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2024年6月 3日 (月)

ラファとガザ地区全体の暗い未来

2024年5月31日
ヴィクトル・ミーヒン
New Eastern Outlook

 ガザ地区最南端のこの都市に不本意ながら閉じ込められた推定150万人のパレスチナ民間人の運命に対する世界中の懸念にもかかわらず、イスラエルは大胆にもラファ東部への大規模侵攻を遂行した。

 包囲されたパレスチナ領土とエジプトを結ぶラファ国境検問所にガザ側から戦車が進入し、この重要な国境検問所の「作戦統制」を掌握したとイスラエル軍は発表した。パレスチナ抵抗運動ハマスがこの検問所を利用してイスラエル軍を攻撃したとイスラエルは主張している。具体的には、ハマス戦闘員が検問所近くで迫撃砲を発射し、イスラエル軍がケレム・シャロームと呼ぶカレム・アブ・サレム検問所で兵士4人を殺害したとイスラエル軍報道官は述べた。だが、イスラエル軍は口頭での主張以上の確固たる証拠を提示できていない。

 ラファ東部地区に住む約10万人のパレスチナ人に対し、カーン・ユニスとアル・マワシの「拡大人道地域」への避難をイスラエルは命じた。現在ラファにいる人々のほとんどは、ガザ地区の他の場所でのイスラエル攻撃から逃れるためここに避難してきた。パレスチナ人は、避難所、食料、医薬品のない非人道的な状況で暮らしている。検問所閉鎖は、間違いなく人道的状況を悪化させ、様々な病気を蔓延させるだろう。

 検問所の無慈悲な封鎖により人道支援物資の輸送が停止していると国連の人道支援機関3社はロイター通信に語った。例えばガザ地区での戦争勃発以来、食料や医薬品など必須物資のガザ地区への流入をイスラエルは、ほぼ制限している。イスラエル政権がガザ地区の人口を大幅に減らすため、意図的にガザ地区の230万人を飢えさせていると国連の専門家は繰り返し述べている。今回、ガザ地区の人道的状況の厳しい現状を国連世界食糧計画の責任者が説明した。ガザ地区北部で「本格的飢餓」が始まったとNBCニュースにシンディ・マケインが語った。更にガザ地区の飢餓は現在急速に南方へ広がり、範囲を拡大していると彼は付け加えた。

 国連のアクセスを拒否

 国連人道問題調整事務所(OCHA)報道官は、この国際機関は閉鎖されたラファ検問所にアクセスできないと述べた「COGATによりアクセスを拒否されたため、現在ラファ検問所には物理的に駐留していない」とジュネーブの記者会見でイェンス・ラールケが述べた。パレスチナ自治区への物資供給を一方的に管理しているイスラエル機関に彼は言及している。「現時点で、国内への人員や物資搬入はできないと言われている。これは我々の物資に重大な影響を与える」と彼は説明した。

 世界保健機関も検問所閉鎖に反応した。この国連機関は、イスラエルはラファ経由の病人や負傷者の移送を許可していないと指摘した。別の国連機関も、イスラエル軍事作戦によりガザ地区への全ての援助物資輸送が中断されると警告した。「ラファ検問所への援助物資と燃料の輸送が引き続き中断されると、ガザ地区での重要な人道支援が停止する」と国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)はウェブサイトXでの声明で述べた。「これらの補給ルートが遮断されれば、特にガザ北部の人々が直面している壊滅的飢餓は更に悪化する」とUNRWA報道官は述べた。

 EUは犠牲者の増加を警告し、イスラエルの残虐行為を非難

 このような状況下では、欧州連合でさえ、イスラエルがラファを攻撃したことを非難せざるを得なかった。「国際社会、アメリカ、欧州連合加盟国、そしてネタニヤフ首相にラファを攻撃しないよう求める全ての人々の要請にもかかわらず、ラファへの地上攻撃が再開された」とEU外務政策責任者は述べた。イスラエルの攻撃は大きな犠牲者をもたらす可能性があるとジョセップ・ボレルは警告した。「これら警告や要請にもかかわらず、攻撃は始まった。彼らが何を言おうと、再び民間人犠牲者が増えるのを私は恐れている。ガザには60万人の子どもがいる。彼らはいわゆる「安全地帯」に追いやられるだろうが、ガザに安全地帯はない」と彼は述べた。ノルウェー難民評議会のガザでの活動責任者もイスラエルの行動に対する高まる批判に加わった。「安全に行く場所がないだけでなく、多くの人々がそこ(安全地帯)に行く方法もない」とスーゼ・ファン・メーゲンはCNNに語った。

 世界中の多くの当局者がイスラエルの攻撃を非難し、トルコはこれを戦争犯罪と呼んだ。「ハマスがカタールとエジプトの停戦提案を承認した翌日にラファへの地上攻撃を開始したことで、イスラエルは10月7日以来パレスチナ自治区で犯してきた戦争犯罪に新たな罪を加えた」とトルコのジェヴデト・ユルマズ副大統領がウェブサイトXで述べた。エジプトはラファでのイスラエルの作戦を非難し、検問所占拠は「我々の援助に頼っているパレスチナ人や多くの国際組織の命を脅かす」と警告した。

 イスラエルがラファ攻撃を開始したのは、ハマスがエジプトとカタールの仲介による停戦提案を受け入れた翌日だったのは注目すべきことだ。抵抗運動は、イスラエルの攻撃は停戦と捕虜解放に向けた調停努力を妨害する意図を裏付けるものだと述べた。ハマスの報道官は、ガザのパレスチナ人はイスラエルによって「絶滅戦争と組織的飢餓にさらされている」と付け加えた。これは「ナチス占領」の政策と一致する。

 明らかな失敗

 イスラエルの侵攻は、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が何ヶ月も前から脅迫しているラファへの全面攻撃には及ばないようだ。同首相は、ハマスに対する「完全勝利」と全ての抵抗集団を「壊滅」させる計画の下、ラファへの地上侵攻を開始すると繰り返し誓っている。イスラエルがガザ地区の全てのパレスチナ人に宣戦布告してから7ヶ月経つが、これまでのところイスラエルは弱いハマスを戦場で倒すことに失敗している。イスラエル軍はハマスを壊滅させられないとネタニヤフ首相は認識しているものの、政権の軍事的失敗を隠蔽し、自身に対する法的措置を回避するため戦争を長引かせたいと考えていると多くの観測筋は指摘している。

 飢えたパレスチナ人に人道支援を届ける生命線であるラファ検問所をイスラエルは厳重に封鎖した。国際人道法は、戦争手段としての民間人の飢餓を禁じている。国際刑事裁判所ローマ規程は「人道支援の届けを故意に妨害するなど、生存に必要な物品を奪う」ことにより民間人を故意に飢えさせることは戦争犯罪だと規定している。ここ数カ月、国連機関や人権団体は、イスラエルのガザでの行動は戦争犯罪および人道に対する罪に該当すると主張している。10月7日以来、イスラエルはガザで約3万5000人のパレスチナ人を殺害している。ネタニヤフ首相が言う通りにイスラエルが近い将来ラファへの地上攻撃を拡大すれば、同市で更に多くの民間人が殺害されることになるだろう。

 最終的に、エジプトのシナイ国境北部にあるラファに約130万人が取り残された。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相やベン・グビル治安相、ベザレル・スモトリッチ財務相などの過激派閣僚連中は、イスラエル国民に嘘をつき、戦争開始以来、アメリカからだけでも数十億ドル相当の武器と弾薬の提供を受けており、中東で最も先進的な軍隊であるはずのイスラエル軍と、小規模で資金もさほど多くないハマス民兵との間のこの犯罪的軍事作戦が成功すれば、全ての問題、とりわけパレスチナ問題が解決できるという幻想を抱かせようとした。ガザの他地域で行ったように、占領軍がラファの建物を破壊することが、ハマスに降伏を迫り、10月7日のイスラエル軍基地と近隣入植地への大胆な攻撃以来、拘束している残りのイスラエル人捕虜を強制的に解放する唯一の方法だとネタニヤフ首相は主張している。ラファにはハマスの4個大隊が最高指導者たちとともに残っており、戦争「勝利」を宣言するためには彼らを壊滅させなければならないという主張は、過去7か月の経験を考えれば、世界にはばかげたことに聞こえる。ガザの北部、中央、南部を問わず、ハーン・ユニスなど、イスラエル軍が完全制圧したと宣言した全ての地域は、その後再び戦場となり、原始的武器にもかかわらずハマス戦闘員がイスラエル軍に多大な損害を与えている。イランの新聞テヘラン・タイムズが正しく書いた通り、イスラエルはハマスを倒すことはできるが、パレスチナ人が正当な権利、自らのアラブ国家を樹立する権利を求めて闘う精神を弱めることはできない。

 ビクトル・ミーヒンは、ロシア自然科学アカデミー客員。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/05/31/the-bleak-future-of-rafah-and-the-entire-gaza-strip/

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 The New Atlas

US "Green Lights" Strikes on Russia, Reality Behind Kerch Port Attack, Czech Ammo Bid Falls Short 42:12

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名 藤永茂氏の『アメリカ・インディアン悲史』にも触れて頂きたかった。

随想㉓「アメリカ・インディアン(ネイティブ・アメリカン)」の視点で米国を見る

 日刊IWJガイド

「『歴史的円安』が凄まじい勢いで進行中! 本日午後5時より、岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏へのインタビューを生配信します!」

はじめに~<本日の岩上安身によるインタビュー>「歴史的円安」が凄まじい勢いで進行中! 悪性インフレ、株高、都市部では地価高騰を引き起こす一方、地方では逆に空洞化! 二極化が進み、富裕層が高笑いする一方で庶民はどう「生活防衛」すればいいのか!?~本日午後5時より、岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏への連続インタビュー第5回を生配信します! どうぞ御覧ください。

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【本日のニュースの一撃!】

【第1弾! バイデン米大統領が米国製兵器でのロシア領内攻撃を、ウクライナに「ひそかに」許可! NATO諸国がこれに追随!】マクロン大統領との共同会見で「攻撃を認めるべき」と先に表明していたドイツのショルツ政権も、米国の決定に追随してドイツ製兵器でのロシア領内攻撃を正式に許可! ノルウェーとフィンランドも、NATOが提供する兵器によるロシア領内攻撃を容認!! ロシアのプーチン大統領は、「世界的な紛争を引き起こす可能性がある」と警告!(『ポリティコ』、2024年5月30日)

「ロシアが戦術核の使用をちらつかせて脅している」と言われてきたが、西側は、アナウンスなしに、核戦争のための具体的な準備段階のオペレーションに踏み込んだ! ウクライナ軍がロシアの核早期警戒レーダーを攻撃! ロシアのロゴジン上院議員は「ロシアの核の傘の主要部分に対するウクライナの攻撃について、米国が直接の責任を負っているとみなされるべき」であり、「世界の核安全保障体制全体の崩壊につながる可能性がある」と警告!

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