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2024年6月 9日 (日)

核戦争を避けるためには、プーチン大統領はもう少し狂気になる必要がある

マイク・ホイットニー
2024年5月31日
The Unz Review

 水曜日にプーチン大統領がウズベキスタンで行った記者会見は、彼の24年の政治経歴の中で最も異例かつ並外れた出来事だったかもしれない。ウクライナのゼレンスキー大統領が4年の任期を超えて大統領職にとどまると決めたことに関する憲法上の問題に触れた後、ロシア国内の標的に長距離兵器を発射するというNATOの計画について簡潔ながら不穏な声明をプーチン大統領は発表した。これら攻撃に応じて、兵器システムを提供した国々にロシアは責任を負わせことになるとプーチン大統領は明言した。また兵器システムの仕組みや運用には原産国の請負業者が直接関与する必要があることを非常に詳細に説明した。プーチン大統領発言で注目すべき点は、核兵器を保有する敵対国同士の直接対決に世界が近づくということではなく、ロシアは座視して連中のサンドバッグになるつもりがないことを欧米諸国の政治指導者に想起させなければならなかったことだ。プーチン大統領の発言の一部を紹介しよう。

 攻撃に関しては、率直に言って、NATO事務総長が何を言っているのか私にはよく分からない。彼がノルウェー首相だった時(私たちは良好な関係だった)彼は認知症ではなかったと確信している。もし彼がロシア領土を長距離精密兵器で攻撃する可能性について話しているなら、彼は私と同じ民間人だが、宇宙からの偵察なしに長距離精密兵器は使用できない事実を軍事政治組織トップとして認識すべきだ。これが私の第一の要点だ。

 二つ目の要点は、最終的な標的選択といわゆる発射任務は、この偵察情報、技術的偵察情報に頼る高度な能力を持つ専門家だけが実行できることだ。ストーム・シャドウなどの一部攻撃システムでは、これらの発射任務はウクライナ軍を使わずに自動的に実行できる。誰が行うのか。製造者と、これら攻撃システムをウクライナに供給しているとされる者が行う。これはウクライナ軍の関与なしに実行できるし、実際実行されている。たとえば、ATACMSなどの他のシステムの発射も宇宙偵察情報に依存しており、標的が特定され、担当者に自動的に伝えられるが、担当者は自分が何を発射しているのかさえ理解していない可能性がある。担当者、場合によってはウクライナ人担当者が対応する発射任務を実行する。ただし、任務を統括するのはNATO諸国代表で、ウクライナ軍ではない。プーチン大統領、ウズベキスタンでの記者会見、クレムリン

 まとめると次のようになる。

  1. 長距離精密兵器(ミサイル)はNATO諸国から提供される。
  2. 長距離精密兵器は、原産国の専門家または請負業者に運用される。
  3. 長距離精密兵器はアメリカまたはNATOが提供する宇宙偵察情報とリンクする必要がある。
  4. ロシアの標的は、アメリカやNATOが提供する宇宙偵察情報によっても提供される。

プーチンが主張しようとしているのは、長距離ミサイルはNATOに製造され、NATOに供給され、NATO請負業者に運用および発射され、標的はNATOから提供された宇宙偵察情報を使用してNATO専門家に選択されることだ。あらゆる点で、ロシアの標的に対する長距離精密兵器の将来の発射は、NATOとアメリカの作戦だ。したがって誰が責任を負うかについて混乱すべきではない。NATOが責任を負っているということは、NATOが事実上ロシアに対し宣戦布告していることを意味する。プーチンの長文発言は、この重要な点を強調しているにすぎない。プーチン発言は他にもある。

 したがって、NATO諸国、特にヨーロッパに拠点を置く、とりわけヨーロッパ小国の関係者は何が問題か十分認識すべきだ。ロシア領土奥深くへの攻撃について話す前に、彼らは自分たちの国が小さく人口密度の高い国であることを考慮すべき要素として念頭に置くべきだ。これは深刻な問題で、我々は、これを非常に注意深く、しっかり見守っている。ウズベキスタンでのプーチン大統領記者会見、クレムリン

 当然欧米メディアは上記段落に全注目しているが、それには十分理由がある。「ロシアを攻撃すれば我々は報復する」という明白なことをプーチン大統領が述べているからだ。それが根底にあるメッセージだ。以下は金曜日の(ヒステリックな)見出しの一部だ。

  • ウラジミール・プーチン大統領、ウクライナが欧米諸国の兵器を使ってロシアを攻撃すれば「全面戦争」になると警告 ― ウォロディミル・ゼレンスキー大統領、同盟諸国に許可を求める、MSN.com
  • なぜプーチンは再び核戦争で恫喝するのか?、ザ・インタープリター
  • プーチン大統領、欧米諸国に警告「ロシアは核戦争の準備ができている」ロイター通信
  • 暴君の恫喝:ウラジミール・プーチン大統領、ウクライナが欧米諸国の兵器を使ってロシアを攻撃すれば全面戦争になると脅す、ザ・サン
  • (そして何よりも)
    プーチンの虚勢を暴く時が来た、CNN

 これら全て、プーチンが虚勢を張っているかどうか試すためのものなのだろうか?

 もしそうだとしたら、それは非常にリスクの高い戦略だ。しかし彼らの言うことには一理ある。結局、ロシアへのいかなる攻撃も即座に猛烈な報復攻撃を引き起こすとプーチンは警告しているのだ。そして彼は「人口密度の高い小規模なNATO諸国」の指導者たちに、将来のロシアによる核攻撃の可能性にどんな影響を与えるか考えるよう助言しているのだ。プーチンが虚勢を張っているかどうか知るために、彼らは本当に自分たちの文明全体を危険にさらすのだろうか? プーチンはこう言っている。

 欧米の同僚が何を報道しているかご覧願いたい。誰もベルゴロド(ロシア)や他の隣接地域を砲撃することについて語っていない。彼らが語っているのは、ロシアが新たな戦線を開いてハリコフを攻撃することだけだ。一言も言っていない。なぜだろう? 彼らはそれを自らの手で行ったのだ。彼らにその創意工夫の成果を刈り取らせよう。あなたが尋ねた長距離精密兵器が使われた場合にも同じことが起きる可能性がある。

 もっと広い意味で、この終わりのないエスカレーションは深刻な結果を招く可能性がある。ヨーロッパがそのような深刻な結果に直面した場合、戦略兵器の均衡を考慮してアメリカはどうするだろう? それは分からない。ウズベキスタンでのプーチン大統領記者会見、クレムリン

 欧米諸国の行動に、プーチンは本当に困惑しているようだ。アメリカとNATOの指導者たちは、ロシアを長距離ミサイルで攻撃してもロシアが反応しないと本当に思っているのだろうか? 彼らの馬鹿げたプロパガンダが、核兵器を保有する2つの超大国間衝突の結果に影響を与えると本当に思っているのだろうか? 彼らは一体何を考えているのか、あるいは、そもそも考えているのだろうか? 我々には分からない。我々は「未知の愚かさ」に陥ってしまったようだ。絶望と無知が融合して、全く狂気の外交政策を生み出しているのだ。これはタス通信記事からの引用だ。

 ロシア領土への武器攻撃を承認したNATO諸国は、ウクライナだけでなくロシア領土を攻撃したあらゆる地点で自国装備と専門家が破壊されると認識すべきだとロシア安全保障会議副議長ドミトリー・メドベージェフは彼のテレグラム・チャンネルで述べ、NATO専門家の関与は開戦理由と見なされる可能性があると指摘した。

 「もしそこからロシア領土に対して攻撃が行われれば、旧ウクライナ領土と他国領両方で、我々と戦う彼らの軍事装備と専門家は全て破壊される」とメドベージェフは警告した。

 モスクワはウクライナに供給された全ての長距離兵器が既に「NATO諸国の軍人に直接運用されている」事実に基づいて行動したと彼は更に付け加えた。これはロシアに対する戦争への参加に等しく、戦闘作戦を開始する理由となる。ロシアが攻撃を受けた可能性がある国々の全てのNATO兵器が攻撃される - メドベージェフ、タス通信

 そこには白黒はっきりした事実がある。プーチン大統領が外交的手法を選んだのに対し、メドベージェフ大統領は強烈な打撃を選んだ。「ロシアを攻撃したら爆撃して石器時代に逆戻りさせる」。そこには逃げ道はほとんどない。しかし行動の潜在的結果を理解していない人々に必要なのは、おそらく明確さだろう。いずれにせよ、ワシントンやブリュッセルの誰も、警告を受けていなかったとは言えない。

 戦争の過程で東ヨーロッパの都市が焼け野原になる可能性があるにもかかわらず、ワシントンが実際に戦争を拡大したがっている可能性を排除することはできない。より広範な紛争が連中の地政学的野望を達成する唯一の方法だとワシントンのタカ派は考えているのかもしれない。ワシントンに核兵器の使用を支持するかなりの支持層があるのを知っているのと同様に、これが現実の可能性であることをプーチンは知っている。彼がそれほど慎重に行動している理由は、アメリカ権力層の中に、戦術的優位性のため「使用可能な」核兵器に関する彼らの持論を実行できるように、古いライバルであるロシアとの衝突を心待ちにしている狂人がいると知っているからかもしれない。プーチンはこう語っている。

 アメリカは「予防攻撃」という理論を持っている。現在、彼らは「武装解除攻撃」のシステムを開発している。それは何を意味するのでだろうか? それは、敵の反撃能力を破壊するため、現代のハイテク兵器で指揮統制中枢を攻撃することを意味する。

 プーチン大統領はアメリカ核政策研究にかなりの時間を費やしており、そのことに深い懸念を抱いている。結局のところ、先週「ロシアの核の傘の重要な要素」に対して未曾有の攻撃をバイデン政権は開始したばかりではないだろうか

 まさに。連中件攻撃した。

 そして、アメリカは(核態勢見直しを通じて)核兵器の攻撃的使用を正当な防衛行為として再定義したのではないだろうか?

 そうだ。

 そして、この改正は、アメリカの強硬派に、法的訴追を恐れずに核攻撃を仕掛けるために必要な制度的枠組みを与えるのではないだろうか?

 そうだ。

 そして、これらのタカ派は、ワシントンの地政学的ライバルに対する先制核攻撃の基盤を築くため、「先制攻撃」「先制攻撃」「武装解除攻撃」に関するそれぞれの理論を展開してきたのではないだろうか?

 そうだ。

 そしてアメリカの核ドクトリンでは核兵器は「アメリカまたは同盟諸国やパートナーの重大な利益を守るため極限状況で」使用できると規定されているのではないだろうか。

 そうだ。

 そして、その定義には中国のような経済的ライバルも含まれるのだろうか?

 そうだ。

 そして、それは「先制攻撃」核兵器攻撃に対する防御なのだろうか?

 そうだ。

 そして、それはアメリカがもはや核兵器を純粋に防衛的なものとしてではなく「ルールに基づく秩序」を維持するための不可欠な手段とみなしていることを意味するのだろうか?

 ああ、そうだ。

 そして、核兵器のタブーが解除され、核兵器がより多くの状況でより頻繁に使用されるようになることを望んでいる政治体制やディープステート(闇の政府)の有力者がいるのをプーチンは知っているのだろうか?

 彼は知っている。

 そして、ワシントンがロシアと中国をアメリカの世界覇権と「ルールに基づく秩序」に対する最大の脅威とみなしているのを彼は知っているのだろうか?

 知っている。

 そして、アメリカが先制攻撃策を実施すれば、ロシアには報復する時間がないかもしれないことを彼は理解しているのだろうか?

 彼は理解している。

 そして、欧米が望んでいるモスクワの戦略的敗北をもたらす先制攻撃に直面した際、彼は引き金を引いたり、迅速に対応したりしないかもしれない抑制された合理的人物だと外交政策専門家連中が見なしているのにプーチン大統領は気づいているのだろうか?

 いや、そうではない。彼は依然、大量核兵器を保有することでアメリカの侵略を抑止できると考えている。しかし、相手は核兵器を使用しないとアメリカが確信している場合、大量核兵器も抑止力にはならない。

 時には、理性的なことが敵を撃退する最善の方法でないこともある。時には少し狂気になる必要もあるのだ。

 それはプーチンが早急に学ぶべき教訓だ。

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/to-avoid-nuclear-war-putin-needs-to-be-a-little-crazier/

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 Judging Freedom この番組、ロシアのみならず西欧諸国でも好評とのこと。

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