アメリカ大統領選討論会の妄想:戦争党という一つの党の二人の候補
2024年9月13日
Strategic Culture Foundation
アメリカ戦争党と、そのイギリスおよびヨーロッパ諸国の支持者連中は世界を奈落の底へと突き落としつつある。そのことに議論の余地はない。
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今週、国際ニュースを賑わせた出来事が二つあった。アメリカ大統領候補カマラ・ハリスとドナルド・トランプのテレビ討論会と、ワシントンとNATO同盟諸国が、ウクライナ政権がロシア連邦領の奥深くまで長距離ミサイルを発射するのを許可する準備を進めているという報道だ。後者の動きは、モスクワで、代理戦争から核保有国間の直接的紛争への大きなエスカレーションとみなされるだろう。
上述の二つの出来事は密接に関連している。アメリカ大統領選挙まで2か月を切り、民主党のハリスと共和党のトランプが激戦を繰り広げ、ホワイトハウスを巡り意見が割れる争いを繰り広げている。世論調査によると、現職副大統領ハリスが、生放送テレビ討論会で最も良い成績を収めた。だがトランプは、持ち前の厚かましさで、討論会では自分が勝ったと主張した。その後、二回目の討論会への参加をトランプが拒否したのは、陳腐で支離滅裂な発言をした年上のライバルに対してハリスが優位に立てるのではないかとトランプ陣営が恐れていることを示唆しているのかもしれない。ここで話題にしているのは表面的な様子であり、どちらの候補者にも、ほとんど皆無な「中身」ではない。
明らかに、アメリカ支配体制はハリス勝利を支持している。アメリカ・メディアの大半は、アメリカ初の女性大統領、しかも有色人種女性のハリスを支持している。この実績だけでも、アメリカ共和国が民主主義と自由主義的価値観の砦とされるイメージに磨きをかけることになる。
アメリカのディープステート、つまり支配階級にとって更に重要なのは、ハリスが帝国主義外交政策に同調していることだ。現在の上司、ジョー・バイデン大統領同様、ハリスはロシアとの対決やウクライナ紛争への揺るぎない支持を好戦的に語っている。
対ロシア代理戦争の継続を確実にするために、ワシントン支配層は、11月5日のハリス勝利を望んでいる。アメリカ資本主義の中心にある、全てを支配する軍産複合体は、戦争詐欺が巨額利益を出し続けるのを望んでいる。だが、より大きな地政学的観点から見ると、ロシアとの対立は、主に中国、またはアメリカ覇権に挑戦する他国など、他の外国勢力との、より広範な対立政策の一要素にすぎない。先週社説で論じた通り、たとえそのような政策が地球全体を破滅的世界大戦の危険に曝そうとも、アメリカは、攻撃と好戦の強化政策を追求し、衰退しつつある世界的権力を補強しようと努めている。
今週、ロシア深部への長距離ミサイル攻撃許可をウクライナ政権に与える綿密に計画された動きをアメリカとイギリスが見せたが、これは大統領選挙の行方と密接に関連している。
ドンバス地域でロシア軍が大きな前進を遂げ、一か月前に開始されたクルスク攻勢も押し返しているため、ウクライナ政権は苦境に立たされていると欧米メディアも報じている。多くの独立系観測者が既に指摘している、ウクライナ防衛が崩壊しつつある現実をCNNの説得力のある報道は的確に捉えているようだ。
バイデン政権は、11月選挙前にウクライナで恥ずべき敗北を喫するわけにはいかない。特に「ロシア侵略からウクライナを守る」ため投じられた莫大な政治的、財政的資本を考慮すると、威信喪失により、ハリス候補は取り返しのつかない打撃を受けるだろう。
従って、長距離兵器というもう一つの命綱をキーウ政権に与えるのは、アメリカ選挙を乗り切るため苦戦するゼレンスキー政権があと数週間持ちこたえるのが狙いだ。
ウクライナでの敗北大惨事からドナルド・トランプは大きな恩恵を得るだろう。元共和党大統領は、ウクライナでの和平協定を推進して「第三次世界大戦を防ぐ」ことをホワイトハウス復帰の目標に掲げている。
NATO同盟諸国とヨーロッパ同盟諸国をトランプが極端に軽蔑していることもアメリカ支配体制がトランプを支持しない理由の一つだ。それに比べると、ハリスは特にロシアとの対立に関し、アメリカの戦争挑発にとって、より便利な道具だ。トランプがウクライナ問題解決に向けた交渉について語っているのも軍国主義ディープステートには問題だ。
だが、トランプは平和派候補だという思い込みを捨て去ることが重要だ。ロシアに対するアメリカ攻勢を縮小する考えをトランプは漠然と持っているかもしれないが、共和党候補は中国とイランに対して民主党のライバルより好戦的だ。パレスチナにおけるイスラエルの大量虐殺をトランプは全面的に支持している。トランプが再び大統領になった場合、アメリカの好戦的外交政策は他地域に移るだけだと言っても過言ではない。
トランプの第三次世界大戦阻止の話は信用できない。大統領在任中(2016~2020年)、彼はネオナチ・ウクライナ政権を煽り、ドンバスのロシア系住民に対する大量虐殺戦争を仕掛けさせ、2022年2月のロシアの軍事介入につながった。ロシア天然ガスをヨーロッパから遮断し、ドイツにノルドストリーム計画を中止するよう圧力をかけることにも彼は熱心だった。その後、バイデンは2022年9月にバルト海海底パイプライン爆破を命じた。
ウクライナの和平交渉役として自らを売り込むのは、ロシアに対する無謀な代理戦争に当然ながら警戒している多くのアメリカ国民の票を集めようとするトランプの身勝手な試みだ。それは結局、修辞的な姿勢にすぎない。
将来トランプ大統領がウクライナ和平を実現する可能性は低い。まずアメリカ政権が、そのような結果を阻止するため全力を尽くすだろう。トランプはロシアの手先だという古いメディアのデマが、猛烈な勢いで再び報じられることは容易に想像できる。
また注目すべきは、下院と上院共和党の大部分、および元幹部が対ロシア敵対政策を強く支持していることだ。最近、アフガニスタンとイラクでの戦争の立案者、元共和党副大統領ディック・チェイニーが他の共和党の重鎮連中と共にハリスを支持したことは、時代の兆しだ。この戦争犯罪人にハリスは心から感謝した。
更に今週、主要な情報、軍事、外交政策委員会に所属する下院共和党幹部がバイデン大統領に正式書簡を送り、ウクライナがロシアに向け長距離ミサイルを発射するのを承認するよう要求した。バイデン大統領を説得するのに、さほど時間はかかるまい。今週初め、大統領は「提案に取り組んでいる」とのんきに述べた。
超党派ロシア憎悪に拍車をかけるように、共和党の別のロビー団体「反トランプ共和党員」は「トランプへの投票はプーチンへの投票だ」と主張した。
今週のアメリカでの「歴史的」テレビ討論会の目立った結果は、メディアの誇大宣伝と歪曲によって隠されてはいたが、両候補が事実上の戦争党に所属していることだ。
複数の政党名や呼称や修辞上の違いはあるかもしれないが、本質的に、ワシントン政治家の大多数は国民や国民の要求を代表しているのではなく、帝国主義の戦争煽動に協力している。ヨーロッパ政治家にも同じことが言える。
政治的、企業支配独占によって、国民が世界大戦や核戦争の危機に導かれているのは、アメリカと欧州における民主主義劣化の悲劇的反映だ。従順なメディアの戦争推進プロパガンダに対する反対意見は全て遮断され検閲される。ガザでの大量虐殺に抗議するアメリカと欧州の学生が「テロリスト同調者」だと中傷されるのと同じ手法で「クレムリンのプロパガンダ」だという不合理な理由でGoogleとYouTubeは反戦サイトを閉鎖している。欧米諸国「民主主義」は国際法を破壊するファシスト戦争国家の本性を露呈している。
国内の政治危機と世界的失敗のさなか、アメリカ支配者たちは世界平和を賭けている。今週、長距離ミサイルが承認されれば、ロシアはNATOを敵対行為への直接参加者とみなすとロシアのウラジミール・プーチン大統領は警告した。かつての代理戦争が、今後は直接戦争になる。これははっきりした一線だ。狂気の欧米「指導者」連中はそれを越えるのだろうか? 彼らが越える可能性は十分ある。それは何年にもわたる戦争挑発から得た矯正不能な傲慢さのためで、また欧米資本主義体制全体が、生まれつき戦争のためにできているためで、それがその本質的崩壊を防ぐ唯一の方法だからだ。欧米政治階級の思うように進めば、戦争は避けられないように思える。
アメリカ戦争党と、そのイギリスおよびヨーロッパ諸国の支持者連中は世界を奈落の底へと突き落としつつある。そして、そのことに議論の余地はない。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/09/13/us-presidential-debate-delusion-two-candidates-for-one-party-war-party/
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Scott Ritter Extra
ブリンケンの言論弾圧に対し、国民は必要な情報を得られるべきというケネディ発言をスコット・リッターは引用している。
In Defense of Free Speech今朝の孫崎享氏メルマガ題名
Scott Ritter
Sep 16, 2024
随想㉕無償の手助けーその①、今日、書籍、X,ニコニコで活動できるのも契機は『日米同盟の正体』が出版できたから。出版は無償の行為が契機日刊IWJガイド
「第3次世界大戦直前の危機! 米英がウクライナに長距離ミサイルでのロシア領内攻撃を許可! しかし英スターマー首相は直前に『撤回』!」
■はじめに~第3次世界大戦直前の危機! 米英がウクライナに提供した長距離ミサイルでのロシア領内攻撃を許可! しかしロシアのプーチン大統領の「長距離兵器の提供国もウクライナと同じく共同交戦国とみなして相応に報復する」との発言に怖気付いた英スターマー首相は、公表直前に許可を「撤回」!? しかも英国を焚きつけてきた米バイデン大統領は、英国だけを生贄にしようと騙していた可能性が! これはまだ米英の最終決定ではない! まだまだ続く第3次世界大戦の危機を、日本の大手メディアは一切報じず!
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