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2024年9月23日 (月)

NATO、ロシアに宣戦布告:成功するだろうか?

サルマン・ラフィ・シェイク
9月21日
Strategic Culture Foundation

 どのNATO加盟諸国もロシアによる攻撃を受けていないにもかかわらず、彼らはロシアに宣戦布告している。

 NATOがロシアに宣戦布告:成功するだろうか?

 9月13日、ホワイトハウスで、イギリスのキール・スターマー首相がジョー・バイデン米大統領と会談した際、二人が話し合った(そしておそらく決定した)のは、ロシア国内の標的を攻撃する長距離ミサイルの使用だった。正式決定はなされていないと彼らは公式に述べてはいたが、少なくともロシア当局にとっては、その決定が既になされ、ウクライナに伝えられたのは明らかだ。長距離ミサイルは、これまで供給された1000億ドル以上の価値がある他の全ての兵器と同様、出荷され、2024年末までに実戦配備可能になる。実際、既に長距離空中発射巡航ミサイル「ストームシャドウ」をイギリスはウクライナに供給している。もしこれが使用された場合、これは確実に、第二次世界大戦終結以来ヨーロッパ最大の軍事的エスカレーションとなるだろう。これらミサイルが戦争を激化させる事実に加えて、NATOが狙いを実現できるか否かの見通しは、いくつかの理由から依然暗い。

 これは、紛争に彼らが直接関与することを意味し、明らかに本質を変えるだろう。

 長期化する紛争

 実際に供給されるミサイルの詳細や、それがロシアにもたらす可能性のある、あるいはもたらせない損害には触れないにせよ、ロシア内への攻撃に欧米諸国が頼っているのは、これまでのところ、軍事的、経済的にロシアを打倒する欧米軍事戦略の失敗を示していることは否定しようがない。しかし問題は、長期にわたる紛争にヨーロッパ諸国が耐えられるか否かだ。

 最近までウクライナへの主要武器供給国だったドイツは、既に支援を半減すると決定している。ドナルド・トランプ復帰が、アメリカのウクライナ軍事援助を大幅に削減する可能性がある事実を無視して、この決定が下されたのだ。このようなシナリオは、紛争におけるヨーロッパの立場の根底にある複数の状況を示している。

 まず、11月に誰がホワイトハウス入りするのかドイツは気にしていない。ベルリンは単に兵器庫を完全に空にして、必要以上の費用を防衛に費やすのを望んでいるわけではない。そうではなく、融資、つまりキーウにヨーロッパが提供し、ヨーロッパに利益をもたらす金融商品を通じて、ウクライナが自力で資金調達できるのをドイツは「期待」しているのだ。言い換えれば、今やヨーロッパの主要経済国は、軍事紛争に関し、安全保障から利益重視に転換しつつある。

 報道も、ドイツ国防予算が期待される額に届かないことを示唆している。国防大臣が国防費67億ユーロ増額を要求しているのに対し、ドイツは13億ユーロしか追加しない見込みだ。これもまた過去三年間インフレに悩まされてきたドイツ経済状況の表れだ。

 ドイツの部分的撤退は、いわゆる「戦争努力」からのヨーロッパ全体の全面撤退のきっかけとなり、紛争を長引かせようとするワシントンとロンドンの計画を複雑にする可能性がある。理由は経済だ。ヨーロッパ経済の長年の「救世主」たる元イタリア首相マリオ・ドラギは、ヨーロッパ経済が壊滅から逃れるには年間8,830億ドルという巨額資金注入が直ちに必要だと考えている。9月9日に発表された400ページに及ぶ報告書で、基本的にヨーロッパの「どんなことでもする」瞬間と呼べるものをマリオは提示した。ヨーロッパは、これほど資金を動員しながら、同時にロシアとの戦争に資金提供し続けられるのだろうか。これには奇跡が必要だが、それは起きそうもない。したがって、全面的な措置はほとんど不可能か、意味ある形で実施されることさえない。

 中途半端

 ロシアのウクライナ特別軍事作戦開始から二年半以上経過したが、NATOは依然支出問題に取り組んでいる。2024年6月のNATO報告書によると、イタリアやカナダを含む8カ国が依然支出不足だ。ドナルド・トランプが選挙に勝てば、大西洋両岸の大問題になる可能性があるだけでなく、NATO諸国のいくつかは、必ずしもワシントンが望む形で、この問題を優先していないことも示している。それでもワシントンがウクライナへの兵器の主要供給国であり続けることも意味する。だが問題は、太平洋地域を含む他地域で、備蓄を失うリスクを冒さずに、ワシントンがどれだけ長く:これを続けられるかだ。

 主に個人的に政治的に失うものがないため、そのような結末をバイデンは気にしていない。従って彼は多少無謀になっても構わないのかもしれない。ヨーロッパはロシア反撃の矢面に立たされることになりかねない。劇的進展の可能性を既にロシア当局は示唆し始めている。

 ロシアの反応

 大西洋両岸の計算を一層複雑にするのは、このエスカレーション、つまりロシア国内の標的を攻撃するヨーロッパ長距離ミサイルに対するロシア反撃の性質だ。既に、ロシアを攻撃するために欧米の長距離ミサイルが使用することは「NATO諸国、アメリカ、ヨーロッパ諸国がウクライナ戦争の当事者になることを意味する。これは、これらの国々が紛争に直接関与することを意味し、紛争の本質、性質そのものが劇的に変わるのは明らかだ」とロシアのウラジミール・プーチン大統領は述べている。

 ロシア国内への直接攻撃をNATOが行った後、ロシアは核兵器を使用する権利があると他のロシア当局者も警告している。いざとなったら、真っ先に影響を受けるのはヨーロッパだ。従って、NATO拡大と、ロシアを消滅に追いやることだけを狙う、この紛争を依然優先しているヨーロッパ諸国にとって、これは判断材料になる。

 サルマン・ラフィ・シェイクは、国際関係とパキスタンの外交・内政専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占寄稿

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/09/21/nato-has-declared-war-on-russia-will-it-succeed/

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