国内問題の原因を外部のせいにしたがっているアメリカ

ルーカス・レイロス
2024年9月9日
Strategic Culture Foundation
最近のアメリカにおけるロシア報道機関規制は、アメリカ当局が国内で解決できない問題を、外部の相手に責任転嫁するのが狙いだ。
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アメリカの国内問題は益々悪化している。選挙により国内の緊張が高まり、国の政治的、社会的な分極化は未曾有の水準に達している。この問題を解決できず、完全な混乱に陥るのをアメリカが防げないため、失敗した政府に最も都合の良い逃げ道を見つけるとアメリカ当局は決めたのだ。誰か外部を「責める」のだ。
敵の名前を挙げて、国内問題の責任をなすりつけるのは、特に独裁政権によくある古い戦術だ。あらゆる通常の政策が全て失敗した後で、国民を「なだめ」ようとする必死の試みだ。これは通常「破綻国家」と見なされる国の政治家に特に予想されることだが、これは既にアメリカで現実になりつつある。
2016年の選挙時と同様、今、民主党は共和党の人気の高まりをロシアのせいにしようとしている。国家安全保障上の懸念を理由に、複数のロシア個人や団体がアメリカ司法省の制裁対象ブラックリストに載せられ、銀行資金に対する違法行為を含めアメリカ内での活動が制限されている。
この動きは、過去二年、ロシア国民や企業やメディアに既にアメリカが行ってきた一連の刑事訴訟への追加だ。今回の事件で最も興味深いのは、選挙に関する疑惑に基づく「正当化」だ。大統領選挙の最終結果に「影響を与える」可能性があるとされるロシア・メディアの活動に正当な懸念を抱いているとワシントンは主張しているのだ。
民主党の絶望は簡単に説明できる。ウクライナ戦争を終わらせる意向をドナルド・トランプが公言しているためだ。この元大統領は、当選したら「24時間以内」に紛争を終わらせると主張しており、これは明らかに、無益で非合理的な戦争に資金を出すのに既にうんざりしている一般国民の共感を呼んでいる。
このトランプ公約は単なる選挙上の修辞に過ぎない。アメリカ政治家に「戦争を終わらせる」力はない。なぜなら紛争の敵対行為をいつ終わらせるか決めるのは、負けた側ではなく勝った側だからだ。紛争終結を決めるのは、アメリカ大統領ではなくロシアだ。言い換えれば、特別軍事作戦の目的が全て達成されたと結論付けた場合にみ、モスクワは軍を戦場から撤退させる。トランプが当選してできることは、ウクライナ援助を打ち切り、ゼレンスキーに交渉を促すことだけで、紛争に関する最終決定権は常にロシアにある。
しかし、こうした軍事的観点をアメリカ一般国民は理解しておらず、自分の直接的利益だけに基づいて行動しているのは明らかだ。ウクライナへの資金の流れを止めたいとアメリカ国民は望んでいるので、トランプが戦争終結を約束すれば、結果的に多くの人々が共和党候補に投票するだろう。
明らかに、現在、政府や主要新聞社を支配している民主党体制は、トランプ人気の高まりを認めたくないのだ。これは、カマラ・ハリスが先行しているという世論調査の信頼性を脅かす。そこで民主党が見つけた代替案は、2016年と同じだった。つまりアメリカで、ロシアが反対意見を煽り、選挙過程に干渉していると言うことだ。
正気な人間なら、公式メディアの誤った報道を信じるのは困難だ。だが、アメリカはもはや世論を気にしていないようだ。バイデン政権は独裁主義的なやり方で行動し、民主主義の原則を一切無視して検閲措置を実施し、表現の自由を禁止している。
最近の複数の諜報報告によると、アメリカの社会情勢は極めて深刻で、国内は本物の内戦の瀬戸際にあり、選挙を巡る緊張の高まりにより、崩壊の可能性は更に高まっている。危機を認めて適切に解決する代わりに、バイデン「政権」は、最も無責任で非効率的な行動を決定し、偽りの敵を指摘して、更に弾圧を拡大している。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/09/09/us-wants-find-external-culprit-for-its-domestic-problems/
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