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2024年7月 8日 (月)

NATO戦争機構の歯車ICC

2024年5月7日
クリストファー・ブラック
New Eastern Outlook

 

 6月25日、ウクライナ紛争においてロシア軍がウクライナのインフラ、すなわち発電所を攻撃し、民間人を故意に標的にしたという3つの容疑で、更に二人のロシア人、元国防大臣セルゲイ・ショイグとロシア連邦軍参謀総長ヴァレリー・ゲラシモフの逮捕状をいわゆるICC国際刑事裁判所検察官が発行した。

 

 検察側の陳述と批判

 

 逮捕状が発行された日に発表された声明で、逮捕状は下記の理由で発行されたとロンドン在住のイギリス人弁護士カーン検察官は述べた。

 

 「私の事務所が独自の調査に従って収集し分析した証拠に基づいて…」

 

 主権国家の高官が犯罪を行ったと主張する前に、徹底的かつ公正で完全な調査が行われるようにするという検察官としての責任と義務を、カーンは一度も理解していないか、忘れてしまったようだ。彼は、NATOやウクライナの法務官で、世界の正義のために行動するのではなく、彼らの利益のために行動していると思い込んでいるようだ。これは、彼が更に次のように述べたことからも明らかだ。

 

 「現地での我々の活動促進を含め、協力してくれたウクライナ検事総長事務所に特に感謝する。」

 

 そうなのだ。彼はキーウのナチス志向政権の「協力」を求めたが、ロシアには求めなかった。ロシアは彼と話をしようとせず、ICCの正当性も、ロシアや中国やイスラエルやアメリカや他の多くの国々同様、ローマ条約署名国ではないウクライナに対する管轄権も認めないからだ。

 

 ロシアが協力しなかったら、彼はどうするのかと読者は疑問に思うだろう。答えは簡単だ。完全に独立した偏見のない調査員を派遣し、キーウがICCに提出したロシアの犯罪容疑の主張が実証可能かどうか調べるのだ。しかし、彼はそうしなかった。彼はキーウ政権の声明と主張のみに頼り、公平であろうとしたり、偏見のない証拠を集めようとしたりさえしなかった。そのような証拠は一つもないのだ。

 

 偏見と恣意的訴追の疑惑

 

 というのは、もし彼が本当に調査をしていたら、2014年以来ウクライナのドンバス共和国で民間人や民間インフラを攻撃してきたのは実はキーウ政権だったことを知ったはずだからだ。学校や病院や行政ビルやエネルギー施設や他のインフラに対するこれら攻撃で、何千人もの民間人が殺害された。ドンバスの人々は、高性能爆弾やミサイルやドローンや地雷や、最近ではほとんどの国で禁止されているクラスター爆弾によって砲撃されている。これら全ての状況で標的は全く軍事的なものではなかった。

それらは純粋に民間標的で、選挙で選ばれたヤヌコビッチ大統領政府を打倒したNATOクーデターを拒否し、ナチス・クーデター政権の攻撃に抵抗する意志を砕くため、住民に最大限の恐怖を与えるため選ばれたのだ。

 

 2022年以来、キーウ政権は、ロシア政府への恐怖とパニックや支持喪失を引き起こすことだけを目的に、ベルゴロドからクリミアまでロシア民間人を意図的に標的にしてきたと捜査官から報告されているはずだ。彼らは、軍事的内容や性質が皆無の標的に、爆発力や破壊力の強いドローンやミサイルを使用している。

 

 また、キーウ政権はドンバスで自動車爆弾の使用を含む政治家暗殺を何度も実行し、政治的理由とロシア国民の士気をくじく狙いで、ロシア本土でロシア民間人を暗殺してきたとも伝えられたはずだ。キーウ政権に反対するジャーナリストや他の人々の暗殺は、モスクワでのクロッカス・シティ・ホールテロ攻撃での大量殺人へと発展し、このテロ攻撃がキーウとNATO指導者に組織されたことをロシア捜査機関は突き止めた。

 

 ザポリージャ原子力発電所を、キーウ政権は何度も砲撃し、ウクライナ国内および遙か遠くの地域で数百万人に影響を及ぼす核災害、つまり事実上の大量虐殺行為を起こそうとしていると彼には伝えられたはずだ。

 

 ロシアによるエネルギー・インフラ攻撃は、キーウによるドンバスとロシアのインフラ攻撃に続くものだが、ロシアの狙いは民間人に危害を加えることではなく、戦場での部隊維持や移動や補給や運用能力をキーウ軍から奪うことで、これは正当な軍事目的だと彼に伝えられたはずだ。

 

 2022年3月にキーウ政権とロシアの間で和平協定が締結され、地域に平和がもたらされたはずだったが、交渉担当者署名を破棄し、ロシアとの戦争の共同交戦国であるアメリカとNATO同盟諸国に代わってドンバス共和国とロシアとの戦争を継続するようイギリスとアメリカが、ゼレンスキー大統領に命じたと伝えられたはずだ。

 

 しかし、彼の捜査官たちは捜査をしなかった。これらの事件を毎日報道する主流メディアさえ彼らは読んでいなかった。そのため、カーンはロシアを起訴し、ウクライナとNATOの責任者を起訴しないことで、あからさまな、えり好み訴追をして、この方針を通して、犯罪に対する訴追からキーウ政権とNATOが完全に法的に免責されることを保証し、彼らが更に犯罪を行うよう奨励しているのだ。

 

 しかし、事態はさらに悪化している。声明の終わり近くで、カーンは下記のように述べて、歴史を書き換え、歴史に対する犯罪を行っている。

 

 「これら令状申請において、これら行為が2014年に始まったウクライナの主権と領土保全に対するロシア軍による侵略行為の文脈で実行されたことを私の事務所は改めて強調した。」

 

 歴史的背景とNATOの役割

 

 これはあからさまな酷い嘘だ。2014年にウクライナを攻撃したのはロシアではなくNATOだ。NATOはクーデターを組織し実行し、選挙で選ばれた大統領を打倒し、ウクライナ国民にナチス志向のNATO傀儡政権を押し付けたのだ。ウクライナ東部の人々は、その政権の権威を受け入れるのを拒否したのだ。

 

 押し付けられたNATO傀儡政権をドンバスの人々が認めなかったことへの報復として、正規軍の指揮下で活動するナチス大隊を含む自国軍に、東部で自衛を余儀なくされた民間人を攻撃するようキーウ政権が命じたのだ。攻撃は始まり、止むことはなかった。その間終始ロシアは紛争の平和的解決を試み、ミンスク協定に誘い込まれたが、それはドンバスとクリミア、つまりロシア自身に対してキーウ軍が大規模攻撃を仕掛ける準備をするためのNATOの策略だったことが後に判明した。

 

 自らを共和国と宣言し、ロシア介入とクリミア攻撃を要請した東ウクライナの人々に対するこの戦争を止めるために、その要請を満たし、戦争に永久に終止符を打つために最終的にロシアは介入を決定したのだ。

 

 ロシアによる「侵略」はなかった。ウクライナの侵略もなかった。ドンバス共和国は独立を宣言しており、キーウ政権は、その反ロシア政策や実践や、ドンバスに対する戦争により、ウクライナ政体の一部としての彼らを拒絶したので、ドンバスはもはやウクライナの一部とみなされない。自らの行動により、彼ら自身がウクライナの主権と領土保全を破壊したので、その責任を負わなければならない。

 

 しかし、カーン発言は彼の真の狙いを明らかにしており、それは国際正義ではない。それは彼の真意から程遠い。彼の唯一の狙い、ロンドンやワシントンやブリュッセルのご主人の狙いは、ロシアに対しプロパガンダを行い、世界におけるロシアの威信と評判を低下させることだ。

 

 しかし、この点で彼は失敗した。世界は盲目ではない。彼が思いたいほど世界は愚かではない。そして彼の行動は、ICCが国際平和と正義の機関ではなく、更なる戦争を正当化するプロパガンダ機関に過ぎないこと、実際は独立した世界司法機関ではなく、単なるNATOの法廷、NATO戦争機構の単なる歯車に過ぎないことを再び証明したのだ。

 

 クリストファー・ブラックはトロントを本拠とする国際刑事専門弁護士。彼は多くの注目を集める戦争犯罪訴訟で知られており、最近小説「Beneath the Clouds」を出版した。彼は、国際法、政治や世界の出来事について評論を書いている。オンライン誌「New Eastern Outlook」独占記事。

 

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/07/05/the-icc-a-cog-in-the-nato-war-machine/

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