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2024年10月12日 (土)

頻繁にパレスチナの子どもの頭を狙って撃つイスラエル狙撃兵



 証拠は否定できず、情報源も極めて確固たるものだ。ガザ地区でイスラエル兵がパレスチナ人の子どもの頭を頻繁に狙って撃っている確固たる証拠は山ほどある。

ケイトリン・ジョンストン
2024年10月10日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 パレスチナの子どもたちの頭をイスラエル兵が頻繁に撃っているという医師の証言がまた一つある。これはニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたものだ。

 「65人の医師、看護師、救急隊員:ガザで私たちが見たもの」と題された報告書は、次のように始まる。  
「3月25日から4月8日まで、私はガザで外傷外科医として働いていました。ウクライナとハイチでボランティアをし、ミシガン州フリントで育ちました。紛争地帯で暴力を目にし、働いたことがあります。しかしガザの病院で働いていて特に印象に残ったことの一つは、私がそこにいたほぼ毎日、頭や胸を撃たれた新しい幼い子どもを見たことです。ほとんど全員がその後亡くなりました。合計13人です。」

 「当時、これは近くにいた特に残忍な兵士の仕業に違いないと私は考えていた。だが、帰国後、私より2か月前にガザの別の病院で働いていた救急医に会った。『頭を撃たれた子どもの数は信じられなかった』と私が彼に言うと、驚いたことに彼はこう答えた。『ええ、私も。毎日』」
 イスラエル兵に頭や胸を撃たれた子どもや、重度の栄養失調や簡単に予防できる感染症に苦しむ子どもや幼児に日常的に遭遇したとガザで働いていた多くの医療スタッフが報告書で証言している。

 こうした報道は今年に入ってからずっと出ている。外国メディアのガザ入りをイスラエルが許可していないため、医療スタッフは多くの点でガザ地区現地で事実上の欧米ジャーナリストになり、全員が同じことを言っている。

 7月には、ガザで活動していた45人の医師と看護師の団体がバイデン大統領に宛てた公開書簡に署名し、「この書簡の署名者全員が、確実に、意図的に向けられた暴力を受けたガザの子どもを治療した」と証言した。

 「具体的には、我々全員、毎日、頭や胸を撃たれた十代前半の子どもたちを治療していた」と手紙は続けている。

 また7月「『見たものに我々は何の準備もできていなかった』:ガザの病院での2週間」と題するマーク・パールマッターとフェローズ・シドワという2人のアメリカ人外科医による記事をポリティコが掲載した。そこには次のような一節がある。  
「頭を撃たれた子ども、主に十代前半の子どもを我々は次々目にするようになった。彼らはゆっくりと死んでいき、次に同じように頭を撃たれた新たな犠牲者が出て、彼らもまたゆっくりと死んでいった。彼らの家族は、二つの説の一つを私たちに語った。子どもは屋内で遊んでいた時にイスラエル兵に撃たれた、もしくは路上で遊んでいた時にイスラエル兵に撃たれたという説だ。」
 4月に「『普通の戦争ではない』:ガザでイスラエル狙撃兵が子どもを狙ったと医師らが語る」と題する記事がガーディアン紙に掲載され、10月7日以降ガザで活動していた9人の医師が「頭部や胸部に銃弾一発の傷を負った明らかに戦闘員ではない子どもや高齢者や他の人々を次々治療した」と報じた。

 法医学者はイスラエル兵が子どもに対する攻撃で使用した弾丸を特定できた。  
「ガーディアン紙は8人の子どもが負った銃創の説明と画像を軍事専門家と法医学者に提供した。彼らは、説明と写真だけに基づいて銃撃の状況を決定的に判断するのは困難だ難と述べたが、いくつかの事例でイスラエル兵が使用した弾薬を特定できた。」
 2月に「私はガザに行ったアメリカ人医師だ。私が見たのは戦争ではなく、絶滅だった」という記事をロサンゼルス・タイムズ紙は掲載した。筆者の再建外科医イルファン・ガラリアは以下のように書いている。  
「ある時、5歳から8歳くらいの子どもが数人、両親に救急室に運ばれた。全員、狙撃兵に頭を1発撃たれていた。イスラエル軍戦車が撤退した後、これらの家族は病院から約2.5マイル離れたカーン・ユニスの自宅に戻る途中だった。しかし、どうやら狙撃兵が残っていたようだ。この子どもたちは誰一人生き残れなかった。」
 これが起きているのだ。証拠は否定できず、情報源も極めて確固たるものだ。ガザでパレスチナの子どもの頭をイスラエル兵が日常的に故意に撃っている確固たる証拠は山ほどある。

 欧米諸国の政治メディアがこれを既成事実として扱わない唯一の理由は、イスラエル軍がこれを否定し、前述の報道に対し「イスラエル国防軍はテロリストと軍事目標のみを標的としている。男性、女性、子供を含むイスラエル民間人に対するハマスの意図的な攻撃とは全く対照的に、イスラエル国防軍は国際法に従い、民間人の被害を軽減するため実行可能な予防措置を講じている」とガーディアン紙に語っているためだ。

 「医師らはそうではないと言っている」とガーディアン紙は報じている。

 実際、イスラエルが意図的に子どもを狙撃している事実を否定する根拠はもはやない。事実は明らかで、この事件は解決済みだ。この確立された事実を否定できる唯一の根拠は、イスラエルとその軍隊に対する個人的忠誠心および/またはパレスチナ人の命に対する個人的軽蔑だ。

 この事実は、過去一年イスラエルを擁護するために使われてきた多くの説に穴を開けるものだ。イスラエルはハマスより倫理的に行動している。イスラエルはパレスチナ人ではなくハマスに対し戦争を仕掛けている。イスラエル国防軍は「世界で最も道徳的な軍隊」で、民間人の犠牲を避けるため並外れた措置を講じている。ガザで民間人が殺されるのは、ハマスが彼らを「人間の盾」として利用しているからだ。これはイスラエルの自衛のために戦われている戦争で、人種差別と憎悪によって引き起こされた絶滅作戦ではない。

 イスラエル軍がガザ地区全域で子どもの頭を日常的に撃っている広範囲に文書化されている事実を認めれば、これらのことを真実だと信じる理由は皆無だ。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/10/10/israeli-snipers-routinely-deliberately-shoot-palestinian-kids-in-the-head/

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 Dialogue Works ナフタリ・ベネット発言(下記BBC動画参照)が紹介されている。
Larry C. Johnson: Israel's Humiliating Defeat Looms: Are Iran & Hezbollah to Deliver the Final Blow? 53:08
 
イランを攻撃する機会「逃すべきではない」、イスラエルのベネット元首相を取材(BBC)
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