パレスチナ人の体系的非人間化によって可能になっている大量虐殺
ガザ援助活動家として自分の座標をイスラエル国防軍に伝える唯一の利点は、彼らがその座標を使ってあなたを殺害した時、何をしているのか彼らが正確にわかっていたことを歴史的記録に残せることだ。
ケイトリン・ジョンストン
2024年10月20日
この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。
ガザ地区の水道インフラを修復途中の水道技術者と作業員4人をイスラエル軍が殺害したとオックスファムは報じている。
「イスラエル当局との事前調整にもかかわらず、彼らの明確にマークされた車両が爆撃された」とオックスファムは言う。
ガザ援助活動家として自分の座標をイスラエル国防軍に伝える唯一の利点は、彼らがその座標を使って、あなたを殺害した時に、彼らが何をしていたのか正確にわかっていたことを歴史的記録に残せることだ。
ガザ地区の一部を無作為に破壊していたところ、イスラエル軍は偶然ハマス指導者ヤヒヤ・シンワルを発見し殺害し、その後、計画的に水道技術者4人を標的にし、故意に殺害した。この二つの事実だけでも、イスラエルがガザ地区で実際に何をしているのか知るべきことは全てわかる。
「イスラエル兵はなぜこのような残虐な行為を行えるのか?」という質問に対する答えは「なぜイスラエル国防軍は、死亡した、あるいは避難したパレスチナ人女性の下着を身につける自分たちの姿を撮影し続けるのか?」という質問に対する答えと同じだ。その答えは、イスラエルにおけるパレスチナ人の体系的非人間化のためだ。Oxfam condemns in the strongest terms the killing in Gaza today of 4 water engineers working with our partner on their way to repair water infrastructure. They had coordinated their movements with Israeli authorities and were traveling in a marked vehicle. https://t.co/0f7Jyswt2A pic.twitter.com/wpsEeB7DKH
— OxfamAmerica (@OxfamAmerica) October 19, 2024
イスラエルは根本的に不公平な原則に基づいて建国された根本的に不公平な国家であるため、国民は根本的に不公平な世界観を生まれた時から吹き込まれる必要がある。宗教や民族の違いだけで、ある集団は、ある形で扱われ、別の集団は、別の形で扱われる社会が存在することが理解されるには、イスラエル人はパレスチナ人を人間以下と見なすように育てられなければならない。動物以下と見なすのだ。害虫以下と見なす必要があるのだ。彼らは猛烈な勢いで憎まれる必要があるのだ。
それは邪悪だが、イスラエルを機能させる唯一の方法でもある。そうでなければ非ユダヤ人の既存文明上に「ユダヤ人国家」を築こうという発想は意味をなさず、国民の同意も得られないだろう。アパルトヘイトの虐待や果てしない暴力のない公正で温厚なイスラエルという欧米リベラル派の幻想は、まさに幻想だ。それは存在したことがなく、これからも存在せず、存在することもできない。その考え方が本質的に自己矛盾しているからだ。
公平で公正なイスラエルという考え方を想像するのは、奴隷制度下のアメリカ南部に住み、綿花農園の所有者が労働者に賃金を払う必要がないため依然莫大な利益を得ることができる自由主義のユートピアで、奴隷がいつの日か親切で公正に扱われる可能性を想像するようなものだ。それは言葉の矛盾であり、起こり得ない。農園の所有者が得るものは、必然的に他人の人権を犠牲にして得られるのだ。
だからこそ、奴隷所有者は皆、アフリカ系の人々に対して非人間的な考えを抱き、その考えを子どもに教えたのだ。肌の黒い人と肌の白い人が根本的に違うと信じていなければ、社会で彼らが受ける扱いが全く違う事実を、論理的かつ道徳的に納得できる形で受け入れることはできない。骨相学やその他の疑似科学は、人々の心の中のこうした誤解を解消することを狙っていた。
パレスチナ人に対してイスラエル人が抱く憎悪が渦巻く様子を見ていると、まさにそれがわかる。死んだパレスチナ人の子どものおもちゃでイスラエル兵が遊んだり、死んだパレスチナ人女性の下着を着て大喜びで嘲笑ったりするのも、そのためだ。ガザで虐殺されているパレスチナ人を揶揄するTikTok動画をイスラエル人が作るのも、そのためだ。ヘブライ語で書かれたソーシャルメディア投稿で「翻訳」をクリックすると、まるで『我が闘争』のページを読んでいるような気分になるのも、そのためだ。根本的に不公平な原則に基づいて社会を構築すると、まさにこのような姿になる。
そして本当に不気味なのは、同じような非人間化が欧米でも見られることだ。イスラエルの犯罪への欧米の関与がそれほど密接ではないため、その程度は小さいが、イスラエル人の死とパレスチナ人の死を欧米政治メディア支配階級が全く異なる扱いをしているため、パレスチナ人の非人間化を我々は身近に目にしている。パレスチナ人の死は統計上の数字だが、イスラエル人の死は個人的なものだ。パレスチナ人は数字で死ぬが、イスラエル人は名前で死ぬ。パレスチナ人は詳細不明の恐ろしい人道的災害で死ぬが、イスラエル人は加虐的なテロ行為で虐殺される。パレスチナ人はイスラエル自衛戦争で死ぬが、イスラエル人はユダヤ人を憎む怪物に殺される。
そして、欧米でパレスチナ人が非人間化される理由は、パレスチナでパレスチナ人が非人間化される理由と同じだ。そうでなければ社会は筋が通らないからだ。パレスチナ人が我々と同じ人間なら、我々の近隣では決して受け入れられない大量虐殺を我々の政府が支持するのは筋が通らない。ここで、それ以下の何かが必要だ。無価値のない何かが。Translating an Israeli tweet from Hebrew is like discovering a lost page of Mein Kampf
— Marxist Lynchist 🤘🏾No. 1 (6-0) (@dklmarxist) May 27, 2024
欧米帝国による虐待は、こうした非人間化を軸に構築されている。なぜなら帝国は、グローバルサウスの住民に加えられる大規模軍事暴力と虐待によって維持されているためだ。こうした戦争、軍国主義、帝国主義的搾取がなければ、ワシントンを中心に世界中に広がる巨大権力構造は存続できない。だから、こうした殺人、虐待、搾取がなぜ実際には問題なく、当然なのか説明するため非常に洗練されたプロパガンダ機構が構築された。これは奴隷制度廃止前のアメリカで、骨相学が奴隷制度を正当化するために使われたのと同じで、アパルトヘイト時代のイスラエルでシオニスト教化が使われているのと同じだ。
不正義を前提とする文明は不正義な世界観に依存する。それはイスラエルで真実で、欧米帝国全体で真実だ。それが情報生態系が今のような形になっている理由だ。
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画像はAdobe Stockより。
記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/10/20/this-mass-atrocity-is-made-possible-by-the-systematic-dehumanization-of-palestinians/
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植草一秀の『知られざる真実』
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