ウクライナ状況報告:クルスク攻撃により部分的停戦合意が頓挫
2024年8月17日
Moon of Alabama
ウクライナによるロシア、クルスク州侵攻は、これまで知られていた以上更に悪い結果をウクライナにもたらすことになる。
過去6か月間、ロシアのインフラ、特に石油精製所に対するウクライナ攻撃への報復として、ウクライナ電力網にロシア軍は深刻な損害を与えてきた。ウクライナのほぼ全ての従来型発電施設が被害を受けた。ウクライナ発電能力18ギガワットの半分が送電不能になった。被害を受けた発電所は、ソ連式巨大アパート群への暖房供給にも使われていた。電力と暖房がなければ、ウクライナの多くの人々にとって非常に厳しい冬になるだろう。
両国とも、相手によるインフラ攻撃を止めるのに関心があった。それに関する合意は形成中で、可能だった。だが、ワシントン・ポストが報じている通り、ウクライナのクルスク攻撃により、この合意は崩壊した。
クルスク攻撃でウクライナ軍にもたらされた士気の高まりも既に薄れつつある。東部での攻撃に関与している部隊を、ロシアはクルスク防衛のために撤退させてはいない。その代わり、他の場所から予備部隊を撤退させている。かくしてクルスク侵攻で期待されていた効果の一つは実現していない。
東部戦線の軍隊を引き抜くことによってのみ、ウクライナの攻撃は可能になった。更に、既に問題となっている火砲の補給は益々不足している。
ロシア予備軍がこの地域に到達するのを阻止するためウクライナは貴重な部隊を投入した。しかし最前線に近いため、これら部隊は生き残るのが困難だ。
私が以前述べたように、クルスク作戦の主目的は、ウクライナは、まだ戦争に勝てるので、更なる支援を受けるに値すると欧米のウクライナ支持者を説得することだったとニューヨーク・タイムズ分析は示唆している。
破壊可能な発電所を持っている国はウクライナだけではない。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/08/ukraine-sitrep-kursk-attack-derailed-partitial-ceasefire-deal.html#more
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Mark Sleboda
耕助のブログ Paul Craig Roberts記事翻訳
Moon of Alabama
ウクライナによるロシア、クルスク州侵攻は、これまで知られていた以上更に悪い結果をウクライナにもたらすことになる。
過去6か月間、ロシアのインフラ、特に石油精製所に対するウクライナ攻撃への報復として、ウクライナ電力網にロシア軍は深刻な損害を与えてきた。ウクライナのほぼ全ての従来型発電施設が被害を受けた。ウクライナ発電能力18ギガワットの半分が送電不能になった。被害を受けた発電所は、ソ連式巨大アパート群への暖房供給にも使われていた。電力と暖房がなければ、ウクライナの多くの人々にとって非常に厳しい冬になるだろう。
両国とも、相手によるインフラ攻撃を止めるのに関心があった。それに関する合意は形成中で、可能だった。だが、ワシントン・ポストが報じている通り、ウクライナのクルスク攻撃により、この合意は崩壊した。
今月、双方のエネルギー・電力インフラへの攻撃を停止する画期的合意を交渉するために、ウクライナとロシアはドーハに代表団を派遣する予定だと協議に詳しい外交官や当局者が語った。合意は部分的停戦に相当し、両国に猶予を与えるものになるはずだった。クルスクへの無意味な攻撃の代わりに、停電や他の中断を余り起こさず冬を乗り切れる合意をウクライナは結べたはずだった。その機会をウクライナは逃したのだ。
しかし、当局者らによると、カタールが仲介役を務め、ウクライナとロシアの代表団と別々に会談する間接的協議は、先週のウクライナによるロシア西部クルスク地域への奇襲により頓挫した。... 過去2か月間、キエフとモスクワとエネルギー攻撃一時停止の取り決めについてカタールが協議してきたと協議に詳しい外交官が述べた。両国がドーハでの首脳会談で合意し、細かい点の詰めを残すのみとなっていたと当局者は述べていた。
会談に詳しい別の人物は「クルスク事件後、ロシア側がためらった」と語った。
クルスク攻撃でウクライナ軍にもたらされた士気の高まりも既に薄れつつある。東部での攻撃に関与している部隊を、ロシアはクルスク防衛のために撤退させてはいない。その代わり、他の場所から予備部隊を撤退させている。かくしてクルスク侵攻で期待されていた効果の一つは実現していない。
東部戦線の軍隊を引き抜くことによってのみ、ウクライナの攻撃は可能になった。更に、既に問題となっている火砲の補給は益々不足している。
ロシアへの侵攻に勇気づけられたとドネツク地域で戦闘中の兵士は語った。だが極めて必要な武器や弾薬が消費されるだろうとも語った。東部戦線の激戦地に駐留するある指揮官は、自分の旅団は陣地を守るため四門以下の迫撃砲しか持っておらず、一門の迫撃砲につき1日10発しか砲弾を発射できないと語った。ウクライナは東部で日々形勢が不利になりつつある。一方、クルスク侵攻は既に最高潮に達しており、奪取した地盤を維持するためには死闘が予想される。
ロシア予備軍がこの地域に到達するのを阻止するためウクライナは貴重な部隊を投入した。しかし最前線に近いため、これら部隊は生き残るのが困難だ。
アノマンドリス・プラケ @Malazan_enjoyer - 2024年8月16日 22:09 UTC更にポーランド製S-125防空システムと4番目のHIMARSが破壊されたことも報告された。
そこで橋が破壊される直前か、その前にロシア軍はセイム川に舟橋を架けた。
一方、ウクライナは橋に穴を開け HIMARS 三基、パトリオット 三基、IRIS-T 一基を失った。これは実に良いやりとり交換だと思う。連中が更にこんなことをしてくれるよう願う。
私が以前述べたように、クルスク作戦の主目的は、ウクライナは、まだ戦争に勝てるので、更なる支援を受けるに値すると欧米のウクライナ支持者を説得することだったとニューヨーク・タイムズ分析は示唆している。
この作戦の本当の狙いは、ロシアの戦場ではないのかもしれない。ウクライナがロシアの奥深くまで攻撃を進めるのを、アメリカが許さないよう期待する。もしアメリカがこれを許せば、アメリカ施設にロシアはが強烈な反撃をしなければならない時が来るだろう。
昨年のウクライナが大々的に喧伝した反攻が失敗し、東部で損失が続いていることから、ウクライナは戦争の構図を変えようとしているように見える。
我々は諦めないと、ウクライナは欧米諸国を説得しようとしているのかもしれないし、特にロシア内で、アメリカ製長距離巡航ミサイルを使用するのを、アメリカは認めるべきだと説得しようとしているのかもしれない。
破壊可能な発電所を持っている国はウクライナだけではない。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/08/ukraine-sitrep-kursk-attack-derailed-partitial-ceasefire-deal.html#more
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Mark Sleboda
Kursk Offensive 'Humiliates' Russia, DEVASTATES Ukraine's Army w/ Mark Sleboda 23:55
耕助のブログ Paul Craig Roberts記事翻訳
No. 2244 アメリカは終焉に入った
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