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
「スズメやチョウの減少が意味するもの~」(時事)調査で在来種、出現頻度の高い鳥類の15%(16種)、チョウ類の33%(34種)が年平均3.5%を上回る高率で減少。昆虫の減少→生物の衰退の連鎖、里地里山の生物多様性の劣化がさらに進む→日本的な動植物との出会いが困難に。
 日刊IWJガイド
■はじめに~今年も最後の1日となりました! IWJが無事に年を越せますように、2025年も活動を続けられますように、歳末、緊急でのご寄付・カンパによるご支援をよろしくお願いいたします! 12月は27日間で、92件、116万9200円のご寄付・カンパをいただきました。ありがとうございます! これは月間目標額の約33%に相当します。月間目標額の350万円には、あと67%、233万800円が必要です! IWJの財政は大ピンチです! 11月からカンパの月間目標額を400万円から350万円に下げたのですが、8月からの今期第15期は、4ヶ月連続で未達です!「IWJしか報じていない情報」は激増中です!

■「今まで、日本を含めた西側の偏向報道を指弾してきしてきたIWJですが、これから、ますます、IWJが発信する情報が重要になってきていると思います」!「情報の中で、一つ、友達に共有できた」! ご寄付をくださった皆さまからの応援・激励メッセージに、岩上安身がご回答いたします!

■【中継番組表】

■<岩上安身による最新インタビュー報告!>「トランプは戦争をしない」は嘘! 米大統領がバイデンでもトランプでも、イスラエルのやることは全部支持! キリスト教に妥協したユダヤ教徒と、福音派の猛烈な支持を抜きには考えられず、イスラエルの利益を最大限に追求! 岩上安身によるインタビュー第1176回ゲスト 現代イスラム研究センター理事長・宮田律氏

■新型コロナmRNAワクチンは遺伝子製剤! WHOは邪悪な反社!! 12月発行の『岩上安身のIWJ特報!』は、「岩上安身による立憲民主党・原口一博衆議院議員インタビュー」をテキスト化し、詳細な注釈をつけて発行します! ぜひ「まぐまぐ」からご登録ください!! IWJのサポート会員になれば、IWJサイトでバックナンバーをすべて読めます! ぜひ、サポート会員にご登録を!!

2024年12月30日 (月)

ヨーロッパ人は高価なエネルギーが好きなのか、それとも検閲されているのか?



ブルーナ・フラスコラ
2024年12月25日
Strategic Culture Foundation

 国家は大企業の承認を必要とせず、大義や意見を国民に届けることができる。

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お問い合わせ:info@strategic-culture.su

 ヨーロッパ諸国(特にフランス)と比べて、フランス人はアメリカを未発達な国として描くのが大好きだが、パリ五輪で、フランス自体がヨーロッパの文化的退廃の代表になった。太った妖精や女装男性が登場した「最後の晩餐」がそれを物語っている。

 だがフランス人は概してウォークだと我々が考える必要はない。この恐ろしい見世物は、フランスだけでなく、西欧全般における政治機関乗っ取りによって容易に説明できる。ロンドン市街で、真新しいLGBT旗にイギリス国旗が置き換えられたのは、イギリス人全員がトランスセクシュアル・ファンなのを意味するわけではなく、むしろイギリス官公庁がトランスセクシュアル・ファンで占められていることを意味する。従ってヨーロッパ人の考え方を理解したいなら、公式の場での表現が、彼らの個人的考えの忠実な表現ではないことを我々は考慮する必要がある。ウォーク・フランス人やドイツ人がいないわけではない。連中は公共の場への登場が多いため、実際より多く見えるに過ぎない。

 この問題は別の場面でも明らかだ。メディアやヨーロッパの大学を見ていると、ウクライナのせいでエネルギーが高騰するのは素晴らしいことだとヨーロッパ人全員が考え、反ユダヤ主義との戦いの闘士になっているかのようだ。今や高いエネルギー請求書への彼らの情熱を信じるより、ヨーロッパ人全員女装ファンだと考える方が容易だと私には思える。ヨーロッパでは批判的思考が沈黙しており、これは親NATO派の少数派による各機関の乗っ取りを通じて起きていると考える方が遙かに合理的だ。

 もちろん経験豊富な読者は「批判的思考」という表現に疑念を抱くだろう。これは党派的な人々が「自分と同じように考える人々」を表現するのに良く使う表現だ。だが、この用語さえ放棄すれば、批判者も非批判者もいないので、全ての思考は同質だと言わざるを得なくなる。そう、ウクライナを擁護する方法はいくらでもある。プーチンはヒトラーで、阻止する必要があると言うのは最も知的な方法ではない。実際、ヨーロッパに課せられた代償を考えると、NATOを支持するよう知的なヨーロッパ人を説得できる議論をするには詭弁の天才が必要だ。だから残っているのは、プーチンは悪の化身で、阻止する必要があるという叫びだけなのだ。これは最もマニ教的で愚かな欧米プロパガンダに催眠術をかけられて一日過ごした後で、非常に無批判な人々だけが信じられ類いの話だ。このプロパガンダを信じる人が全員常に無批判だとは言わない。人は時に(自由主義への愛やロシア人憎悪など)先入観を持っており、そのせいで、その主題に関連するプロパガンダに直面しても批判的になれないことがあるのだ。

 ヨーロッパにおける批判的思考の抑圧に関する興味深い記述が、Responsible Statecraftが発表した記事“McCarthyism, European Style: The elite crackdown on Ukraine dissent” (ヨーロッパ風マッカーシズム:ウクライナ反対派に対するエリートによる弾圧)に示されている。この記事では、ウクライナ支援に批判的なヨーロッパ人学者たちが、無価値なロシア・プロパガンダ活動家というレッテルを貼られ追放される様子が描かれている。記事によると、アメリカがウクライナ問題の中心地であるにもかかわらず、ジェフリー・サックスやジョン・ミアシャイマーなどの人々が親ウクライナ政策を批判する大勢の聴衆を集める自由がある一方、ヨーロッパではキャンセル・カルチャーが反対意見抑圧に成功している。

 だが、これはアメリカの自由度が高まったためではなく、欧米世界で最も人口が多く、最も重要な国で、世界中で理解される言語を話し、技術革新に満ちている結果だと私は考えている。タッカー・カールソンとのインタビューで、メディアに無視されることにジェフリー・サックスが不満を述べた。タッカー自身も、従来のメディアに無視された一人だ。彼らは新しいメディアに避難所を見つけたのだ。

 ロシアとパレスチナを擁護する上で、アメリカより自由がある国を思い浮かべることは可能だ。それはブラジルだ。パレスチナを擁護する自由を一流大学の学生が持っていることは、アメリカ人にとってもヨーロッパ人にとっても絶対にうらやましいものだ。ブラジルでは左翼がイスラエルを擁護するのは不作法とみなされる。ロシアに関しては、ブラジル右翼だけがロシアを擁護し、無視される危険にさらされている。帝国と衛星諸国に反対する、かつてのボルシェビキの国をブラジル左翼が支持するのは今でも自然なことだ。

 だが、ブラジル報道機関が、そうするのはそれほど簡単ではない。違いは簡単に説明できる。ブラジルの大学は国営だが、報道機関は大企業経営だ。民営の目的は所有者を豊かにすることだ。国営の目的は国民の共通の利益に奉仕すること、あるいはそうあるべきだ。従って、ブラジルの教師や学生はパレスチナを擁護する余裕がある。そうすることで誰も損をすることはない。だがジャーナリストは、スポンサーが減るのを嫌がる上司を満足させなければならない。それでも、ブラジルほどの規模の国では、インターネットを使って左派メディアがパレスチナの大義を擁護したり、ウクライナとの戦争でロシア側を擁護したりすることが可能なのだ。

 さて、アメリカを見てみよう。キリスト教左派の老ジャーナリスト、クリス・ヘッジスは、パレスチナを擁護したため仕事を失い、番組を続けるためにYouTubeチャンネルを開設しなければならなかった。やはり左派で親パレスチナのジャーナリスト、アビー・マーティン同様、彼もRTアメリカという放送局、つまり政府資金で運営されるロシア・テレビのアメリカ支局で働いていたことを私は想起せずにいられなかった。ブラジルの公立大学同様、国民の共通の利益をこのロシア・テレビが目的としている事実が、民間スポンサーなら排除する議題を擁護するのを可能にしているのだ。ウクライナ戦争のおかげで、アメリカと西欧でRTは閉鎖され、ウェブ・サイトへのアクセスさえ困難になった。実際、ヨーロッパは、インターネット制限の上で、アメリカやブラジルより厳しいのだ。

 従って、ヨーロッパ人は一連の困難に直面している。1) 大学における排斥、2) 欧米商業メディアにおける排斥、3) ロシア情報源へのアクセスを阻止する、国家による抑圧、4) 人口規模に固有の困難 (たとえば、フランス語やイタリア語で代替メディアを維持するのは英語で維持するより困難で、イギリス人の英語放送視聴者数は一般的にアメリカ人の数より少ない)、5) 人口の高齢化に固有の困難 (ソーシャルネットワークの使い方を知っている若いジャーナリストと同じように読者を見つける能力はブログを書く年配ジャーナリストには、ほとんどないだろう)。

 最後に、たとえ外国であれ、国家は大企業の承認を必要とせずに大義や意見を聴衆に届けることが可能で、表現の自由を促進する健全な役割を果たしていると我々は結論できる。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/25/do-europeans-love-expensive-energy-or-they-being-censored/

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 War Echo Zone NEWS
John Mearsheimer REVEALS: U.S. Prepares to Hit Russia! Biden's Secret Plot Urges Ukraine Use Nuclear 58:55
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
世界政治での「進歩的な時(The Progressive Moment)は終焉。経済成長の鈍化と移民が右派、特にポピュリストの躍進を推進。米国トランプ、カナダ・トルドーの不人気、独ではナショナリストで反移民のAfD、仏ではNational Rallyの台頭。極右反体制的。保守党との連立が困難。
 デモクラシータイムス
選挙と政変! 激変の2024年 WeN20241228 1:53:25

2024年12月29日 (日)

ウクライナの非対称戦争戦略:組織犯罪とウクライナ政府と悪徳コール・センターの関係



ルーカス・レイロス
2024年12月26日
Strategic Culture Foundation

 世界的詐欺ネットワーク利用は、戦略目標を実現するため、ウクライナが一層踏み込むつもりであることを示している。

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お問い合わせ:info@strategic-culture.su

 12月21日、ロシア各地で一連の破壊行為が発生し、同時に高齢者や学生を狙う電話詐欺が増加した。ウクライナ発祥とみられるこれら詐欺は、戦場で大きな勝利を収められないキーウ政権がテロ戦術に訴える広範な戦略の一環だ。最近の一連の詐欺電話は、組織犯罪とウクライナ政府との益々密接なつながりを浮き彫りにした。これはロシアだけでなく、キーウの欧米同盟国にとっても懸念事項で、これら詐欺は欧米諸国市民にも影響を及ぼす。

 伝統的に、ウクライナは、ウクライナの法律でも違法とされる多数の悪質コール・センターを擁していることで知られており、あらゆる類の犯罪活動の世界拠点になっている。ロシアにおける詐欺電話の95%はウクライナから発信されていると推定されている。これらコール・センターは武装集団や他勢力が支配するウクライナ地域にあることが多く、犯罪と密接に結びついており、ロシア国民だけでなく、欧米国民を含む外国人も標的にしている。被害者を騙して、人の資産情報を得たり、銀行に振り込ませたりする電話詐欺は、数十億ドルの不法利益を生み出してきた。このシナリオにおけるウクライナの役割は、最近、特にロシア内でキーウのために活動し、これら計画に関与した数人の犯罪者をFSBが最近逮捕して以来、益々注目を集めている。  
キーウによるテロ戦術の利用

 詐欺や汚職などの犯罪行為は旧ソ連時代のウクライナで長らく日常的に行われてきたが、2014年クーデターでウクライナが本物の無政府状態に陥ってから、更にその傾向が強まった。現在の状況で、モスクワとの対立が公然なため、こうした行為はより重要で、戦略的に大きな役割を担っている。

 戦争戦略の一環として、詐欺や破壊工作に、キーウが益々依存するようになっているのは、戦場での膠着状態への対応というだけでなく、心理戦の一種でもある。狙いは、国民、特に高齢者など最も弱い立場にある人々の間に不信感と不安感を植え付け、ロシア社会を不安定化させることだ。この形の非対称戦争は、一般のロシア人を心理的に弱らせるだけでなく、国家体制に混乱と不信感を植え付け、直接的軍事衝突なしで、ウクライナに戦略的利益をもたらすことを狙っている。

 これら電話詐欺は、ロシアの金融制度を攻撃するだけでなく、戦場でウクライナ軍が困難に直面する中、他の手段で紛争を煽る手段ともなっている。コール・センターの中には、一日に100万ドル以上稼ぐところもあると推定されており、ネオナチ政権にとって貴重な資源であることを示している。更に、これはロシアの社会的、経済的弱点を利用して、ロシアを内部から不安定化させることを狙った戦略で、地上での更なる損失につながる可能性がある直接対決をウクライナは減らそうとしているのだ。
 
キーウの欧米同盟諸国への影響

 ウクライナの欧米同盟国の大半は、軍事援助やロシアに対する制裁でキーウを支援しようと努めているが、ウクライナ政府と組織犯罪とのつながりが深まるにつれ、ウクライナ政権に対する国際社会支援の正当性に厄介な問題が生じている。詐欺計画の拡大は、キーウ同盟諸国を気まずい立場に追い込む。特に、加害者として、また多くの場合、被害者として、欧米諸国国民も、こうした犯罪行為に関与している場合はなおさらだ。

 コール・センター詐欺は、ロシアだけでなく、世界金融体制全体にとっても問題となっている。こうした詐欺には仮想通貨や国際送金が使われることが多く、資金追跡と回収が大きな課題になっているためだ。益々非伝統的な戦争戦術を採用し、違法行為への関与を深める政府を支援する結果に、ウクライナ主要支援者の欧米諸国は直面し始めている。

 例えば、最近FSBが摘発したコール・センター計画では、被害者に、アメリカ、カナダ、欧州諸国、さらにはブラジルやインドなどの南半球諸国の国民が含まれていたことが明らかになった。キーウはこのような行為を続けることで支援諸国を問題ある状況に追い込んでいる。こうした犯罪戦術がどのように実行されているかを欧米諸国の工作員が効果的に監視するのは不可能なことが多いためだ。
 
ウクライナにとっての武器としての犯罪

 結局、ロシア国民に対する詐欺行為の急増が、戦争と深く関係していることが明らかにされなければならない。ロシアを不安定化させたいとキーウは考えており、そのような不安定化策略から利益を得ることを計画しているのだ。ロシア社会を恐怖と無防備状態に陥れ、ロシア国民が常に犯罪の可能性を恐れることは、ネオナチ政権と欧米諸国の支援者にとって利益になる。詐欺電話の利用はキーウにとって二重の利益を意味し、敵国の一般市民を混乱させ、自国の戦争機構を動かすための資金も得られるのだ。

 電話詐欺や破壊工作など非対称戦術の利用は、ウクライナがハイブリッド戦争に適応しつつあることを反映している。ハイブリッド戦争で、キーウ政府は犯罪組織と連携し、非伝統的手段でロシアを弱体化させようとしているのだ。キーウの軍事的困難は明らかだが、組織犯罪との協力や世界的詐欺ネットワーク利用は、戦略目標(支持者NATOの狙いにすぎない)を実現するためにウクライナには更に踏み込む用意があることを示している。

 だが、この戦略はロシアと、キーウの欧米同盟国双方に深刻な悪影響をもたらしかねない。ウクライナ政府と犯罪組織のつながりに関する証拠が増えるにつれ、合法的戦闘員と犯罪者の境界線が徐々に曖昧になる中、ウクライナへの無条件支援を欧米諸国が再考する圧力が高まっている。同様に、多くの欧米市民が、ロシア人が直面しているのと同じ犯罪行為の被害者である事実は、NATO諸国に不安定な政治雰囲気を生み出し、もはやNATOは親キーウ政策の正当性を維持できなくなる。

 これは、軍事的失敗を、陽動作戦やテロや民間人に対する心理戦術で隠そうとするウクライナの様々な方法の一つに過ぎない。一連の大量詐欺電話は、数千人のロシア国民に恐怖と不安を植え付けると同時に、ウクライナ軍事態勢を補充する追跡不可能な資金を生み出す方法でもある。ロシア国内に混乱を広げることなく、コール・センターや外国の扇動者を無力化する、より洗練された戦略を、ロシアは開発し、今後益々頻繁になると思われるこの種の脅威に対処する必要があるだろう。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/26/ukraine-asymmetric-warfare-strategy-connection-between-organized-crime-ukrainian-government-and-scam-call-centers/

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 Alex Christoforou フィツォ・ゼレンスキー応酬、バルト海ロシア・タンカー押収?
Fico to Elensky, I am not your servant. Finland seizes Russia GHOST ship. Ukraine down to 50 ATACMS 30:27
 櫻井ジャーナル
HTS戦闘員がシリア人を処刑する映像が流れる一方、住民の抵抗運動が始まった
 エマニュエル・トッド新刊を読んでいる。そこに孫崎享氏記事。

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
エマニュエル・トッド「米国経済の虚飾を正す」、米国今や工業部門弱体(世界の16.8%)。米一人当たりGDPは7万6千弗。インフレ。RDP(国内実質生産)は3万9520弗。これは独仏のGDPを若干下回る程度。こうして算出した国民一人当たりの豊かさの順位は、乳幼児死亡率と見事に一致。

2024年12月28日 (土)

誰にも止められないワシントンの超兵器

Brian Berletic
2024年12月24日
New Eastern Outlook

 地政学的緊張が高まるにつれ、アメリカは最も強力な武器を振るっている。それは軍事力ではなく、自国の利益にかなうように国家や地域を再編する洗練された政治・情報統制ネットワークだ。

 誰にも止められないワシントンの超兵器

 ここ数カ月、欧米諸国のメディア全体で、ロシアと中国の優れた軍事力を認める声が高まっている。ロシアが初めて中距離弾道ミサイル「オレシニク」を使用したことで、ロシア(と、おそらく中国)が欧米諸国に現在欠如している強力な軍事力を有していることが認められた。

 NATOがウクライナに武器を供給し、訓練し、支援する共同の取り組みにもかかわらず、ロシア特別軍事作戦(SMO)が進行する中、戦線全体で、ウクライナ軍は加速度的後退を続けている。

 詳しく調べてみるとNEDや他のアメリカの取り組みは最も破壊的「大量破壊兵器」だ。

 だが、この新しいパラダイムが浸透する中、アメリカは依然強力で、比類のない、未だ対抗手段のない超兵器を保有していることを実証している。アメリカはそれを利用して、アラブ世界全体で、シリア経済とシリア・アラブ軍両方をゆっくり着実に空洞化させる状況を作り出し、国を制圧しようとするアメリカが支援するテロリストに何年も歯止めをかけた後、2024年12月中旬、両者の完全崩壊をもたらした。

 シリア経済や軍隊や政府が崩壊しただけでなく、国連リストに掲載されているテロ組織がダマスカスで権力を掌握し、シリアの街頭で民族的、宗教的、政治的反対派に公然と残虐行為を行っているのを世界中の多くの人々が歓喜している。

 これら全て、反撃しようのないワシントンの「超兵器」と世界中の情報と政治空間に対する支配力によるものだ。

 ワシントンの超兵器:政治干渉と攻略と支配

 オレシニク・ミサイルほど魅力的ではないが、ワシントンの超兵器は、実際は何倍も強力で、防御するのがより困難だ。

 アメリカ中央情報局(CIA)による政権転覆作戦として始まり、長年にわたって、現在では全米民主主義基金(NED*)として知られる組織へと変貌を遂げた。

 NEDは、世界中の居住可能な全大陸の何百もの組織やプロジェクトや反政府集団や政党に資金提供する子会社ネットワーク (フリーダム ハウス、国際共和党研究所 (IRI)、全米民主研究所 (NDI)) と関連政府組織 (USAID*) および民間財団 (オープン・ソサエティ、オミダイア・ネットワーク) を監督している。

 中東:イランとの戦争のため戦場設定

 近年、2011年の「アラブの春」の何年も前から、アメリカは扇動者の部隊を訓練し、彼らが母国に戻り、それぞれの政府を打倒するよう指導してきた。アメリカが支援するこれら扇動者が作り出した政治的混乱は、同様にアメリカが支援する武装過激派に利用され、政治的圧力に屈しない政府を暴力的に打倒した。

 「世界中で自由を推進する」とNEDウェブサイトは主張しているが、その政治的干渉は国家全体、更に世界中を不安定化させ、破壊し、数十万人の死者と数百万人の避難民をもたらしている。これらの国々に残されたものは、内部で争い続ける破綻国家や、標的となった国の最大の利益を犠牲にして、ワシントンの利益に完全に奉仕する従属政権に変貌し、時には、その両方が組み合わさった状態になっている。

 地域自体が、この地域におけるアメリカ覇権に対する抵抗の中心であるイランと同盟諸国を包囲し、孤立させ、最終的に標的にして打倒するのを目的とする非常に意図的な形をとっている。

 ヨーロッパにおけるNED:「民主的」ロシアの創造

 もう一つの例はウクライナだ。ガーディアン報道によると、独立中立のウクライナを打倒しようとするアメリカNED*の取り組みは2004年という早い時期に始まった。2014年にも同じ作戦が繰り返され、今回は成功した。この作戦にはNED*資金援助を受けた政治活動家だけでなく、ネオナチなどの武装過激派も参加し、キーウではアメリカ上院議員らが舞台上で彼らを応援した。

 NED*が資金提供する政治介入により標的国の政治的独立を損なう狙いは、その国自体を政治的に掌握するだけでなく、その国を地域内の他の掌握された国々とまとめて、ワシントンの主要敵国に対する統一戦線を形成することだ。

 ヨーロッパでは、敵は明らかにロシアだ。

 デイモン・ウィルソンは、NED*の社長兼CEOに就任する前は、アトランティック・カウンシル執行副社長を務めており、NATOとロシア間の「グレーゾーン」と呼ばれる場所の解消について語っていた。これら「グレーゾーン」とは、NATOとロシア間に緩衝地帯を提供する中立国に過ぎない。

 2018年に大西洋評議会で行った発言の中で、ウィルソンは次のように認めている。

 この戦略は、ヨーロッパに新たな分断線を作ることを意図したものではない。目的は、不安定で脆弱な地域を、安定し繁栄し自由なヨーロッパという確固たる基盤の中に固定することで、長期的に、この構想には民主的ロシアも含まれる。

 だが、モスクワ改革への道は、キーウ、キシナウ、エレバン、トビリシでなされる選択から始まるのかもしれない。

 これは意図を認めたものだ。ウクライナ、モルドバ、アルメニア、ジョージアの打倒と政治的掌握は、ロシアを更に包囲し孤立させ、NATOとロシア間の緩衝地帯を排除し、最終的にロシア自体を打倒し、政治的に掌握することを意図している。

 「民主的ロシア」とは、NED*が資金提供する組織やメディアや機関や政党に管理・運営され、アメリカとNATOが押し付ける「民主主義」に従属するロシアの婉曲表現だ。

 2018年にウィルソンが述べた発言は、ロシアに対するアメリカとNATOの政策だけでなく、ウィルソンが現在社長兼CEOを務めるNED*の行動にも反映されている。

 アジアにおけるNED:対中国統一戦線構築

 NED*の「アジア」ウェブページは、現在「透明性」という幻想を支えていた財務情報開示を全て削除し、16か国で338以上のプロジェクトが運営されており、2023年度だけで少なくとも5,170万ドルの資金が調達されていると自慢している。

 NEDは地域選挙への関与、反政府政党結成、更に分離主義推進を公然と認めている。

 このページは、国際法で中国の新疆ウイグル自治区として認められている地域を「東トルキスタン」と呼んでいるが、これはワシントンDCに設立され拠点を置く「東トルキスタン亡命政府」が主張している実在しない地域だ。

 国連憲章第2条の「全ての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全や政治的独立に対するものも、また国際連合の目的と矛盾する他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」という規定に、アメリカ政府による中国分離主義支援は明らかに違反している。

 ワシントンDCに分離主義者をかくまっているだけでなく、NEDを通じて、アメリカ政府は公然と分離主義を追求する多くの組織に資金提供している。これにはアメリカNEDの助成金受給者である世界ウイグル会議(WUC)も含まれ、ウェブサイトで「WUCは東トルキスタンの中国占領に対する非暴力的かつ平和的な反対運動を宣言する」と同会議は公然と述べている。

 NEDを通じてアメリカ政府から資金提供を受けているWUCは、新疆を中国から分離させることを企て、国際法に違反する陰謀を公然と行っている。WUCはこれを「平和的反対運動」として行っていると主張しているが、それでも、その分離主義は、現在シリアに拠点を置く「東トルキスタン・イスラム運動」(ETIM)などの過激ウイグル分離主義者による暴力的テロ行為と合致しており、国連リストに掲載されているテロ組織ハヤト・タハリール・アル・シャム(別名ジャバト・アル・ヌスラ戦線)と長年共に戦い、今や中国を標的にすることを公然と誓っていると、テレグラフ紙が最近報じた。

 NEDの現在の「アジア」ウェブ・ページを見れば、取り組みがアジア全域個々の国の政治的掌握のみに焦点を当てるのではなく、中国に対抗する地域統一戦線の構築を目指しているのは十分明らかだ。

 「民主的統一促進」という婉曲表現でNED*は次のように宣言している。  
中国は地域および世界大国として台頭し、経済的影響力によって、この地域の政権にとって強力な支援者および影響力を持つようになった。中国は大きな経済力を利用して、民主主義と人権の尊重は、いかなる可能性がある提携相手にとって必須条件ではなく、望ましい特徴でもないことを示唆している。

 アジアの民主主義国は、民主主義の価値、法の支配、ルールに基づく制度を守り、維持し、地域で高まる非自由主義的傾向に効果的に対抗する必要性を認識し、国際的に認められた規範と価値の擁護と維持において協力し、より大きな責任を負う方法を模索している。
 また、次のようにも述べている。  
そのため、NED*は、アジアの民主主義国家間の民主的統一と協力の強化、および民主主義主体間の地域的連帯と協力の強化と拡大に焦点を当てた様々な取り組みを支援している。具体的には、NED*と中核機関は、対話を促進し、支援を構築し、民主主義の規範と価値観を守るためのリーダーシップ強化を促進するため、地域の主要民主主義国を支援している。また、メディアの自由、自由で公正な選挙、デジタル・セキュリティと保護、基本的人権などの主要な民主主義の問題に関し、民主的な声を増幅し、交流を促進し、地域の連帯を強化するために活動する民主主義と人権の活動家と擁護者の地域ネットワークを支援している。
 これら全て、アメリカNED*が、中国を標的としたアメリカ国務省の偽情報を熱心にオウム返しする地域的反中国運動を構築し、中国に対して地域住民に悪影響を与え、同時に、ヨーロッパでロシアに対して行ったのと同様に、中国周辺のアジア全土へのワシントンの影響力と支配を拡大しようとしていることを認めるくどい言い方だだ。

 BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)とSCO(上海協力機構)は、アメリカを本拠とするソーシャルメディアに代わる多極的プラットフォームを立ち上げる取り組みを主導し、アメリカや欧州の検閲や操作の及ばないところで世界の国々が情報を共有できるようにすることが可能だ。現在、ロシアと中国のソーシャルメディアは、国際的用途ではなく国内向けに最適化されている。

 最後に、地域および国家のNGO透明性法の促進や、この危険を暴露し、立法を通じてこれに対抗する行動をとる加盟国を支援するフォーラムの創設を通じて、BRICSは、アメリカ (および欧州) の干渉を暴露し、対峙する取り組みを主導することも可能だ。これには、アメリカの政治、情報支配に従わせることを目的とするアメリカによる脅迫や制裁や他の強制措置の標的となった国への保護提供が含まれる。

 これら全ての措置は、国連憲章の核心原則に沿って、多極化した世界における国家主権の強化と国家の自決権の維持を目的としている。アメリカの全米民主主義基金は、名目上でさえ、世界中で「民主主義」を推進していると見せかけているが、民主主義は自決権の手段で、全米民主主義基金が資金提供するものは全て、全米民主主義基金の資金が注がれる国々ではなく、ワシントンにより、ワシントンのために決定される。

 NEDはワシントン最大の「超兵器」だ。国家の政治、情報、学術の領域に侵入し、占領するその能力は、世界中でアメリカ覇権を阻む最大の通常軍さえも回避する。NEDは世界中の国家や地域の不安定化と破壊に関与し、ロシアが設計し配備できるいかなるミサイルより大きな被害をもたらしている。真に多極化した世界の未来は、ワシントンとウォール街の全ての兵器、特に最も広範囲で効果的な兵器から身を守ることにかかっている。

 アメリカNEDがどのようにこれを行っているかの一例は、2020年10月にタイの視聴者を対象に開催された「Beyond Boundaries」Facebookライブ・イベントだ。この催しは「中国におけるウイグル人の状況と我々が彼らを助ける方法」と題され、元NED職員で現在NED*の助成金受給者「ウイグル人権プロジェクト対外関係担当部長」ルイーザ・グレーブが出演した。

 司会者には、タイ国内を狙ったNED資金による破壊活動に参加し、推進したとされる「民主化活動家」Netiwit Chotiphatphaisalが含まれていた。

 フェイスブック・ライブイベントの狙いは、中国がタイにとって最大の貿易相手国、投資国、観光地で、タイ初の高速鉄道建設を含むインフラ整備のパートナーであるにもかかわらず、中国に対して受容的なタイ国民を継続的に攻撃することだった。

 NED*が資金提供している野党集団も進行中のタイと中国の高速鉄道プロジェクトを含む、タイと中国の協力を完全に阻止することに重点を置いている。最も明白な例は、億万長者の野党指導者タナトーン・ジュアンルーンルアンキットがアメリカを訪問し、アメリカ国務省、NED*傘下のフリーダム・ハウス、アリゾナ州に拠点を置くハイパーループ・ワンの代表者と会談した後、タイに戻って中国が建設する高速鉄道プロジェクトを非難したことだ。

 その代わりに、タイは現在廃止されている「ハイパーループ技術」に投資すべきだとタナトーンは主張した。

 ある公開プレゼンテーションで「過去5年間、我々は中国を重視しすぎていたと思う。その重要性を減らし、欧州や日本やアメリカとの関係のバランスを取り戻したい」とタナトーンは主張した。

 2019年のタイ総選挙で敗北した後、タナトーンはタイの街頭でNEDが支援する抗議活動を率いた。その後、彼の政党は選挙でより良い成績を収めたが、これは保護されていないタイの情報空間全体にNEDが及ぼした腐食的影響によるものだ。

 現在、タイでも東南アジア全域でも、客観的に見て中国の方がより良い未来を提供しているにもかかわらず、NEDや破壊的な政治的反対派集団のネットワークやメディアや更にはアメリカが支配する政党により、依然不当な影響力をアメリカが行使しており、この地域の本来明るい未来は2014年以前のウクライナのように不安定な立場に置かれている。

 フィリピンは既にアメリカに完全占領され、中国と対峙し、対立するため利用されており、依然、台頭するアジアは欧州や中東同様、地域戦争に巻き込まれる可能性に直面している。

 ワシントンの超兵器に対する防衛

 ロシアと中国はともに、アメリカによる政治掌握という「超兵器」に対する有効な防衛策を考案した。

 両国は、海外から資金提供を受けているいわゆる「非政府組織」(NGO)に対して透明性を要求するか、あるいはそれらを全面的に禁止するか、いずれかを行っている。

 また両国はアメリカ国務省と連携して標的国の世論や国家アイデンティティを操作するアメリカを本拠とするソーシャルメディアを制限または禁止し、自国の国内ソーシャルメディアにより情報の流れを監視し、それぞれの情報空間を確保している。

 両国には、それぞれの価値観を推進する強力な国内メディア産業と自国の立場を世界中の視聴者に伝える国際メディアがある。

 だが両国がこれまでできなかったのは、この専門知識をパートナー諸国に広めることだ。

 既に両国は、空域、国境、海岸を含む伝統的な国家安全保障領域を防衛するため、パートナー諸国に幅広い防衛システムを販売している。だが、どちらの国も、これら輸出品に国家の情報空間を防衛する手段を組み込んでいない。実際、これまで、そもそも国家情報空間を防衛することが21世紀には極めて重要なことを両国は伝えられていない。

 ロシアと中国は、各国がそれぞれの情報空間に設置し、監視できるターンキー・ソーシャルメディアを輸出し、アメリカを拠点とするネットワークに取って代わり、自国国内の情報の流れに対する統制を再確立できる。これにより、シリコン・バレーやアメリカ国務省パートナーに委ねるのではなく、各国と国民が、どの情報を共有できるか、できないか決定できるようになる。

 同様のパッケージを提供して、各国がロシアのRTやスプートニクや中国のCGTNのような国際的メディアを立ち上げるのを支援するとともに、アメリカ国務省のフルブライトやヤング・リーダーシップ・イニシアチブなどのプログラムのようにワシントンやウォール街の利益ではなく、対象国の最善の利益を反映する現地ジャーナリストや教育者や将来の政治家や外交官を育成するための国内教育体制の構築支援もできるだろう。

 BRICS主要メンバーたるロシアと中国

 一見しただけでは、NEDや世界中の政治および情報空間を支配しようとするアメリカの他の取り組みは、全く「武器」には見えない。だが詳細に調べてみると、これらは21世紀に使用される最も破壊的「大量破壊兵器」だ。これらは世界の平和、安定、繁栄に対する深刻な脅威だ。同様に、これらを暴露し、防御するため真剣な努力を払う必要がある。

 Brian Berleticはバンコクを拠点とする地政学研究者、作家。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/12/24/washingtons-unstoppable-superweapon/

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 2024年12月31日追記

 素人翻訳に不満な方は、英語を専門とする方々による「寺島メソッド翻訳NEWS」記事をお読み願いたい。
米国政府の「超兵器」!!CIAの別働隊NED(全米民主主義基金)が、アジア含め世界中で破壊活動を展開!!
 Dialogue Works
Larry C. Johnson: Israel fighting Yemen  45:17
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
韓国国会議員が韓悳洙大統領代行を弾劾、韓国が暫定指導者を弾劾するのは初めて。韓国の指導部の危機はさらに深刻。尹氏罷免を裁く憲法裁判所は定員9名の三分のニ必要。しかし3名欠員、したがって一名でも反対すれば弾劾不能。野党の補充する動きを韓大統領代行が拒否→韓大統領代行を弾劾。
 耕助のブログ
No. 2374 レバント地域は無政府状態

2024年12月27日 (金)

もし…マスクが本当の大統領だったらどうだろう?



ロレンツォ・マリア・パチーニ
2024年12月23日
Strategic Culture Foundation

 影の政府や隠れた権力者は、世界中にわんさとおり、これは決して目新しいことではない。

❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。

お問い合わせ:info@strategic-culture.su

 「イーロン・マスクとは一体何者か?」という疑問に答えるため、まず簡単な概要から始めよう。

 ウェブで知る限り、マスクは1971年6月28日に南アフリカのプレトリアで生まれた南アフリカ系カナダ人の起業家、発明家、先見の明のある人物だ。世界で最も影響力のあるハイテク企業の創設者およびリーダーの一人として彼は知られている。

 新聞ソフトウェア会社Zip2で、マスクは起業家としての経歴を始めた。後に1999年、同社はコンパックに3億700万ドルで売却された。この成功により、彼はX.comを設立した。これが後にオンライン決済の先駆者PayPalとなった。PayPalがeBayに15億ドルで売却された後、より野心的なプロジェクトにマスクは目を向けた。

 2004年、宇宙へのアクセスコストの削減と火星の植民地化を目標に、彼はSpaceXを共同設立した。同社は民間企業として初めて、国際宇宙ステーションに宇宙船「ドラゴン」を送った。それと並行して、2003年にマスクはテスラモーターズに投資し、2008年にCEOに就任し、同社を電気自動車と再生可能エネルギーの世界的リーダーへと成長させた。

 それ以来、脳コンピューター・インターフェース開発を目指すNeuralink、地下交通インフラに重点を置くThe Boring Company、人工知能を通じて人類の科学的発見を加速させることを目的とするxAIなど、マスクはいくつかのベンチャー企業を設立したり、関与したりしてきた。

 プレトリアの「少年」は、ソーシャルメディア、特にX(旧Twitter)での積極的活動でも知られており、そこで自身の企業の最新情報やミームや様々な話題に関する意見を共有し、しばしば公の議論に影響を与えている。彼の未来志向の構想と地球規模の問題解決に対する大胆な姿勢により、現代のハイテクと文化の分野で物議を醸しながらも、彼は確実に影響力ある人物になっている。

 マスクは、適切なタイミングで適切な場所で事業や投資に成功している。彼が設立または指揮した企業には下記のものがある。

 Zip2: 1995 年に弟のKimbalと共同で設立されたZip2は、新聞にオンライン・コンテンツを提供する会社だった。1999年にCompaqに約3億700万ドルで売却された。

 X.com/PayPal: 1999年、マスクはオンライン銀行のX.comを設立。同社はConfinityと合併して大手オンライン決済システムのPayPalとなった。2002年にeBayに15億ドルで売却された。

 SpaceX (Space Exploration Technologies Corp.): 2002年に設立されたSpaceXは、宇宙へのアクセスコストの削減と火星の植民地化を目指している。同社は、Falcon 9やFalcon Heavyなどの再利用可能なロケットや、Dragonなどの宇宙船を開発した。

 テスラモーターズ(現テスラ社):マスクは2004年に投資家として参加し、2008年にCEOに就任した。テスラはモデルS、モデル3、モデルX、モデルYなどのモデルを擁し、電気自動車の生産とバッテリー技術のリーダーになっている。

 SolarCity:2006年に共同設立されたSolarCityは、太陽光関連製品とサービスに重点を置いている。再生可能エネルギー・ポートフォリオを拡大するため、2016年にTeslaに買収された。

 ハイパーループ:マスクの企業ではないが、同社は2013年に高速輸送システム、ハイパーループという概念を提案し、ヴァージン・ハイパーループなどいくつかの企業が各社版を開発している。
 
  • The Boring Company:2016年に設立されたこの企業は、ラスベガス・ループなどのプロジェクトを通じて、都市交通の削減を目的としたトンネル建設に取り組んでいる。
  •  
  • Neuralink:2016年に設立されたNeuralinkは、認知能力の向上と神経疾患の治療を目的として、人間の脳と人工知能を接続する神経インターフェースを開発している。
  •  
  • OpenAI:2015年にマスクは創立者の一人となり、人類にとって安全で有益なAI開発を目標としていたが、2018年にテスラとの利益相反を避けるために離脱した。
  •  
  • xAI:2023年に設立されたxAIは、人間の科学的発見を加速するための人工知能の作成に重点を置いている。
  •  
  • X Corp:2022年にTwitterを買収した後、マスクはプラットフォームを「X」にリブランドし、より幅広いコミュニケーションの場へと変えた。
 それは大きな力だ。我々が話しているのは様々な市場を独占している、技術研究の最も先進的な企業のいくつかだ。全て一人の男の手中にある。
 
政治上、異例な役割

 さて、トランプ大統領の第一期大統領時代、つまり彼が退任する直前、連邦政府からの資金を含む多額の資金提供を受けて、これら企業やプロジェクトが台頭したのは興味深い。更に興味深いのは、2024年のトランプ選挙運動で、マスクがいかに重要な役割を果たしたかだ。選挙プロパガンダ上、正真正銘「核爆弾」だ。マスクは今や世界で最も裕福な人物の一人なのだから、確実に素晴らしい投資だ。

 マスクの政治手法は良く知られている。ソーシャルメディア、特にXでの投稿を通じて、市場から政治まで、社会生活の様々な分野に彼は強い影響を与えている。あるオレンジ・ジュースが好きだとマスクが言えば、翌日ニューヨーク証券取引所で、そのジュースの株価は二倍になる。ある外国政治家が嫌いだとマスクが言えば、その政治家は不利な立場に立たされるのは確実だ。マスクは「国家人」という横断的な範疇に当てはまる。つまり、まるで独立国家であるかのように大統領や機関と話せる唯一の人物だ。トランプ当選が政府メンバーへの選出と重なったのは興味深い。この可能性は、ごく少数のアメリカの代替チャネルでしか語られておらず、欧米の代替チャンネルでは取り上げられていない。

 マスクはDOGE(Department of Government Efficency 政府効率化局)局長に任命された。これはマスクが所有者であると同時に大々的推進者でもある暗号通貨Dogecoinにちなんだ名前だ。超人主義推進者で、大手ハイテク企業所有者で、他惑星の植民地化を企む超資本主義者の手に政府効率化局が掌握されているとは…当然疑問が生じる。なぜマスクなのか?

 自身の本当の政治的影響力についてマスクが考えさせられる場面が何度かあった。例えば、先週日曜日、アリゾナ州でのトランプ演説中に、議会で論議中の予算案を廃案にして彼は介入した。この出来事は、トランプ新政権でマスクが異例の役割を担った最新事例で、民主党と共和党自体からも批判を招いた。この点、トランプはマスクを称賛した上で「だが彼は大統領職に就くことはない」と付け加えた。1月20日の就任式を前にマスクがトランプの傍らに頻繁にいることは、数週間にわたり多くの政治評論家に懸念を引き起こしている。トランプが選挙勝利後にゼレンスキー大統領と話した際にこの億万長者は同席し、最近欧州でのフランスのエマニュエル・マクロン大統領との会談にも同席し、ニューヨークでイタリアのジョルジャ・メローニ首相に挨拶したのも彼だった。

 ここで、ちょっと考えてみよう。もしイーロン・マスクが本当の「大統領」だったらどうだろう? マスクから金儲けの方法を学ぶ必要など皆無の実業家トランプが最初に当選した時から既に彼はそこにいた。彼は2024年に登場して主導的役割を果たす準備ができていたのだ。選挙運動での彼の支援は決定的だった。イーロン・マスクはアメリカだけでなく世界中で支持されている。ヨーロッパでは、彼はツイッターをXに変え「政治的に正しくない」問題に関する多くの表現の自由を片付けたため、一種のハイテク技術預言者、民主主義の擁護者として尊敬されている。だが、これは時折、一人のアメリカ人が空のガレージから出世して技術王になる、普通のアメリカ人が自力で成功するという良くある話と何ら変わらない。彼は道徳上、単に別の免許を与えられているにすぎない。彼はディープステートについて話し、市場や政治に影響を与えるバイラルなミームを作り、退屈な事務所ではなく「テレビ番組」のような生活を送っている。彼を信頼しない理由があるだろうか? 結局、崇拝する偶像や頼れる政治的確実性を人々は必要としているのだ。

 現実に、マスクが「本物の」大統領かどうかはさほど重要ではない。今や署名はトランプのもので、成功も失敗も彼のせいにされる。マスクが次の候補として浮上するかどうかは後でわかるだろう。影の政府や隠れた権力者連中は、世界中に、わんさといおり、これは決して目新しいことではない。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/23/what-if-musk-real-president/

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 Gilysarts Artesanatos
Gilbert Doctorow REVEALS: Russia Suffocates Ukraine In The Rubble! Fear Grips NATO 24:23
 日刊IWJガイド
IWJが無事に年を越せますように、この歳末、緊急でのご寄付・カンパによるご支援をよろしくお願いいたします!」2024.12.27号

本日午後7時より、「2024年を振り返る! そして1ヶ月後に始まる第2次トランプ政権で、米国は、そして世界はどう変わる!? 岩上安身によるインタビュー第1175回ゲスト 元外務省国際情報局長・孫崎享氏」を撮りおろし初配信します!

2024年12月26日 (木)

エネルギーの混乱:危機を利用して世界支配と利益を追求するアメリカ

Henry Kamens
2024年12月22日
New Eastern Outlook

 何より示唆に富んでいるのは、元平和部隊ボランティア、別名マイアミの金融家がノルドストリーム2ガスパイプライン購入を望んでいることだ。

 エネルギーの混乱:危機を利用して世界支配と利益を追求するアメリカ

 だが国際制裁体制が一体どう対応するかはわからない。アメリカ政府のやり方は不可解で、地政学的な軍事的威嚇より、エネルギーを支配し販売するのが狙いだ。これが最初から計画されていた可能性が高まっている。つまり、ヨーロッパのエネルギー依存をロシアからアメリカに変え、エネルギーでヨーロッパ人を「不利な立場において」より高い金額を支払うよう強いるのだ。

 武器化される制裁、エネルギー市場、地政学的紛争

 だが、何より示唆に富んでいるのは、元平和部隊ボランティアで、現在マイアミの金融家である人物が関与していることだ。この人物は、ノルドストリーム2ガスパイプライン購入を希望していると報じられている。トランプはそのような取り引きの進行を許可するかもしれないが、バイデンは大統領の座にある限りそれを阻止するだろう。国際制裁体制が事態を更に複雑にしており、このため、このような取り引きがどう管理されるのか、あるいはそもそも許可されるのかさえ不明瞭になっている。言うまでもなく、アメリカ連邦政府の果てしない偽善は、自ら作ったゴルディアスの結び目を何らかの方法で断ち切るだろう。

 興味深いことに、ウォール・ストリート・ジャーナル紙がスティーブン・P・リンチだと報じた買収予定者は目立たないようにしているが、ロシア・パイプライン買収はアメリカの長期的利益に合致すると主張している。

 これは、リビアの大失態を思い出させる。リビアで、クリストファー・スティーブンスアメリカ大使がCIAと契約した数人の警備員とともに任務中に殺害されたが、これは、世俗主義シリアのアサド政権との戦いで、欧米が支援するイスラム過激派集団に武器を供給する疑惑のCIA密輸計画を背景に起きたものだ。

 スティーブンスの死は、スティーブンスが直接指揮したわけではないにせよ、この地域における地政学的策略の一部だった大規模秘密作戦の悲劇的副産物だった可能性があると私を含めアメリカの中東政策を批判する多くの人々は今も信じ続けている。

 同様に、このノルドストリーム2のシナリオは、地政学的姿勢を示すというより、世界エネルギー市場を操作してヨーロッパ経済を混乱させ、ロシアに損害を与え、アメリカのエネルギー優位を固める狙いの方が大きいようだ。おそらくこれはヨーロッパとアメリカの納税者に費用負担させるエネルギー情勢の秘密転換という当初からの戦略だったのだろう。

 2023年2月、ノルドストリームパイプラインの[爆破・破壊]後、アメリカ支配下のNATOが脆弱性を評価し、NATO政府と民間部門の取り組みを調整するため、新しい海底インフラ調整センターを設置したのは興味深い。2023年3月には、重要インフラの強靭性に関するEU-NATOタスクフォースも新たに設置された。

 何か怪しい取り引きがありそうだ!

 MSNのノルドストリーム1と2のパイプラインとその破壊に関する報道や、2022年にパイプラインの少なくとも2本のうち1本を爆破した破壊工作の背後にウクライナのチームがいたと以前に報じられたWSJの報道を読んでいると、私は何か怪しいと感じる。

 トランプがこの合意に同意するかどうかは、フロリダ州マイアミ在住のリンチ氏がドナルド・トランプ大統領選挙運動に多額の寄付をしたことからも明らかだ。

 彼は元平和部隊ボランティアで、Linkinページによると、1992年11月から1994年12月にかけてロシアに足を踏み入れた最初の平和部隊ボランティアとして有名になった人物だ。これは、国があなたのために何ができるかではなく、あなたが国のために何ができるかを問うという信念を持つJFKの平和部隊でないことは明らかだ。むしろその逆だ。

 平和部隊ボランティアが服務宣誓を義務付けられているのは偶然ではなく、彼が「あなたが聞いたことのないほどの大金持ちになりたい」と主張している今、これは特に皮肉なことだ。  
アメリカ合衆国憲法を国内外のあらゆる敵から支持し擁護すること、アメリカ合衆国憲法に真の信頼と忠誠を誓うこと、いかなる心の留保や逃げる意図もなくこの義務を自由に引き受けること、そしてこれから着任する職務を誠実かつ忠実に遂行することを私は厳粛に誓います。神のご加護がありますように。
 彼は現在、新興市場や特殊状況や、財務面で危機に陥った企業の株を安価で買い、価値が上昇したところで売却する手法を志向する国際投資起業家だと自称している。これには旧ソ連(FSU)地域と関係がある高額で複雑な国境を越える取り引きに関する豊富な経験が含まれるはずだ。

 標準業務手順 (SOP)

 多少矛盾はあるものの、彼の忠誠心がどこにあるかは疑いようがなく、全ては大義、つまりアメリカ外交政策体制のためで、その標準業務手順(SOP)を要約するのは簡単だ。

 プーチン大統領が好んで言うような黒または濃紺のネクタイを締めたスーツ姿の男たちの履歴書を我々は以前にも見たことがある。有権者に匿名のままの「ダークスーツの男たち」は、政権が交代するたびにエリート層の安定した利益を追求し続けているのだ。

 たとえば、アフガニスタンで、同じ手法、同じ戦略が採用されている。そこで、ARF は、2004年初頭にアフガニスタンの農業や石材採掘や他のアフガニスタン経済の主要部門に投資するために設立されたベンチャー キャピタル ファンドだった。

 主要企業はアフガニスタン・キャピタル・パートナーズという会社で、ピエール・ヴァン・ホーランドという人物が率いている。ヴァン・ホーランドは、元ローズ奨学生で、超著名コンサルティング企業マッキンゼー・アンド・カンパニーの元マネージャーで、かつてはルワンダ虐殺を取材していたジャーナリストだったと主張している(彼の履歴書の主張が真実かどうか誰も確認していないようだ)。彼は、特にアメリカ大使館内に高位の友人がいることで知られている(アメリカ大使が崇拝していると信じられている)。

 LinkedInで彼を検索したところ、現在、彼は気候変動と生物多様性のための基金の責任者を務めており、ロンドンと南アフリカのケープタウンに滞在している。彼はオックスフォード大学で博士号を取得しており、クリントンと同じくローズ奨学生だった。アメリカがアフガニスタンに2兆ドルを費やしたという推定を見たことがあるが、多額の資金が流用されたのも不思議ではない。こうした計画から金銭的利益を得るような悪魔的精神を私は持っていない。

 混乱を引き起こして、戦利品を手に入れよう!

 そう、彼らはパイプラインが二度と使用されないようアメリカ人に所有させたいのか、それとも再び使用され、ロシアの安いガスをヨーロッパに高値で売って不当に儲けるのか、どちらかだ。結局、ウクライナの農地を誰が所有するのか見てみよう。モンサント、カーギル、ブラックロックだ。

 男性や青年が戦乱に飲み込まれてしまったため連中は労働力を輸入するだろう。世界は非常に複雑に、非常に脅威的になり、次に何が起きるか誰にも分からないが、歴史が教えてくれることがあるとすれば、何が起きるか予測できる人がいるはずだということだ。

 1918年のスペイン風邪の時の生々しい話を祖母が良く話してくれた。墓掘り人が死体の山に追いつけなかった話だ。今日、大規模取り引きや社会実験や薬物試験に携わる連中は命より利益を重視しているようだ。

 これは完璧な計画だ。外交政策と経済政策を個人の利益と一致させる。破産売却中のパイプライン買収の資金源は依然不明だ。戦略的投資家と日和見投資家が糸を引いているが、費用は納税者が負担する可能性が高い。

 だが、そのような投資の利益は、身元が隠されたままの連中に利益をもたらすのもので、金を払う納税者に利益をもたらすものではない。

 NATOにとってウクライナは絶望的状況にあるようだ。世界の再分割が進行中で、ウクライナは有限の資源をめぐる「新たなグレートゲーム」の一舞台に過ぎない。誰が資源を管理し、誰が利益を得るのかをめぐるゲームだ。

 北極などの他のホットスポットは、それほど目立たないが、同様に戦略的だ。北極には膨大な未開発資源があり、気候変動によって可能になった北極海航路は、フーシ派支配地域やスエズ運河、パナマ運河などの難所を回避し、アジア、ヨーロッパ、アメリカ間のより安全で迅速な貿易を約束する。

 混乱につけこむ不当利得

 ノルドストリーム2事件へのリンチの関与は、制裁やエネルギー市場や地政学的紛争がいかに武器化され、法外な費用をかけて、ロシアからアメリカへというエネルギー依存の癲癇をヨーロッパに強いているかを浮き彫りにしている。

 結局、この事件は、国家利益と個人利益が曖昧になる国家運営と不当利得の融合という、現代アメリカ外交政策の厳しい現実を示している。永遠の疑問は残る。混乱が目的なのか、それとも単にビジネスを行うための代償なのか?

 いずれにせよ、糸を引く連中は利益を得る態勢を整えており、悪影響に苦しむのは世界中の他の人々だ。

 ノルドストリーム2に対するリンチの野望が明らかになるにつれ、そこに働いている体系的パターンを認識せずにはいられない。リビアからウクライナ、更にその先まで、これは混乱や支配や利益の物語だ。

 こうした悪循環について歴史は警告しているが、教訓は無視され続けている。今後も国際社会は、このような搾取的戦略を容認し続けるのだろうか、それとも羊の皮を被った狼連中に挑戦する新たなパラダイムが出現するのだろうか。

 Henry Kamensはコラムニスト、中央アジアとコーカサス専門家

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/12/22/energy-chaos-how-the-u-s-leverages-crises-for-global-dominance-and-profit/

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 Dialogue Works イエメンによるイスラエル攻撃等、地域の問題をイラン人教授が語る
Prof. Mohammad Marandi | Yemen’s Resilience: Defying Expectations and Shattering Israel’s Dreams 46:37
 東京新聞 朝刊 特報面は「学術会議」  
学術会議問題で最終報告 変わる会員選考

 浮かぶ危惧
 遠ざけられる「現会員」

 深まる疑問
 物言う学者の系譜断つ?
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
健康寿命(介護等不要で健康的に生活できる期間).▽女性が75.45歳.▽男性は72.57歳全体的には前回(三年前)からほぼ変なし。健康寿命が最長は男女ともに静岡県。最短は男女ともに岩手県・世界の平均寿命順位①モナコ、②シンガポール、③マカオ。④日本。⑤カナダ。⑦香港。

2024年12月25日 (水)

彼らが我々に語らないシリア



ロレンツォ・マリア・パチーニ
2024年12月21日
Strategic Cultural Foundation

 これは祖国と国民のために戦い、今や人生で最も悲惨な敗北を味わっているシリア人の証言だ。

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お問い合わせ:info@strategic-culture.su

 本記事は、シリア軍司令官だった古い友人との会話から生まれたものだ。その勇気は中東全域で高く評価され、認められていた。昔の時代の本物の社会主義者で、自分の意見を言うことを決して恐れず、矛盾や異なる政治見解にもかかわらず、国と政府への支持を裏切ることは決してなかった。

 彼は海外で組織的活動に携わっており、名前を明かすのを好まないため、我々は彼を架空の名前ラムと呼ぶことにする。彼の言葉に同意するかどうかは別として、これは祖国と国民のために戦い、今や人生で最も悲惨な敗北を味わっているシリア人の証言だ。
 
ラムとの再会

 ラムの個人書斎には充実した人生が漂っている。壁にはシリアの風景を描いた様々な絵画やコーランの祈祷文や彼が参加した戦闘を記念したテラコッタが掛けられている。本棚にはアラビア語の古い本が数冊、様々な言語で書かれた文書のポスターが多数置かれている。あちこちに迷彩服を着た男が砂漠で撮影した今や色あせた写真が飾られている。入り口の方を見ると、戦場から持ち去られ、すぐ旗竿に掲げられたかのようなバッシャール・アル・アサドの顔が描かれたシリア国旗が掲げられている。中央には、黒い喪服のケフィアを被った賢くハンサムなアラブ人の彼の父親の写真がある。

 我々は何年も前から知り合いだった。私は地政学の古典を読み、世界を理解したいという思いで世界を眺めていた子供で、彼は信じられないような状況を生き抜いて私生活に戻り、脚光を浴びることなく他の方法で国のために働き続けた戦士だった。彼が毎回記憶から引き出す逸話を聞くのが大好きだった。それはまるで別の世界に飛び込むようで、西洋からどれほど「異質」であるかを考えると、ほとんどあり得ないようなものだった。何よりも、戦争、自由のための闘争、異なる政治状況が何十年も先のことではなく、傷跡がまだ開いて血を流している新鮮な出来事の世界だった。

 彼はいつもシリアの大義に対する私の支持をとても尊敬してくれていたため、会うのを許してくれたのだ。彼は何千年もの間、歓迎と統合の能力で有名なシリア国民特有の温かさや尊敬や心のこもった対応で私を迎えてくれた。彼は私にコーヒーを勧め、我々は話を始めた。

 「ラム、どう思う?」私は彼に尋ねる。

 会った時の喜びは突然消えた。彼の顔は真剣なものになり深く考え込んでいるかのように頭を前に傾けた。数秒後、彼は顔を上げて言った。「今まで誰にも話したことがなかった。私が知っていたこと、私が見たことを話す時が来たのかもしれない。」

 以下は、最初から最後の一言まで、大きな感情と明らかな痛みを伴って私に伝えられた彼の証言だ。  
我々は既に全て知っていた。

 「私のように、2011年というかなり昔から既にこの出来事の筋書きを垣間見ていた人や、信頼できる人脈から予想していた人を除いて、誰も予想していなかった出来事だった。我々は既に全てを知っていた。バッシャール・アル・アサドが他国指導者たちと何かを準備し、中東での支援が崩壊したり、状況が悪化したりしたら、すぐ退陣できるように準備していたことも知っていた」。会話の真剣さには皮肉や皮肉は入らない。ラムは真剣で、私のプロ意識と我々を結びつける信頼を信じ、自分の言葉の重大さを私に理解させようとした。

 彼が支持し、私に詳細に説明してくれた説は、引用された情報の繊細さゆえ一部は報告できないが、バッシャール・アル・アサドが西洋人と親しすぎたということだ。銀行家の妻、イギリスでの晩餐会、フリーメーソンの匂い、政治家や軍高官の汚職に対するある種の消極的態度など。多くのシリア人が好まない要素が多すぎ、彼が権力を握った2000年には既に、ラムのように革命のため命を危険にさらした人々の間で疑念と失望を引き起こしていた。

 2011年から2013年にかけての出来事、国内の反乱、ジハード主義テロは全て、過去の過ちの結果だった。アサドは欧米諸国に目配せしすぎた…だが東側諸国にも。たとえばロシアに対して。「告白するが、私はそれを信じていたし、期待していた。プーチンなら本当に状況が変わる可能性がある。私は他の支配者を信頼したことはなかったが、信頼した。なぜなら、彼はテロを打倒するために本当に不可欠な支援を提供し、シリアに最低限の国際安全保障を保証してくれたからだ」と彼は多くの記憶を振り返りながら私に語った。「だがロシアも合意に関与していたので、役に立たなかった。我々は二度裏切られた。国として、敵に攻撃を許したロシアに。シリア国民として、自分の身を守るために我々全員を売り渡した大統領に」。ラムの目には怒りが宿っていた。嘘を許さない厳粛な怒りだ。

 「さらに言おう。私にとって、この協定はイスラエルとアメリカが協調して締結したものだ。アメリカのユダヤ人は大イスラエル計画と第三神殿の建設を実現するため中東に関心があり、ロシアのユダヤ人はウクライナ、旧ハザールに関心がある。どちらにしても彼らは勝利する。侵攻に軍隊を送る前からイスラエルは勝利していた」。実際に戦争を経験した指揮官にふさわしい力強く的確な言葉だ。

 彼はその後、アサド大統領の逃亡やシリア奪取が何の苦労もなく行われるという情報が既に数ヶ月前から出回っていたが、余り信憑性がない噂で、事件の説明は矛盾したり不正確だったりすることもあったと私に説明した。だが何かが動いているのは明らかだった。

 自分が戦っていた時に自分が守った都市や、他の国での紛争にも参加していた時の逸話を彼は私に語ってくれた。「私はこれまで、ベイルート、ダマスカス、アレッポ、ハマ、ホムスに敵がやってくるのを見てきた。敵が勝利したと我々に信じ込ませることに成功したものの、その後、我々の兵士の勇気に打ちのめされるのを見てきた。戦争はもう終わりだ、負けそうだと思ったこともあったが、その後、抵抗勢力に新たな勢いを与える出来事が起きた。この時、生涯で初めて、私は敗北を目の当たりにした。」

 これが最も辛い点だ。「我々は負けたのではなく、敗北したのだ。これはもっと酷い。『敗者よ、悲しむべきことだ』とラテン人は言った。」長年の指揮官にとって敗北は最も恐ろしいことだ。シリア国民は常に英雄的抵抗を示してきたが、どこかで何かがおかしくなった。

 「前回私があそこで見たものをご存知だろうか? 貧困、飢餓だ。電気も水もなく、食料も燃料もない。軍隊は極めて危険な状況で自力で生き延びなければならない」と彼は私に、約7千万人のシリアの若者が敵との戦いに命を捧げたと語った。

 血、血、血。中東が常に血に浸らなければならないなどあり得るのだろうか?

 それから彼は軍が監視もせず賄賂を受け取っていた検問所から、高級自家用車、別荘、西洋土産で買収された高官まで自分が目にしてきた腐敗について私に説明してくれた。

 「かつてダマスカスからホムスに向かって車を運転していた時、道端で制服を着たとても若い少年2人に出会った。彼らは痩せていて、タバコを吸っていた。私は彼らを止めて、なぜそんな状態でそこにいるのかと尋ねた。彼らはホムスに行くお金も、24時間の休暇を過ごすお金もないし、食べるお金もないと答えた。私は彼らを車に乗せて出発した。道中、私たちは話をし、基地での悲惨な暮らしについて話してくれた。彼らの毎日の食料配給はトマトとジャガイモ一個だった。週に一回、8人で分け合うため鶏肉が与えられた。私がいた頃は食料があり、兵士には戦闘準備のために十分な食事を与えなければならなかった。どうしてこんなことが起きるのか? 過去13年、政府は軍を完全に破壊した。将校の腐敗、物資不足、国家の大義のための戦いへの無関心。」
 
ソレイマニ、ライシ、ナスララ。誰かが裏切ったのだ

 「2020年に、私が若い兵士として知っていたソレイマニ将軍がアメリカの悪魔に殺された時、何かがおかしくなり始めているとすぐに感じた。彼は単なる将軍以上の存在だった。彼は真の人間で、指導者で、生きた模範だった。残念ながら、彼の後、抵抗枢軸には、様々な国や宗教や民族の何千人もの兵士を同じように調整できる兵士がいなかった。これは非常に大きな戦略的不利だった。」我々は抵抗枢軸の歴史を簡単に振り返り、中東全体への地政学的影響について一緒に考えた。

 「ライシの死を聞いた時、信じたくなかった。あり得ないことのように思えた。その瞬間から、全てが悪化していった。私は毎日、更に恐ろしいことが起こるかもしれないという恐怖を抱きながらニュースを見ていた。そして実際に起きた。ヒズボラとハマスの指導者全員が次々と殺害されたのだ。」それは悲劇的真実で、私にはそれを確認することしかできなかった。

 敵がレバノン抵抗軍の軍事指導者を次々抹殺した速度は信じられないほどで、CIA、MI6、モサドなどの機関が素晴らしい仕事をしたことを証明している。これは議論の余地のない事実だ。数か月間に、中東の政治地理全体が、何年も試みても成功しなかった変化を経験したのだ。

「ナスララのバンカーの座標を知っているのは誰だ? おそらく世界で3人、ハメネイ、ソレイマニ、アサド。ハメネイは裏切るくらいならライフルを手に死を覚悟しているはずだ。ソレイマニは既に排除されている。残るのは一人だけだ…」。この言葉を聞いて私は口をあんぐり開けた。この司令官は大統領の悪口を言ったことはなかったが、政治的に全てを支持しているわけではないことは知っていたが、国全体の利益のために常に指導者の戦いを支持していた。怒り、失望、痛みが真実の言葉を引き出した。賭けではあったが、真実だった。

 なぜなら、未解決の大きな疑問の一つは一体「誰が」ナスララの正確な居場所を明かしたのかということだ。諜報員? スパイ? 金で手に入れた情報? それとも裏切り者? 事実ナスララはもういない。そしてラムの言葉によれば、これは次に陥落するのはレバノンで、その結果、パレスチナは世界中に散らばった最後のアラブ人の記憶の中にしか存在しなくなることを意味する。

 「数日のうちにシリアは陥落した。なぜならシリアは既に国を裏切った支配者連中の意のままに陥落していたからだ。7万人の兵士が数時間で移動し、軍用車両ではなくタクシー(高額な費用がかかる)に乗ってイラク国境に向かった。全て計画通りだった。この侵攻で銃弾は一発も撃たれなかった。これは私が知るシリア軍ではない。この『もの』は品位のない倒錯だ」

 彼は後ろの写真を指差した。軍服を着た兵士がちらり見えた。兵役に就いた際に両親に送ったはがき写真の一枚だ。「あそこの22歳の青年を見てくれ。喉を切り裂いたんだ」。彼は数分間固まり目には涙が浮かんでいた。それは彼の親しい友人の息子だった。
 
これから何が起きるのだろう?

 ラムは、これからの数日、数週間、数か月について話す気はない。アラブと世俗シリアは、もはや存在しない。敗者の言葉にはほとんど価値がない。

 「最近、考えられないようなことが起きている。とても生々しいことなので、このことについてメディアは何も報道していない。70年間の民族的、文化的、宗教的憎悪を想像願いたい。彼らは報復しているのだ。この言葉を発するのは、ほとんど恐怖だ。彼にはイスラム教聖職者の兄弟や甥や姪が何人かいるのを思い出し、少し心配しながら、彼らはどうなのかと尋ねると、彼はこう答えた。「親族をシリアから連れ出そうとしているが、12月8日以来、連絡すら取れない。あの土地の何千人もの人々が受けている悲劇だ。」

 約一時間続いた会話の締めくくりに、ラムはあえて、ほぼ「予言的」予想をした。「私はこう言いたい。昨日はパレスチナ、今日はシリア。明日はレバノンが永久に陥落する。そしてイエメン。イエメンとレバノンが陥落したら次はイランだ。その間には何も残らない。イラクはアメリカ武装集団に包囲されたガソリンスタンドで、簡単に陥落する。トランプ大統領はイランを破壊する準備ができている。既に諜報機関はこれを知っている。ハメネイが死ねば、イランは崩壊する。」数秒の沈黙。ハメネイは、最後に残った「世界的」イスラムの権威で、抵抗枢軸最後の後援者だ。

 「次はロシアの番だ。過激主義の匂いを漂わせた何百万人ものスンニ派イスラム移民が既にロシア都市の街頭にいる。無差別に入国させた国は、その悪影響を味わうことになるだろう。次はローマの番だ。その次は北京の番だ。『長ひげ』連中が赤の広場やサン・ピエトロ広場に行進してくる日を私は待っている。その恐ろしい日が来る前に死にたい」

 ここで我々の会話は終わる。数分間続く深い沈黙。我々は別れを告げるために立ち上がる。私はため息をつき、正式においとまの挨拶をし、ラムが戦った祖国戦争の遺物を最後に再度見る。今日はもうここにはいないが、その模範は永遠に残るだろう多くの英雄や殉教者のように、私も自分の命を捧げる覚悟があるかどうか私は自問する。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/21/the-syria-they-didnt-tell-us-about/

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 陰謀論?
Shocking Clues That PROVE Jolani is a CIA Agent 44:21
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米国のウクライナ支援。米国世論調査ギャラップ。「領土で譲歩があったとしても、早期に終結」が「戦争が長引いてもウクライナが領土を回復するまで、ウクライナを支援」が51%対48%と従来を逆転。
 日刊IWJガイド
■はじめに~今年もあと1週間となりました! IWJが活動を続けられますように、無事に年を越せますように、歳末、緊急でのご寄付・カンパをよろしくお願いいたします! 12月は24日までの24日間で、60件、80万6200円のご寄付・カンパをいただきました。ありがとうございます! これは月間目標額の約23%に相当します。月間目標額の350万円には、あと77%、269万3800円が必要です! IWJの財政は大ピンチです! 11月からカンパの月間目標額を400万円から350万円に下げたのですが、8月からの今期第15期は、4ヶ月連続で未達です!「IWJしか報じていない情報」自体は激増中です!

■トランプ氏に続く、米国第二の権力者に成り上がったイーロン・マスク氏の行動が、次々と波紋!! 米議会で民主・共和両党が合意したつなぎ予算案を、Xへの150もの連続投稿で大幅削除させたマスク氏だが、その多くが「不正確」「誇張」の指摘も! 共和党議員からも反発! マスク氏が削除させた法案には、AI分野で中国への米国の投資を制限する条項も! 他方、マスク氏のスペースX社やチャットGPTのオープンAI社らは、米新興防衛企業と、AIを軍事利用する政府契約に入札するため、コンソーシアム(事業共同体)結成へ! マスク氏設立のAI企業xAI社は、60億ドル(約9440億円)を調達、評価額6兆円を突破!

2024年12月24日 (火)

ロシアでイーゴリ・キリロフ将軍テロ暗殺に加担したNATO



2024年12月20日
Strategic Culturel Foundation
論説

 今週モスクワで起きたロシア人高官暗殺は野蛮なテロ行為だった。卑劣な敵による卑劣な行為でもあった。

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 この事件や数え切れないほどのロシアに対するテロ行為にアメリカとNATO同盟諸国は加担している。だが、イーゴリ・キリロフ中将殺害は特に悪質、卑劣で、戦争のあらゆるルールに違反している。これまでと異なる熟慮された対応が必要だ。

 火曜日早朝、軍補佐官イリヤ・ポリカルポフ少佐とともにキリロフ中将はモスクワの自宅アパートから出てきたところを爆殺された。二人が無防備だったため、ロシア軍の安全保障プロトコルに大きな疑問が生じている。

 建物の入り口近くに駐車していたスクーターに仕掛けられた爆弾が爆発し、二人は即死したとみられる。その後、犯罪捜査官らが現場を封鎖する中、雪に覆われた歩道にうつ伏せになった二人の遺体が発見された。陰惨な光景で、ロシアの敵が、いかに戦争状態にあるかを冷徹に物語っていた。

 暗殺者連中が現場の車に隠したカメラで、キリロフと側近はリアルタイムで監視されていたとみられる。爆弾は遠隔操作で爆発した。これほど巧妙な待ち伏せ攻撃にNATO高官や装備が関与していなかったとは信じ難い。

 木曜日のダイレクトライン記者会見で、この殺人はテロ行為だとロシアのウラジミール・プーチン大統領は非難した。死亡した将軍には、死後ロシア英雄勲章が授与された。

 2017年以来、キリロフはロシアの放射線・化学・生物防衛軍司令官を務めており、大量破壊兵器からロシア国民を守る任務を負っていた。NATOが支援する侵略を無力化するために、ロシアがウクライナで特別軍事作戦を開始して以来、キリロフの調査チームは国防総省が運営するウクライナの生物兵器研究所のネットワークを発見した。

 ロシアの主張は、生物兵器研究所の活動を裏付ける傍受されたアメリカ機密文書に基づいているようだ。キリロフのプレゼンテーションと詳細な報告は、大量破壊生物兵器製造への国防総省の不気味な関与について国際的警戒を引き起こした。ロシアの調査によると、生物兵器計画はオバマ政権とバイデン政権に承認されていた。計画には、アメリカの大手製薬会社、エンジニアリング会社、金融会社も秘密裏に関与していた。

 キリロフとそのチームによる物議を醸す研究は、アメリカにとって大きな恥辱の源となったが、「クレムリン偽情報」だと欧米メディアはあっさり否定した。先祖の第三帝国が信じていたように、大量虐殺によるロシア破壊を信条とするネオナチ政権が推進する組織的バイオテロ計画にワシントンが関与しているのをこの研究が暴露したとされている。

 アメリカ生物兵器産業がウクライナにあるという疑惑が発覚したことで、キリロフ中将は優先標的となった。この背景が彼の殺害につながったと元CIAアナリストのラリー・ジョンソンは述べている

 この暗殺はアメリカの生物兵器計画に関する真実の隠蔽が狙いだったと他の評論家たちは主張している

 だが、この幹部を排除しても、彼の調査チームがまとめた調査が無効になるわけではない。これら元研究所から回収された文書化された情報と物的証拠は、国際法廷に提出できる進行中の調査なのは確実だ。独立した専門家が裁定する世界フォーラムに、この調査を、持ち込むようロシア当局は努めるべきだ。

 キリロフ殺害実行犯は、ウクライナ軍情報局(SBU)が黒幕だと報じられている。SBUが攻撃実行のため採用したウズベキスタン国籍の人物がロシア国家保安部に逮捕された。

 金曜日、ロシアのキーウ空爆でSBU管制センターが破壊された。報道によれば、ウクライナ人高官数名が死亡したとのこと。これは報復措置とみられる。

 だが、加害者の問題は、より広く、根深い。アメリカやイギリスや他のNATO諸国は、過去三年、キーウ政権が犯したあらゆるテロ行為に責任がある。これはキリロフ中将と側近の残忍な暗殺だけでなく、ドネツク、クルスク、ブリャンスク、ロストフなどにおけるロシア民間人に対する数え切れないほどの攻撃にも当てはまる。

 キリロフ殺害で特に不快なのは、キリロフ暗殺をNATO諸国が仕掛けておきながら、路上に横たわる血まみれの遺体に歓喜した様子だ。キリロフの死をグロテスクに喜ぶイギリス・メディアが目立った。SCFのコラムニスト、フィニアン・カニンガムの論評(拙訳はこちら)を参照。

 殺人現場のBBC取材班の語り口は鮮血によだれを垂らすジャッカルの群れのような口調だった

 今年初め、ウクライナの戦場で化学兵器使用をキリロフが監督したとアメリカとイギリスは非難した。これは根拠のない非難で証拠は示されなかった。化学兵器使用をロシアは否定し、使用したのはウクライナ軍だと反論した。NATOが支援する政権に対する軍事的前進が急速に成功しているのを考えればロシアによる化学兵器使用は全く意味をなさない。

 国連監視機関の化学兵器防止機関による最近の報告書は、ウクライナが提供したサンプルに基づいているにもかかわらず疑惑の事件に結論を出しておらず公平とは言い難い。

 いずれにせよ化学兵器使用はキリロフ中将の任務ではなかった。彼の広範な仕事は、国防総省が運営する生物兵器計画の疑惑を追跡し、脅威に対抗することに費やされた。

 アメリカとイギリスが狙っていたのは、彼を中傷して暗殺を仕組むことだった。10月、このロシア司令官に制裁を課すとイギリスが発表した。イギリス外務省の告発文は、甲高く大げさで、何の証拠もなかった。悪者に仕立て上げるためのプロパガンダだった。

 イギリスの非難を受けて、ウクライナ軍情報部はキリロフを戦争犯罪人として指名した。今週の攻撃直前、SBUは事実上の死刑宣告を出していた。

 この殺人に対する復讐をロシアは誓った。キーウのSBU司令センター攻撃は正当とみなせる。だが、それは一体、同等なものだろうか?

 ロシアに対するテロ首謀者のアメリカとイギリスが痛みを感じない限り、ロシア国民に対する残虐行為は続くだろう。

 ロシアに対する組織的蛮行や侵略にNATO諸国は加担している。先月、無敵のオレシュニク極超音速ミサイルをロシアは披露し、報復の脅しをかけたが、今週のATACMS、ストームシャドウ、HIMARSによるロシア領への度重なる攻撃が示している通り、残念ながら連中は耳を傾けていない。クルスク州リルスクの医科大学施設がアメリカから供与されたHIMARSロケット攻撃を受け、民間人数人が死亡した。

 これは尊敬される将軍がモスクワの自宅前で暗殺された同じ週のことだった。その後、様々なメディアを通じて、CIAとMI6の首謀者連中は、この件を笑いものにした。

 次期アメリカ大統領ドナルド・トランプが、紛争解決に、より積極的になるかもしれないという期待から、ロシアは、より強力な報復の誘惑に抵抗すべきだろうか?

 トランプ登場を待つのは、おそらく、まともな戦略ではない。そもそも彼は成功するだろうか? 一方、犯罪をしてもお咎め無しで済むテロ首謀者連中は殺人を続けるだろう。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/20/nato-complicit-in-terrorist-murder-russia-general-igor-kirillov/

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 PBD Podcast 亡命元ウクライナ大統領府顧問オレクシー・アレストヴィチ全てを語る (本人ロシア語)英語翻訳
"I Trust Putin More Than Zelenskyy" - Exiled Zelenskyy Top Insider Oleksii Arestovych TELLS ALL 1:49:58
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
日本1人当りGDP、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中22位(2013年11位)、、21位の韓国の下。CIAの購買力平価ベースの1人当り「真のGDP」では世界の各国・地域では51位。如何に安倍首相時代から今日まで日本経済の凋落が激しかったか。多くの日本人はだまされました。

2024年12月23日 (月)

キリロフ殺害首謀者を思わず漏らすイギリス・メディアの喜びよう



フィニアン・カニンガム
2024年12月19日
Strategic Culture Foundation

 モスクワでのロシア高官暗殺を巡るイギリス報道機関の騒ぎは、いくつかの点で示唆に富んでいる。

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 モスクワでのロシア高官暗殺を巡るイギリス報道機関の騒ぎは、いくつかの点で示唆に富んでいる。

 まず第一に、これは、いわゆるジャーナリズムのひどい実例だ。イーゴリ・キリロフ中将の血まみれの遺体が雪の中に横たわっているのを見て、イギリス・メディアが祝賀ムードを醸し出したことは、敬意の卑劣な欠如を物語っている。これはイギリス文化堕落の深さを物語っている。

 それに比べると、アメリカ・メディアによる暗殺事件報道は比較的平凡で事実に基づくものだった。

 イギリスはそうではなかった。イギリスメディアは、ほとんど陶酔的反応を示した。

 国防総省の反応は示唆的だった。この殺害へのアメリカの関与をパトリック・ライダー報道官は否定した。アメリカは暗殺について事前に知らされていなかったと彼は述べ、アメリカはこのような行動を支持しないと付け加えた。

 もちろん、そのような否定は常に懐疑的に扱われるべきだ。

 だが、アメリカ人が控えめな態度を貫く良識を持っていたのに対し、イギリス人はその残忍さに浮かれていた。

 ロンドン・タイムズ編集委員会はキリロフ中将は暗殺の「正当な標的」だと宣言した

 デイリー・テレグラフ紙は、ハミッシュ・デ・ブレトン=ゴードンによる論説記事を掲載し「プーチンの化学兵器担当の手下キリロフは本当に邪悪な男だった。死刑に値した」という見出しをつけた。

 一方、BBCはキリロフを「クレムリン偽情報の悪名高い代弁者」と評した外務省説明を軽々しく利用し、暗黙のうちに殺人を正当化した。

 ガーディアン紙は、報道基準をすっかり、かなぐり捨てて、ロシア嫌いの記者ルーク・ハーディングが、ウクライナ軍情報局(SBU)の「成功」を称賛し、こう付け加えた。「SBUは、独自の残忍な超法規的処刑を執行する組織としての評判を固めた。まるで天から降ってきたかのような突然で素早い復讐だ。」

 ウクライナ諜報機関が関与していたのは確実だ。SBUは犯行声明を出し、モスクワのアパートの外で起きた爆破事件の映像を欧米メディアに配信している。この爆破事件で、火曜日朝、キリロフと補佐官がアパートから出てきたところを殺害された。

 ウクライナ工作員に雇われて、キリロフのアパートの通り側入り口に爆発物を搭載したスクーターを仕掛けたとされる29歳のウズベキスタン人をロシア保安局(FSB)が逮捕したと報じられている。10万ドルの支払いとヨーロッパ・パスポートを約束されたと容疑者は言っている。

 これら全てが暗殺にNATO軍事情報機関が深く関与していることを示している。アメリカのCIAとイギリスのMI6はウクライナ軍事情報機関の背後にいる二大主要機関だ。

 だが状況は、イギリスが主犯であることを示している。

 10月、ウクライナの戦場で化学兵器の使用を監督したとしてキリロフを非難した後、イギリスは彼に制裁を課した。モスクワはこれを激しく否定した。イギリスは信頼できる証拠を示さずに陳腐な主張だけした。更に、ロシアが紛争で決定的に勝利していることを考えれば、この主張は意味をなさない。一体なぜ化学兵器使用に頼る必要があるだろう?

 キリロフ中将はロシア軍の放射線・化学・生物防衛軍の司令官だった。部下の捜査官たちは、ペンタゴンが運営するウクライナにある生物兵器研究所の秘密かつ違法なネットワークを発見した。彼らの捜査により、生物兵器研究所がアメリカ大統領レベルで認可され、アメリカ大手製薬会社が関与している実質的証拠が得られた。典型的に、その情報を考慮せず、ロシアの主張を「クレムリン偽情報」だと欧米諸国は否定したのだ。

 言い換えれば、キリロフの仕事は、イギリスが主張したように化学兵器使用を監視することではなく、NATOが運用する大量破壊兵器の阻止に主眼を置いていた。

 三年前にウクライナ紛争が勃発して以来殺害されたロシア軍司令官として、キリロフは最高位の人物だ。

 イギリスの狙いは、キリロフを「化学兵器の手先」で「邪悪な男」として悪者に仕立て上げることだった。その後、このロシア人将軍は「戦争犯罪者」だとウクライナ諜報機関が非難した。今週、暗殺前日に、死亡通知をウクライナは発表していた。

 キリロフの生物兵器に関する捜査が、アメリカにとって不利な可能性があったこと、それにバイデン大統領が関与していたことを考えると、イギリスより、アメリカに、キリロフ排除の動機があったと主張するむきもあるかもしれない。

 だが、おそらくそれは暗殺の動機ではなかった。単に心理作戦で、彼は注目度の高い標的だったにすぎない。

 キーウ政権背後の主要諜報機関としての地位を、アメリカからイギリスが引き継いだという重要な見解をウクライナ野党政治家ヴィクトル・メドヴェドチュクは示している。ウクライナ傀儡大統領ウラジミール・ゼレンスキーと取り巻きを利用して、ロンドン銀行に流れ込むウクライナに送られるアメリカと欧州資金の多くをイギリスが洗浄していると彼は述べている。

 ウクライナ紛争の終結とキーウ軍事政権への資金供給停止について、次期アメリカ大統領ドナルド・トランプが懸念を表明する中、イギリスはそうした取り組みを妨害したい考えだ。紛争と金銭授受をイギリスは長引かせたいのだ。

 モスクワでのロシア高官暗殺は、クレムリンに屈辱を与え、四週間後に大統領に就任するトランプ大統領との和平交渉の可能性を台無しにする形での紛争激化誘発が狙いだ。

 イーゴリ・キリロフとイリヤ・ポリカルポフ補佐官殺害をイギリス・メディアが大喜びしていることが悪意あるイギリスの行為を暴露している。

 被害者が中傷され非難されただけでなく、殺害が美化された。致命的爆発直後にモスクワ市民が感じた「深い衝撃」の報道に特にBBCは強い関心を示した。

 国営メディアは以下のように論評した。「深い衝撃を受けていると、この地域に住む人々はBBCに語った。ロシアのウクライナ全面侵攻から三年近く経った今でも、多くのモスクワっ子にとって、戦争は遠く離れた場所で起きていることで、テレビや携帯電話でしか見られない。モスクワでロシア人将軍が殺害されたことは、この戦争が現実で、非常に身近なものであることを示している。」

 イーゴリ・キリロフ殺害に対して報復するとロシアは誓った。キーウのゼレンスキー大統領と取り巻き連中は確実に身構えている。ロンドンのイギリスの狼人間連中も安全保障体制を再確認した方が良いかもしれない。

 ロシア治安機関のやり方も問われるべきだ。クレムリンから僅か数キロの場所に、どうしてこれほど容易に侵入できたのか。しかも、これが初めてではない。つい先週、上級ミサイル科学者ミハイル・シャツキーが、ウクライナ秘密機関によるものとされる攻撃でモスクワで射殺されたばかりだ。

 だが復讐という点で、ロシアが甘すぎるかどうかも問われるべきだ。キーウ傀儡以上にテロ活動の黒幕も、イギリス人が好んで言う「正当な標的」とするべきだろうか?

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/19/british-media-gloating-betrays-masterminds-behind-kirillov-killing/

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 Daniel Davis / Deep Dive 諜報機関が吹き込むウソゆえ正しい大統領判断は困難
Col Doug Macgregor: Trump Up Against the Globalists in the Ukraine Russia War 15:47
 日刊IWJガイド
「第2次トランプ政権で、ウクライナ・ロシア担当特使となるキース・ケロッグ氏が、『今は停戦のパーフェクトなタイミング』と表明!」2024.12.23号

■はじめに~第2次トランプ政権で、ウクライナ・ロシア担当特使に指名されたキース・ケロッグ退役陸軍中将が、1月に欧州とキエフを歴訪予定! ケロッグ氏「今は、停戦のパーフェクトなタイミング」「ロシアとの消耗戦に入りたくない」! トランプ氏の大統領就任式にあわせて、米国は停戦への準備を進める!? ただし、ウクライナ支援から米国が抜けた後のNATOとEUによる「欧州平和維持軍」の派遣に関する協議は難航中! 日本、特に外務省は武器支援の権化のバイデン政権の追随をいいかげんやめて、「トランプ2.0停戦」に向けて方向転換する準備をすべきではないか!?

■【本日のニュースの連撃! 2連弾!】

■【第1弾! 自民・公明・国民民主の3党協議で「103万円の壁」の引き上げ額が合意できないまま、与党は税制改正大綱に123万円への引き上げを明記!】財源確保は「政府・与党側の責任だ」と主張し、さらなる引き上げを要求する国民民主に、自民党の小野寺五典政調会長が「何で穴埋めするのか提案してもらいたい」と逆ギレ! 切るべき無駄な支出はウクライナへの支援に増税してまでの防衛費増などいくらでもある! 試算では123万円への引き上げでの減税額は、年収300万円でわずか5000円のみ! SNSでは自民党から対応を一任された「財務省の代弁者」、宮沢洋一税調会長の10年前の「SMバー」スキャンダルも再燃!

■【第2弾! 衆院農水委員会で江藤拓農水大臣が「国民は輸入したものが食べたいんですよ」と述べ、食料自給率を高めると「生産過剰になる可能性がある」と売国的答弁!】内閣府の世論調査では、「買い物や外食時に、国産食材を積極的に選ぶ」と答えた人が、73%! 記録的な米価高騰で、輸入米まで品薄なのに、江藤農水大臣のお粗末過ぎる「食料安全保障」への認識! 自給率を下げてまで米国から輸入したいのか!? 有事の際には1億列島が飢えることに!! 自民党石破内閣に「有事」を語る資格なし!(『衆議院インターネット審議中継』、2024年12月18日)

2024年12月22日 (日)

ガザに関する新たな報告

2024年12月19日
Moon of Alabama

 ガザに関する報道を主流メディアはほとんど止めたようだ。だがガザの人々に対するシオニストうよる大量虐殺は続いている。現地のシオニスト勢力がそれを行っている様子をハアレツ紙は記録し続けている。  
「民間人はいない。全員テロリストだ」:ガザのネツァリム回廊での恣意的殺害と無法の蔓延をイスラエル国防軍兵士が暴露- (アーカイブ) -ハアレツ
 「200人の遺体のうち、ハマス・メンバーと確認されたのはわずか10人だ」:係争中のネツァリム回廊で架空の境界線を越えた者は全員射殺され、パレスチナ人犠牲者全員、たとえ子どもでもテロリストとみなされるとガザで任務に就いていたイスラエル国防軍兵士がハアレツに語る。
 ネツァリム回廊はガザの東境界から海まで続く線だ。ガザの北と南を分断するため、シオニストは地域の全ての建物を破壊した。毎日回廊を「警備」する兵士たちは恣意的殺人をするよう命じられている。  
ネツァリム回廊は幅7キロの細長い土地で、ベエリ・キブツ付近から地中海沿岸まで伸びている。軍用道路や軍事拠点を建設するため、イスラエル国防軍はこの地域のパレスチナ人住民を追い出し、彼らの家を破壊した。

 パレスチナ人は公式に立ち入り禁止だが、現実は単なる立ち入り禁止区域より厳しい。「これは軍の隠蔽行為だ」と、ガザで予備役として三回勤務した第252師団の上級将校は説明する。「師団長はこの地域を『kill zone 殺害区域』に指定した。立ち入る者は全員射殺される」
 これは、不良兵士の行為ではなく、軍の政策によるものだ。  
「血まみれの死体に我々は近づき、写真を撮り、携帯電話を奪った。彼はまだ少年で、たぶん16歳だった」。諜報員が遺品を回収し、数時間後、戦闘員たちは少年がハマス工作員ではなく、ただの民間人だと知った。「その夜、我々の大隊長はテロリストを殺したことを祝福し、明日は10人殺せると期待していると言った」と戦闘員は付け加えた。「彼が武器を所持しておらず、民間人のように見えると誰かが指摘すると、全員彼を叱りつけた。指揮官はこう言った。『境界線を越える者は全員テロリストだ。例外なく、民間人もだ。全員テロリストだ』」
...
 別の事件では、立ち入り禁止区域に指定されているワディ・ガザに向かって歩いている二人を監視所が発見した。二人が白旗を掲げ、両手を挙げて歩いているのがドローンでわかった。副大隊長は兵士に射殺するよう命じた。一人の指揮官が抗議し、白旗を指差して人質かもしれないと示唆したが却下された。「白旗が何だか私は分からない。射殺しろ」と、旅団5の予備役副指揮官は主張した。二人は最終的に南に引き返したが、抗議した指揮官は臆病者と非難された。
...
 ドローン映像で「大人2人が子ども2人を連れ、立ち入り禁止の線を越えている」のを見たと第99師団の予備役は述べている。2人は武器を持たず、何かを探しているようだった。「ドローンと武器を向けて完全に監視していたが、何もできなかった」と彼は言う。「突然、大きな爆発音が聞こえた。戦闘ヘリコプターがミサイルを発射したのだ。子どもにミサイルを発射することが正当だと考える人がいるだろうか? しかもヘリコプターで? これは全く邪悪だ。」
 これは、殺害回廊内の視界内の全員を恣意的に殺害するだけでなく、全住民からの水や食料や医療必需品の組織的な剥奪だ。

 国境なき医師団(MSF)は、これは明らかに意図的な大量虐殺だと主張する多くのそのような 組織で最新のものだ。  
ガザの死の罠:国境なき医師団報告書、イスラエルの完全破壊作戦を暴露- MSF

 「終末的状況を生き延びるためにガザの人々は奮闘しているが、安全な場所などどこにもなく、誰も逃れられず、破壊された地域から出る道もない」と、今年初めにガザを訪れた国境なき医師団(MSF)事務局長クリストファー・ロックイヤーは語っている。

 「最近の北部での軍事攻撃は、ガザに対してイスラエル軍が行っている残忍な戦争の鮮明な例で、パレスチナ人が強制的に避難させられ、閉じ込められ、爆撃されるなど、民族浄化の明らかな兆候が見受けられる」とロックイヤーは言う。「この紛争の間ずっと、我々医療チームが現場で目撃したものは、ガザで大量虐殺が起きていると結論づける法律専門家や団体が増える中、その説明と一致する。」

 「意図的かどうか立証する法的権限が我々にはないが、大量殺戮や深刻な身体的・精神的健康被害や強制移住や包囲や爆撃下にあるパレスチナ人の耐え難い生活条件など、民族浄化と進行中の荒廃の兆候は否定できない」とロックイヤーは付け加えた。
 報告書から:  
攻撃中、食糧、水、医薬品などの必需品がガザ地区に入るのをイスラエル軍は阻止してきた。イスラエル軍は人道支援を拒否、遅延、あるいは手段化し、住民の実際の必要性や苦しみの水準を全く無視し、微々たる量の援助しかガザ地区に入れなかった。
 毎日、ガザで何十人もの人々を、シオニスト軍は力ずくで殺害し続けている。だが生活に必要な手段がないために死ぬ人々は余り注目されない。自分は他者より優れていると信じる狂信者連中のおかげで、毎週何千人もの人々が命を落としている。

 そんなわけなどない。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/12/new-reports-on-gaza.html#more

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 クリス・ヘッジズ、ショージ・ギャロウェイ番組でパレスチナ・イスラエルを語る。

The Chris Hedges Report

Chris Hedges on MOATS: Catastrophe for the Palestinians and the Region 20:37 Chris Hedges Dec 22, 2024

2024年12月21日 (土)

ロシア - 挑発に応じるか、それともチャーリー・ブラウンのようにルーシーのサッカー・ボールで騙されるのか?

2024年12月17日
Moon of Alabama

 今朝早く、モスクワでウクライナ軍事情報局の暗殺者がロシアの放射線・化学・生物防衛軍の司令官、イーゴリ・キリロフ中将を殺害した。  
核・生物・化学戦力司令官イーゴリ・キリロフ中将がモスクワの住宅から出る途中、爆発で死亡したとロシア軍は声明で発表した。

 近くに駐車していた電動キックボードに爆発物が隠されていた。キリロフ側近もこの襲撃で死亡したと捜査委員会は述べ、刑事捜査を開始すると発表した。ポリティコが入手したビデオ映像は、この事件説明を裏付けている。
 キリロフは普通のアパートに住んでいた。補佐官が仕事に迎えに来ていた。彼らは監視されており、彼らを監視(および撮影)していた誰かが引き金を引いたのだ。

 キリロフは著名人物だった。ウクライナにおけるアメリカの秘密生物兵器実験について、彼は何度か公開講演を行っていた。  
キリロフの死亡について、彼は軍人生活で終始「シリアでの化学兵器によるNATOの挑発行為、ソールズベリーとエイムズベリーでのイギリスによる禁止化学物質の扱いや挑発行為、ウクライナでのアメリカ生物学研究所の致死的活動など、英米の犯罪を繰り返し暴露してきた」とロシア外務省ザハロワ報道官は述べた。

 「彼は恐れることなく働いた。人々の背後に隠れることはなかった」とザハロワは述べている。
 もちろんこれは、ドナルド・トランプ次期大統領がおそらく進めるロシアとの和平交渉を困難にするため、ウクライナが仕組んだ挑発行為だ。

 ロシアにとっての問題は、これに、どう対応するかだ。

 全力で反撃して、この事件の責任者たるキーウの「意思決定センター」を破壊するべきだろうか?(注:「意思決定センター」の正確な定義には、キーウにあるアメリカとイギリス大使館も含まれるだろう。)

 それとも、ドナルド・トランプとのウクライナ問題に関する交渉が、一時的であれ、実際何らかの前向きな結果をもたらすことを期待して、待つべきなのだろうか?

 難しい質問だ。

 トランプ新政権の全体的構成はタカ派的だ。

 従って、ロシアにとってプラスになると考えられるいかなる合意も、それが書かれた紙の価値しかないと、ジェームズ・ジョージ・ジャトラスは書いている。  
一時的休戦や停戦や、破るために結ばれる合意や、現在の拡大する軍事的優位をロシアに放棄させるための身勝手な策略としての休戦は受け入れないとロシアは明言している。(...) 相互の安全に基づく永続的平和を保証する、本物の、決定的な、拘束力ある和解が必要で、さもなければ、ロシア軍は、彼らの目的、特にウクライナの「非軍事化と非ナチ化」が軍事的に実現するまで押し進むとロシアは主張している。そのような結果は、少なくともキーウ現政権転覆を意味し、より可能性が高いのは、ウクライナ国家の終焉だ。

 欧米諸国にとって、これはアフガニスタン規模の大惨事となり、事実上、アメリカ帝国の至宝、ヨーロッパにおける覇権の終焉を告げることになる。それを避けるために、トランプはロシアに何を提供できるだろう?

...  トランプ政権にとっての本当の問題は、過去に何度も破られた約束に、これ以上頼らないというロシアが表明した決意に、どれほど余裕があるのかという政治的問題になる。言い換えれば、ルーシー・トランプが、GAEとBRICS-ユーラシアの世界対立のヨーロッパ戦線で完全敗北を避け、イランや中国と争いたければい、 チャーリー・ブラウン・プーチンをだまして、再びサッカー・ボールに挑戦させられるのだろうか?

 少なくとも彼なら成功する可能性は高いと私は思う。
 ジャトラスは、ロシアに対しアメリカが一時的に譲歩し、後にそれらの各項についてことわざどおりにボールを引っ込める可能性があるいくつかの点を列挙している。

 ロシアは当然これを予想しているはずだ。しかし、挑発に乗るか、それとも別の方法を見つけるかという最初の疑問は、より大きな文脈の中で問うことも可能だ。

 2019年、国防総省シンクタンクRANDは、ウクライナ戦争をもたらした主要政策文書を発表した。

 Extending Russia - Competing from Advantageous Ground(能力以上にロシアに背伸びさせる - 有利な立場で競争する)

 要約はこう述べている。  
この報告書は、ロシアに手を広げさせるための様々な手段を検討している。2018年の国家防衛戦略で認められている通り、アメリカは現在、ロシアとの大国間競争に関与している。この報告書は、アメリカが自らの権益のために競争できる分野を定義しようとしている。欧米とロシアの情報源からの定量的、定性的情報を利用して、この報告書はロシアの経済的、政治的、軍事的な脆弱性と不安を検証している。次に、それらをイデオロギー的、経済的、地政学的、軍事的(航空宇宙、海上、陸上、マルチドメイン選択肢を含む)に利用するための可能性ある政策選択肢を分析している。各対策について説明した後、この報告書は関連する利点、コスト、リスク、および対策がうまく実施され、実際にロシアに手を広げさせる可能性を評価している。この報告書で取り上げられている手順のほとんどは、ある意味エスカレーション的で、そのほとんどはロシアによる対抗エスカレーションを引き起こす可能性がある。
 ウクライナを武装させて、ロシア介入を誘発させるのは、ロシア連邦を弱体化させる最も「効果的な」方法だと考えられていた。

 ウクライナで特別軍事作戦を開始して、実際ロシアはランドが計画した挑発に騙されたのだ。その時点で、ロシアには他に選択肢はなかった。

 アメリカの対ロシア強硬派はロシアをウクライナに閉じ込めておくため全力を尽くすだろう。

 だが紛争の長期化が欧米諸国にもたらす危険が増大していると見る人々もいる。紛争が引き起こした経済的損害は既に甚大で、アメリカの能力を対中国紛争から転用させている。

 トランプの平和への誘いは、RANDの罠からロシアが抜け出すための現実的選択肢になるかもしれない。

 全てを賭けてキーウを占領し、ウクライナを国家として打倒するか、交渉を選び、いくつかの問題で譲歩し、永続的になるかもしれない(あるいは永続的にならない可能性が高い)不完全な解決策に同意するか、どちらかだ。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と周囲の人々は、これら困難な問題について熟考することになるだろう。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/12/russia-agree-to-be-provoked-or-fall-for-lucys-football.html#more

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 Judging Freedom
INTEL Roundtable w/ Johnson & McGovern : Weekly Wrap Up  32:18

2024年12月20日 (金)

アラブ世界を消滅させる夢をビビは実現したのか?

マイク・ホイットニー
2024年12月14日
The Unz Review



 上の地図をご覧願いたい。全てが説明されている。

 これが今日の現地の現状だ。シリアの大部分は、アルカイダ(HTS)、クルド人(SDF)、IDF(イスラエル)、トルコ、シリア軍残党(SAA)の5集団に支配されている。もちろん、状況は非常に流動的なため、敵対集団同士の争いにより、近い将来、領土の一部が交代する可能性がある。しかし、変わらないことがある。統一され、連続し、実行可能な中央支配のシリア国家をまとめられる政府は出現しない。そういうことは起きない。様々な軍隊は強力すぎて、どの集団も、他集団を粉砕し、シリアが以前に支配していた領土全体を支配する政府を再建することはできない。

 なぜそれが重要なのか?

なぜなら、既にイスラエルは当初から求めていたことを実現したと認める必要があるからだ。彼らはアサド政権打倒のために同盟諸国を動員しただけでなく、国家としてのシリアを消滅させた。シリアは消滅した。もはや存在していない。そして、それが40年以上もイスラエルの狙いだったのだ。

 従って、先週の出来事を、偶然や突発的なものとして見るべきではない。そのどちらでもないからだ。起きたことは全て、40年以上前にシオニスト知識人(オデッド・イノン)が作成した戦略的青写真と密接に一致しており、伝記作家イスラエル・シャハクによれば、その青写真は「中東全域を小国に分割し、既存のアラブ諸国を全て解体する、正確で詳細な計画」だ。以上。

 ここで読者は、少し立ち止まり、これが過去20年中東で見られた終わりのない戦闘と混乱を正確に説明しているかどうかを正直に考える必要がある。

 答えは「その通り」だ。イラク、リビア、レバノン、シリアなど。これらはただの国の羅列ではなく、地域支配のためのシオニスト・チェックリストの議題項目だ。だから、戦争がアサドや石油やパイプラインやハマスやイスラエルの安全保障と関係があると考えるのはやめよう。なぜなら、関係ないからだ。これらは中東全域でイスラエル覇権を確立することを目的とした戦争だ。オデッド・イノン著『A Strategy for Israel in the Nineteen Eighties(1980年代のイスラエル戦略)』という書名の本そのものを見てみよう。  
イスラム教アラブ世界は、住民の希望や願望を考慮に入れずに外国人が作り出した一時的なトランプの家のように構築されている。…今日、全てのアラブのイスラム国家は内部からの民族的社会的破壊に直面しており、いくつかの国では既に内戦が激化している。イスラエルの東側の全てのアラブ諸国は引き裂かれ、分裂し、紛争に満ちている…モロッコからインド、ソマリアからトルコに広がるこの国家的少数民族は、地域全体に安定が欠如し、急速に劣化していることを示している。この状況を経済的なものと合わせると、地域全体がトランプの家のように構築され、深刻な問題に耐えられないことがわかる… A Strategy for Israel in the Nineteen Eighties(1980年代のイスラエル戦略)オデッド・イノン、voltairenet


 そこで、著者は冒頭の段落で、イスラエルの戦略的優位性のために利用できる現在の社会の脆弱性を特定している。もちろん、焦点は「少数民族」にあり、社会内の既存の分裂を悪化させ、より大きな政治体制を弱体化させて政権転覆に導くために扇動される可能性がある。ここで重要な点がある。  
西部戦線は…実際、東部戦線ほど複雑ではない。レバノンが5つの州に完全に解体されたことは、アラブ世界全体にとって前例となる…シリアとイラクを後にレバノンのような民族的または宗教的に独自な地域に解体することは、長期的にはイスラエルの東部戦線における主目標で、これらの国々の軍事力解体は主な短期目標だシリアは、その民族的および宗教的構造に従って、現在のレバノンのように、いくつかの国家に分裂し、海岸沿いにシーア派のアラウィ国家、北の隣国に敵対するダマスカスのスンニ派国家、そしておそらくゴラン高原と、確実にハウランと北ヨルダンに国家を設立するドルーズ派が存在することになる。この状況は、長期的に、この地域の平和と安全を保証するもので、その目標は今日既に我々の手の届くところにある… A Strategy for Israel in the Nineteen Eighties,(1980年代のイスラエル戦略)オデッド・イノン、voltairenet
 繰り返す。「この状況は、長期的に、この地域の平和と安全を保証するものだ。」言い換えれば、社会内の他集団に対する民族的、宗教的暴力を煽ることが、地域支配を達成するための作戦戦略だ。イスラエルの安全を確立するためには、アラブ人が互いに殺し合うように促さなければならない。

 お分かりだろうか?

 パレスチナ人に関して、こんな小さな事実がある。  
真の共存と平和が土地にもたらされるのは、アラブ人が、ヨルダン川と海の間にユダヤ人の支配がなければ、存在も安全もないことを理解した時だけだ。彼ら自身の国家と安全はヨルダンでのみ彼らのものとなる。 A Strategy for Israel in the Nineteen Eighties, 1980年代のイスラエル戦略、
 覚えておいてほしいのは、これが1982年に書かれたものであることだ。つまり、ネタニヤフ政党の政治家連中には、平和のために土地を交換する意図も、占領地から撤退するというアメリカ決議242に基づく義務を果たす意図もなかったのだ。これは常に、騙されやすいアメリカの愚か者連中を混乱させるのを狙った策略だった。

 経済学者のジェフリー・サックスは、我々がここで述べたことの多く肯定している。彼は最近、YouTubeのインタビューで、中東における最近の戦争の責任は全てベンヤミン・ネタニヤフにあると率直に語っている。サックスがコンソーシアム・ニュースの最近の記事で述べている内容は下の通りだ。  
今週のシリア陥落は、ネタニヤフ首相が就任した1996年に遡るイスラエルとアメリカによる対シリア作戦の頂点だ。イスラエルとアメリカの対シリア戦争は、2011年と2012年に激化した。当時、バラク・オバマ前アメリカ大統領は、秘密裏に、CIAに「ティンバー・シカモア作戦」でシリア政府を打倒する任務を与えていた。…

 シリア崩壊は、10年以上にわたる厳しい経済制裁、戦争の重圧、アメリカによるシリアの石油の押収や、最近では、イスラエルによるヒズボラ攻撃により、急速に進んだ。この地域を戦争で変革する、ほぼ30年前にさかのぼるネタニヤフの野望が、今、我々の目の前で展開されているのだ…

 シリア政府を打倒するイスラエル作戦の長い実績は広く理解されていないが、文書記録は明きらかだ…。

 シリアに対するイスラエルの戦争は、1996年にアメリカとイスラエルのネオコンによって始まった。彼らはネタニヤフ首相就任時に、中東に対する「クリーンブレイク」戦略を考案した…。「クリーンブレイク」戦略の核心は、イスラエル(とアメリカ)が「平和のための土地」を拒否すること、つまり、イスラエルが平和と引き換えに占領下パレスチナの土地から撤退するという考え方を拒否することだった…。

 ネタニヤフの戦略はアメリカの外交政策に組み込まれていた。シリアを制圧することは常に計画の重要部分だった。これは9/11後にウェズリー・クラーク将軍によって確認された。(イスラエル・ロビーの役割はイラン・パペの新著『大西洋の両側でシオニズムのためにロビー活動する』で詳しく説明されている)…

 アメリカはこれまで、イラク(2003年の侵攻)、レバノン(アメリカによるイスラエルへの資金提供と武器供給)、リビア(2011年のNATOによる爆撃)、シリア(2010年代のCIAによる作戦)、スーダン(2011年にスーダン分裂を企てた反政府勢力を支援)、ソマリア(2006年のエチオピアの侵攻を支援)に対する戦争を主導または後援してきた。

 イスラエルが熱望する将来のアメリカ・イラン戦争は宙ぶらりん状態だ。アメリカとイスラエルは、イスラエルの敵で、パレスチナの大義を擁護する国をまたもや打倒したことを喜び、ネタニヤフ首相は「歴史的過程を開始したのは良いことだ」と主張している。

 イスラエルのネタニヤフの命令によるアメリカ介入で、中東は荒廃し、リビア、スーダン、ソマリア、レバノン、シリア、パレスチナでは百万人以上が死亡し、戦争が勃発し、イランは核兵器保有の瀬戸際にあり、この事態に対する自らの意向に反して追い込まれている。 US & Israel Destroyed Syria & Called it Peace (アメリカとイスラエルはシリアを破壊して、それを平和と呼んだ)ジェフリー・サックス、コンソーシアム・ニュース


 これらはイスラエルの戦争で、アメリカの利益ではなく、イスラエルの利益を追求するため遂行されている。アメリカ軍(と政治家)は、権力手段を駆使して自らの目的を達成する方法を知っている強引なロビイストの策略に乗っ取られている。彼らの成功率がそれを物語っている。中東の大部分は廃墟となっているが、それは最初から計画されていたことなのだ。

 だが、これから難しい局面がやってくる。なぜならシリアでは何も解決されていないからだ。確かにアサドは去り、シリアは崩壊した。しかし、アメリカに支援されたクルド人とトルコが東部で戦うようになるまで、あるいはイスラエルとトルコの利害がシリア中部か南部で衝突するまで、あるいはHTSがこれまで知られていた信頼できないテロ組織だと判明し、ワシントンとテルアビブの命令に従わなくなるまで、どれくらい時間がかかるのだろう。だから、確かに、侵略者連中は今週「よくやった」と自画自賛しているかもしれないが、シリアの大惨事はまだ終わっていない。決して終わっていないわけではない。

 先週、この疲弊した国の今後の動向を垣間見られる重要な進展があったが、その声明はほとんどのメディアに無視された。水曜日、ハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)当局者が、モハメド・アル・バシルがシリア暫定首相に任命されたと発表した。イドリブ県を統治してきたアル・バシルは、政府機関、銀行、公共サービスが中断なく機能し続けるようにすることを任務とする小規模内閣を率いるため選ばれた。更に重要なのは、英語を話すアル・バシルが、国の国有資産や企業や天然資源や他価値のあるものの売却を急ピッチで進めるため、ワシントンに選ばれた指定テクノクラートである可能性が高いことだ。過去の経験から判断すると、彼はおそらく政府支出の大幅削減、ならびに教育、公衆安全、医療の大幅削減を監督することになるだろう。また彼は復興のためIMFから巨額融資を求めるが、それは彼の家族や取り巻きの海外口座に振り込まれ、返済の望みのない巨額赤字を一般シリア国民に残すことになる。どこかで聞いたような話ではないか?

 残念ながら、バシールのデビューは期待通りにはいかなかった。以下はNBCニュース記事だ。  
火曜日、シリアの新暫定首相、モハメド・アル・バシルがダマスカスで閣議を主宰した際、彼の背後には、突然勝利を収めた反体制派の旗が掲げられていた。だが、その横には、この地域のスンニ派イスラム戦士に人気のイスラム信仰宣言であるシャハーダ(信仰告白)の大きなアラビア文字が描かれたもう一つの旗が掲げられていた。

 アサド政権の廃墟の中、新たなシリアの兆しが見られるが、それが一体どのようなものになるのかのヒントを世界は待望しているが、二つ目の旗は、穏健で寛容な未来を期待する人々を不安にさせている…。

 HTSは、アメリカや他の国々でテロ組織として禁止されており、アルカイダから派生した組織だ。10年前、自分が夢見るイスラム教シリアには宗教的少数派が入り込む余地はないと、この組織の指導者アブ・モハメド・アル・ジョラニは発言していた。中東の戦争から欧米諸国が撤退しない限り、欧米諸国にテロをもたらす可能性があるとも示唆した。

 だが最近、ジョラニは本名のアフマド・アル・シャラーを名乗るようになり、ひげを剃り、西洋風の緑の軍服を着て、シリアの無数の信仰全てに対する寛容を唱えるなど、ある種イメージチェンジを遂げている。だが多くの観察者は、これらの言葉が行動に移るまで判断を保留している…。

 シリア権力中枢が「イスラム主義・サラフィー主義的傾向を示す」旗を歓迎しているのを見て「人々は警戒している」とSukkarは語った。彼は、この旗を掲げることが「賢明な」行動だとは思っていないが、何よりも反政府勢力がイドリブに起源を持つことを反映していると考えている…。

 アサド大統領が打倒されても、それよりましではない過激派テロ集団が政権に就くのではないかという懸念が欧米諸国の外交政策専門家の間には昔からあった…。

 シリア新暫定政府を表す画像に国旗を示していることは、HTSとジョラニが依然「サラフィー主義・スンニ派思想と世界観に強く凝り固まっている」ことを示している…。

 今やこの集団が、より穏健な発言をし、またかなり影響力を持つ立場にあることから、HTSのテロ指定解除をアメリカは検討していると現政権当局者二人と元アメリカ高官がNBCニュースに語った。この過激派集団の新たな政治的視点からの動きを、ワシントンは、注意深く見守る。 Why a photo of Syria’s interim leader could hint at trouble ahead(シリア暫定指導者の写真が今後の問題を示唆する理由)、NBCニュース
 欧米風整形手術前後のモハメド・アル・バシール

 私が正しく理解しているかどうか確認しよう。バイデン政権はアサドをテロ組織に置き換えたが、その集団がテロリストに率いられているのに気付いて突然驚いた。それだけなのだろうか?

 実際、そうなのだ。おわかりの通り、これら、いずれもアサド政権排除によって生じた根本的な危機を解決するわけではない。むしろ、政権転覆の主導者、トルコ、アメリカ、イスラエルは、シリアを単に更に大きな戦場に変え、そこで競合する彼らの権益を巡る死闘が、間もなく繰り広げられることになるだろう。

 イスラエルやアメリカとトルコが対立するまで、どれくらい時間がかかるのだろう? 宗派間戦争がシリアを巻き込むまで、どれくらい時間がかかるのだろう?

 長くはかからない方に私は賭ける。だから「邪悪な独裁者」を打倒すれば平和と安全がもたらされるはずだと思っていた人々は考え直したほうが良い。



 記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/has-bibi-achieved-his-dream-of-obliterating-the-arab-world/

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 The Chris Hedges Report クリスマスの意義
The Meaning of Christmas (w/ Rev. Munther Isaac) | The Chris Hedges Report 1:10:49
Chris Hedges
Dec 20, 2024

In a case of tragic coincidence, the place most closely associated with the uplifting story of Jesus Christ, Christmas and the teachings of the Bible is now being subject to some of the most sustained and severe death and destruction that modern society has seen.
 今朝の孫崎享氏のメルマガ題名
欧州経済の終末、停滞、競争力の低下、トランプの難題。大陸は「存亡の危機」に直面。 EUがイノベーションの砂漠になっている。欧州の首都はすでに、税収が減少する中、急増する赤字の抑制に苦戦している。その結果として、極右と左派が体制を攻撃する機会を捉えて政治を急進化させている

2024年12月19日 (木)

空騒ぎ:トランプ大統領のウクライナ大詰め計画

Salman Rafi Sheikh
2024年12月16日
New Eastern Outlook

 ドナルド・トランプがアメリカ大統領就任の準備を進める中、ウクライナでの軍事紛争を終わらせるための彼の手法は厳しい監視を受けている。

 空騒ぎ:トランプ大統領のウクライナ大詰め計画

 ウクライナの軍事紛争を終わらせるために、ドナルド・トランプ次期米大統領が取れる選択肢は何だろう。バイデン政権(および欧州の同盟諸国)が定めた道を進むことはいつでもできる。だが、この紛争が始まってから三年経ったが、問題は、計画が、これまでどう機能してきたかだ。ロシアは軍事的にも経済的にも強い。金融制裁や欧州によるロシア・エネルギー供給ボイコットやアメリカとNATOによるウクライナへの軍事支援は、モスクワを屈服させたり、ウクライナのNATO加盟を確保したりするのに役立っていない。

 この問題全体、外交的手段で解決できたはずだ

 実業家から政治家に転身したトランプは、NATOの対ロシア戦争は、取り消すべき、まずい取り引きだと考えている。そのため、彼の政治的同盟者は既に最終計画を公に共有している。問題は、それがうまく機能し、ロシアに受け入れられるかどうかだ。最も重要なのは、NATO拡大のため紛争が必要だと本質的に考えているアメリカ「ディープステート」にトランプ政権が対抗しなければならないことだ。最後に、大詰め計画という事実自体が、紛争全体を巡る欧米側の偽善やウクライナが三年間それを認めていたことを暴露している。

 大詰め計画

 報道によれば、トランプ大統領のロシア・ウクライナ特使キース・ケロッグが紛争を終わらせる計画の詳細を明らかにした。この計画は、何よりまず、ウクライナのNATO加盟申請を棚上げにするものだ。現在、ウクライナ当局者はトランプ大統領の宣誓前に紛争解決の道筋をつけるため「大幅な溝を狭める」べく、次期トランプ政権関係者と協議中だ。彼らの動きはそれほど素早いのだ!

 今やNATO加盟申請を取り下げる「意思」をウクライナが示している事実から、もしこれをするのが今と同じくらい簡単だったら、なぜ2022年初頭にウクライナはそうしなかったのかという疑問が残る。結局、この紛争全体無意味だったのだろうか。悲しいことに、結局そうだったようだ。2016年から2020年の間に、トランプ政権がNATOから距離を置いたことで生じた「損害」を元に戻したいアメリカ「ディープステート」の手先になることをウクライナは選んだ。「ディープステート」は、アメリカとNATOの関係を復活させるだけでなく、その地政学的重要性を維持するため関係拡大計画を実行に移した。その道はウクライナを経由した。NATOが新加盟諸国(スウェーデンとフィンランド)を加えて拡大した点はうまくいったが、最終的には見た目より遙かに経費がかかることになるだろう。ロシアが現在支配している地域の一部でも:支配権を維持し、ウクライナがNATO加盟申請を永久に取り下げることに同意すれば、欧米諸国の覇権にとって大打撃になるだろう。

 暴露された偽善

 現在、ケロッグは大詰めを監督している。なぜ彼はそうしているのか。それは、この危機全体の根底にある偽善を彼が理解しているからだ。公式には、ウクライナの主権を脅かしたのはロシアだった。個人的に、ケロッグが2024年4月の政策文書に書いた通り、この問題全体、バイデン政権によるウクライナを介したロシアとの「代理戦争」に過ぎなかった。この問題全体は外交手段で解決できたはずで、トランプ政権は今それをしようとしている。突然、ウクライナ指導部もその気になった。実際、変わったのは、アメリカの「ディープステート」にとって、彼らの外交政策に無批判に従う大統領がホワイトハウスにいなくなっただけだ。それでも「ディープステート」は非常に不満で既に反応している。

 「ディープステート」の反応:戦争は続けるべきだ

 アメリカ製ミサイルをウクライナがロシア領内に発射するのをバイデン政権が許可して、数週間前、一つの反応が起きた。事態を複雑にすることが狙いだった。ロシアが核兵器という選択肢に頼るのをバイデン政権は心の底で望んでいた。だがロシアが他の戦術的選択肢、つまり新しい迎撃不可能なミサイルを武器として持っていることに彼らは全く気付いていなかった。

 こうしてロシア挑発計画は失敗した。だが「ディープステート」は今別の場所で姿を現しつつある。手口は代替案や既存案の重要な変更点を広めるためのメディア利用だ。

 拷問を擁護し、CIAの戦争を支持し、ブッシュ政権の一員だった(ブッシュのスピーチライターだった)非常に有名なアメリカ「保守派」マーク・A・ティーセンが、ワシントンポスト紙に最近寄稿し、たとえトランプが紛争を終わらせられたとしても、アメリカはウクライナへの武器供給を続けなければならないと述べた。  
「ウクライナはロシアを抑止できるほど軍事的に強力でなければならない。核抑止力を放棄し、他国に守ってもらうことに頼ったのは間違いだった。ウクライナはロシアが決して対抗できないほど強力な通常抑止力を構築する必要がある。これはトランプが平和構築に成功したとしても、ウクライナに武器を供給しなければならないという要請が続くことを意味する。アメリカ国民に費用負担させない方法で、キーウに向かうアメリカ兵器の流入を増やす仕組みを見つけなければならない」。
 ティーセンによると、ロシア大統領は平和を望んでいない。彼がウクライナを望んでいるのだ。これは、2021年後半に、NATOのウクライナへの拡大により直接脅かされるロシアの安全保障上の権益の正当性を認めようとしなかった「ディープステート」とバイデン政権が激しく主張したのと全く同じ主張だ。

 トランプの紛争終結の試みに「ディープステート」が重大な打撃を与える可能性はなさそうだが、連中がロシアと戦い続けたいのは否定できない。ウクライナでないにせよ、今やシリアで再び出現した。シリア奪還して、連中はロシアが得た物をチャラにしたいのだ。ロシアがウクライナで「得た分」を、シリアでロシアが「損失した分」で相殺できると連中は心の底で考えているのだ。それはうまくいくのだろうか? トランプの「戦争なし」政策は、シリアの「反政府勢力」をも破滅させかねない。

 Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交・内政評論家。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/12/16/much-ado-about-nothing-trumps-plans-for-ukraine-end-game/

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 先日「天保十二年のシェークスピア」を観劇。シェークスピアの芝居をほぼ全てとりこんだ傑作。ブルーレイを購入しようかと思っている。
 「空騒ぎ」という記事名、シェークスピアの芝居「Much Ado About Nothing」。

 Dualogue Works 今回は長いが、納得。
Ray McGovern | Russia's Retaliation: Is Ukraine Facing Total Destruction? 1:11:33
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米国世論調査、問「コロナワクチンは最も致死性の高いワクチンか」答え米国全体yes 27%、民主党支持者yes 17%、共和党支持者yes 40%
 日刊IWJガイド
「ロシア軍の放射線・化学・生物防衛部隊の指揮官イーゴリ・キリロフ将軍が爆殺される!『NATOとCIAが深く関与していた』との情報も!」2024.12.19号

 ■はじめに~ロシア軍の放射線・化学・生物防衛部隊(RChBZ)の指揮官イーゴリ・キリロフ将軍が爆殺される! 爆殺班はウクライナの治安機関に10万ドルで雇われたウズベキスタン人の男! ウクライナ東部戦線で圧倒的な劣勢にあるウクライナは、要人暗殺テロを強化!? 元米軍のマクレガー大佐は、「NATOとCIAが深く関与していた」との情報があると指摘!

2024年12月18日 (水)

シリア:全てが、金、金、金の問題

マーティン・ジェイ
2024年12月13日
Strategic Culture Foundation

 西側諸国の支援で、ダマスカスを支配している聖戦主義者指導者が、アメリカではテロリストとして指名手配されているなど、一体どうしてあり得るのだろう?

❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。

お問い合わせ:info@strategic-culture.su

 アサド政権崩壊に呆然とし混乱している騙されやすい国民の目をくらますために、欧米諸国の政治家連中は労力を倍加している。現在ダマスカスを支配している聖戦主義者連中が、アメリカ人の税金で賄賂を受け取っているだけでなく、指導者がアメリカではテロリストとして指名手配されていることなど一体あり得るのかと疑問に思う人も国民の中にいるかもしれないためだ。

 超間抜けなデイビッド・ラミー議員はマグーという漫画の登場人物のイギリス版ドジな黒人版だ。ラミー議員は見た目ほど間抜けではないが、有権者は多かれ少なかれ脳死状態だと彼が想定してイギリス議会で全てを説明する彼の幸運な口調に注目願いたい。

 HTSテロ集団がダマスカスを占領したのと同時期に行われたイスラエルによるシリア爆撃を正当化する声明を最近ブレンダン・オハラ国会議員が発表した。おそらく重砲や飛行機や船舶が、汚れた髭を生やした連中の手に渡らないようにするためだろう。連中がそれらを支援諸国に対して使いかねないためだ。アフガニスタンから米兵が脱出する前に、装甲車や戦車や更には航空機までタリバンに残していった驚異的に愚かな作戦から、アメリカは教訓を学んだのだろうか? おそらくそうだろう。だが、それ以外にも理由があるかもしれない。たとえば、アメリカが第二作戦を考えていて、彼ら(あるいは彼らの代理人)は、それにより現在権力を掌握している連中を転覆させたいと考えているかもしれない。現時点で捏造されている、シリア地図上でホムスを見つけることさえできないコールセンターのジャーナリスト連盟に忠実にうみだされている明白な嘘の量を考えれば、これは、さほど突飛なことではない。「アサド政権打倒のために我々が支援した集団は心を入れ替えるつもりがなかったことが判明した。ジョウラニは信用できない、ご存じの通り…」というのが、ホワイトハウス記者会見で記者団に語られる言葉だろう。大半の人はそれを鵜呑みにするはずだ。

 ともあれ、国会で無駄遣いをする議員連中のたわ言は一見の価値がある。

 国会でのブレンダン・オハラ議員質問に答えて「ISIS(ISIL)とアルカイダを擁する国に、正当な安全保障上の懸念をイスラエルが抱いていると理解するのは正しい」とラミー外相は述べ、イスラエル外相と話し合ったと付け加えた。

 「こうした、あらゆる理由から、全ての人を支援する包括的な社会を我々は望んでいるが、誰もテロリスト集団とは交渉できない」と彼は語った。

 彼が言及するテロ集団は、アメリカから給与を得ており、イギリスとアメリカ両方と連携していることに言及し忘れたのは奇妙だ。それとも、アサド政権をテロリストがアメリカとイスラエルに引き渡した今、彼らの役割はもはや重要ではなく、従って彼らを排除する必要があるということなのだろうか?

 ラミー外相自身シリア情勢をほとんど理解しておらず、台本を読んでいるように見えるため、彼の二枚舌を理解するのは困難だ。結局、最近ラミー外相はイギリスの独立調査機関により、イスラエルから資金を受け取っていた特定された閣僚12人ほどの一員だ。シリアの物語は、結局、大規模な裏切り、裏切り、でたらめの物語で、イスラエルの金を享受しているイギリス議員が、用意されたイスラエル国防軍の主張を支持するのは当然と思われる。結局、無血クーデターが大成功を収めた大きな要因は金だったので、イギリスで物語を左右しているのも、おそらく今や金なのだろうか? もちろん、レバノンのヒズボラの弱体化や、ロシアがもはやアサドを支援していないのも要因だった。だが金は大きな役割を演じた。現在、ヒゲを生やしAKを携えたHTSの平均的チンピラは、月に約2000ドル稼いでいる。大した金額ではないと思うかもしれない。だが現地通貨が常に切り下げられている世界最貧国の一つシリアで、月収僅か7ドルのシリア軍兵士にとって、この額は大金だ。

 合意が成立していたため政権軍は抵抗しなかったのだ。彼らは月々の食費を払うため、単に数ドル稼ぐため、この地域でカプタゴン錠剤製造と販売に頼らざるを得なかった兵士だ。2003年に、サダムの兵士への給与未払い分の支払いをアメリカ政府が拒否した時と同様(彼らは武器を持って駐屯地から逃亡し、後にISISまたはISILとして知られる組織を作った)今同じ話が反響を呼んでいる。兵士にもっと給料を払い、ロシアに訓練させていればアサドは老いるまで権力を維持できたかもしれない。数ドル多く払っていれば。

 シリア政権の兵士もイギリス人政治家も。彼ら全員に値札がついている。シリア戦争が始まった同じ年に発表されたJessie Jの90年代ヒット曲「Price Tag(値札)」のことは考えないことにしよう。

金、金、金なんか問題じゃない
金、金、金なんかいらない
世界を踊らせたいだけだ
値札のことなど忘れろ
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/13/syria-about-money-money-money/

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 Dialogue Works 暗殺はゼレンスキー犯罪集団の犯行。
Scott Ritter: killing of Russian general in Moscow, Syria Becoming West's Next Geopolitical Trap?  1:42:53
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ドイツ。ショルツ首相は三党連立政権崩壊後、信任投票を提示し394対207の投票で現政権の解散を可決、困難で不安定な政治の新時代を反映。低迷する経済、インフラの破綻、移民、政治的両極端の台頭、トランプ政権での関税、安全保障問題等の難問。世論調査保守的なキリスト教民主党がリード。
 ショルツを横に立たせて「ウクライナに侵略したら、ノルドストリームを止めてやる」とバイデンが発言した場面は忘れない。でくのぼうのようにぼーっとショルツは立っていた。女性記者が「しかし、ノルドストリームは我々のものではありませんが、どうやって止めるのですか?」と質問すると「それでも我々はやる」とバイデンは答えた。
President Biden on Nord Stream 2 Pipeline if Russia Invades Ukraine: "We will bring an end to it." 3:42

2024年12月17日 (火)

イスラエルはシリア問題に介入するつもりはないというネタニヤフ首相の滑稽な主張



ある国を侵略し広大な地域を占領し、48時間以内に480回爆撃し、軍事防衛の80%を破壊しておいて、その国の内政に干渉する意図はないと主張できるのはイスラエルだけだ。

ケイトリン・ジョンストン
2024年12月12日

 物語のマトリックスの端からのメモ

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。



 イスラエルは「シリア内政に干渉する意図はない」とベンヤミン・ネタニヤフ首相が 滑稽な発言をしている

 ある国を侵略し広大な地域を占領し、48時間以内に480回爆撃し、軍事防衛の80%を破壊しておいて、その国の内政に干渉する意図はないと主張できるのはイスラエルだけだ。



 リビアの時と同じように、シリアで起きる全てのことに今後何年も見て見ないふりをしなければならないと知っているので、欧米諸国による政権転覆応援団連中は、今シリアの件で大いに盛り上がっている。



 国内市場を開放し、世界経済に統合するとシリアで新たに権力を握った連中が発表したが、これはこれまでのこの物語の中で最も意外性だない進展の一つだ。これは、従わない国に対する帝国主義による権力掌握で必ず見られる教科書的な破滅的資本主義だ。今や、シリアは最高額を提示した者に、ばらばらにされ食い尽くされることになる。どうやら、メニューに肉が復活したようだ。



 TikTokは、どうやら本当にすぐ禁止されるか、帝国に忠実な所有者に売却されることになるようだ。全て、パレスチナに関する事実をアメリカ政府が子どもに共有させたくないためだ。



 暴力は決して解決策ではないと言う人々は、彼らが非難する暴力を引き起こした大規模で甚大な影響を及ぼす組織的暴力を無視することが多い。それは10月7日の事件でも起きたし、健康保険会社CEO殺害事件でも起きた。

 昨日、ツイッターのフォロワーに次の文章を完成させるように私はお願いした。「人々の生活を破壊し、殺害することで富と権力を拡大する虐待的金持ちを物理的に攻撃するのではなく、一般市民はそのような不正に対処するために利用できる他の選択肢、例えば_________などを使うべきだ。」

 回答は興味深いものだった。この質問を投げかけた後、暴力を奨励しているという怒りの返信を私は多数受け取った。よく考えてみると、これは実はかなり示唆に富んでいる。私は実際暴力を奨励したわけではなく、暴力に代わる選択肢は何か尋ねただけだ。裕福な寡頭政治家による虐待に対処するための暴力以外の選択肢を、これら回答者が知っていたら、私の質問をそのように見ることは決してなかっただろう。彼ら自身、暴力以外にこれら虐待を解決する方法はないと考えている。彼らはただ、人々は虐待が続くのを甘んじて受け入れるべきだと考えているのだ。

 CEO殺害容疑者のルイジ・マンジョーネへの幅広い支持を見て、2014年にベンチャーキャピタリストのニック・ハナウアーが書いた「怒りの熊手が我々富豪に迫っている」というエッセイを思い出す。エッセイで、彼が「大富豪仲間」と呼ぶ人々に対し「このような不平等の拡大を持続させる社会は存続しない」と彼は警告している。

 「問題は不平等があることではない」とハナウアーは書いている。「問題は不平等が歴史的に高いレベルにあり、日々悪化していることだ。我が国は急速に資本主義社会から封建社会へと変貌しつつある。政策が劇的に変わらなければ中流階級は消え去り、革命前の18世紀後半のフランスに逆戻りしてしまうだろう。」

 「この経済の明らかな不平等を是正する対策を講じなければ、我々は厳しい罰を受けることになる」とハナウアーは警告した。「このような不平等の拡大を持続できる社会などない。実際、人類史上、このように富が蓄積され、最終的に厳しい罰を受けなかった例はない。極めて不平等な社会を見せてくれたら、警察国家や暴動を私が見せてやる。反例などない。皆無だ。問題は、そうなるかどうかではなく、いつそうなるかだ」

 同情や利他主義からではなく基本的な自分に対する配慮からハナウアーは発言している。彼は貧しい人々を助けようとしているのではなく、ギロチンの刃の先で神に会うのを避けようとしているのだ。

 これら富豪に向けられた怒りと血への渇望は、彼が警告した沸点に近づいているようだ。これがどう展開するかは分からないが、歴史上興味深い地点に我々はいるとだけ言っておこう。

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 これらの記事を音声で聞きたい場合、SpotifyApple PodcastsSoundcloud、またはYouTubeで聴取できます。私の記事は完全に読者に支えられているので、この記事を気に入っていただけた場合、ご希望に応じてチップ入れにお金を入れられる選択肢がここにいくつかあります。記事の映像版を見るには、こちらをご覧ください。毎月の記事のペーパーバックを購入するには、こちらをご覧下さい。私の記事は全て、海賊版を作成したり、あらゆる方法、形状、形式で自由に使用したりできます。再配布、翻訳、商品への使用など、ご希望どおり使用可能です。私が公開する記事を確実に読む最良の方法は、Substackのメーリングリストに登録することです。これにより、私が公開する全ての記事についてメール通知が届きます。全ての記事は、夫のTim Foleyとの共著です。



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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/12/12/netanyahu-hilariously-claims-israel-doesnt-seek-to-intervene-in-syrias-affairs/

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 Judging Freedom アサド元大統領によるアメリカ・ディープ・ステート説明は正しいとミアシャイマー教授。
Prof. John Mearsheimer : Can Trump beat the Deep State in his second term ?  2:15
 日刊IWJガイド
「イランの防空力の破壊は『イランを無防備にすることが目的』とイスラエルのガラント元国防相! 米国とともに対イラン戦争を準備!?」2024.12.17号

■はじめに~シリアの防空力の徹底破壊に続き、今年10月26日のイスラエルによるイランへの報復攻撃は、「将来(本格的な侵攻の)のために、イランを無防備にすることが目的だった」と、イスラエルのヨアブ・ガラント元国防相が証言! イスラエルは防空網を徹底的に破壊したため、イランを、ガザやレバノンと同じくらい容易に攻撃できる! 脆弱化したイランが核保有に走れば米国とイスラエルが躊躇せず軍事行動に! トランプ次期大統領は、任期中にイランとの戦争になる可能性について、「何が起きてもおかしくない」と「前のめり」の発言!

■12月は13日までの13日間で、29件、42万4100円のご寄付・カンパをいただきました。ありがとうございます! これは月間目標額の約12%に相当します。11月のご寄付・カンパの金額は150万4000円と月間目標額の43%しか集まらず、IWJの財政は大ピンチです! 11月からカンパの月間目標額を400万円から350万円に下げたのですが、8月からの今期第15期は、4ヶ月連続で未達です!「IWJしか報じていない情報」自体は激増中です! IWJが活動を続けられますように、ぜひ、この年末の12月こそは、無事に年を越せますように、緊急のご支援をお願いいたします!

■【中継番組表】

■本日午後7時より、「激戦の地ドンバスまで足を運び、自分の目と耳で調査した『学者魂』の研究者に聞く! 第2次トランプ政権でウクライナ政策が見直される今だからこそ、日本も、2014年のユーロマイダン革命にまで立ち返って現在に至る経緯を検証する必要がある! 岩上安身によるインタビュー第1173回 ゲスト 東京大学法学部教授の松里公孝氏 第1部」を撮りおろし初配信します! 配信終了後、会員向けIWJサイトのアーカイブにアップします!

2024年12月16日 (月)

「テロ組織」は、アメリカがそう呼びたいもののこと



アメリカ政府は(A)シリアのバッシャール・アル・アサド政権を追放する攻撃を主導した集団を指定テロ組織リストから削除する準備を進めながら(B)シリアがテロリストに乗っ取られたと主張して、イスラエルによるシリア領奪取を正当化している。

ケイトリン・ジョンストン
2024年12月11日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 アメリカ政府は(A)シリアがテロリストに占領されたと言ってイスラエルによるシリア領奪取を正当化すると同時に(B)その同じ勢力を指定テロ組織リストから削除することを検討している。

 アメリカ人言論人は、アサド政権排除によるシリア国民の解放祝賀から、シリアに何百回も空爆しながらシリアの広大な地域を軍事占領するイスラエルの急速な動きを擁護するため、今やシリアがテロリスト勢力で溢れている事実に触れることへと滑らかに方向転換した。

 月曜の記者会見で、イスラエルによるこうした動きは「国境を守るための一時的なものだ」とし、アサド大統領追放は「イスラエルを脅かし、イスラエル内の民間人を脅かすテロ組織に空白が埋められる可能性がある」と国務省のマシュー・ミラー報道官は述べた。

 「全ての国はテロ組織に対して行動を起こす権利がある」とミラーは付け加えた。

 火曜の記者会見で、イスラエルの領土奪取に関するアメリカの立場を更に明確にし、「緩衝地帯へのイスラエル侵入を促したのはシリア軍の撤退で、昨日述べた通り、撤退により潜在的空白が生じ、シリア国内でイスラエルの破壊を誓い活動を続ける多数のテロ組織のいずれかが、その空白を埋める可能性がある」とミラーは述べた。

 同じ火曜日の記者会見で、またダマスカス襲撃を主導し、指導者がISISとアルカイダ両方の幹部だったHTSのような指定テロ集団と「対話することに法的障壁はない」とミラーは述べた。

 そして、偶然にも、今、HTSを指定テロ組織リストから削除することにアメリカ政府は突然関心を示しており、この集団をリストから即時削除すべきかどうかについて「ワシントンで激しい議論が繰り広げられている」とポリティコは報じている。どういうわけか、この議論が実際それほど「激しい」ものだとは思えない。

 つまり、ある説によれば、シリアは勇敢な自由戦士によって解放され、それは素晴らしいことだが、同時に語られる別の説によれば、シリアは邪悪なテロリストに乗っ取られたばかりなので、明らかにイスラエルはシリアに侵攻する必要があるとされており、更に別の説によれば、それら邪悪なテロリストは、アメリカ傀儡政権を運営することになるので、もはや邪悪なテロリストではないとされている。

 これらは真実や道徳ではなく、世界支配の闇雲な追求によって政策が導かれる時に遭遇する矛盾の一種だ。

 実際は「テロ組織」というのは政治的呼称で、その行動による呼称ではない。ある組織がどう行動し運営しているかということより、アメリカ帝国の戦略的権益を推進するかどうかということの方が遙かに重要だ。

 アメリカや、その同盟諸国と戦う非国家主体集団のどれを見ても、アメリカ政府のテロ組織リストに載っていることがわかる。ハマス、ヒズボラ。イランのイスラム革命防衛隊のような公式国家軍でさえリストに載せられる。アメリカが「テロとの戦い」の旗印の下、世界的に軍事プレゼンスを拡大していた頃、東トルキスタン・イスラム運動はテロ組織リストに載っていたが、トランプ政権末期にリストから外された。ウイグル人イスラム主義集団がシリアでアサドと戦っており、帝国の対中国冷戦侵略に役立つ可能性があるからだ。

 現在も、アメリカ下院は、ガザ保健省が指定テロ組織ハマスに運営されているという理由で、アメリカ政府が同保健省統計を使ってガザ地区でのイスラエルによる大量虐殺死者数を計算するのを禁止しようと動いている。ガザ保健省の死者数は信頼できると考えられており、アメリカ国務省が報告書で、その統計を使用しているために、下院はそうする必要がある。

 こんな分析が必要な大量虐殺を犯している集団は、もちろん指定テロ組織ではないのだ

 なぜなら「テロ組織」というレッテルは帝国の言説支配手段に過ぎないからだ。帝国の言語では、単に「爆弾を落とす必要がある従がわない連中」という意味だ。服従すると彼らが決心すれば、爆弾を落とす必要はなくなり、もはやテロリストとはみなされなくなる。

 アメリカ帝国の友人である限り、テロ組織とみなされることはなく、好きな方法で好きなだけ民間人を殺害できる。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/12/11/terrorist-organization-means-whatever-the-us-wants-it-to-mean/

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 最近のシリア状況で、ずっと前に翻訳したアメリカ地政学?記事を思い出した。
 2009年4月15日に掲載したRalph Peters記事。
「血の国境 より良い中東とはどんな姿なのか」
 興味深いのは有名検索エンジンとされるYaohooやGoogleで検索しても、この記事全く出てこない。

 DuckDuckGo検索でしかみつからない。恐るべし隠蔽エンジン。

 Sabby Sabs
Scott Ritter: "I'M PISSED OFF!" (Interview) 1:03:15
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
私は英国MI6“スパイ”に次を問うた。「スパイの仕事=情報入手、相手の国を自国に利益に誘導と思う。それは外交官も同じ。スパイと外交官はどこが違うのか」この“スパイ”の答え 「確かにめざすものは同じ。我々は反モラル的行動や、相手国の法律にとらわれずに行動する。それが外交官との違い」
 日刊IWJガイド
「記者クラブメディアが報じない岩屋外務大臣のIR汚職疑惑に関するIWJの追及がSNSで大きな話題に! ぜひIWJをご支援ください!」2024.12.16号

2024年12月15日 (日)

もう一つの国が帝国の塊に吸収された



そして今、帝国の塊は、代理戦争や制裁やイスラエルによる執拗な爆撃作戦や食糧や燃料を奪うことを狙った軍事占領を通じて、何年もかけてシリアを弱体化させ、シリア全土の大きさにまで成長し、次の標的を吸収するため動き続けている。

ケイトリン・ジョンストン
2024年12月9日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。
 バッシャール・アル・アサドはシリアからモスクワに逃亡し、ロシアから亡命を認められたと報じられている。アサドを追い出したアルカイダ関連組織は、ダマスカスでの「ムジャヒディーン」勝利を宣言した。政権転覆を支援したのをバイデンネタニヤフ両人は公式に認めており、もちろんトルコのエルドアンも多大な功績を認められるに値する。

 それでも、欧米の主流言説では、これをアメリカと同盟諸国が支援する政権転覆作戦と呼ぶには依然タブーがある。何年にもわたる反証があるにもかかわらず、これが完全にシリア国民のみに引き起こされた、100%自然発生的蜂起であるかのように我々全員装わなければならない。代理戦争や飢餓制裁や絶え間ない爆撃作戦や、欧米が支援した内戦後、復興を阻止するため、明らかにシリアから石油と小麦を断つことを意図した軍事占領によりアメリカ権力同盟がシリアを粉砕するのを見たばかりなのに、我々はそう装わなければならないのだ。

 こう言うと怒る人もいるだろうが、これは事実だ。世界的大事件は、その結果に利害関係を持つ大国の行動と無関係に起きるものでないのは単なる事実だ。私がこう言うのを不快に感じるなら、その不快感は認知的不協和と呼ばれる。何か変だという感覚だ。

 シリアにおけるアメリカ権力同盟の関与を指摘されると、あなたは不快に感じるかもしれない。そして、ハリウッド映画のように勇敢な自由戦士の一団が邪悪な超悪人独裁者を独力で勇敢に倒したと信じたいのかもしれない。だが現実はあなたの好み通りには進まない。現実には、アメリカを中心とする地球規模の帝国が、そのような出来事に深く関与しているのは確実だ。

 私がこう言うと、私が「シリア人の主体性を否定している」とあなたは思いたがるかもしれない。そして「主体性の否定」は人が犯し得る最悪の罪だ。だが私が言っているのは、シリア人は主体性を持っているという考えと矛盾するものではない。アサド退陣を望むシリア人は明らかに多数いたし、アメリカ帝国と何の関係もない独自の理由でアサドと戦った人も明らかに多数いた。この明白な事実と、2011年の紛争の始めから、シリアに深く入り込んでいたアメリカを中心とする権力構造や、その関与が、今日我々が目にしている出来事につながったという十分文書化された現実との間に矛盾はない。

 シリア人の心をアメリカ帝国が支配し、彼らに自らの力で政府に背くよう強制したという主張ではない。天秤にアメリカ帝国が大きな力を加えて、シリア人のある集団ではなく、別の集団が思い通りに行動できるようにしたという主張なのだ。

 欧米諸国の政権転覆介入主義が今回良い結果につながると主張することは可能だ(一貫して、その逆を示す膨大な歴史的証拠を無視する覚悟がある限り)が、欧米諸国の政権転覆介入主義がシリアで起きたことは、いかなる合理的根拠に基づいても否定できない。

 欧米の自由主義がおかしいのは、欧米帝国の行動、更には帝国の存在そのものから、信奉者連中が、心理的に断絶する能力に大きく依存している点だ。欧米諸国が自分たちのことに大いに気を配り、欧米指導者連中が演壇から平和と外交を訴えながら、世界中で暴力と破壊が広がるのを受動的に見る架空の別世界に欧米の自由主義者は生きている。彼らは帝国が存在しないふりをし、ワシントンの戦略的利益に有利な形で紛争やクーデターや暴動が起こり続けるのは、単なる偶然だと考えている。

 現実には、アメリカが、そうとは宣言していない帝国の中心で、その帝国が自ら支配する単一権力の傘の下に世界中の人々をまとめようと精力的に活動しているのを理解しなければ世界で起きていることを理解するのは不可能だ。この帝国の塊に吸収されることにうまく抵抗している数少ない国々は、我々欧米人が憎むよう洗脳されている公式の悪人だ。中国やロシアやイランや北朝鮮や中南米のいくつかの社会主義国だ。以前シリアもこのリストに含まれていたが、今やもう終わりだ。シリアは帝国の塊に吸収されてしまったのだ。

 そして明日には、帝国の塊は、吸収されていない次の国に照準を移すだろう。これが地球上のあらゆる主要紛争の背後にある根本的力学だ。この力学は、マスメディアとして知られる欧米宣伝機関と、学校教育として知られる欧米の洗脳制度の支援により、主流の欧米西世界観から消し去られている。この力学は、世界の情報システムを操作する金権政治家や帝国管理者によって、我々の世界観から消し去られ、我々の注目から隠されている。さもないと、アメリカ帝国が今日のこの地球で最も暴君的で虐待的権力構造であることに我々が気付いてしまうためだ。

 そしてそれは疑いようのない事実なのだ。21世紀に侵略戦争で何百万人もの人々を殺しながら、何百もの軍事基地で地球を包囲し、世界のどこであれ自らの命令に反対する集団を粉砕するため絶えず活動してきた権力構造は他にない。中国でも、ロシアでも、イランでも、キューバでも、バッシャール・アル・アサドでもない。現代、これほどまでに世界を圧制し虐待してきたのは、アメリカ帝国だけだ。

 そして今、帝国の塊は、代理戦争や制裁やイスラエルによる執拗な爆撃作戦や食糧や燃料を奪うことを目的とした軍事占領を通じて何年もかけてシリアを弱体化させ、シリア全土の大きさにまで成長し、次の標的を吸収するため動き続けている。

 人間の血の無限の流れによって支えられている帝国に支配されている限り、世界は平和を知ることはできない。それが、帝国の終焉が早く訪れるよう祈る理由なのだ。

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 これらの記事を音声で聞きたい場合、SpotifyApple PodcastsSoundcloud、またはYouTubeで聴取できます。私の記事は完全に読者に支えられているので、この記事を気に入っていただけた場合、ご希望に応じてチップ入れにお金を入れられる選択肢がここにいくつかあります。記事の映像版を見るには、こちらをご覧ください。毎月の記事のペーパーバックを購入するには、こちらをご覧下さい。私の記事は全て、海賊版を作成したり、あらゆる方法、形状、形式で自由に使用したりできます。再配布、翻訳、商品への使用など、ご希望どおり使用可能です。私が公開する記事を確実に読む最良の方法は、Substackのメーリングリストに登録することです。これにより、私が公開する全ての記事についてメール通知が届きます。全ての記事は、夫のTim Foleyとの共著です。



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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/12/09/another-nation-absorbed-into-the-blob-of-the-empire/

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 The Chris Hedges YouTube Channel
The Fall of Assad & What it Means for The Mid East (w/ Alastair Crooke) | The Chris Hedges Report  1:10:46
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
韓国社会、民主主義国家として権力の恣意性に対する抵抗力証明。日本にあるか。韓国議会、尹大統領への2回目弾劾訴追案を採決し議案可決。今後は憲法裁判所が180日以内に、弾劾の妥当性を判断。憲法裁判所が大統領の罷免を認めれば60日以内に大統領選挙。

2024年12月14日 (土)

13年間にわたるアメリカによる国家テロ後のシリア…一体何が期待できよう?



フィニアン・カニンガム
2024年12月10日
Strategic Culture Foundation

 シリア崩壊は、アメリカ主導の欧米帝国主義によるもう一つの大きな犯罪だ。

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 わずか13日足らずで、アメリカが支援するジハード主義過激派集団連合軍がシリアを制圧した。11月27日に始まったこの攻撃は、シリアのアサド大統領が急遽辞任しロシアに逃亡する事態にまで発展した。アサド大統領夫妻は12月9日までにモスクワに到着したことが確認された。

 シリアの平和維持のために決断したとアサド大統領は述べた。同大統領の意思決定には関与していないとロシアは述べた。

 アメリカとヨーロッパの政治家連中のこの喜びは、シリア政権転覆のため欧米諸国が何年も投資してきたことを反映している。投資が、ようやく報われたようだ。

 アサド大統領とロシア、イランの同盟国がシリアを手放すために何らかの裏切りや「取り引き」をしたのではないかと推測するのは見当違いだ。確かに息を呑むほどの短期間でシリア軍と当局は降伏した。だがロシアやイランが同盟国シリアを反乱軍のなすがままに放置するなど、舞台裏でもっと悪質な動きがあったのではないかと推測するのは未熟だ。

 長年にわたる欧米諸国の侵略と消耗によってシリアは完全に破壊され疲弊していた。同盟国を救うためにロシアやイランにできることはほとんどなかった。

 シリアの最終的崩壊は、13日間の電撃戦の後に起きたのではない。それは、アメリカとヨーロッパのNATO同盟国による13年にわたる絶え間ない国家テロの後で起きたのだ。アメリカが支援する代理テロの初期段階(2011年から2020年)は、ロシア、イラン、ヒズボラの介入により阻止された。しかし、欧米の代理テロは決定的には打倒されなかった。振り返ってみると、それは運命的な戦略的失策だったと言えるかもしれない。

 2020年以降の代理戦争継続は、アメリカと欧州連合によるシリアへの経済・貿易制裁発動に依存していた。他の手段による戦争には、シリア北部、東部、南部領土をアメリカとトルコ軍が不法占領し、シリアの石油と小麦輸出品を盗むこともあった。前大統領時代「シリアの石油を盗んだ」とトランプは公然と自慢していた。

 政権転覆の標的として、オバマ政権がシリアを狙った2011年から、週末のダマスカス陥落まで、シリアは13年間の消耗戦に耐えてきた。2020年頃からロシアとイランの介入で比較的平和が得られたが、その後もシリア人は食糧、医薬品、燃料に飢えていた。人口の半数以上が家を追われ、シリア経済は崩壊した。通貨は時間ごとのインフレ調整で価値がなくなった。11月27日に、欧米諸国が支援する反政府勢力が北イドリブ地区から侵攻を開始した時、シリア国家には抵抗できるものが何も残っていなかった。アレッポ、ハマ、ホムス、そして首都はドミノ倒しのように陥落した。

 主な反政府勢力は、モハメド・アル・ジャウラニ率いるハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)だ。HTSは国際的に禁止されているテロ組織で、アメリカさえ正式に非合法団体に指定している。指導者には、国務省から1000万ドルの賞金がかけられている。

 だがアメリカ代理戦争という見せかけのゲームで、HTSと指導者はワシントンの手先だ。2011年から、アメリカとNATO同盟諸国は、リビアやトルコや世界中から武器と戦闘員を密輸するアルカイダ、ISIS、ヌスラ戦線(後のHTS)を利用してシリアを攻撃させテロを行った。代理テロリストを「穏健派反政府勢力」と皮肉を込めて呼んで欧米メディアが、この茶番劇を広めた。ペンタゴンが運営するシリア南部のアルタンフ軍事基地は「穏健派反政府勢力」を訓練するためのものだと言われているが、実際に武器化されているのはジハード過激派だ。

 シリアの首都ダマスカスに対する最後の攻勢が始まる前の先週、HTS司令官アル・ジャウラニは、指名手配中のテロリストではなく、政治家らしい指導者としてのイメージを回復するため、アメリカのニュース放送局CNNにゴールデンタイムのインタビューと発言の場を与えられた。自分や組織がISISやアルカイダと関係があった時代はとうに過ぎ去ったとアル・ジャウラニは語った。しかもCNNや他の欧米メディアは、彼らの主張をもっともらしく見せようと全力を尽くしている。ああ、なんというハッピーエンド!

 シーア派やアラウィー派やキリスト教徒が「背教者や異教徒」として斬首された、アメリカが支援するシリア代理戦争の初期段階の特徴だった宗派間流血や報復や殺人的騒乱にシリアが陥るのかどうかは今の初期段階では明らかではない。

 不気味なことに、状況を安定させようとしているとアメリカとイスラエルが皮肉を込めて主張し、直ちにシリア爆撃を開始した。

 シリアで急速に起きている出来事は全世界を驚かせている。アサド大統領がモスクワに亡命することになるとは、ほんの二週間前、一体誰が想像しただろう。自分たちにとっての幸運と見なしすこの出来事を、アメリカやイスラエルや他の欧米諸国指導者たちは信じられないという反応を示している。

 ロシアとイランは本当に不意を突かれたようだ。ロシアのすぐ隣ウクライナでのNATO代理戦争は確実にロシアの軍事資源に打撃を与えている。自国をイスラエルの侵略から防衛することにイランは気を取られている。

 シリアにおける新たな「機会」についてアメリカのジョー・バイデン大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は興奮気味に語った。テロリスト反乱の勝利に関与したと二人は主張した。ガザとレバノンに対する大量虐殺戦争がシリアの同盟者ヒズボラとイランを弱体化させたとネタニヤフ首相は自画自賛した。

 アメリカの国家テロがいかにシリアを破壊し、代理テロリストによるシリア支配への道を開いたかを、恥知らずにもバイデンは更に詳細に語った。「我々の手法は同盟者支援や制裁や外交や標的を絞った軍事力の組み合わせを通じて、中東の勢力均衡を変えてきた」と彼は述べた。

 ワシントンの二重言語で「同盟者支援や制裁や標的を絞った軍事力」とは、国家にトラウマを与えるためのテロリスト支援や、国家を疲弊させるための経済戦争や最終的服従を強制するための違法侵略を意味する。

 シリア崩壊は、アメリカ主導の欧米帝国主義によるもう一つの大きな犯罪だ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/10/syria-after-13-years-of-us-state-terrorism-what-do-you-expect/

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 The Chris Hedges Report
Enduring the Trauma of Genocide (w/ Gabor Maté) | The Chris Hedges Report 54:22
Chris Hedges
Dec 14, 2024
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ウォールストリート・ジャーナル「中国強気の反撃、トランプ次期政権の貿易戦争にらみ。中国の対抗手段は主に非関税措置となりそう。米国は大量に中国製品輸入、米国の対中輸出の約3倍、中国が取引制限対象の外国企業や団体、個人を列挙した“信頼できないエンティティーリスト”作成過程」

2024年12月13日 (金)

エリート主義的暴政が暴露され、崩壊しつつある「欧米民主主義」



フィニアン・カニンガム
2024年12月6日
Strategic Culture Foundation

 欧米「民主主義」は吸血鬼のようなものだ。高潔なふりをして、何の罰も受けずに、長年にわたり多くの人々の血を吸ってきたのだ。

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 いわゆる指導者と連中に忠実なメディアが、エリート主義と犯罪的利益を追求しながら、国民に対して全く説明責任を負わない姿勢を示すにつれ、欧米民主主義の茶番劇は急速に崩壊つつある。

 麻薬中毒で凶悪な息子を恩赦するため、バイデンは大統領権限を行使した ― 恩赦はしないと約束していたのに。シリア紛争の激化は「内戦」で、NATOが支援する代理テロリストによるものではないと欧米メディアは主張している。ガザでの大量虐殺と、長年の汚職に対する法廷での訴追を逃れるため大量殺人をしているファシスト・イスラエル指導者を欧米は支援している。ロシアに対する代理戦争が核による絶滅に発展する恐れのある、マネーロンダリングをするキーウのネオナチ政権を欧米は支援している。選挙で親EU派集団が敗北した後、ジョージアでの反政府暴力を欧米は支援している。親欧米の韓国指導者は、汚職の訴追を避けるため戒厳令を宣言した。

 これは欧米衰退のイメージをより多く表すほんの一例に過ぎない。

 今週のドイツのアンナレーナ・ベアボック外相の中国訪問は、またしても露骨な失態だった。強迫的な反ロシア派、ベアボック外相が北京に降り立ったのは欧州連合(EU)最大の世界的パートナーとの貿易関係改善を優先するためではなく、ウクライナにおけるロシアの戦争努力を中国が支援しているという退屈な疑惑で中国を威圧するためだった。

 一体どちらがより重要か? 中国と仲良くして貿易を拡大し、何百万人ものドイツ人とヨーロッパ人の雇用を増やすのか、それともウクライナでの無分別な代理戦争に理由もなく見栄を張るか?

 当然、中国当局はベアボックの横柄な態度に不快感を覚え、彼女を軽視した。中国の王毅外相は三時間以上の協議後、慣例となっている共同記者会見を開かず、ベアボックを無視した。別声明で、ウクライナでロシアを軍事的に支援しているという主張を中国は再度否定した。

 というわけで、連立政権が崩壊し、新たな選挙に直面しているため、間もなく職を失うことになるドイツ外務大臣が、EUとの年間貿易額が7000億ドルを超える中国との関係を悪化させるため、税金で北京に飛んだのだ。

 北京での単独記者会見で、ベアボックは傲慢さを倍増させ、中国がロシアを支援しているため、欧州の平和と安全が危険にさらされていると非難した。

 アジアをウクライナとの戦争にロシアのプーチン大統領が引きずり込んでいると彼女は主張した。

 二重思考は驚くべきものだ。ドイツ、欧州連合、NATO、アメリカは、ウクライナにおけるロシアに対する無謀な代理工作のせいで、全世界を戦争に引きずり込むため、あらゆる手を尽くしてきた。この賭けの完全な失敗は、欧州とアメリカの納税者に合計2000億ドルの損害を与え、恐ろしいことに、核戦争へとエスカレートする恐れさえある。

 アジアをロシアがウクライナ戦争に引きずり込んだとベアボックは非難し、現実を逆転させた。代理戦争を中東やアジアを含む他地域に拡大しているのは、アメリカやNATOやヨーロッパの大西洋主義指導者連中だ。

 アルカイダとつながる国際的に禁止されているテロ組織ハヤト・タハリール・アル・シャーム(HTS)の旗の下で活動するテロリスト民兵によるシリアでの暴力激化を欧米諸国のいわゆる民主主義国とNATOは支援している。ウクライナ軍関係者とトルコ(つまりNATO関係者)がドローン技術でシリア過激派を支援している確実な報告がある。

 ウクライナにおけるアメリカ主導のNATO代理戦争は、崩壊しつつあるキーウ政権に対してロシア軍が着実に前進する中、明らかに、うまくいっていない。シリアで休眠状態にあるNATO代理戦争を激化させるのは、同盟者バッシャール・アル・アサド大統領支援にロシア軍を転用させるための苦肉の策だ。

 レームダック状態のジョー・バイデン大統領は、来月ホワイトハウスを去る前に、キーウ政権を支えるため必死に数十億ドルを投じている。ウクライナでの失敗した戦争挑発にうんざりしたアメリカ人が一部で彼を退陣に投票したにもかかわらず。

 この大統領は、今週息子の有罪判決を恩赦し、数年間の懲役刑を免除した大統領と同じ人物だ。

 自分たちは法の適用を受けないと考え、一般市民の利益を代表することを軽蔑するエリート政治家に運営される寡頭政治に欧米民主主義国家が堕落したことを示すには、あと一体どれだけ証拠が必要なのだろう。

 欧州連合全体が大西洋主義エリート層に掌握され、一般市民の利益でなく、欧米諸国の覇権的権益にかなう政策を押し付けられている。これはまさに反逆罪の定義だ。

 フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ドイツのオラフ・ショルツ首相、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長も、大西洋主義の専制政治を体現する買収された政治家連中だ。現在NATO事務総長を務める元オランダ首相マーク・ルッテ(閑職と賄賂は我々だ)やポーランド首相ドナルド・トゥスクもその例だ。デンマーク、フィンランド、スウェーデン、バルト諸国の弱小指導者連中もアメリカ属国クラブの一員だ。

 エリート主義のイデオロギーと根深いロシア嫌いに染まり、賄賂に誘惑され、あるいはCIAの脅迫に屈し、こうした政治的売春婦連中は、ヨーロッパ市民の利益を裏切り、大衆の生活を信じられないほど過酷にするために利用されてきた。ロシア・エネルギーは遮断され、ヨーロッパ経済は崩壊した。ドイツは、エネルギー費用上昇により、重要な自動車産業が崩壊している最も顕著な例だ。

 もう一人の馬鹿げたエリート傀儡は元エストニア首相のカヤ・カラスだ。彼女は現在、大西洋主義者のもう一人の手先、ジョセップ・ボレルの後任として欧州連合の外務大臣を務めている。今週の就任初日、カラスはキーウを訪れ、腐敗したネオナチ政権への更なる財政・軍事援助を約束した。そう、任期満了した大統領が選挙を中止し、野党政治家を投獄し、批判的な独立系メディアを検閲し、ロシアとの紛争終結を望む国民に兵役を強制しているネオナチ政権を彼女は訪問したのだ。関係修復のためにEU最大の貿易相手国である中国を訪問した方がよかったとカラスは思わないのだろうか?

 キーウ滞在中、カラス外相は北京のドイツのベアボック外相と連携し、ロシアとの戦略的提携をめぐる根拠のない中国非難を繰り返した。

 ロシアとの貿易関係を中国が維持し、ロシア・ガスを購入するなどして、ウクライナ戦争を長引かせているとカラスは非難した。

 人口150万人未満の小さなバルト諸国出身のこの政治家が、現在、総人口4億5000万人のEUの外交政策を運営している。

 大西洋主義エリート層に典型的なロシア嫌いにとりつかれたカラスは中国がロシアを支援しているという根拠のない疑惑を理由に、より高い貿易関税を中国に課すと脅している。

 ロシアを「戦略的に打倒する」アメリカ帝国主義の計画にEUは闇雲に従って、既に自ら災いを招いている。今、同じエリート政治家連中が、中国との関係を破壊して、ヨーロッパの利益に対する裏切り行為を一層悪化させようとしているのだ。

 だが破綻した民主主義の見せかけという大西洋主義イデオロギーへの卑屈な隷属は自己破壊を伴って跳ね返っている。欧米諸国政府(実際は政権)と信用を失ったエリート・ペテン師連中は嘘と矛盾に対する国民の嫌悪感の高まりにより政権から追い出されつつある。

 何十年も「民主主義」を装ってきた酷い腐敗と欺瞞を国民が目撃するにつれ、欧米諸国は根底から揺さぶられている。

 欧米「民主主義」は吸血鬼のようなものだ。高潔なふりをして、何の罰も受けずに、長年にわたり余りに多くの人々の血を吸ってきた。しかし、真実の光に照らせば、それは腐敗し、崩壊しつつある。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/06/the-elitist-tyranny-of-western-democracy-is-exposed-and-crumbling/

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 Judging Freedom
Larry Johnson : Putin’s Warning to the US. 28:42

2024年12月12日 (木)

アサドは去り、目覚めたアルカイダが台頭



またしても帝国が勝利を収めた。
ケイトリン・ジョンストン
2024年12月8日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 どうやらシリアのバッシャール・アル・アサド大統領政権は崩壊に向かっているようだ。シリアが現在の国境を維持するか、あるいは別々の国家に分割されるかにより、一つ以上のアメリカ傀儡政権に取って代わられる可能性が高い。またしても帝国が勝利を収めた。

 私は軍事評論家ではないが、通常、アサドを支持して楽観的なイライジャ・マグニエペペ・エスコバルなどの評論家たちは、これで終わりだと言っている。トルコが支援する戦闘員や、欧米諸国の支援を受けた歴史を持つアルカイダ系勢力が驚くべき速さ国中を席巻する中、アサドの所在は不明で、現在、ロシアとイランは、サウジアラビア、エジプト、ヨルダン、トルコなどのアメリカ同盟諸国政府と連携し、政治的解決のため戦闘を終わらせるよう呼びかけている。反政府勢力がアサドを捜してダマスカスに入ったと報じており、アサド軍が大統領の主な住居がある地域から撤退する様子が映像で示されているとCNNは報じている

 レバノンとウクライナにおけるアメリカ代理戦争は、今では戦略的にずっと意味を成している。ヒズボラとロシアを他の紛争で縛り付けることにより、ダマスカスへの再攻撃への道が開かれ、ヒズボラへの供給を更に断つ好機が生まれたのだ。私と同じ立場の評論家の多くは、こうした代理戦争を自滅的なものと呼び、死にゆく帝国の必死のあがきで、終焉を加速させるだけだと位置づけてきたが、今や我々は、帝国が何年も追求してきた勝利を収めるのを目の当たりにしており、中東における欧米諸国とイスラエルの締め付けはかつてないほど強まっている。

 一方、アルカイダは目覚めたという物語をマスコミが広め、この政権転覆を支持するため奔走している。

 シリア反体制組織ハヤト・タハリール・アル・シャムを率いる元ISISやアルカイダのメンバー、アブ・モハメド・アル・ジョラニの甘やかし気味のインタビューをCNNは公開したばかりだ。同組織はシリアのアルカイダから改名した分派だ。ジョラニは、過去の過激なやり方から改心したとCNNに語り、「時には現実に適応することが不可欠だ」と付け加えた。「柔軟性を持たず特定の考えや原則に固執する人は社会を効果的に導くことも、シリアで起きているような複雑な紛争を切り抜けることもできない」と補足した。

 CNNの「シリア反政府勢力指導者はいかにして過激ジハード主義者からブレザーを着た『革命家』になったか」や、イスラエル・タイムズの「シリア反政府勢力指導者ゴラニ:過激ジハード主義者から表向き実用主義者へ」、テレグラフの「シリアの『多様性に優しい』ジハード主義者は国家建設をどのように計画しているのか」といった見出しで、今や帝国主義報道機関は溢れている。

 元ISISやアルカイダのメンバーが、自分の名の横に好みの性別代名詞を添えて、リベラルな欧米諸国の対談番組で語り合う姿を見るようになるのも時間の問題だろう。

 幸運なことに「イスラエルを愛している」ので、イスラエルの利益を損なうようなことは決ししないと、この「多様性に好意的な聖戦主義者」はイスラエル報道機関に語った。従って、この「革命」は結晶メタンフェタミンと同じくらい有機的に成長したと言っても過言ではない。

 世界を支配する超大国の多くの特典の一つは時間的な余裕があることだ。政権転覆作戦が一つ失敗しても心配はいらない。チェスの駒を動かして再度挑戦すれば良い。中南米でクーデターが失敗しても心配することはない。クーデターはまた起こせる。シリア奪取の試みが失敗しても、制裁でシリアを粉砕し、油田を占領し、貧困化させ、他の場所での代理戦争で軍事同盟国を過度に手を広げさせてから、後で奪取すれば良い。

 優れたキックボクサーは、ほとんどのパンチが外れるか防御されるか、最小限の打撃しか与えないと理解して、最終的にはノックアウトの一撃を当てられると信じて、多くのコンビネーションを繰り出す。

 永遠に続く帝国などないが、この帝国が近い将来に消滅する証拠はない。この醜悪さは、おそらく何世代にもわたって続くだろう。
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 画像は、YouTube の CNN からのスクリーンショット (フェアユース)。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/12/08/assad-is-out-woke-al-qaeda-is-in/

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 Judging Freedom
COL Douglas Macgregor : SYRIA - a looming crisis awaits. 25:34
Prof. John Mearsheimer : "Russophobic " - Buzzword for MSM 28:26

2024年12月11日 (水)

シリア崩壊

2024年12月9日
Moon of Alabama

 シリアが崩壊した。

 シリア - 勝者なのか敗者なのか、それとも、その両方なのか

 この国が崩壊する可能性は今や非常に高い。国外および国内関係者は、それぞれ可能な限り遺骸の多くの部分を捕獲したり支配したりしようとするだろう。

 そこから何年にもわたる混乱と争いが続くことになるだろう。

 イスラエルはシリア領土を更に広範囲に奪取している。シリアの都市クネイトラを制圧し、クネイトラ地域のアル・カハタニヤとアル・ハミディヤの町も制圧した。またシリアのヘルモン山にも進攻し、現在シリア首都から僅か30キロ地点(上空)にいる。

 また、イスラエルは射程圏内のシリア軍備貯蔵施設を爆撃して、シリアの非武装化を更に進めている。主な標的は防空陣地と揚陸艦だ。今後何年もシリア、あるいはシリアから発展する国は、外部からの攻撃に対して完全に無防備状態になるだろう。

 今のところイスラエルは、シリアで大勝利を収めている。だが落ち着きのないジハード主義者連中が今や国境に迫っており、この状況がいつまで続くかはまだ分からない。

 シリアの中央砂漠をアメリカは爆撃している。ISISを攻撃していると主張しているが、本当の標的は、アメリカが支配するシリア東部とイスラエルが支配する南西部とのつながりを阻止する可能性がある全ての現地(アラブ)抵抗勢力だ。このつながりを更に強化して、川から海までシオニストが支配するエレツ・イスラエル国家を建設する計画のる可能性は十分にある。

 シリア攻撃において、トルコはこれまでも、そしてこれからも大きな役割を果たし続ける。トルコは「シリア国民軍」(旧自由シリア軍)に資金提供し、支配しており、主にシリア国内のクルド人分離主義者との戦いに利用している。

 トルコには300万から500万人のシリア難民がいるが、国王志望者のエルドアン大統領は国内政治的理由から彼らがシリアに帰国するのを望んでいる。だが混乱が拡大しているため、それは許されないだろう。

 トルコはアルカイダから派生したハヤト・タハリール・アル・シャムを育成し、アレッポを占領するよう圧力をかけてきた。この組織がこれほど成功するとはトルコは予想していなかった。シリア陥落は、アメリカがシリアを支配しつつある今、トルコにとって問題となっている。トルコが何をしようと、控えめに言っても、ワシントンは必ずしも両立しない国益のためにHTSを利用しようとするだろう。

 トルコにとって主目的は、トルコ国内のクルド人反乱軍と、彼らを支援するシリアのクルド人だ。クルド人はシリア民主軍として組織されており、アメリカが支援し、支配している。SDFは既にエルドアンのSNAと戦っており、シリアにトルコが更に侵入すれば、彼らは対抗することになるだろう。

 シリア東部でアメリカ占領軍の支援を受けているSDFは、シリア東部の主要石油、ガス、小麦産地を掌握している。ダマスカスで支配したいと望む者は、国家財政を支えるため、これらの資源を自由に得ちれる必要がある。

 HTS指導者アブ・モハメド・アル・ゴラニは、1,000万ドルの賞金が懸けられているにもかかわらず、現在、シリア統一と寛容の新指導者として欧米メディアに取り上げられている。だが彼のHTS自体は様々な国々の強硬派ジハード主義者の連合体だ。略奪できるものがシリアにはほとんど残っておらず、それら資源が尽きれば、すぐにHTS内で戦闘が始まるだろう。ダマスカスのシーア派やキリスト教の聖地を略奪し始めた同志の宗派的衝動を、アル・ゴラニは制御できるのだろうか。

 ここ数年、ロシアはアサド政権に見かけほど注力していなかった。アサドがほとんど役に立たないパートナーになったのをロシアは知っていた。ラタキア県フメイミムにあるロシアの地中海基地は、ロシアにとってアフリカへの足掛かりとなっている。シリア新指導者には、ロシアを追い出すようアメリカから圧力がかかるだろう。だが、シリア新指導者は、賢明なら、ロシアを留めておきたいと思うはずだ。いずれ必要になった時に代わりの選択肢を持つことは決して悪いことではない。ロシアは今後何年もラタキアに留まるかもしれない。

 シリア陥落により、イランはイスラエルに対する抵抗枢軸の主要部分を失った。レバノンのヒズボラが提供していた前線防衛は今や崩壊している。

 かつてペンタゴンでした会話について、元将軍ウェズリー・クラークは以下のように報じていた。  
「これは、イラクから始まり、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そして最後にイランまで、7カ国を5年で、どう排除するかを記したメモだ。」
 現在までに、あの有名なメモに記された7カ国中6カ国は混乱に陥っている。イランは、これまでのところ、その計画から唯一生き残っている。イランは緊急に国内防衛力を更に強化する必要がある。今こそ、イランが本物の核兵器を手に入れるべき時だ。

 トランプ新政権は中国を最大の敵とみなしている。退任するバイデン政権は、シリア(とウクライナ)を混乱に陥れて、確実にトランプが中東(と東ヨーロッパ)に関与し続けるようにした。

 アメリカの大規模「アジア回帰」は再び待たねばならない。これにより中国は勢力圏を築くための時間が増える。中国はおそらくこの件で勝利を収めた唯一の大国だろう。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/12/syria-winner-and-losers-or-both.html

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 ノーベル賞受賞の演説を見ながら、大昔、オスロに出張したことを思い出した。
 グランド・ホテルに宿泊した。
 顧客にホルメンコーレン・スキー・ジャンプ場のレストランで鹿肉ステーキをご馳走になった。
 翌日、ムンク美術館に行った。「叫び」を含むムンク作品を鑑賞したが他の訪問者皆無。

 The Chris Hedges Report
Letter to Refaat Alareer
 A year ago on Dec. 6, 2023 Israel murdered Palestinian poet Refaat Alareer in Gaza. His poems, however, remain, condemning his killers and beseeching us to honor our shared humanity.

 Chris Hedges
 Dec 11, 2024

 藤永茂氏の「私の闇の奥」最新記事
シリア哀悼
 ≪櫻井ジャーナル≫
シリア全土でHTS戦闘員による虐殺が行われていると報告され始めた
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米国の対中禁輸措置に対抗し、中国はガリウム、ゲルマニウム、黒鉛、アンチモンの対米禁輸を決め、第三国が輸入し米国に回すことも禁止。中国の重要鉱物禁輸措置は予想以上に厳しい。但し中国側は交渉で妥協を図る余地も残す。米国の同盟国にも厳しい状況がくるであろう(NYT)

2024年12月10日 (火)

アメイジング・グレース(素晴らしき神の恩寵)!バイデンの許しの奇跡



ロレンツォ・マリア・パチーニ
2024年12月5日
Strategic Culture Foundation

 父親ジョーは息子ハンターを許し、クリスマスは救われた。

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素晴らしき神の恩寵、なんと甘美な響き
私のような惨めな者を救ってくださった

(アメイジング・グレイス、ジョン・ニュートン、1772)

 サンタクロースが町にやって来て、目立つようにホワイトハウスの煙突の下に素敵なプレゼントを置いていった。パパのジョーは息子ハンターを許し、クリスマスは救われた。

 飛行機のタラップで

 クリスマス・カルトの一場面のようだが、実際こんなことが起きたのだ。アンゴラに初めて向かう飛行機のタラップで、脱税と武器購入の罪で有罪判決を受けた息子ハンターの全面恩赦を命じる文書に退任するジョー・バイデン大統領が署名した。ハンターの麻薬中毒の過去は伏せられていた。判決は12月12日から16日の間に言い渡されるはずだったが、キリスト教的価値観と善良な心で息子を刑務所から救うと善良なジョーは決断した。

 今年もまたクリスマスは救われ、善行が行われ、世界はより良い場所になる。結局、誰でも二度目の機会を得る権利があるのではなかろうか?

 選挙の100日前にジョー・バイデンは党から辞任を強いられ、選挙に出馬している副党首カマラ・ハリスにその座を譲った。無視するような態度に失望した彼は、思慮深く父親としての愛情を十分に示して埋め合わせをした。発令された恩赦は、法廷で罪を認める司法取り引きに応じた息子に対する全ての刑事責任を完全かつ無条件に取り消すもので、バイデンを「偽善者」と呼ぶドナルド・トランプの憤慨を招いた。トランプが抱えている34件の有罪判決は言うまでもないが、選挙に勝ったため無期限に延期されている。告発された偽善は、2020年1月6日の国会議事堂襲撃と関連付けられており、この襲撃に関わった「アメリカ人愛国者」の一部は今も刑務所に収監されており、ジョーから恩赦を受けてはいないが、選挙公約に従ってドナルドから恩赦を受けるかもしれない。土壇場での恩赦はアメリカで定番だ。2020年、前日パリの新大使に提案されたジャレッド・クシュナーの父チャールズをトランプ大統領は恩赦した。当時、チャールズは売春婦を雇って夫を誘惑させ、その後セックステープを送りつけて証人を脅迫した罪で投獄されていたが、証人はチャールズの妹だった。チャールズはこれからフランスに飛ぶ。ジャレッドがイヴァンカ・トランプの娘の夫で、特使として中東に派遣され、サウジアラビアの金庫から約20億ドルを受け取って投資会社を設立したことはほとんど問題ではない。だがアメリカ歴史書は、フォードがニクソンを恩赦したことや、クリントンが兄ロジャーの履歴書をきれいにしたことなど、他の例が満載だ。

 つまり、アメリカ人は心の底では善良なのだ。

 民主主義の漫画

 この事件は陳腐ではあるが、私たちに考えさせるものだ。この事件について「これは民主主義の漫画だ」とうまくマリア・ザハロワは表現した。再び危機に瀕しているのは、法の支配(あるいはわずかに残された法の支配)で、それは、少しの感傷と個人的利益の保護のために売り渡され、法律と国家を構成する権力の均衡そのものに違反している。

 法の支配(Rule of Law)は、アメリカ法などのコモン・ローシステムと大陸法システム両方の基本原則だ。一般的に、それは全ての人(個人、政府、公的機関、私的機関)が法の対象となり、法により平等に保護されることを意味する。アメリカの文脈で、法の支配は特定の特徴を帯びている。まず第一に、憲法は最高法で、全てそれを尊重しなければならない。最高裁判所は憲法解釈者の役割を果たし、法律や行為が憲法に定められた基本的権利を侵害しないことを保証する。法の支配は、立法権は議会、行政権は大統領と連邦政府機関、司法権は連邦および州の裁判所という古典的な三権分立によって保証されている。これら三つの権力のバランスをとることで権力の集中と乱用が防止されるのだ。

 確かに、ハンター・バイデンを巻き込んだ一連の出来事や決断や噂話の破壊的寓話は、そうする「権限」があるうちに拭い去らなければならない汚点であり、後では決して拭い去れない。実際、ハンターがウクライナや中国企業の役員会に参加したこと、アメリカ外交と対立したこと、父親の大統領職を乱用したことなど、他の「犯罪」(引用符が必要)や利益相反には何も言及されていない。

 アメリカ政治のわずかな構造的確実性を破壊する過程は、今始まったわけではない。バイデンに関する、この事実は、数ある事実の一つで、最もスキャンダラスな事実でもない。全員大笑いして彼の任期は終わるだろう。結局、そこには共和党と民主党のどちらにも当てはまる非常にアメリカ的なものがあるからだ。ビジネスはビジネスで、正義があっても、自力で成功した男は、常に自らの名誉を回復できなければならない。そのような場合、全ての政党が目をつぶる。

 行政国家の解体は、FBI長官に任命されたカシュ・パテルが実行することになる。パテルは、法機関が政府の延長である「帝国」大統領制の熱心な支持者だ。彼の計画には、大統領の権威主義的権力への復讐と強化の装置としての法制度の全面的再構築がある。司法の独立性(もし以前あったとすれば)は、これで終わりだ。

 赦しも、また関心事なのは周知の事実だ。ジョーは飛行機に乗るため、ほんの数歩歩いただけで息子を赦免した。これは、2021年に、関与した何千人もの学生と家族の5万ドルの学生ローン債務を「そうする権限がなかった」という理由で免除しないと宣言した時とは違う。ホワイトハウスは、この声明を直ちに否定し、現行法の下での彼の権限を強調した。おそらく、売春婦とのパーティーや、乱交パーティーでのハンターの素敵な写真は、大統領である父親の今や低下した認知機能にとって、より刺激的なのだ。

 重要なのは、クリスマスにふさわしい行為をしたかどうかだ。それが、困っている人々に対して行われたのか、それとも何度も罪を犯した放蕩者の家族の一員に対して行われたのかは問題ではない。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/05/amazing-grace-miracle-biden-forgiveness/

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 Daniel Davis /Deep Dive サウジアラビア駐在を経験したアメリカ人元外交官「パンドラの箱を開けた」と表現。
The NEW Middle East Begins, Now that Assad is Gone w/fmr Amb Chas Freeman 44:00
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
シリア;アサド政権の急速な崩壊は外部の人間はほとんど予想できず。であれば今後の展開も予想しうる能力はない。中東情勢に多大な影響を持つシリア情勢で、今度の政変には米、英、仏、露、中のいずれもが関与せず。米国は大シリア解放機構(HTS)をテロ集団とし首謀者の首に報奨金をかけてきた。

2024年12月 9日 (月)

クレイグ・マレー - 中東における多元主義の終焉

2024年12月7日
Moon of Alabama

クレイグ・マレーcraigmurray.org.ukから転載

 中東では本当に劇的な変化が実に急激に起きているようだ。核心にあるのは悪魔の取引だ。シリアとレバノンのシーア派少数派の絶滅と東アラブ世界へのサラフィー主義の押し付けと引き換えに、パレスチナ国家の絶滅と大イスラエル創設をトルコと湾岸諸国は受け入れている。

 これはまた、レバノンとシリアのキリスト教共同体の終焉を意味するもので、現在アレッポではクリスマスの飾りが全て破壊され、アルコール飲料が全て破壊され、女性にベールが強制的に着用させていることからもそれがわかる。

 昨日、シリア政府の要請でイラクからシリアへ向かっていた増援部隊を米軍のウォートホッグ(イボイノシシ)空対地戦闘機が攻撃し大幅に消耗させた。シリア軍事施設に対するイスラエルの何ヶ月にもわたる毎日の絶え間ない空爆がシリア政府のシリア・アラブ軍の士気低下と戦力低下の大きな要因で、アレッポとハマでシリア・アラブ軍は完全消滅した。

 シリアで情勢が好転するとは到底考えられない。今、シリアの基地を地上部隊で大規模増強するか撤退するかのどちらかをロシアは迫られている。ウクライナの緊急事態に直面して、ロシアは後者を選択する可能性があり、ロシア海軍は既にタルトゥースを出港したと報じられている。

 シリア崩壊の速度には誰もが驚いている。状況が安定しなければ、ISISの進撃の速度と移動距離の短さを考えれば、一週間以内にダマスカスが包囲され、ベカー高原の丘陵地帯にISISが戻ってくる可能性がある。

 そうなれば、サラフィー主義者のベッカー高原侵攻と同時期にイスラエルが南レバノンに新たな攻撃を仕掛けるのは避けられないように思われる。タリバン式のシリア領土を持つ新たな隣国との国境をできるだけ北にしたいとイスラエルは明らかに望んでいるためだ。既に、アメリカが一体誰がそこを得るか画策していない限り、ベイルートを巡る争いになるかもしれない。

 対シリア攻撃がレバノンとイスラエル停戦の日に始まったのは偶然ではない。ヒズボラは、イスラエルから執拗な空爆を受け、イスラエルとの戦いで疲弊しているいるにもかかわらず、ジハード勢力は、イスラエル共に戦っているとは見られたくないのだ。

 イギリス・メディアと異なり、言ってはならないことを言うのに、タイムズ・オブ・イスラエルは何の躊躇もしない。



 実際、イスラエル・メディアは今のところ、シリア反政府勢力についてイギリスやアメリカのメディアより、ずっと多くの真実を伝えている。これはイスラエル・タイムズの別記事だ。  
HTSは2016年に正式にアルカイダから離脱したが戦闘員数万人を擁し、アメリカ、EUや他の国々でテロ組織に指定されているサラフィー主義ジハード組織であり続けている。

 突然の増派によってシリアが占領されればイスラム主義のタリバンのような政権に変貌し、南西国境のイスラエルに影響を及ぼすのではないかという懸念が生じている。だが、この攻勢は、イスラエルにとっては前向きな展開で、地域におけるイラン枢軸への更なる打撃となると見る者もいる。
これを、テレグラフ紙やエクスプレス紙からガーディアン紙に至るイギリス・メディアが、欧米諸国のジャーナリストを含む非スンニ派の大量拷問や処刑に関与した同じ組織だけでなく、同じ人々が、今や甘やかされたリベラル派だという公式見解を広めてきたことと比較しよう。

 このことは、現在欧米メディアで穏健派指導者として持ちあげられているアブ・モハメド・アル・ジョラニ(アル・ジュラニ、アル・ゴラニとも表記される)の場合ほど明白な例はない。彼はISIS副指導者だったが、CIAは実際彼の首に1000万ドルの賞金をかけている! そう彼に資金と装備を提供し、航空支援を与えているのも、まさにCIAだ。

 イスラエルとアメリカの支援を受けていることを、シリア反政府勢力支持者は、いまだに否定しようとしている。しかし、ほぼ10年前に、その時点で5億ドル以上が、シリア反政府勢力支援に費やされ、ジハード主義者に、医療やその他のサービスや効果的航空支援をイスラエルは公然と提供してきたというアメリカ議会の公開証言があった。

 シリアの聖戦集団に対するNATOとイスラエルの共同支援の興味深い結果の一つは、国内法の更なる歪曲だ。イギリスを例に挙げれば、テロ対策法第12条では、禁止された組織を支持する、または、他者にその組織を支持するよう導く可能性がある意見を述べることは違法だ。

 イギリス警察が、この規定を悪用し、禁止されている組織ハマスとヒズボラへの支援を奨励したとしてパレスチナ支持者を迫害しているのは有名で、ほんの少し言及しただけでも逮捕につながっている。サラ・ウィルキンソン、リチャード・メドハースト、アサ・ウィンスタンリー、リチャード・バーナード、そして私自身、いずれも著名な被害者で、この迫害はキール・スターマー首相により大幅に激化している。

 しかし、ハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)もイギリスでは禁止されている団体だ。しかし、イギリスの主流メディアやイギリスのイスラム系メディアは、どちらも、一週間にわたりHTSを公然と宣伝し賞賛してきた。率直に言って、イギリスでハマスやヒズボラを支持する人を見たことがある人よりも遙かに公然とだ。そしてイギリス警察に逮捕された人や警告を受けた人は一人もいない。




 それ自体、欧米諸国の治安機関がシリアに対する現在の攻撃を全面的に支援していることを示す最も強力な兆候だ。

 念のため言っておくが、私はこれはひどい法律だと思うし、どちらにせよ、意見を表明したからといって、誰も起訴されるべきではない。しかし、この法律の適用が政治的に偏っていることは否定できない。

 欧米諸国の商業メディアと国営メディア全体が、HTSによりアサド政権の圧政から解放されてシリア国民が大喜びしているという統一した報道を展開し、それに伴うシーア派の拷問や処刑、クリスマスの飾りや聖像破壊については一切言及しないのだから、これがどこから来ているのかは誰の目にも明らかなはずだ。

 しかし、これはイギリス国内でのもう一つの反響だが、イギリスでは相当数のイスラム教徒がHTSとシリア反政府勢力を支持している。これは、サウジやアラブ首長国連邦のサラフィー主義者からイギリスのモスクに資金が注ぎ込まれているためだ。これは承認された宗教指導者に利益をもたらす公的支援プログラムや「シンクタンク」や忌まわしい強制的なPreventプログラム両方を通じて、モスクを通じて行使されるイギリス治安当局の影響力と結びついている。

 ミドル・イースト・アイやファイブ・ピラーズなど、表面上親パレスチナ派のイギリス・イスラム系メディアは、パレスチナ人虐殺への抵抗勢力の壊滅を確実にするイスラエルのシリア同盟国を熱烈に支持している。アルジャジーラは、パレスチナでの恐ろしい虐殺の詳細を伝える記事と、イスラエルと同盟を組んだシリアの統治をシリアにもたらしているシリア反政府勢力を称賛する記事を交互に放送している。

 彼らがこの問題を解決するために採用している手段の一つは、イランからヒズボラへの武器供給を可能にするシリアの重要な役割を認めないことだ。この供給は今やジハード主義者に遮断されており、イスラエルにとって非常に喜ばしいことに、イスラエルとアメリカの空爆と連携して行われている。

 結局、中東と西洋の多くのスンニ派イスラム教徒にとって、パレスチナ国家の最終的破壊を防ぐことよりも、シーア派に対する宗派的憎悪とサラフィー主義の押し付けの方が強いように思われる。

 私はイスラム教徒ではない。イスラム教徒の私の友人は、ほとんどスンニ派だ。千年以上も前の宗教指導者を巡って分裂が続いていることは何の役にや立たず、不必要な憎しみの根源だと私は個人的に考えている。

 だが、何世紀にもわたり、スンニ派とシーア派の分裂を、西洋植民地勢力が意識的に、明示的に利用して分割統治をしてきたことを私は歴史家として知っている。1830年代、シインドにおけるシーア派支配者とスンニ派住民の分裂をイギリス植民地拡大に役立てる方法についてアレクサンダー・バーンズが報告書を書いていた。

 1838年5月12日、アフガニスタンへの最初のイギリス侵攻を開始する決定を述べたシムラーからの手紙の中で、イギリス総督オークランド卿はインドとアフガニスタン両国におけるシーア派とスンニ派の分裂を利用してイギリス軍の攻撃を支援する計画を盛り込んだ。

 何世紀にもわたり、植民地勢力はこれを行っており、イスラム教共同体はそれに騙され続けており、中東の改造を進めるためにイギリスとアメリカは現在これを行っている。

 簡単に言えば、ガザ地区の圧倒的多数を占めるスンニ派住民に対して現在大量虐殺を行っている連中よりもシーア派イスラム教徒を憎むよう、多くのスンニ派イスラム教徒は洗脳されているのだ。

 私がイギリスに言及したのは、ブラックバーンの選挙運動中に、これを直接目撃したからだ。だがイスラム世界全体でも同じことが言える。パレスチナ人の大量虐殺を阻止するために、スンニ派イスラム教徒主導の国々は指一本動かしていない。

 彼らの指導部は、反シーア派宗派主義を利用して、実際抵抗の実際的支援をパレスチナ人に与えようとしている唯一の集団であるイラン、フーシ派、ヒズボラに対抗し、イスラエルとの事実上の同盟に対する国民の支持を維持しようとしている。そして物資供給を容易にしたシリア政府にも対抗している。

 暗黙ながら、非常に現実的な合意は次の通りだ。パレスチナ国家全体の消滅と大イスラエルの形成をスンニ派勢力は受け入れるが、その見返りとして、イスラエルとNATOに支援される軍隊(トルコを含む)がシリアとレバノンのシーア派共同体を絶滅させるのだ。

 もちろん、この大同盟には矛盾もある。イラクにおけるアメリカのクルド人同盟者が、シリアのクルド人集団をトルコが破壊したのを喜ぶ可能性は低い。これは、トルコがシリア打倒で非常に積極的な軍事的役割を果たしたことで、エルドアン大統領が得た利益で、油田に対するトルコの支配を更に拡大したことによるものだ。

 イランに友好的なイラク政府は、自分たちが次の標的だと認識しており、自国の大部分をアメリカが占領し続けるのを受け入れるのは更に困難になるだろう。

 レバノン軍はアメリカ支配下にあり、イスラエルとの悲惨な停戦に合意するには、ヒズボラは大きく弱体化していたに違いない。伝統的にイスラエルと同盟を結んでいたキリスト教ファシスト民兵はベイルート各地で益々目立っているが、彼らが北のジハード主義者と手を組むほど愚かかどうかは疑問かもしれない。だがシリアが完全にジハード主義者の支配下に陥れば ― それはすぐに起きるかもしれない ― レバノンもすぐ、それに追随し、サラフィー主義の大シリアに統合される可能性も否定できない。

 ヨルダンのパレスチナ人がこの悲惨な事態にどう反応するかは定かではない。大イスラエル計画のもと、民族浄化されたヨルダン川西岸のパレスチナ人の行き先として指定されているのは、イギリス傀儡のハシミテ王国だ。

 これら全てが意味するのは、レバントにおける多元主義の終焉と、それが優越主義に置き換わることだ。民族優越主義の大イスラエルと宗教優越主義のサラフィー主義の大シリアだ。

 多くの読者と違い、私はアサド政権のファンだったこともなければ、その人権侵害に目をつぶったこともない。だがアサド政権が確実に成し遂げたのは、スンニ派(多くのスンニ派はアサドを支持している)、シーア派、アラウィー派、初期キリスト教徒の子孫や、イエスの言語であるアラム語話者を含む最も素晴らしい歴史的宗教と共同体の伝統が全て共存できる多元主義国家の維持だ。

 レバノンも同様だ。

 我々が目撃しているのは、その破壊とサウジアラビア式支配の押し付けだ。クリスマスツリーから語学教室、ワイン醸造、ベールを脱ぐ女性まで、多元主義を示すあらゆる小さな文化的物事がアレッポで破壊されたばかりで、ダマスカスからベイルートまで破壊される可能性がある。

 アサド反対派の中には真の自由民主主義者はいないと私は言わない。だが彼らの軍事的重要性は無視できるほど小さく、彼らが新政府に影響力を持つという考えは妄想だ。

 多元主義国家を装っていたイスラエルで、仮面は剥がされている。イスラム教徒の礼拝の呼びかけが禁止されたばかりだ。ネタニヤフ首相と大量虐殺を批判したためクネセト(議会)のアラブ系少数派議員は議員資格を剥奪された。不法占領地域だけでなく「イスラエル国」自体でもアパルトヘイトを強制するための壁や門が日々建設されている。

 告白するが、かつて私はヒズボラ自体、宗教至上主義の組織だという印象を持っていた。指導者の服装やスタイルは神政主義的に見えた。その後、私はここへ来て、数十年ヒズボラが選出した地方政府下にあったティルスなどの場所を訪れ、海岸で水着やアルコールが許可され、ベールが任意な一方、そこには全く妨害されないキリスト教徒共同会があると知った。

 私はもうガザに行くことはないだろうが、ハマスの支配にも同じように驚いたかもしれないと思う。

 中東全域で宗教的過激主義を推進し、欧米の規範に似た社会的多元主義の終焉を推進しているのはアメリカだ。これはもちろん、イスラエルとサウジアラビアという二つの宗教至上主義の中心地とアメリカが同盟を結んでいる直接的な結果だ。

 多元主義を破壊しているのはアメリカで、多元主義を守っているのはイランと同盟諸国だ。ここに来なければ、私はこれをはっきり見ることができなかっただろう。しかし、一度見れば、目もくらむほど明白だ。

ベイルート 2024年12月6日

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記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/12/craig-murray-the-end-of-pluralism-in-the-middle-east-.html#more

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シリア崩壊

2024年12月8日
Moon of Alabama

 なぜこのような速さで、このようなことが起きたのか私はまだ完全には理解できていない。  
シリア政府、アサド一族の50年にわたる支配に衝撃的終焉- AP通信、2024年12月8日

 ベイルート(AP通信) — 反政府勢力の突発的攻撃が政府支配地域を駆け抜け、10日間で首都に侵入したことで、シリア政府は日曜早朝崩壊し、アサド一族による50年にわたる統治に衝撃的終止符が打たれた。

 シリア国営テレビは、バッシャール・アサド大統領が打倒され、刑務所に収監されていた全ての被拘禁者が釈放されたとする男性集団のビデオ声明を放映した。

 シリアのモハメド・ガジ・ジャラリ首相は、政府は反政府勢力に「手を差し伸べ」、暫定政府にその機能を引き渡す用意があると述べた。

 「私は家にいて、外に出ていない。これは私がこの国に属しているからだ」とジャリリはビデオ声明で述べた。午前中に事務所に戻って仕事を続けると彼は述べ、シリア国民に対し公共財産を傷つけないよう呼びかけた。

 アサド大統領が逃亡したという報道に彼は触れなかった。
 タクフィリ派テロリストとの戦いの最中、そして戦いの後、シリアは厳しい制裁を受けていた。シリア東部の主要資産はアメリカ管理下にあった。イスラエル空軍はシリア軍事インフラを意のままに爆撃していた。シリアは陥落寸前だった。

 レバノンで偽の停戦協定が締結されるとすぐ、トルコはタクフィリ派「シリア反政府勢力」をシリアに向けて放った。多くは外国人だった。彼らは非常によく武装し訓練されていた。彼らには(映像)暗視装置、ドローン、大砲、スターリンク通信や有能で専門的な指揮官がいる。

 シリア・アラブ軍は当てにならないことが判明した。部隊の中には姿を消した者もいた。圧力を受ける前に急いで撤退するよう命じられた者もいた。指揮官層にどれほどの人が潜入したり賄賂を渡されたりしたのかは疑問だ。

 過去数ヶ月、シリア同盟国のイランとロシアは反体制派とアサド政権間の妥協点を探ってきた。結局、バッシャール・アサドの頑固さを両国は克服できなかった。両国は罠にかけられていると感じ、それに引っかかるのを拒否した。

 シリアは今や崩壊しそうだ。報復として多くの血なまぐさい行為が起きるだろう。大勢の人々が避難を求めるだろう。

 「抵抗枢軸」は主要連結棒を失った。イランとレバノン間の物流は極めて困難になるだろう。

 だが、抵抗は続くだろう。

 私の目に留まったツイートをいくつか紹介する。

ドナルド・J・トランプ @realDonaldTrump - 2013年9月5日 23:17 UTC
シリアのテロリストは自らを反政府勢力と称し、罪を免れているが、それは我々の指導者たちがあまりにも愚かだからだ!

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Mark Sleboda @MarkSleboda1 - 2024年12月8日 4:27 UTC
シリアよ、安らかに。なんと早いのか。欧米/トルコ情報機関は、シリア軍と行政のほぼ全員を買収/買収/脅迫し、ひたすら撤退させ、シリアの石油と小麦に対する制裁と占領によって経済はひどく荒廃し、国家は抵抗できなかった。

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asad abukhalil أسعد أبو خليل @asadabukhalil - 16:17 UTC · Dec 7, 2024
数日前、バシャル・アル・アサド大統領に対し、枢軸が崩壊しつつあるとロシアが警告し、モスクワが承認したシリア反体制派との和解を促したとアル・アフバール紙のイブラヒム・アミンは書いた。アサド大統領は拒否した。エルドアンはアサド大統領と和解しようとしたが、アサド大統領は拒否した。彼が何を期待していたのか分からない。

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ダン・コーエン @dancohen3000 - · 2024年12月8日 2:51 UTC
シリア革命など存在しない。CIAが主導する反革命があるだけだ。両者は同じように聞こえるが全く正反対だ。

 宗教的少数派に対する憎悪で団結しトルコとイスラエルの支援を受けたジハード主義傭兵の競合する集団に、シリアは主権を奪われた。人類にとって暗い日だ。

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アロン・ミズラヒ @alon_mizrahi - 2024年12月8日 5:06 UTC
我慢して聞いてほしい。もし欧米諸国が、ロシアとイランがこれを広範囲にわたる長期にわたる流血の争いに変えて、疲れ果て、イランを弱らせて致命的打撃を与える計画に備えることに賭けているのなら、プーチン大統領がその餌に食いつかないのは理にかなっているだろう。そしてシリアを、自分の頭痛の種ではなく、欧米の頭痛の種にするのはどうだろう。シリアにおける利害と敵対関係の迷路をアメリカに進ませよう。

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asad abukhalil أسعد أبو خليل @asadabukhalil 16:17 UTC · Dec 7, 2024
私はシリア政権について良いことを言ったことは一度もない(そしてハフィド・アル=アサドの時代以来、政権を賞賛する言葉を書いたり言ったりしたこともない)が、シリアについて語りながら、シリア、レバノン、イラク、リビアの国家と社会を破壊するイスラエルとアメリカの計画について語らずにいられるだろうか? 政権がいかに醜悪なものであれ、アメリカとイスラエルは、それをもっと悪いものに置き換えられる。リビアとイラクを見ればわかる。アフガニスタンで、余にも嫌悪すべき政権をアメリカが樹立したため、人々はタリバンの方を好むようになった。

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マイケル・トレーシー @mtracey -· 2024年12月8日  5:59 UTC
現在シリアで権力を掌握しているハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)は、2018年5月17日にアメリカ国務省により特別指定国際テロ組織に指定された。この指定がいつまで続くのか、その「上限と下限」はどれくらいだろう?
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/12/syria-falls.html#more

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 Judging Freedom
AMB Craig Murray: Syrian Rebels & the CIA-Israel Connection 1:53
 Alex Christoforou Youtube
Damascus falls. Erdogan rules over Syria. Notre Dame globalist gathering. Trump-Elensky handshake 34:54
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米国教授「アサドの崩壊をどう考えるか」、アサド政権倒したのはHTS大シリア解放機構。イスラム国の分派。アサド政権を支援してきた露、イラン、レバノンのヒズボラはいずれも困難に直面しシリア支援の余力なし。HTSはシリア内戦に注力。対米攻撃には参画していない。」トルコ資金提供

2024年12月 8日 (日)

アメリカ製ミサイルをウクライナがロシアに発射するのをバイデンが許可した理由

Salman Rafi Sheikh
2024年12月5日
New Eastern Outlook

 ロシアへのミサイル発射をウクライナに許可したワシントン(とロンドン)の決定は明らかに緊張を高めるが、決定の背後にある謎のほとんどはタイミングで説明できる。

 アメリカ製ミサイルをウクライナがロシアに発射するのをバイデンが許可した理由

 バイデンが無謀だというだけではない。単なる狂気でもない。これは世界的地政学の要素を帯びた政治なのだ。

 大統領選挙と議会選挙の両方で共和党に敗れたバイデン政権は焦土作戦をとっているようだ。2025年に、トランプが就任して、交渉によるロシア・ウクライナ(NATO)軍事紛争解決に向かう前に、退任する政権は、問題を現在より遙かに複雑、致命的にするつもりのようだ。この計算されたエスカレーションの中心にあるのは、トランプの成功と、彼がNATOをウクライナから撤退させ、アメリカ覇権を覆す可能性に不満を抱く、アメリカの「ディープステート」だ。トランプは選挙運動中、戦争を終わらせると主張していた。

 アメリカの「ディープステート」は少なくとも彼に簡単にそうさせたくないのだ。

 NATOの失敗は欧州諸国が独自外交政策の方向性を決める新たな機会を生み出すだろう

 タイミング

 アメリカ製ミサイルをウクライナがロシア領内に発射するのを許可することにバイデン政権は長い間抵抗してきた。今回の発射は、モスクワにとって進行中の紛争の「新たな局面」を意味する。モスクワには、おそらくこれ以外には、物事を見る方法がない。民主党支持派の反応は、この決定は、今後の交渉の可能性を受けて、ロシアに対するウクライナの立場を強化したいというバイデン政権の願望が動機となっているというものだ。だが、これが本当に主な意図なら、なぜバイデン政権は大統領職の絶頂期、つまり例えば1年前に同じ結論に達しなかったのだろう? バイデン政権は、ロシアが交渉の席に着くことを期待して、同じエスカレーションができたはずだ。ただし、バイデン政権がそのような決定を下さなかったのには、一つ、主な理由がある。

 モスクワの対応が、より致命的なものとなり、ワシントンとNATOが対処できる範囲を超えて戦争が激化すると彼らは理解していたのだ。バイデン政権は、致命的な激化は選挙での敗北につながると主張した。彼らは既に選挙に負けており、今更どうすることもできないため、トランプ政権を潰すために意図的に戦争を激化させているのだ。戦争が激化すれば、トランプ政権がロシアと交渉するのが難しくなる。また、トランプ政権がヨーロッパの同盟諸国と交渉するのも難しくなる。問題が複雑になるほど、解決策を見つけるのに時間がかかる。全体として、これで紛争を迅速に終わらせることができなかった責任をトランプ政権に転嫁する政治的機会を民主党に与えることになる。民主党にとって、これは中間選挙で提起できる重要な論点の一つになる可能性がある。

 この決定の背後にある政治を、バイデン政権の主要関係者は間接的に認めた。国務省のマシュー・ミラー報道官は、この決定を擁護し「アメリカ国民はジョー・バイデンを3年10カ月ではなく4年の任期で選んだ。任期中は、毎日アメリカ国民の利益になると信じる外交政策の利益を追求する」と記者会見で述べた。ただし、ここで問題となるのは民主党の利益だけだという点に注意が必要だ。

 反応

 この政治をトランプ政権は理解している。Xへの投稿で、この変更は「父が平和をもたらし、人命を救う機会を得る前に、第三次世界大戦を始める」ことが狙いだとドナルド・トランプ・ジュニアは述べた。これは「エスカレーションの階段をもう一歩上ったもので、これがどこに向かうのか誰にも分からない」とトランプ大統領が国家安全保障問題担当大統領補佐官に指名したマイク・ウォルツ下院議員がフォックス・ニュースで語った。「移行期間中にウクライナでの戦争をエスカレートさせる」動きをバイデンが見せていると元トランプ政権の閣僚リチャード・グレネルも非難した。「まるで彼は全く新しい戦争を始めようとしているかのようだ。全て変わった。これまでの計算は全て無効だ」と彼は付け加えた。

 この反応は当然だ。なぜなら、ウクライナはATACMSシステムを数十基しか受け取っていないからだ。ウクライナの立場をバイデン政権が本当に強化したいかなら、まず必要なのはこの装置の十分な供給確保だったはずだ。ウクライナが備蓄の全てを余りに早く発射し、意味ある影響を及ぼさない可能性が高いとすれば、このエスカレーションが意味するものは、交渉による紛争終結を遙かに複雑にするだけだ。1月にトランプが政権を握る前に更にエスカレーションが起きれば、そしてエスカレーションは十分あり得るが、今後数ヶ月間、紛争が激化することになる。

 大詰め

 トランプ政権が紛争を終わらせると、ほとんどの人が理解している。第一に、トランプにはアメリカの外交政策上の利益を推進するために軍事紛争を利用するつもりはない。第二に、トランプ政治の中心は「アメリカ第一主義」政策だ。軍事紛争がトランプ陣営にいかに不適合かを理解しているのは、民主党員だけでなく、ウクライナ大統領自身も含まれる。二週間前、トランプが勝利した今、紛争は「より早く」終わるだろうと彼は公言している。

 アメリカ「ディープステート」内の反ロシア陣営にとって、この予想は非常に不安だ。これ以上NATOがヨーロッパに拡大できなくなることを意味するのだ。NATOが失敗すれば、ヨーロッパ諸国がロシアとの関係を含め、独自外交政策の方向性を決める新たな機会を生み出すだろう。実際、これは既に起きている。最近ドイツ首相がロシア大統領と会談したのは、単に紛争終結の可能性について話すためだけでなく、紛争後の二国間関係を把握するためでもあった。更に重要なのは、ドイツが電話会談を開始したことだ。従って、ドイツはロシアからのガス供給を再開する可能性がある。実際、両首脳はエネルギー貿易における「協力」の可能性について話し合った。

 この電話がきっかけで他のヨーロッパ指導者たちが電話をかけてウラジミール・プーチン大統領と話すようになるのではないかとワシントンは恐れている。それはワシントンが状況を制御できなくなることを意味する。そんなことが起きるのをワシントンの連中は望んでいない。従って、紛争を激化させる主な地政学的理由は、既にかなり近づいている終戦を阻止することだ。

 Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交・内政専門家。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/12/05/why-biden-allowed-ukraine-to-fire-us-missiles-into-russia/

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 India & Global Left 長年の中東過激派、名こそ頻繁に変わるが宗教無関係。実態はNATO、アメリカ、イギリス、トルコ、イスラエルが連中の狙いのために仕組む暴力組織とMohammad Marandi教授は切り捨てる。
Mohammad Marandi: Syrian Civil War, Erdogan, Netanyahu, Turkey, Israel, Russia, US, Iran, Palestine.  1:00:28
 デモクラシータイムス
この1年を振り返る WeN20241207

2024年12月 7日 (土)

ビビにとって、テヘランへの道はダマスカス経由



マイク・ホイットニー
2024年12月1日
The Unz Review

 シリアは、イスラエルの中東再編の野心的計画に欠かせない一部だ。シリアは中東地域の中心に位置し、イランから同盟諸国への武器や歩兵の輸送に不可欠な陸橋であると同時に、イスラエルの拡張に対する武装抵抗の地政学的中心地でもある。イスラエルがこの地域を本当に支配するには、ダマスカス政府を打倒し、ヨルダンやエジプトと同様の傀儡政権を樹立する必要がある。ワシントンが(自国よりも)イスラエルの利益を「無条件に」支持するよう説得された今、テルアビブの包括的計画を実現する可能性が最も高い変化を起こすのにこれ以上の時はない。南部から地上戦を開始し、シリア軍を半分に分割して成功の見通しを大幅に改善する二正面戦争を起こす準備がベンヤミン・ネタニヤフ首相はできている。同時に、アメリカが支援するジハード主義者が、シリア北部で暴れ回り続け、シリアのぼろぼろになった防衛を徐々に蝕み、シリアの産業首都アレッポの安全を更に確保するだろう。 もしダマスカスが陥落し、アサドが権力の座から退けば、イスラエルの地域覇権の夢は手の届くところにあり、おそらく実現可能になるだろう。ただし我々が想定している通り、見返りとしてイランとの戦争を開始するとトランプ大統領がホワイトハウスに押し込んだ強力なロビイスト連中に約束した場合だ。だが、まずはシリアが鎮圧され、シリア軍が敗北し、現支配者が追放されなければならない。それが、同盟諸国やパートナーからイランを効果的に切り離し、今後の恐ろしい猛攻撃に備える唯一の方法だ。

 現在イスラエルの血に飢えた十字軍に終止符を打てる人物は世界に一人しかいない。



 プーチンが迅速に行動し、アサドに緊急援助を提供しなければ、現在の事態は取り返しがつかなくなる可能性が高い。これは、アメリカが支援するテロ攻撃や(間もなく起こるだろう)南部の挑発を阻止するためロシア戦闘部隊を派遣することを意味する可能性もある。要するに、主権国家シリアは今や存亡の危機に直面しており、プーチンがいつもの慎重な姿勢を捨て、蛮族を撃退するために必要な手段をシリアに提供しなければ、地域全体と世界に悪影響を及ぼすことになるだろう。

 日曜版のタイムズ・オブ・イスラエルで、イスラエルの戦争計画者連中が既にシリア南部から侵攻する口実を決めていることがわかる。「 Rebels’ advances in Syria spell short-term benefits, potential trouble for Israel, intel chiefs said to tell PM(反政府勢力のシリア侵攻はイスラエルの短期的利益と、潜在的な問題を意味すると情報機関幹部が首相に伝えたとされる)」と題された記事の抜粋をご覧願いたい。  
シリアにおけるジハード主義反政府勢力の侵攻をイスラエルはかなり警戒して見守っており、シリア政治階層の動向が最終的にイスラエルにとって問題となる可能性があると諜報機関責任者たちは語っているとチャンネル12が報じている。「アサド政権を守るため、今後ヒズボラの注意はシリアに移り、ヒズボラの軍もシリアに移るだろう」とネタニヤフ首相が言ったと報じられている。

 「アサド政権崩壊は混乱を引き起こし、イスラエルに対する軍事的脅威が高まりかねないはずだ」と情報機関責任者らは警告している。

 更に、金曜日の安全保障協議で、アサド政権の「戦略能力」がジハード主義者の手に渡る可能性があるという懸念が提起されたとチャンネル12は報じている。最大の懸念は「化学兵器の残骸」に関するものだと同報道は述べている。

 イスラエルが行動を迫られるシナリオに、イスラエル国防軍は備えていると言われているが、報道は詳細を明らかにしていない。

 国の安定を図るため、シリアは相当数のイラン軍兵士に門戸を開く可能性があるという評価もあると報告書は述べている。Rebels’ advances in Syria spell short-term benefits, potential trouble for Israel, intel chiefs said to tell PM,(反政府勢力のシリア侵攻は、短期的にはイスラエルにとって利益だが、潜在的な問題になると諜報機関幹部が首相に伝えた)と報じられている。タイムズ・オブ・イスラエル
 ここでシリア侵攻の正当性は白黒はっきりしている。イスラエルには「化学兵器」から「イラン軍」、政権転覆後の「混乱」や「アサド政権を守る」ヒズボラ軍まで、言い訳はいくらでもある。あらゆる場面で、あらゆる事態にイスラエルがいかに備えているかわかる。この計画は何年も、いやそれ以上前から練られてきた。そしてもちろん、この戦略は大団円である1月の就任式に向けて戦場を準備するため迅速に実行されなければならない。就任式で、アメリカ史上最も親シオニスト大統領が即位し、イスラエルが熱望するイランとの戦争で報いを受けることになる。何も成り行きに任せるわけには行かない。



ビデオ—「テロリストは欧米の新軍隊だ」とシリアのアサド大統領が説明 3分

 驚くべきことに、アレッポ情勢についてエルサレムポスト紙の連中は、より率直な見解を述べている。実際、ある賢明な評論家は、狂信的な首切り屋連中の手によるシリアの産業首都の降伏は「良いニュース」だと率直に認めている。何だって? 記事の抜粋は以下の通り。  
土曜日のX/Twitterへの投稿で、イスラム主義者によるアレッポ攻撃は「表面上イスラエルにとって良いニュースだ」とエルサレム戦略安全保障研究所のダニエル・ラコフ上級研究員は述べた。「シリア北部が反政府勢力の手に落ちたことで、イランとヒズボラのインフラが損なわれ、ヒズボラ再建に向けた取り組みは困難になるだろう」と彼は述べた。

 また、ロシア国営メディアはアレッポでの紛争をほとんど無視する一方、世界紛争に関するロシアの評論家は、シリアの都市の防衛失敗についてモスクワは責任を負わず、ロシアはそこにほとんど兵力を配備しておらず、この事件はアサド政権にとって大きな失敗だったと述べているとイスラエルの研究者は主張している。

 イスラエルにとってシリア攻撃の好機?

 更に、アサド政権が示した弱さにより、イスラエルがシリアを攻撃する機会があるという考えをラコフは抱いている。

 「アサド大統領がアレッポを失ったことで、旧ソ連圏外に影響力を発揮できる大国としてのロシアのイメージが損なわれ、プーチン大統領の重要な戦略的資産であるシリアの基地が脅かされる」と彼は書いている。「これはまた、この地域におけるロシアのイメージに悪影響を及ぼす」

 「クルスクでのウクライナ軍の攻勢からわかる通り、ロシアはヒステリックに急ぐつもりはないが、アレッポ陥落の速さを考えれば、迅速な対応が求められるだろう」と彼は書いている。

 JISSの研究者は、シリア情勢の不安定化によりアサドとロシアがイラン軍の進入をより強力に容認する可能性がある一方、アサド政権崩壊によりイスラエルに対する重大な軍事的脅威が増大するシナリオが生まれる可能性があると述べて記事を締めくくった。Attacks in Aleppo ‘ostensibly good news for Israel,’ JISS researcher says, (アレッポでの攻撃は「イスラエルにとって表面上良いニュースだ」とJISS研究者は語る)エルサレム・ポスト
 繰り返す。「イスラエルがシリアを攻撃する好機」?

 確かにそうだが、同様に興味深いのは「中東からロシアを追い出す」ことは(イスラエルの観点から)アサド政権打倒と同じくらい重要なことだ。また、プーチン大統領が「窮地に陥り」、時宜を得た対応ができず、これがイスラエルにとって非常に有利になるとラコフが考えているのも明らかだ。だが、もちろん、ラコフの全体評価で最も衝撃的なのは、安定した合理的な体制を専制的な宗教独裁政治に置き換えようとする狂った野蛮人の手によって繁栄する都市が破壊されることから彼が得る純粋な喜びだ。だが大量虐殺が成功の基準なら、我々にとって何も驚くべきことではないだろう。



 これは、シリア現地の極めて不安定な状況に関する日曜日の最新情報だ。  
土曜日に、反政府勢力がアレッポ国際空港を制圧したと主張し、ハマへ進軍する中、ロシアとシリア政府軍の空爆はアレッポ中心部を激しく攻撃した。シリア反政府勢力が同市から追放された2016年以来、アレッポを標的とした空爆は今回が初めてだ。

 しかし土曜日に、同盟集団(一部はトルコ支援を受けている)とハヤト・タハリール・アル・シャーム(HTS)率いる反政府勢力は、驚くべき成果を上げたと主張した。彼らは、アレッポ国際空港とイドリブ南部の戦略都市ハーン・シャイフンを制圧したと主張した。イドリブ県の行政境界は完全に彼らの支配下にあると彼らは付け加えた。

 彼らはまた、ハマに向けて進軍を開始し、シリア中央部と北部を結ぶ重要な幹線道路沿いにあるモレクを含む、地方の6つの町と村を占領することに成功したと主張した。

 攻撃は水曜日、反政府勢力がシリア北西部の反政府勢力支配地域からアレッポに向けて脱出したことから始まった。二日間で反政府勢力は数十の町や村を制圧し、戦略上重要なM5高速道路の一部を制圧し、ダマスカスへの補給路を遮断した。反政府勢力はその後もいくつか軍事基地や要塞化された陣地を制圧しており、ほとんど抵抗には遭わなかった。

 政府軍戦線の崩壊

 SOHRによると、政府軍はイドリブとアレッポで崩壊した。これによりシリア第二の都市アレッポは1946年の同国独立以来初めて政府管理下から外れたと監視団体は述べた。

 モスクワ通信によると、事態が急速に進展する中、シリア問題における主要な利害関係国であるトルコとロシアの外相は土曜日に電話会談し、シリア安定化に向けた取り組みを調整することで合意した。

 「アレッポ県とイドリブ県での軍事的緊張の高まりに関連して、シリア・アラブ共和国における状況の危険な展開に双方は深刻な懸念を表明した」とロシア外務省は述べた。

 イドリブ県の大半は、かつてのアルカイダ系組織HTSが掌握し文民政権が樹立された。北部の他地域ではトルコが支援するシリア国民軍連合の反政府勢力が勢力を維持している。

 だが、ロシアがウクライナ戦争に気をとられ、アサド政権軍がイスラエルの頻繁な攻撃で弱体化しているにもかかわらず、シリアとロシアの軍用機は2023年8月以降、反政府勢力支配地域への空爆を強化している。 Syria: Deadly strikes hit Aleppo as rebels seize airport, push towards Hama(シリア:アレッポで致命的攻撃、反政府勢力が空港を占拠、ハマへ進撃) ミドル・イースト・アイ
ビデオ:トルコが支援するテロリストがアレッポの大統領別荘に侵入

 ハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)や他のいわゆる「反政府集団」が主にアルカイダ関連組織で、イスラエルの拡大と中​​東再編に反対する勢力に対する代理戦争を遂行するため、アメリカ、カタール、トルコに採用、武装、訓練されているのを読者は知っておくべきだ。作家で評論家のマックス・ブルーメンソールは、これら集団の起源についてかなり研究を行い、その調査結果を「シリア北部へのトルコの残忍な侵攻を率いる28の「狂った」民兵のうち21をアメリカは支援している」と題する最新記事で発表した。以下は彼の記事の短い宣伝文だ。  
シリア北部でクルド人を処刑し斬首したとして、トルコ傭兵部隊「アラブ民兵」を元職および現職のアメリカ当局者は激しく非難した。トルコの新たなデータは、これら民兵のほぼ全員が過去にCIAと国防総省により武装され訓練されていたことを明らかにした。

 今年10月に親政府系トルコ・シンクタンクSETAが発表した研究論文によると「トルコ傭兵部隊の28派閥のうち、21は以前アメリカから支援を受けており、そのうち3つは国防総省の対DAESHプログラムを通じて支援を受けていた。これら派閥のうち18は、武装反政府勢力を支援する「シリアの友人」の合同情報作戦室たるトルコのMOM作戦室を通じてCIAから支援を受けていた。28のうち14の派閥は、アメリカから供給されるTOW対戦車誘導ミサイルの受領者でもあった。」

 言い換えれば、オバマ政権下で武装・装備された反アサド反乱軍のほぼ全組織が、トルコ軍により北シリアへの残忍な侵攻の先鋒として再利用されたのだ。この部隊の指導者は、現在トルコが支援するシリア「暫定政府」の「国防大臣」サリム・イドリスだ。彼は故ジョン・マケイン上院議員が2013年にシリアに悪名高い侵攻を行った際に、マケインを接待した人物と同じ人物だ。

 このハッカー集団(メディア)が、地球上最も残忍な狂信者連中を革命家や「穏健な反逆者」として売り込み、地域全体を不安定化させ、血みどろの詐欺を国民に押し付けていたことが今やすっかり暴露された。かつて彼らが喧伝した過激派連中同様、どういうわけか大半は責任を逃れ、雇用され続けている。 The US has backed 21 of the 28 ‘crazy’ militias leading Turkey’s brutal invasion of northern Syria(シリア北部へのトルコの残忍な侵攻を率いる28の「狂った」民兵集団のうち21をアメリカは支援している)マックス・ブルーメンソール、グレイゾーン
 では、世界最大のテロ支援者は一体誰だろう?

 ご想像通り、アメリカ政府だ。

 最後に、最近見つけたブロガーの言葉を引用して終わりにするが、彼女の主張のほとんど全てに私は同意する。他の読者も同じように感じるかどうか知りたいものだ。  
アメリカ、イスラエル、アルカイダ、トルコが支援するシリアに対する今回の作戦は、様々な代理組織やテロリスト集団を使って、シリア軍の勢力をそらし、不安定化させ、過剰に手を広げさせて、南からイスラエルが侵攻できるようにして、イランからイラク、シリア、そしてレバノンへとヒズボラへの武器流入を阻止するため長年計画されていたものだ。戦争は続いているが、連中は戦場をわずかに移動させたに過ぎない。

 だからこそ、この「停戦」直前に、シリアとレバノン国境をイスラエルが攻撃し、その後も攻撃を続けたのだ。停戦のおかげで、弱体化したイスラエルは回復する時間を得て、最もシオニスト的政権が誕生するまで、ワシントンと戦略を練る時間があるのだ。シリアに関してビビが望んでいることを、トランプは確実に実行するだろう。シリアは、大イスラエル計画の邪魔になる巨大抵抗勢力なので、今やシリアが焦点となるのだ。

 トルコと裏表ある詐欺師エルドアンは、北(シリア)支配を望んでおり、ガザでのビビを非難しながらイスラエルと欧米に身を売るつもりだ。NATO事務総長マーク・ルッテはトルコに行き、この攻撃直前にワシントンとトルコにF35を供与する合意をまとめた。彼は、その数日前の11月23日にはワシントンでトランプとも会談した。

 これらはどれも偶然ではない。基本的にイスラエルはこの停戦を履行するつもりはない。本質的に無意味だ。テルアビブを含む西側諸国は、国家主権を握るべく戦う相手と既に戦争状態にある。彼らはイラン、ロシア、シリアが協力して彼らの拡張主義と戦争の野望を阻止するのを止めたいのだ。フィオレッラ・イザベル@FiorellaIsabelM
 一流の分析だ。メディア報道の背後で何が起きているのかを説明するのに役に立つ。



記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/for-bibi-the-road-to-tehran-goes-through-damascus/

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 Dialogue Works
Larry C. Johnson: Hama Falls, Syria in Chaos, Turkey Backing HTS against Iran & Russia 55:36
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
フォーリンアフェアーズ誌論評「トランプ政権の中国への挑戦」。対中対決志向グループの対中政策提言。①米国は中国に凌駕される瀬戸際。②米国一国で中国の台頭を押えられず、同盟を構築し対抗、トランプは最初関税等「競争アプローチ」取るが、彼には「取引アプローチ」取る危険性存在。
 日刊IWJガイド
「尹錫悦政権は、親米・親日姿勢で、北朝鮮との対立を高めてきた!ウクライナに殺傷性のある兵器を供与し、専門家を派遣する寸前だった!」2024.12.7号

はじめに~韓国政局急変(その2)! 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、親米・親日姿勢で、北朝鮮との対立を高めてきた!「非常戒厳」を起草した金龍顯(キム・ヨンヒョン)国防部長官のもとで、「北朝鮮軍がロシアに派遣されている」という情報が出され、韓国はウクライナに殺傷性のある兵器を供与し、専門家を派遣する一歩手前まで来ていた! ユン大統領は、ウクライナ支援で韓国政府内で孤立!? バイデン大統領や岸田政権など、西側でもウクライナ支援に関わった政権は次々崩壊! ウクライナ支援をすると政権が崩壊するジンクスでもあるのか!? ユン政権もそれに続くのか?

韓国政局急変(その3)! 北朝鮮との対立が激化した直接のきっかけは、韓国の活動家による「反北朝鮮体制のプロパガンダ風船」! ユン政権は昨年「プロパガンダ風船」を合法化していた!

2024年12月 6日 (金)

トランプ大統領の対中国「貿易戦争2.0」は過酷なものになるだろう

サルマン・ラフィ・シェイク
2024年11月30日
New Eastern Outlook

 論争を巻き起こした長い選挙運動中に、アメリカ次期大統領ドナルド・トランプは対外貿易政策に関して、いくつか公約した。

 トランプ大統領の対中国「貿易戦争2.0」は過酷なものになるだろう

 世界中からのアメリカ輸入品に10~20%の「一律関税」を課すと彼は言った。だが、中国に関しては、トランプは関税を60%引き上げたいようだ。このように、中国と世界の他の国々に対するトランプの見方には既に大きな違いがある。彼にとって、中国は「特別」扱いを必要とする遙かに大きな問題なのだ。だがトランプの「貿易戦争1.0」とは違い、ワシントンに反撃して自国を守るための(合法的)報復手段を中国は遙かに良く備えている。言い換えれば、2016年から2020年の間に経験しなかったことをトランプ政権は経験することになりそうだ。言い換えれば、経済戦争をトランプが起こしたとしても(彼はそうするだろうが)、その経費を負担可能かどうかという疑問が残る。経費を負担できなければ、アメリカ経済は致命的打撃を被ることになる。中国は言うまでもなく、他の国々よりアメリカ経済自体が良い状況ではないのだ。

 中国は、あらゆる現実的理由から、今日世界で最重要な経済大国だ。

 戦時内閣

 ジョン・ラットクリフ(CIA長官)、ピート・ヘグゼス国防長官、フロリダ州選出のマイケル・ウォルツ下院議員(国家安全保障問題担当)といった非常に著名な対中強硬派を既にトランプ大統領は任命しているが、ロバート・ライトハイザーを通商代表として閣僚ポストに選ぶ可能性も今後大きな違いを生むだろう。ライトハイザーはトランプ大統領の「第1次貿易戦争」で重要な役割を果たし、3,800億ドル相当の中国製品への関税策定に協力した。アメリカ主要メディアの報道によれば、ライトハイザーたちは既にトランプ大統領の60%関税計画を実際実現するための計画を準備している。2023年に、ライトハイザーは著書「No Trade Is Free: Changing Course, Taking on China, and Helping America's Workers」を出版しており、これがトランプ大統領の戦争第2段階の青写真となったようだ。著書を出版した同じ年に、下院特別委員会で「中国は我が国が直面する最も危険な脅威だと私は信じている …実際、中国は我々がこれまでに直面した中で最も危険な敵かもしれない」ともライトハイザーは語っていた。

 ポリティコ報道によれば、トランプが現在行っているのは、中国に恒久関税を課すための法案作成だ。これまで関税のほとんどは大統領令の形で発動され、どの大統領でも撤回できるものだった。しかし、大統領選挙での勝利と上下両院での優位性により、新関税を法案でトランプ政権が支持すれば、議会の過半数の支持なしには、その後の大統領は関税を撤回できない。トランプ政権は、ワシントンを中国との恒久戦争に閉じ込めることになるだろう。

 中国はどう対応するのか

 あらゆる現実的理由から、今日の世界で中国は最重要経済だ。電気自動車の生産規模など生産能力の規模の大きさを考えれば、アメリカを含むほとんどの国は、たとえ関税により価格が上昇したとしても、少なくとも自国で商品を生産できるようになるまでは、依然中国製品を購入するだろう。従って中国は、まずトランプ政権と交渉を試みるだろう。

 しかし、これより重要なのは中国の報復能力だ。トランプ政権が去った後の2021年に可決された「対外制裁法」を武器に、2016年より遙かに大規模に中国はアメリカ企業に制裁を課せる。輸出管理法の拡大は、北京が現代技術に不可欠なレアアースやリチウムなど数十の資源供給における世界的優位性を武器にすることも可能なことを意味する。それでも、この法律により、中国は外国制裁の実施に関与した個人や組織を資産差し押さえなどの対抗手段で標的にでき、中国での外国投資家の事業を困難な立場に置く可能性がある。

 一部専門家が指摘している通り、この法律に基づいて中国が禁止命令を出した場合、アメリカ銀行の子会社や中国に拠点を置く企業であっても、アメリカの制裁に従うのは違法になる。この命令に従わない場合、資産の差し押さえにつながる可能性がある。最近の出来事は、アメリカ企業に制裁を課すため、このような法的手段を中国が益々利用していることを示している。

 それでもトランプ大統領が60%の関税を課せば、中国からのアメリカ輸入は2023年の14%から4%に減少するだろう。中国経済が打撃を受けることは否定できないが、前述のように中国は報復できるし報復するだろう。だが中国は輸出多様化もできるし、そうするだろう。

 アメリカ以外の中国の選択肢

 トランプが「貿易戦争1.0」を開始して以来、中国からのアメリカ輸入は減少したが、2018年以降、中国の他国への輸出は増加している。従って、アメリカ関税の純粋な効果は、必ずしも他国へのアメリカ輸出増加につながっていない。それゆえ、中国に対するワシントンの「貿易戦争」の究極の狙いが中国の成長を制限することなら、それは大失敗している。「貿易戦争2.0」が再び失敗することは否定できない。

 トランプは世界中で関税を課すと予想されているため、これは比較的安価な自国製品を喜んで購入する相手を中国が見つけるのに役立つだけだ。従って、新たな買い手を北京が見つけるのは、アメリカの政策立案者やメディア評論家が現在考えているほど困難ではないだろう。トランプが始め、バイデンが維持している「貿易戦争」にもかかわらず、中国の世界輸出への総貢献は17%で、トランプ政権時代の12%から増加しているのだ。

 これら輸出はどこへ向かうのか? もちろん世界の他の国々へだ。今後数ヶ月で、中国は更に南半球での輸出拡大に熱心になるだろう。中国の巨大電気自動車メーカーBYDは最近パキスタンで事業を開始した。これはワシントンが攻撃して阻止する能力を遙かに超えた、遙かに広範なパターンの一例にすぎない。

 従ってトランプ政権は「貿易戦争 2.0」を開始することはできるが、その即時の過酷な影響がアメリカ消費者にも等しく降りかかり、彼らは遙かに高価な製品を買わざるを得なくなることは否定できない。アメリカと異なり、北京は既に国民の消費増加を支援する措置を講じており、輸出への影響を相殺するのに役立つだろう。中国が最近発表した1.4兆ドルのパッケージは、地方政府が債務に対処し、結果として消費者支出を増やすのに役立つ重要な措置だ。国内消費の増加は、長期的には輸出への依存度が低くなることを意味する。言い換えれば、北京は戦争準備ができている。アメリカ政府と消費者が準備ができている兆候はない。

 サルマン・ラフィ・シェイクは国際関係とパキスタンの外交・内政研究者

 記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/11/30/trumps-trade-war-2-0-on-china-will-be-brutal/

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 Judging Freedom
COL. Douglas Macgregor : Is the IDF fighting in Syria ?  3:48
 耕助のブログ 最新記事 ミアシャイマー教授対談の翻訳。何とも愚劣なゴルカ発言に触れている。こういう狂った側近発言をたしなめないトランプは、本音をゴルカに代弁させているにすぎない。
No. 2354 危険を承知でプーチンを無視する
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
韓国戒厳令の動き=二極化の結果。露学者の評:ほぼ全員を大統領から遠ざけたこの失敗は政治的自殺に等しい。尹氏が権力にしがみつくほど、支持率はさらに低下するだろう。私たちに言えるのは、近い将来、韓国の政治生活は非常に波乱に富んだものになるだろう、ということだけだ。

2024年12月 5日 (木)

イーロン、あなたはマスクか、それとも仮面か?



ロレンツォ・マリア・パチーニ
2024年11月29日
Strategic Culture Foundation

 一体誰が想像しただろう。ドナルド・トランプがイーロン・マスクを新内閣閣僚に選んだのだ。これほどアメリカ的なことはない。

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 この男は一体どこから来たのか?

 「可能性の国」アメリカで、良く語られる小さな物語がある。普通の町の普通の家の普通の白いガレージで普通の若者が良い考えを思いつき、幸運にもその考えが成功して、億万長者になるという話だ。以上、終わり。

 マスクも、市場が何を求めているかを予想する能力のおかげで、全てを自分のものにした起業家の一人だ。彼はペイパルが当たると予想し、テスラが当たると予想し、スペースXで大当たりし、ツイッターと出会い、数回クリックするだけで特価で購入し、ヒューマノイド・ロボットが彼にコーヒーを出し、今や選挙に立候補もせずに、アメリカ政府に入閣までしたのだ。最高だ。彼にとって、何一つうまくいかないことはない。

 皆、反省しよう。

 最近ジェンナーロ・スカーラがこう書いている。「未来的デザインの素晴らしいテスラが、安い版でもたったの4万ドル、買いたいと思わない人がいるだろうか。SpaceXについて言えば、人生で一度は宇宙旅行を計画したことがない人がいるだろうか。それどころか、スターリンクを遣って、世界中の農家が自宅にいながら放牧されている家畜の群れを監視するのだ。だが、我々が知っている通り、この衛星ネットワークは、ウクライナでは違う機能も演じている。これら全てが、まともなものだと我々は言えるだろうか?」

 マスクは金融資本の仮面を被って、メディアで成功した本物のビジネスマンだ。彼は新形は以前のものより優れており、より革新的だと説得して、家から家へと未来を売り込む人物だ。彼は国家のために働く人間だが、国家は今や完全に民営化されている。それが国家の実態だ。マスクは通信、宇宙研究、ソーシャルメディア、輸送、ロボット工学、人工知能、金融の分野に参入した。最初から最後まで、全て資本お気に入りの製品だ。アメリカでは、戦略部門は例外なく全て次々私企業のなすがままにされ、その結果、面倒な民主主義問題なしに、恣意的に企業を運営できるようになった。全てを民営化すれば、最高の民間人購入者が、あなた、つまりMr.国家である限り、依然支配できる。

 そこで、この南アフリカ、プレトリアの青年は、このような「幸運」に恵まれた可能性はあるのだろうか? あるいは、もっと言えば「単に運が良かっただけ」だった可能性はあるのだろうか?

 テスラと電気自動車革命

 マスクが設立したテスラは、自動車業界と世界のエネルギー政策に大きな影響を与えてきた。2012年のモデルS導入は、バッテリー電気自動車の採用に向けた急進的転換の始まりで、各国政府に持続可能なエネルギー転換政策の推進を促した。世界中の政治家は、テスラの経済的可能性に惹かれ、自国に同社の工場を設立しようとしてきた。近年マスクが交流した指導者の中には、フランスのエマニュエル・マクロン大統領やトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領やインドのナレンドラ・モディ首相がいる。

 テスラの成長において中国も重要な役割を果たしてきた。2018年、テスラが中国子会社の完全な支配権を保持する初の外国自動車メーカーとなることを中国の習近平国家主席が許可した。2019年に上海に工場を建設したことで、テスラは中国での地位を固め、現在では中国はテスラにとって二番目に重要な市場となっている。しかし、BYDなどの地元メーカーの台頭により、テスラの中国での市場シェアはBYDの35%から6%に低下した。

 この二国間関係は微妙な力学を浮き彫りにしている。中国は今やテスラなしでも電気自動車市場を独占できるが、マスクは自社の将来に対する中国の経済的影響力を無視することはできない。

 マスクの事業のほんの一部に過ぎない自動車に焦点を当てるのではなく、市場部門の飽和によっても支持されている技術研究に焦点を絞ろう。ウクライナのSMOでも、紛争地帯で使用されているテスラの戦車やサイバートラックの写真や動画が流出し、チェチェン指導者ラムザン・カディロフさえ、テスラ本社から遠隔操作で無効化されたと思われる独自のサイバートラックを所有しているなどの例が見られる。豊かな集団想像力の装いを通じて再定義される戦略的幾何学がある。最も貴重で繊細なものが隠されていることが時々ある…誰もが見えるように公開されているが、誰も気づかないのだ。

 政治的人物としてのトランスヒューマニズム

 マスクのトランスヒューマニズムの目標は秘密でもなければ新しいものでもない。彼は、頭脳チップや人間と機械の接続やヒューマノイド・ロボットなどを「流行」させた人物だ。以前はこれら話題は少数の関係者や愛好家向けだったが、マスクの場合、それらは消費されるメディア商品になったのだ。

 2024年1月30日、マスクは人間への初のニューラリンク脳インプラントを発表した。その後、このアメリカ人億万長者は別投稿を追加し、以下のように書いている。「ニューラリンクの最初の製品はTELEPATIAという。これを使えば、考えるだけで携帯電話やコンピューターや、それらを介して、ほぼあらゆる機器を制御できるようになる。最初のユーザーは手足が不自由な人々だ。スティーブン・ホーキングがタイピストより速くコミュニケーションできたらどうなるか想像してほしい。それが目標だ」。次の段階は、これらのチップを人工知能と通信させることだ。そして今我々はトランスヒューマニズム時代を迎えているのだ。

 スティーブン・ホーキング博士が書いた通り「人工知能は独自の意志を持つようになるだろう。そして、その目的を実現するのが非常にうまくなるだろう。それが人間の目的と一致しなければ我々は困ったことになる。あなたは悪意からアリを踏みつけるようなアリ嫌いではないだろうが、もしあなたが水力発電プロジェクト責任者で、その地域にアリ塚があり、水を流さなければならないとしたら、アリにとって悲惨な結果になるだろう。人類をアリの立場に置かないようにしよう。AIは人類にとって起きる最高のものになるかもしれないし、最悪のものになるかもしれない。」

 AIを全面的に悪者にするのではなく、この種研究の幅広い範囲や、政治的、戦略的影響を理解するのは興味深いことだ。このようなプロジェクトは、民主主義の基準、自由意志による政治参加の基準、人間であるかどうかの定義を完全に再定義する。

 マスクのような人物が閣僚に就任したのは全くの偶然ではない。トランプが行った、いわば「プロライフ」選挙宣言の他に、プロライフ人物が新アメリカ大統領の側近の中で何をしているのか疑問に思わざるを得ない。生命倫理と生命法に関する数々の戦いに直面してきた、特に東海岸のカトリック界の「右翼」有権者は、それを乗り越えられるだろうか、乗り越えられないだろうか。性別や中絶や安楽死の問題だけでなく、マスクが熱心な慈善家である実験医学研究に関しても。彼の研究所で行われている研究は、何らかの抗議に直面しても中止されないだろうと、おそらく考えられる。ミシェル・フーコーの『臨床医学の誕生』が思い浮かぶが、パリ時代に、生体に対する完全な制御の導入は必ずしも強制に行われるわけではなく、市民による段階的承認という巧妙な策略を通じて行われ、市民は気づかないうちに「科学」の名の下に、あらゆる倫理違反を正当化し、正当化することさえするようになるだろうと彼は予測していた。

 最高の戦略的投資

 正直に言えば、事業に関し、トランプはうまくやっている。

 選挙勝利の波にマスクを乗せたのは、まさにビジネスマンらしい動きだった。トランプは、おそらく事前に合意していただろう一挙手一投足で、急速な発展段階にある戦略的部門のかなりの部分を掌握した。特にサイバースペースと宇宙領域に関しては、マスクは文句なしのリーダーだ。そのため、2023年9月にはスターリンク管理の一部を国防総省に移譲したが、この動きは、SMO中にドンバスでウクライナがした攻撃の一部を成功させる上で決定的なものとなった。その数か月前、2023年初頭には、この紛争の調停役を申し出て、キーウに寄贈した衛星インターネット端末の費用を国防総省に負担するよう要請したマスクと同じ人物だ。

 マスクは、ソーシャル ネットワークを、より洗練されたハイブリッド戦争レベルにまで引き上げ、手法と数でマークザッカーバーグを上回った人物だ。ツイッターを450億ドルという巨額で買収し、Xと改名した。Xはいわゆる「無料」ソーシャルネットワークとなり、コミュニティのルールを変え、内容の検閲を減らした。この側面では勝利を収めた。Xは、優先される政治的なやりとりの場として選ばれ、情報を共有したり見つけたりするための共通広場となるだけでなく、政治的変異の社会学的分析の実験室にもなっている。

 たった一つのマスクのツイートがドル相場に変化をもたらし、影響力ある人々や企業や政治家の成功や失敗を左右する可能性があると言えば十分だろう。メディア兵器の使用レベルは次段階に達した。情報戦が、避けられないほど重要な位置を占めるようになった。

 そこで全てが変わる。なぜなら重要なのはもはや現実政治でなく仮想政治だからだ。

 貿易と金融の面で、中国市場の戦略的重要性から、マスクに対し、北京はある程度の影響力を持っている。ワシントンとの貿易摩擦も考慮して、習近平主席は、マスクをアメリカとの仲介役として見なす可能性がある。例えば、トランプ政権は中国製品への関税を引き上げており、この政策はトランプの二期目でも継続される可能性がある。

 重要なのは「イーロン・マスクは一体何者か」ではなく、今日は彼が指揮し、明日は別の人物が指揮するかもしれない権力構造だ。この新たなグローバル・テクノファシズムの力は、比較的強力な国民国家が、グローバル・テクノファシストだというだけの理由で単なる外国人個人と戦うという世界規模のドラマ化により、上手く表現できる。今年8月31日、ブラジル最高裁判所がネットワークXを停止した時が、まさにその例だった。フェイクニュースを拡散し、基本的な民主主義の価値を深刻に侵害し、大勢の人々に対する憎悪や暴力や、更に、殺人を扇動するネットワーク・アカウントの削除をネットワークXの所有者が、拒否したためだ。10年前、たった一人の個人、しかも外国人が主権国家に反対できるなどと人は想像できただろうか。

 この文脈で、この大物実業家は習近平主席や李強首相を含む中国高官らと何度か会談しており、潜在的な調停者となる立場にある。更に、いくつかの情報筋によると、北京の利益を優先するために台湾でのスターリンク衛星サービスを制限するようロシアのプーチン大統領がマスクに要請したと伝えられている。テクノロジーの枠をはるかに超えた問題に、マスクがしばしば巻き込まれていることを、このエピソードは反映している。

 スペースXは、マスクの世界的影響力のもう一つの柱だ。再利用可能なファルコン9ロケットとスターシップ計画により、マスクは宇宙旅行に革命を起こして、大幅に費用を削減した。スペースXは、アメリカの国家安全保障における同社の役割を強化する国防総省やNASAと数十億ドル規模の契約を結んだことで有名だ。

 一方、スペースXが運営する衛星インターネットサービス「スターリンク」は遠隔地や近寄れない地域にも接続を提供するグローバルネットワークだ。マスクがこのインフラを個人的に管理していることが、ウクライナでの使用例のように懸念を引き起こしている。

 スターリンクの政治的利用の可能性は、台湾の状況でも明らかだ。台湾と中国の紛争で、マスクが親中姿勢を表明したことを受けて、中国が自国領だと主張する台湾は、マスクへの依存を減らすために独自衛星システムの開発を開始した。

 人工知能分野では、マスクはOpenAIやGoogleなどの巨大企業に対抗することを目的とした取り組みのxAIを立ち上げた。xAIの言語モデル「Grok」は政治プロパガンダや危険な活動の指示など、物議を醸す内容を生成する能力に関し懸念を引き起こしている。批判にもかかわらず、マスクはAIに多額の投資を続けて、メンフィスにある世界最速のスーパーコンピューターなど、未曾有の技術インフラを構築しつつある。

 人工知能は、イタリアのジョルジャ・メローニ首相やイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相など、マスクと世界的指導者との会談でも繰り返し話題に上る。これはマスクがAI技術を自らの地政学的、産業的取り組みに統合しようとしていることを示している。

 テスラやスペースXなど彼の企業の多くが、アメリカで数十億ドル規模の政府契約に依存する一方、国外では習近平やウラジミール・プーチンに近いことから、彼は潜在的な危険にさらされている。マスクの権力は金融だけでなく、戦略的インフラや機密情報を支配する能力にも由来している。彼の行動は予測不可能で、利己的動機によることが多く、これほどの権力を一人の人間に委ねることが果たして適切かどうかという懸念を引き起こしている。

 従って、我々は自分自身に、いや自分の性格に問いかけなければならない。今日、あなたはどちらの仮面をかぶるのか? マスクはこの二重性を認識しているようだ。そして、おそらく、それこそトランプが望んでいることだろう。マール・ア・ラーゴでのトランプ側近パーティーからDOGE(政府効率化局)まで彼のキャリアはまだ始まったばかりだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/11/29/elon-are-you-musk-or-mask/

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 デモクラシータイムス
<混沌の日米韓と兵庫>【山田厚史の週ナカ生ニュース】  1:37:34

2024年12月 4日 (水)

ロシアとの戦争でアメリカが負ける理由



マイク・ホイットニー
2024年11月27日
The Unz Review  
地球上のどの軍隊より米軍が優れていると広く信じられていることに私はいつも驚かされる。この信仰は一体どんな根拠に基づいているのだろう? 朝鮮戦争以来、アメリカは本物の戦争に参戦していない。高強度紛争を経験した人は米軍には一人もいない。軍事評論家、ウィル・シュライバー
 
ロシアに対する核による「斬首」攻撃をアメリカが仕掛けて、プーチン大統領と将軍たちが死亡した場合、ロシアには自動的に報復するバックアップ システムがある。死の手システムは、ロシア全土に散在するセンサーから、核攻撃を裏付ける放射線や熱や地震活動に関する情報を収集するよう設計されている。一定時間内に、このシステムがモスクワ司令部から指示を受けない場合、システムは自動的に4,000発の戦術、戦略大陸間弾道ミサイルをアメリカに向けて発射し、アメリカを完全に破壊し、数億人のアメリカ人が焼き尽くされることになる。モスクワの言い分は単純だ。「先制攻撃で指導者が死亡したとしても、我々の『死の手』があなた方全員を殺す」Dead Head 死の手、プラネット・レポート
 ロシアとの通常戦争で、アメリカが勝利するとアメリカ人の多くが信じ続けている。だが、それは全く事実ではない。第一に、ロシアの最先端ミサイル技術とミサイル防衛システムは欧米諸国兵器メーカーが製造するものより遙かに優れている。第二に、ロシアは、激しい戦闘を経験し、将来直面するどんな敵とも交戦する覚悟ができている、百戦錬磨の戦闘部隊を100万人以上配置できるのだ。第三に、もはやアメリカは、優れたロシアの殺傷兵器や砲弾や弾薬や最先端の弾道ミサイル生産に匹敵する工業力を持っていない。要するに、ロシアの軍事力は、本当に重要な分野、つまりハイテク兵器や軍事工業力や熟練した人的資源において、アメリカを遙かに上回っているのだ。この全体的論点をはっきりさせるため私は三人の軍事評論家の著作から抜粋した。これら問題を彼らはより詳細に説明し、現代アメリカ軍の重大な欠点と、技術的により進歩した手強い敵に直面した時に遭遇する可能性がある問題を強調している。最初の抜粋は、アレックス・ヴァーシニンの「産業戦争の復活」と題する記事からの抜粋だ。  
ウクライナ戦争は、依然、現在は産業戦争時代だと証明した。装備や車両や弾薬の大量消費には、補給のための大規模産業基盤が必要なのだ。量には依然質が伴う…。ウクライナにおける弾薬と装備の消費速度は、大規模産業基盤によってのみ維持できる。  この現実は、軍事産業の能力を縮小し、効率性のため規模と有効性を犠牲にしてきた欧米諸国に対する具体的な警告になるはずだ。この戦略は戦争の未来に関する誤った想定に依存しており、欧米諸国政府の官僚主義文化と低強度紛争の遺産両方に影響されてきた。現在欧米諸国は、大規模戦争を戦うための産業能力を持っていないのかもしれない。

 欧米諸国の産業基盤能力

 ほぼ同等の二勢力間の長期にわたる戦争で勝敗を決するのは、依然どちら側の産業基盤が強いかによる。国は、大量弾薬を製造する製造能力を保有するか、弾薬生産に迅速に転換できる他の製造業を保有する必要があるのだ。残念ながら、欧米諸国は、どちらも持っていないようだ…。 最近行われたアメリカ、イギリス、フランス軍による軍事演習で、イギリス軍は8日後に国家備蓄の重要弾薬を使い果たした…。

 誤った仮定

 戦闘の未来に関する一番重要な前提は、精密誘導兵器は標的を破壊するのに弾丸一発しか必要としないので、全体的な弾薬消費量を減らすというものだ。ウクライナ戦争はこの前提に疑問を投げかけている……。二番目に重要な前提は、産業は意のままに稼働したり停止したりできるということだ……。残念ながら、これは軍需用品購入には当てはまらない。砲弾の顧客はアメリカには一つしかない。軍だ。注文が落ち込めば、事業継続のため、メーカーはコストを削減すべく、生産ライン閉鎖しなければならない。中小企業なら完全閉鎖するかもしれない。新たな生産能力を生み出すのは非常に困難で、特に熟練労働者を引き寄せる製造能力がほとんど残っていないために……。部品が下請け業者に生産される可能性もあるため、その下請け業者は、廃業して注文を失うか、他顧客のために設備を一新するか、海外、おそらく敵国の部品に頼ることになるので、サプライ・チェーンの問題になる。
 結論

 同等またはほぼ同等の敵対国間の戦争には、技術的に進歩した、大規模な、産業時代の生産能力の存在が必要なことを、ウクライナ戦争は示している。ウクライナ防衛において民主主義の兵器庫としてアメリカが機能するには、産業基盤を組織する方法と規模についてアメリカは本格的な見直しをする必要がある。独裁国家と民主主義国家間の競争が本当に軍事段階に入ったのであれば、民主主義の兵器庫はまず戦時における物資生産体制を根本的に改善する必要がある。Return of Industria Warfare (産業戦争の復活)、アレックス・ヴェルシニン、Rusi

 結論:ほぼ同等な二勢力間の長期にわたる戦争に勝つための産業基盤や必要な備蓄を、もはやアメリカは保有していない。簡単に言えば、アメリカはロシアとの長期にわたる通常戦争には勝てないだろう。

 最近のツイッター投稿で専門家アナリー・スラッシャーは次のようにまとめている。  
……精密誘導兵器、暗視装置、世界的攻撃など、多くの決定的な能力を、アメリカは事実上独占していた。アメリカと他国の間に、高強度紛争がなかったことが、こうした非対称性に大きく関係していたと私は考えている。アメリカの高度な能力、あるいはその脅威さえ、政治目的を実現するのに十分なら、アメリカが大規模攻撃を行う必要はなかったのだ……。高度な戦闘能力を持つ国々のリストは増え続けている。同時に、欧米諸国の軍隊と防衛産業基盤は衰退し続けている。欧米諸国は、かつて決定的だったが今では益々一般的になっている小規模なアメリカの能力への依存と大規模な常備軍を交換。これにより、欧米諸国は技術的優位性を失い、かつての軍事力も失ったのだ。アメリカの軍事的優位性を依然信じている人々は、こうした変化に気付いていないのだ。更に悪いことに、彼らのほとんどは、ロシア軍事力に関して、漫画のように過小評価された考えを抱いている。彼らは、ロシアが技術的優位性と軍事力の両方を有していることに気付いていない。米軍が持っていた評判は、一時は当然のものだったが全てが変わる。Lee Slusher @LeeBTConsulting
 結論: アメリカの敵国、ロシア、中国、イランは、高度なミサイル技術や無人航空機 (UAV)や電子戦や最先端ミサイル防衛システムなどで、アメリカに追いつくか追い越しており、これにより、アメリカ軍事優位の時代は終わりを迎えつつあり、国家間の均衡は徐々に高まっている。アメリカの世紀は急速に終わりに近づいているのだ。



 次に軍事評論家の二人目、ウィル・シャイバーの話に移ろう。彼はヴェルシニンと似た結論を導き出しているが、少し異なる角度から導き出している。下記をご覧願いたい。  
これまで以上に、アメリカはロシアに対して制空権を確立できないと私は確信している。一週間では無理だ。一年では無理だ。永遠に無理だ。それは単に不可能なのだ。アメリカ軍の現在の能力を遙かに超える兵站上の戦力投射の課題となるはずだ。

 ロシアが配備した極めて強力で豊富な資源を備えた防空軍に比べて、アメリカの航空戦力は大幅に劣っていると判明するはずだ。

 HIMARS発射のGMLRSロケット、HARMSミサイル、ATACMSミサイル、イギリスのストームシャドウ・ミサイルの大部分が現在ウクライナで撃墜されている通り、アメリカの長距離精密誘導ミサイルの大部分も撃墜され、ロシアの反撃能力を圧倒しようとする無駄な試みで、これら弾薬の限られた在庫をアメリカは急速に使い果たすことになるはずだ。

 敵防空網に対するアメリカの抑止能力は極めて不足で、多層構造で機動性の高い防空レーダーやミサイルを打ち破るには不十分だと判明するはずだ。

 ウクライナ戦争は、欧米諸国のあらゆる防空システムが、ウクライナが当初配備した数十年前のソ連のS-300やBukシステムより劣っていることを完全に明らかにした。そして、欧米諸国のシステムがたとえ強力だったにせよ、広範囲かつ徹底した防衛を提供するのに必要な数に近づけるほどの数はない。

 事態をさらに複雑にしているのは、アメリカ軍需品の在庫が乏しく、生産上の制約も克服できないため、ロシアや中国に対してアメリカが空中戦を遂行できるのが、せいぜい数週間という点だ。

 更に、東ヨーロッパ、中国海、ペルシャ湾のいずれかで激しい戦闘が繰り広げられれば、米軍機の整備需要が近隣の供給を圧倒することになる。任務遂行可能率は、平時の悪名高い最低水準よりも更に低下するはずだ。

 アメリカは、文字通りわずか数日後に、F-22とF-35の任務遂行可能率が10%を下回り、保有する他のほぼ全てのプラットフォームの任務遂行可能率が25%を下回ることになる。国防総省にとって大きな恥辱となるだろうが、それほど驚くことではないだろう。
 簡単に言えば、アメリカ航空戦力は、一つ以上の同等の敵国と地域的、世界的な非寛容な戦場状況下では、戦域全体にわたる取り組みとして持続できない。

 東ヨーロッパでは、NATO基地と補給路をロシアが破壊し、バルト海と黒海は事実上、NATO船舶が航行できないロシアの湖になるだろう。

 多くの人々は、これらは根拠のない感情的主張だと確信している。私の見解では、状況の単純な軍事的、数学的、地理的な現実がこれら結論を決定づけており、それに抵抗する人々は、典型的に、アメリカ例外主義の神話と、それに伴う弊害で目が見えなくなっており、物事の本当の姿が見えない。

 もしロシアか中国かイランのいずれかに対して直接戦争をするとアメリカが決めた場合、同時にこの三か国に対する戦争になると私は益々確信しつつある。

 そして驚くべきことに、これは、#EmpireAtAllCostsカルトと、その妄想的計画に同調する人々が、決して勝てない戦争の深淵に向かってよろめきながら進み続ける中、もっと真剣に考えるべき多くの厳しい真実の一つにすぎない。Staggering Towards the Abyss, (深淵に向かってよろめく)ウィル・シュライバー、Substack

 ここで考えるべきことは多々あるが、要するにロシアの優れた防空能力と、アメリカの「乏しい弾薬在庫と克服できない生産限界」をシュライバーは比較検討しており、その組み合わせは、アメリカ軍の攻撃が敵に深刻な損害を与える前に弱まる可能性が高いことを示唆している。またしても、ロシアとの直接対決でアメリカが勝つことはないだろうとアメリカの軍事専門家は推測しているのだ。



 最後に、軍事評論家というより調査ジャーナリストの、キット・クラレンバーグの長文から抜粋する。Collapsing Empire: China and Russia Checkmate US Military(「崩壊する帝国:中国とロシアが米軍に王手」)と題する記事で「帝国の肥大化し腐敗しつつある世界的戦争機構のあらゆる側面に対する容赦なく暗い分析」と彼が呼ぶものをクラレンバーグは詳しく述べている。著者の言うことの半分でも真実なら、ロシアに対するアメリカのエスカレーションは、1945年5月のベルリン陥落以来、世界が経験したことのない軍事的大惨事への近道だと合理的に確信できる。お読み願いたい。  
7月29日、国防総省の2022年国家防衛戦略(NDS)の現状と現在の米軍の準備状況に関する画期的な評価をランド研究所が発表した。調査結果は、厳しく、帝国の肥大化し腐敗した世界戦争機構のあらゆる側面に対する容赦なく暗い分析だった。簡単に言えば、アメリカは主要敵国との真剣な「競争」に意味のある形で「備え」ておらず、あらゆる戦争領域で、脆弱か、大幅に劣勢ですらある。この帝国の世界的支配は、良く言っても、ひどく不十分、最悪の場合は、完全に妄想的だと評価されている。

 ランド報告書から:

 「アメリカが直面している脅威の大きさは過小評価されており、遙かに深刻だと我々は考えている…多くの点で中国はアメリカを上回っている…防衛生産、軍事力の拡大、そして益々の軍事力拡大において、今後もその傾向が続くのはほぼ確実だ…[北京は]20年間の集中的軍事投資を通じて、西太平洋におけるアメリカの軍事的優位性を大幅に打ち消した。アメリカが大変化を起こさない限り、勢力の均衡は中国に有利に傾き続けるだろう。」

 「少なくとも、ロシアや中国やイランや北朝鮮が関与する直接紛争にアメリカが参戦した場合、その国が他の国々から経済的、軍事的援助の恩恵を受けると想定すべきだ…アメリカの権益に反対する国々のこの新たな連携は、どこであれ紛争が多戦域戦争または世界戦争になる可能性はないにせよ、現実的リスクを生み出す。アメリカの敵国諸国が以前より緊密に協力しているため、アメリカと同盟諸国は複数敵対国枢軸に対峙する準備を整えなければならない。」Commission on the National Defense, Rand

 委員会の報告書が詳細に述べている通り、そのようなシナリオで、ワシントンはほぼ完全に無防備となり、ほぼ即座に敗北する可能性が高い。帝国軍隊が「戦闘で抑止力を発揮し勝利できると確信するために必要な能力と能力の両方を欠いている」というのは、グランド・チェス盤全体に薄く広がっているだけではないのだ。

 ワシントンの「防衛産業基盤」は、同盟諸国は言うまでもなく、アメリカの「装備や技術や軍需品のニーズを完全に満たせない」とランド委員会は結論付けた。「特に複数戦域での長期にわたる紛争には、武器と軍需品の生産、維持、補充に、現在より遙かに大きな能力が必要となるだろう」。

 数十年にわたり、米軍は「最先端技術を駆使して決定的優位を築いてきた」。この帝国側の「無敵の技術的優位性という想定」は、ワシントンが「長い取得サイクルや、失敗やリスクに対する低い許容度で、精巧な能力を構築する余裕」があったことを意味した。だが中国とロシアが「加速度的に新技術を取り入れている」ため、そんな時代はとうに過ぎ去った。今アメリカの「防衛産業基盤」は無数の有害な問題に悩まされて崩壊しつつある。

 これらの問題に対処するために、何年にもわたる外注やオフショアリングや無視の後、アメリカを再工業化することを委員会は求めている。期限は示されていないが、おそらく数十年かかるだろう。

 我々は、ソ連のグラスノスチに匹敵する奇妙な後期帝国時代に入ったのだ。アメリカ帝国のブレーントラストの一部は、ワシントンの覇権的世界プロジェクト全体が急速に、不可逆的に絶滅に向かっているのを目もくらむような明瞭さで見ている。Collapsing Empire: China and Russia Checkmate US Military(崩壊する帝国:中国とロシアが米軍に王手)、キット・クラレンバーグ、サブスタック
 またもや、同じ批判が何度も繰り返されるのを目にしている。不十分な工業能力、減少する備蓄、「克服できない生産限界」、そして低下する技術的優位性。これらに加えて、戦闘を経験したことのない経験の浅い志願兵による臨時軍隊で、東ヨーロッパで戦争遂行するという無数の兵站上の問題を考えれば、ロシアとの長期紛争でアメリカは勝利できないし、勝利しないだろうとしか結論できない。それでもワシントンはロシアに向け、ATACMSミサイルを発射し続けている(過去二日間で更に13発発射した)。どうやら、この挑発に対する反撃はないと考えているようだ。それでもNATO司令部は、NATOとロシアの直接衝突の可能性を歓迎し、ロシア領土への先制的「精密攻撃」を追求し、勝利の幻想を抱き続けている。そして、フランスとイギリス両国は、戦争の避けられない軌道を何とか逆転できると考えて、ウクライナに戦闘部隊を派遣すると脅している。狂気だ。

 五世紀にわたる覇権は、傲慢さに酔いしれた欧米エリートの一団を生み出し、他の誰にとっても痛いほど明らかな事実、つまり欧米による搾取という帝国モデル (「ルールに基づく秩序」) は崩壊しつつあり、新たな権力の中心が急速に出現している事実が見えないほどだ。現在、これらエリート連中は権力掌握を維持し、他国が獲得した独立や繁栄を実現するのを阻止するため、世界を破滅的な第三次世界大戦に引きずり込む準備ができているようだ。幸いなことに、ワシントンは、1945年まで遡る他の全ての介入で失敗してきたように、今回の試みでも失敗するだろう。なぜなら、アメリカは、もはやロシアとの戦争に勝つために必要な技術や人材や産業能力を持っていないためだ。

 それは全く新しいゲームなのだ。



 記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/why-the-united-states-will-lose-a-war-with-russia/

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 アメリカ人専門家によるオレシニク・ミサイル評価の一つ。
How Dangerous is Russia's Oreshnik Missile? Pentagon Expert Explains 34:33
 耕助のブログ 2024年12月1日記事はPepe Escobarによるオレシニク記事翻訳。
No. 2348 オレシュニク – 秒速3キロの転換点
 偶然昨日深夜、デモクラシータイムスの中継番組を見ていた。今回の件で彼の命脈は尽きたはずだ。
★現地国会前から緊急生配信★【徐台教の韓国通信】尹錫悦大統領 非常戒厳令を発令  41:03
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トランプ。「BRICSの国々には、新しいBRICS通貨を創設せず、また強力な米ドルに代わる他の通貨を支持しないという約束を求める。そうでなければ100%の関税に直面する」 現時点、まだBRICS通貨創設の時期ではない。脅して、あたかもBRICS屈したような印象を与える。トランプの手口

2024年12月 3日 (火)

ガザについて連中は嘘をつき、シリアについても嘘をついている



 ガザに関する嘘を見抜いたら、そこで止まらないで頂きたい。続けよう。調べ続けよう。学び続けよう。好奇心を持ち続けよう。彼らはガザについて嘘をついた。イラクについて嘘をついた。リビアについて嘘をついた。ウクライナについて嘘をついた。そしてシリアについても嘘をついている。

ケイトリン・ジョンストン
2024年12月1日

物語マトリックスの端からのメモ

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。



 欧米諸国から資金援助を受けてきた歴史を持つアルカイダ系組織が、トルコの支援を受ける戦闘員とともにシリアで活動を再開し、戦争で荒廃した同国で、かなりの領土を奪還しようとしている。

 現時点で何が起きているのか正確に言うのは難しいが、ロシアがウクライナに縛り付けられ、ヒズボラがイスラエルに壊滅させられたことで、これら二つの代理紛争を支援してきた同じ欧米帝国の長年の政権転覆計画に、再びシリアが曝されることになったのは実に好都合なことだと言わざるを得ない。



 シリアはガザより複雑で理解しにくいが、調べてみれば、政権転覆を狙って、アメリカや同盟諸国やパートナーがシリアで暴力や混乱や破壊を長年にわたり積極的に煽動してきた山のような証拠が見つかる。これを否定する人は無知か不誠実かのどちらかで、この十分に証明された事実を人が言ったことで、ロシア・プロパガンダやアサド支持者だと呼ぶ連中も同様だ。

 ガザに関する帝国の嘘は見抜いているのに、シリアに関する帝国の嘘を信じている人はたくさんいる。それは主に、ガザに関する嘘の方が遙かに見抜きやすいためだ。2011年以来シリアで見られる紛争が、悪人であるがゆえに民間人を殺害したいだけの暴君独裁者に対する完全に自然な反乱だと見せかけるため、膨大な量のプロパガンダと情報工作が行われている。しかし、パレスチナ人の窮状に向けるのと同じ真摯な好奇心と徹底的な調査をこの問題に向ければ、欧米諸国の政治・メディア支配層がガザについて広めてきたのと同じ種類の嘘と歪曲が、シリアについても同様、しばしば同じ連中が広めているとわかる。

 帝国の嘘を解き明かせば、人々はそうなる。ベトナム戦争やイラク侵攻やガザ攻撃など、公式説明に非常に明らかな矛盾点があることに目を見開き、それらの嘘を見抜けば、他でどのように騙されているのか興味を持ち始める。他の糸口を探り、どんどん学んで、しばらくすると、地球を支配する狙いを掲げて、世界中の人類に恐ろしい虐待を加えているアメリカを中心とする帝国の全体像が見えてくる。

 ガザに関する嘘を見抜いたら、そこで止まらないで頂きたい。続けよう。調べ続けよう。学び続けよう。好奇心を持ち続けよう。彼らはガザについて嘘をついた。イラクについて嘘をついた。リビアについて嘘をついた。ウクライナについて嘘をついた。シリアについても嘘をついているのだ。あなたの好奇心を鈍らせようとする人の言うことに耳を傾けてはいけない。都合の悪い質問をしたからといって、あなたを怒鳴りつけ、黙らせようとする人は無視して頂きたい。あなたの目が本当に澄み渡るまで、帝国のプロパガンダ・マトリックスから目覚め続けよう。



 最近のテレグラフ紙インタビューで、ウクライナで欧米諸国が「代理戦争を仕掛けている」とボリス・ジョンソンがはテレグラフ紙に語ったが、これは明らかに真実である一方、かつて欧米政治メディア関係者の間では、極めてタブーな発言とみなされていた。

 「我々は代理戦争を展開しているが、任務を遂行する十分な能力を代理軍に与えていない」とジョンソンは語った。「何年間も、彼らが片手を縛られた状態で戦うのを我々は許してきたが、それは残酷なことだ」

 長年、ウクライナ戦争をロシアに対する欧米の代理戦争と呼ぶのはクレムリン・プロパガンダだと考えられてきた。今では「まあ、これは明らかに代理戦争なのだから、我々は代理軍にもっと武器を与える必要がある、当然だ!」という言い方になっている。



 英雄とは悪者を倒す欧米の兵士や警官のことだと我々は教えられるが、欧米諸国のジャーナリストがプロパガンダをする一方、本当の英雄は欧米諸国政府に支援される大量虐殺残虐行為について真実を伝えるために全てを危険にさらしているパレスチナ人ジャーナリストだ。



 私はオーストラリア政府に子どものソーシャルメディア利用を禁止してもらいたいのではなく、オーストラリア政府には、イスラエルの大量虐殺残虐行為支援をやめ、ワシントンと中国との戦争に備えて、この国を巨大米軍基地に変えるのをやめてもらいたいのだ。



 ホームレスの人々を強制的に移動させることは違法とするべきだ。裕福な地域が野宿するのに最高の場所なら、ホームレスの原因になっている根本的問題が解決されるまで、裕福な人々は自分たちが暮らすディストピアを毎日思い出すことになるはずなのだ。人々を安心させるため、そのようなことを隠すことは許されるべきではない。

 ホームレスを犯罪人扱いし、強制的に移動移住させるために制定された全ての法律は、プロパガンダやインターネット検閲や、パレスチナ人ジャーナリスト殺害と同様、我々が暮らすディストピアが虐待や矛盾を大衆の目から隠すための一つの方法にすぎない。彼らは、戦争や大量虐殺が人々の目に触れずに忘れ去られるのと同様、ホームレスを人々の目に触れずに忘れ去らせたいのだ。

 彼らはただホームレスに「消え去って」ほしいだけだ。なぜなら彼らが支配する権力構造を覆さなければ、ホームレスの原因となる不正や不平等を正すことはできないためだ。彼らは社会における貧困や不正の兆候が全て、彼らの戦争のように、広大な海の向こう側に隠されればよいと願っているのだ。

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ビットコイン寄付: 1Ac7PCQXoQoLA9Sh8fhAgiU3PHA2EX5Zm2

 画像はAdobe Stockより。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/12/01/they-lied-about-gaza-and-theyre-lying-about-syria/

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 この記事、December 2, 2024のStrategic Culture Foundationでも紹介されている。

 Judging Freedom シリアでの過激派攻撃の背景をラリー・ションソンが解説。   
Larry Johnson : Who’s Fighting in Syria? 26:57
 儲け話に目がくらみ、イスラエル、アメリカ、イギリスにつきロシアと対決を決めたエルドアンは痛い目にあうとラリー・ションソン。エルドアンは、世界最悪の卑劣な国家指導者。バイデンさえまともに見えると酷評。ロシアとの決別は決定的。

 今朝の孫崎享氏のメルマガ題名
隣国でいがみ合ってよいことはない。「日中世論調査 中国側“日本に良くない印象” 24ポイント増えて87%に。日本側では対中国印象「良くない」「どちらかといえば良くない」去年比3ポイント減り、89%」(NHK)
 東京新聞 朝刊 国際・総合面 て虚報を見た。
シリア 反体制派に空爆強化。
政府軍とロシア 市民含め死者440に超
反体制派が大都市アレッポの大半を掌握したとシリア人権監視団(英国)が明らかにした。
 この反体制派なるもの、ラリー・ジョンソン氏も語っている通り、ISISが大本の虐殺を業とするイスラム過激派狂信者集団。
シリア人権監視団(英国)(Syrian Observatory for Human Rights ; SOHR)Wikipediaを見ても正体不明。ロンドンの洋服屋?参照するに値しない実態皆無の怪しい組織。

2024年12月 2日 (月)

対シリア戦争を再燃させるアメリカと同盟諸国

2024年11月30日
Moon of Alabama

 どうやら、以前のシリア情勢に関する先の私のこの件の評価は間違っていたようだ。  
レバノン紛争が沈静化する中、シリア戦争をイスラエルとアメリカが再燃させた。この事態が起きそうな兆候は、しばらく前からあった。昨日、CIA資金で再建され支援されているアルカイダ系HTS(ハヤト・タハリール・アル=シャーム機構(旧ヌスラ戦線))戦闘員が、アレッポ西部のシリア政府軍攻撃を再開した。シリアとロシア空軍の攻撃により、彼らの進撃は今のところ止まっている。ヒズボラのルドワン軍はまだ介入していないが、アレッポ防衛のためう配備されている。

シリア情勢がこれ以上悪化するとは私は予想していない。
 現時点で、状況は悪化し続けている。この件でのトルコの役割を私は過小評価していた。

 エルドアン大統領はHTSを掌握しており、彼の狙いの実現に利用しているようだ。彼の狙いには、シリア領土に対するトルコ支配拡大や、シリアのクルド人住民の間で広がる反トルコ抵抗運動に更なる打撃を与えることや、イランの影響力との戦いで、信頼できる同盟者になれると次期大統領ドナルド・トランプに印象づけることなどが含まれる。

 トルコ支配下にある聖戦主義者らがアレッポ市西部のシリア政府軍拠点を攻撃し、陽動部隊が市内に潜入した模様だ。この作戦の大部分は、それに伴う(偽)ニュース攻撃によるものだ。この地域からの現在の情報はあまりに混乱しており、正確に一体何が誰の支配下にあるのか、ある程度正確に述べることはできない。

 シリアでは複数勢力が戦っている。イスラエル、トルコ、アメリカの支援を受けるトルコの「反政府勢力」側には二つの異なる集団がある。アブ・ムハンマド・アル・ジョラニ率いるハヤト・タハリール・アル=シャーム機構(HTS)の元アルカイダ聖戦主義連中はカタールの代理勢力を通じてCIAから資金提供と武器提供を得ていたし、おそらく今もそうだろう。HTSには、中央アジア出身のトルクメン人やウイグル人聖戦主義者が多数いる。二つ目の集団はトルコが資金提供し管理するスンニ派シリア人傭兵集団、いわゆるシリア国民軍だ。

 これら「反逆者連中」は、下劣な行動で早々頭角を現した。
Hala Jaber @HalaJaber - 2024年11月29日 17:40 UTC

🔴重要🔴
エルドアン大統領が支援する「自由の戦士」と呼ばれる連中が、捕らえたシリア兵の首を切る非常に陰惨な映像を今見た。欧米諸国の軍事用語で言えば捕虜だ。ISISの悪行時代は終わったと思っていたが、歴史は再び繰り返され、またしても連中は善良な「解放者」だと言われている。
映像には、シリア兵が「反政府勢力」に囲まれている様子が映っている。
彼は彼らに懇願し、イスラム信仰を訴える。
彼らは彼の手を首から引き離し、巨大なギザギザのナイフを持った男が彼の喉を切り裂く。ナイフが引っかかると、彼は首にナイフを数回突き刺し「アッラーは偉大なり」と叫びながら虐殺を続ける。NATOとイスラエルが支援するこれら過激派を欧米諸国で支援している人は本当に考え直すべきだ。.
紛争のもう一方の側にはシリア・アラブ軍(紛争前の段階で学ばなければならなかった教訓を全て忘れてしまったようだ)がいる。シリアのシーア派戦闘員の集団をいくつか訓練し、資金援助しているイラン革命防衛隊がシリア軍を支援している。これはシリアにルドワン特殊部隊の一部を配置しているレバノンのヒズボラとの緊密な連携のもとで行われている。シリアでロシアはシリア政府を支援しており、現在、空軍力を使って「反政府」側からの更なる攻撃を阻止している。

クルド人民防衛隊(YPG)は反トルコ運動だ。この組織はシリア民主軍(SDF)の主要部分を構成しており、東シリアで、ペンタゴンから断続的に支援を受けている。現在はシリア政府側で戦っているが、クルド人人口の多い地域の安全確保にも関心を持っている。

シリアでの紛争が間もなく再燃することは知られていたが、この緊急さは驚きだったようだ。
Sharmine Narwani @snarwani - ・ 2024年11月30日 9:10 UTC

ロシア新聞イズベスチヤ:アレッポへの大規模テロ攻撃は、イスラエルの支援とアメリカの承認を得て、トルコ、ウクライナ、フランスの諜報機関に調整された。計画は2か月前に行われ、攻撃は来年3月に予定されていたが、レバノンでの出来事が緊急性を高めた。
 上で述べた通り、どちら側が実際にアレッポのどの部分や周辺地域を支配しているか公平に評価できる情報はまだない。私の印象では、ジハード主義者があちこちを支配しているという主張の多くは軍事的な意味のないメディア活動に過ぎない。

 だが、これまでのところで言えるのは、シリア政府が戦場で防衛線を確保できず、紛争再開に備え軍を準備できなかったのは明らかだ。シリア・アラブ軍は、大きな戦闘をすることなく多くの陣地を放棄したようだ。

 あの地域を再支配するには(再び!)多大な流血と資金が必要になるだろう。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/11/us-allies-reignite-war-on-syria-.html

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 イスラエル、シリア、ウクライナについてAlastair Crookeが語る一時間。20年前ヒズボラ青年幹部と会った経験談。素晴らしい考え方の若者は今や立派な幹部になっているはずだと語る。指導者を暗殺すれば彼らを弱体化できるという発想は機能しないと。アメリカと共謀してシリア攻撃を始めたトルコの狙いも解説している。
Alastair Crooke, Alexander Mercouris, Glenn Diesen – Desperate Escalations in Middle East & Ukraine  1:17:08
 Dialogue Works 平和を主張して戦争に邁進するトランプ政権の実態をLarry Wilkerson & Scott Ritter二人がかたる。
How Donald Trump Could Destroy EVERYTHING | Col. Larry Wilkerson & Scott Ritter  52:23
 東京新聞 インタビュー・ページ あの人に迫る ほとんど読まない欄を読んだ。
山岸美喜 徳川慶喜家5代目当主

2024年12月 1日 (日)

ドイツを消滅させたいと願うEU精神病院院長

フィル・バトラー
2024年11月25日
Strategic Culture Foundation

 欧米主要メディアでさえ目の前の危機に気付いた今、EUの裏ボス連中は、ドイツのベルリンにも標的の印を着けさせようとしている。NATOが支援するキーウ政権に長距離用タウルス・システムを供給するようEU議会議長のロベルタ・メツォラがドイツに要請しているというニュースだ。ヨーロッパの精神病院は扉を大きく開け放ち、第二次世界大戦以来最悪の狂人連中を外に放ったのだ。

 ウクライナに長距離タウルス・ミサイルを移譲するようロベルタ・メツォラがドイツに要請した。

 ニューヨークタイムズ見出し「ウクライナがアメリカ・ミサイルを発射し、プーチン大統領が恐ろしいメッセージ」は少なくともジョー・バイデン・レームダック政権が世界を陥れた状況の深刻さを認めている。AP通信見出し「プーチン大統領ロシア新型ミサイルを宣伝しNATOに恫喝的警告」は事態が急速に悪化していることを欧米諸国に知らせる事実に基づいてはいるが誤解を招く記事だ。ロイター記事「プーチン大統領の欧米諸国へのミサイル・メッセージ「手を引け」が状況を悪化させる」。主流メディアがロシアのメッセージに適切に注意を払った見出しを最後に掲載したのがいつだったか私は思い出せない。

 傀儡ゼレンスキーにこの許可が与えられた今、残されたエスカレーションは核戦争だけだ。

 止めることができないエスカレーションなのか?

 EU大統領がドイツに要求した狂気の沙汰について言えば、タウラスKEPD 350は航空機発射型ステルス巡航ミサイルで、主にバンカーバスター弾として使用される。射程は500km (300マイル) 強で、この兵器は二段式弾頭をロシア奥深くにある強化された指揮施設に送れる。これら長距離ミサイルの使用許可は前例やエスカレーションが示すほど不安なものではない。ウクライナへのNATO拡大は、2014年のユーロマイダン・クーデターを欧米諸国が支援した主な理由の一つだった。傀儡ゼレンスキーがこの許可を得た今、残されたエスカレーションは核兵器だけだ。ウクライナをロシアに対抗する正真正銘のNATO衛星国に変えるには一体何が残されているのだろう。

 最近ロシア国内の標的に対するアメリカとイギリスの長距離ミサイル使用についてロシアのプーチン大統領が発言したことを考えると、EUが用意したどんな種類の地下壕にも入る計画をメツォラが持っているのは明らかだ。ドニプロペトロフスク地方にあるミサイル・宇宙ロケット企業Pivdenmashピヴデンマシ(ロシア人にはユジュマッシュとして知られている)に対し、ロシアは極超音速のオレシュニクで攻撃をした。

 ポリティコによれば、ポーランドのレジコフ村にあるアメリカのイージス・ミサイル防衛基地は「可能性として無力化すべき優先目標」だと外務省報道官マリア・ザハロワが記者団に語った。同様のイージ・スシステムはルーマニアにも設置されており、数年前にプーチン大統領はNATOに警告していた。当時この防衛ミサイル・システムを攻撃用に改造できるとロシアは考えていた。当時バラク・オバマ大統領率いるアメリカは気に留めなかった。

 間違えの余地はない

 新型オレシュニクの射程距離は5,000km(3,100マイル)で、ヨーロッパの大半とアメリカ西海岸をロシアは攻撃できる。この兵器は通常兵器または核兵器を搭載できる6~8個の再突入弾頭を様々な標的に投下する。

 ドニェプロ爆撃の映像には、6個の再突入弾頭が広範囲の標的に小型弾頭の雨を降らせる様子がはっきり映っていた。ロシア兵器庫のオレシュニクや他の極超音速兵器に対する防御策はない。今や時代遅れとなったイージス・システムも、最も遠いヨーロッパの標的に15分以内に弾頭が命中するのを防げない。最近の演説で、これら兵器の無敵性についてプーチン大統領は言及した。発射前に民間人に標的地域から十分な避難の機会を与えると約束し、欧米諸国が、このミサイルを阻止できないことを彼は更に証明した。

 国民へのプーチン大統領の警告の約束が、冷戦中に建設されたアントワープの核シェルターに適用されるかどうかは明らかではない。これら核シェルターはブリュッセルから少なくとも一時間離れているため、これはあまり関係ない。従って、メツォラと同僚連中は、おそらく彼らの仕事の成果から逃れるため空を飛ぶ必要があるだろう。別の選択肢は、ケンメルベルク司令部シェルターに避難することだが、この冷戦時代の遺物は車で約二時間、ヘリコプターで30分の距離にある。

 吹き荒れる核の風に、数十億人の命が揺さぶられなければ、この大混乱は大いに愉快なものになるはずだ。この命がけのゲームをEUが更に推進している事実は、自制心を失えば、自由主義世界秩序は我々を誰一人生き残らせるつもりがないことを一層証明している。覇権国はウクライナに大きく賭け、今や犯罪指導者連中は第三次世界大戦に全力を注いでいる。我々はそれが起きるだろうとは予想していたが、それが起き得ると信じたい者はほとんどいなかった。アメリカやフランスやドイツ/スウェーデンの長距離ミサイルでゼレンスキーがロシア国内の別の場所を攻撃すると期待し、プーチンの事前警告がポーランドやルーマニアにおけるものでないよう祈ろう。

 フィル・バトラーは政策研究者、評論家、政治学者、東ヨーロッパ専門家で「Putin’s Praetorians(プーチンの近衛兵)」という最近のベストセラーや他の本の著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/11/25/the-eu-lunatic-asylums-president-wants-germany-wiped-out-too/

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