« アメリカとイスラエルの戦争挑発に対する批判を積極的に検閲するメタ | トップページ | 頻繁にパレスチナの子どもの頭を狙って撃つイスラエル狙撃兵 »

2024年10月11日 (金)

イランとイスラエル:勢力の均衡と可能性

ヴィクトル・ミーヒン
2024年10月7日
New Eastern Outlook

 イランの報復攻撃を受けて、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は独自の戦争、つまりテヘラン政権を倒す戦争を始める可能性がある。当然、この戦争はアメリカの支援や資金や最新のアメリカ技術を用いて行われることになるだろう。

 イランとイスラエル:勢力の均衡と可能性

 欧米メディアの経験豊富な専門家の分析から判断すると、イランは狡猾で悪意のあるネタニヤフ首相が仕掛けた罠に陥ったのだ。一連の壊滅的で屈辱的な攻撃に対し、何カ月も何もしなかったイラン人は、ヒズボラ幹部の斬首と、テヘランでハマス指導者の一人を殺害される結果に終わった。だが、イラン政権は10月2日にイスラエルにロケット弾を発射して「焼身自殺」した可能性があると欧米メディアは報じている。この攻撃は実際に危害を加えることを狙ったもので、それは必然的に復讐心に燃えるイスラエルの報復攻撃を招くに等しい。現段階では、双方で強硬派が主導権を握っているのは明らかだ。この行為は「緊張緩和を目的とするエスカレーション」など存在しないことを示している。あるのはエスカレーションだけだ。外交の可能性は明らかに閉ざされつつあり、次に何が起きるかは政権最後の日々にある老齢アメリカ大統領にかかっている。

 イランの新たな戦術

 10月2日のイランの攻撃は、テヘランによるイスラエル直接攻撃として二度目の攻撃だった。一度目は4月で、イランは約300発のミサイルとドローンを発射した。これら兵器はそれほど効果的ではなく、イスラエルのアイアン・ドーム防空システムは、アメリカやイギリスやヨルダンの軍と協力し、その多くを迎撃した。これは芝居で、多くの人がそう理解していたが、今回は違った。ミサイルの数はイスラエルによれば約180発と少なかったが、イラン兵器庫でも最も近代的なものので、音速の5倍の速度の極超音速ファッタフ1ミサイルだった。インターネットに投稿された携帯電話の動画には、信じられないほどの速度で空を飛ぶミサイルが映っている。それでも精度はかなり低く、空中で爆発しなかったものは無人地域に落ちた。イスラエル報道機関が皮肉を込めて指摘している通り、唯一の犠牲者はガザ地区出身のパレスチナ人労働者で、ヨルダン川西岸の砂漠の道路を横断中にロケット弾の尾部に当たって死亡したとされている。だがイスラエル国防軍は攻撃を受けた基地の写真を一切公表していないが、アメリカ・メディアが公開しており、軍事施設が大きく損傷し破壊された様子が写っている。つまり、イスラエル当局が伝えようとしているほど単純なことではないのだ。

 アメリカ軍が行ったことは、吸血鬼のような動物的な権力奪取するシオニスト政権の信じられないほどの犯罪に対する最小限の罰に過ぎなかった。

 イラン最高指導者、アリー・ハメネイ

 イランによる攻撃直後、首相官邸が公開した動画で「イランは今夜大きな過ちを犯し、その代償を払うことになる」とネタニヤフ首相は述べた。強硬発言の裏には、そして確実にネタニヤフ首相が言いたかったのはそういうことだったが、決断力の欠如、あるいは少なくともためらいの瞬間があった。弾道ミサイルの第一波がイスラエルに向かっていた時、イスラエル内閣はエルサレム近郊のバンカーで会議を開いていた。イスラエルの報復攻撃がどんな形を取るべきか決定しないまま議論は終わったと報じられた。ネタニヤフ首相や他の当局者が、まずバイデン政権と相談したいと望んでいたため最終計画は合意に至っていないとイスラエル・メディアは知らされた。イランとの紛争が本格的な戦争にエスカレートした際、ためらうことなく絶え間ない爆弾供給、更にイスラエル当局が「作戦支援」と呼ぶものでアメリカが確実に支援してくれるようにイスラエルはする必要があるのだ。

 イスラエルを守っているアメリカ軍事力

 米海軍は中東に二隻の空母と、最新誘導ミサイルを搭載した多数の艦船を派遣している。アメリカ戦闘爆撃機はヨルダンに拠点を置いており、いかなる地域戦争にもハシミテ王国は参加しないとアブドラ2世国王が何度述べても、事実は頑固にその逆を証明しており、国防総省が彼にイラン爆撃許可を求める可能性は低い。任期最後の数日間に中東で地域戦争が勃発するのをジョー・バイデンは望んでいないようだが、そのような戦争が避けられないなら、彼はイスラエルがそれに勝つようにしなければならない。イスラエルは中東を自国に有利に、欧米諸国の利益になるように変えつつある。イランやヒズボラやハマスが破壊されないにせよ、大幅に弱体化するのをアメリカは喜ぶはずなのだ。何よりまず、これはイランに当てはまる。ネタニヤフはアメリカを引きずり込むのに成功するかもしれないし、最高地位での彼の長い実績は、アメリカ大統領に挑戦する事実に特徴づけられてきた。ビル・クリントンはビビと初めて会った後、激怒した。「一体彼は自分が何様だと思っているんだ? 超大国はどの国だ?」

 それにもかかわらず、アメリカはイスラエルが同国を狙うイラン・ミサイルを撃墜するのを支援するとジョー・バイデン大統領は述べた。この発言は、南レバノンへのイスラエル侵攻への報復として、イスラエルの様々な標的に、イランがミサイルを発射したとイスラエル国防軍(IDF)が発表した後になされた。IDF攻撃についてアメリカは警告し、イラン・ミサイルをイスラエル軍がアロー2とアロー3ミサイル防衛システムで撃墜するのに十分な時間を与えたと報じられている。「これはイスラエルと米軍の高い軍事力を示している」とバイデンは述べた。「これはまた、我々が予想した大胆な攻撃を予測し、防御するためアメリカとイスラエルが注意深く計画していることも示している」。そして彼はいかなる曖昧さも許さない厳しい言葉を付け加えた。「確実に、アメリカ合州国は、イスラエルを全面的に、全面的に、全面的に支持している」。

 イランの砲撃後、同地域の米軍に対し、イスラエルに向けたイラン・ミサイルが更に発射された場合、迎撃し撃墜するようバイデン大統領は命じた。この動きは、同盟国を守るため、アメリカがあらゆる作戦に積極的に関与する中、状況が急速にエスカレートしていることを浮き彫りにしている。この危機に対応して、ホワイトハウスは緊急会議を招集し、カマラ・ハリス副大統領とアメリカの対応を調整する国家安全保障チームのリーダーらが出席した。攻撃に対するイスラエル防衛を支援する準備をアメリカは「積極的に」進めていると報じられている。迫り来る攻撃は最近のものより大規模な可能性があるとあるアメリカ高官がロイター通信に語った。最近、イスラエルのヨアブ・ギャラント国防相とアメリカのロイド・オースティン国防長官が協議を行い、イランの脅威に対抗するための共同準備について話し合った。

 中東に追加部隊と戦闘機をアメリカが派遣することを国防総省は確認した。F-15、F-16、F-22、A-10戦闘機中隊を含む数千人の追加部隊が同地域に派遣される。この派遣は、状況が更に悪化した場合、イランとのより広範な紛争が発生する可能性に備えるためのものと広く見られている。

 揺るぎなく公正なイランの立場

 パレスチナ人とレバノン人を含む全ての人々は侵略者から保護される権利があるとイスラム革命指導者アヤトラ・セイェド・アリ・ハメネイ師は述べ、昨年10月7日のハマスによるイスラエル南部への攻撃は「完全に正しい決定」だったと指摘した。ベイルート南部への大規模空爆の結果、レバノンのヒズボラ指導者サイェド・ハッサン・ナスララとレバノン駐在イラン軍事顧問アバス・ニルフォルーシャン准将をイスラエル政権が暗殺してからちょうど一週間後に彼の声明が出された。7月31日にテヘランで殺害されたヒズボラ指導者、首席軍事顧問、ハマス政治部門代表イスマイル・ハニヤ暗殺への報復として、革命防衛隊がイスラエル軍の拠点や諜報センターに180発以上のロケット弾を発射した3日後に、彼の声明が出された。

 昨年10月から始まったこの地域での悪意あるイスラエルの行動について、「イラン国民の敵は、パレスチナ、レバノン、イラク、エジプト、シリア、イエメンの人々の敵と同じだ」と彼は語り、イスラエル政権に対しイスラム諸国が共同で「特別」措置を取ることを提案した。

 また、イスラエルに対するイランの軍事行動は「完全に合法かつ正当」であるとし、イランは侵略者に対する措置を「急ぐことも躊躇することもない」と彼は示唆した。「イスラムの保護に関する規定、イラン・イスラム共和国憲法、国際法に基づき、血に飢えたシオニスト政権を処罰するためのイラン軍の行動は完全に合法かつ正当だ」と指導者は述べた。過去二回の対イスラエル作戦は、必要な時には、イランがイスラエル政権に立ち向かえることを証明した。信者に向けた演説の一部で、指導者はアラビア語でイスラエルを「陰険で、根拠がなく、人為的で、不安定」な政権と呼び、全てアメリカ支援のおかげでかろうじて存続していると述べた。

 更に、イスラエル政権による虐殺を前にして抵抗枢軸は後退することはなく、勝利を収め、イランは他の国々とともにこの目標の実現に貢献する。「イラン・イスラム共和国は、この点に関していかなる義務も断固、着実に果たす。義務を果たすのを我々は躊躇したり、急いだりしない」とアヤトラ・アリ・ハメネイ師は述べた。

ビクトル・ミーヒンは、ロシア自然科学アカデミー客員。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/10/07/iran-israel-a-balance-of-power-and-possibilities/

-----------

 Dualogue Works 最新対談は興味深かった。
Alex Krainer: Is Israel's Economy on the Brink of Collapse? 52:23
 圧倒的に優位な側が、毒ガスを使う理由などあるだろうか?

 日刊IWJガイド
「英国の企画立案でウクライナが実行犯の化学兵器使用の偽旗作戦が発覚! ロシアが察知し、英国政府の発表1日前に偽旗作戦を予告!」2024.10.11号

はじめに~英国の企画立案でウクライナが実行犯の化学兵器使用の偽旗作戦が発覚! しかし作戦はすでにロシアに察知され、英国政府の「ロシアがウクライナに化学兵器使用」の発表1日前に偽旗作戦を予告され、英国政府はロシアの予告通り、政府一丸で猿芝居を打っている! 日本の大手メディアは、英国の発表だけを報道して、偽旗作戦をアシスト!

« アメリカとイスラエルの戦争挑発に対する批判を積極的に検閲するメタ | トップページ | 頻繁にパレスチナの子どもの頭を狙って撃つイスラエル狙撃兵 »

イラン」カテゴリの記事

アメリカ」カテゴリの記事

アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事

イスラエル・パレスチナ」カテゴリの記事

レバノン」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« アメリカとイスラエルの戦争挑発に対する批判を積極的に検閲するメタ | トップページ | 頻繁にパレスチナの子どもの頭を狙って撃つイスラエル狙撃兵 »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ