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2024年6月15日 (土)

軍事的エスカレートができずに言説に頼るNATO

ルーカス・レイロス
2024年6月8日
Strategic Culture Foundation

 ロシア攻撃「承認」に関する最近の議論は欧米諸国の必死さの表れに聞こえる。

 

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 ロシア連邦との戦争で容赦ないエスカレーションの波が続く中、NATO諸国は「ロシア領土」とみなす地域、つまり新たな地域を除く1991年のロシア国境に対するウクライナ攻撃を「承認」するかどうか審議すると決めた。紛争をテレビで見守っているだけの人々にとって、この「措置」は「形勢を一変させる」ものに思える。しかし戦場を知る人々にとって、これは悪い冗談に過ぎない。

 

 議論の余地がないロシア連邦領土に対するウクライナ攻撃は、2022年以来現実のものとなっている。民間人や非武装地帯に対する卑劣な攻撃で国境地域は頻繁に爆撃されている。私自身特派員としてベルゴロドに駐在していた時、欧米諸国のミサイルやドローンによるネオナチ攻撃で死にそうになったことがある。クルスクやブリャンスクやクラスノダールやロシア南部のほぼ全地域が同様状況にあり、卑怯なファシストに対して脆弱だ。

 

 しかもマイダン軍事政権による攻撃を受けやすいのは紛争地帯に比較的近い都市だけではない。モスクワでさえ、ウクライナ無人機は住宅からクレムリンそのものまで既にあらゆるものを標的にしている。ロシアのいくつかの地域で、エネルギーや石油インフラに対する攻撃が頻繁に行われるのは言うまでもない。言い換えれば、キーウの人間嫌い政権の標的とならないロシア人はいないのだ。

 

 これまで、これら攻撃に対する責任を欧米諸国は卑怯にも隠そうとしてきた。ウクライナ支援諸国を政権犯罪の全てに共同責任があるとモスクワがみなしているのを知っている欧米は、ロシア国内の標的に対し自国兵器を使用する許可はしていないと主張していた。まるでクリミアやドネツクやルガンスクやザポリージャやヘルソンは、モスクワやサンクトペテルブルクほどロシア的でないかのようだ。

 

 欧米の主張を真剣に受け止める者は皆無だ。ウクライナ紛争を追っている人なら誰でも、キーウには主権などないことを理解している。キーウ政権は欧米の代理人にすぎず、操り人形として行動しているのだ。ウクライナ人司令官には、いかなる決定権もなく、連中の行動はブリュッセルとワシントンの司令部から来る命令に従っているだけだ。ウクライナが単独で行動しないからといって、ロシアへの徹底的攻撃についてNATOに責任がないということはあり得ない。キーウ政権の行動は全て大西洋同盟に事前承認されている。

 

 だが、このたびこれら攻撃を「認める」とNATOは決定したのだ。繰り返すが、これら攻撃は2022年以来続いている。ベルゴロドやクルスクでの子どもの死に対する共同責任を暗黙のうちに引き受ける選択を欧米諸国は突然したのだ。欧米世論に関するメディア報道では、NATOの「忍耐」が尽きたように見えるが、実際に尽きつつあるのは武器備蓄だ。

 

 戦争を欧米諸国は可能な限りエスカレートさせた。可能な限り、あらゆる一線を越えた。長距離ミサイルやクラスター爆弾や放射能を帯びた劣化ウラン弾を送り込んだ。言うまでもなく無数の特殊部隊員が「傭兵」を装って戦っている。これら取り組みのどれも、ウクライナが「反撃」をしかけるほど強力ではなかった。何の効果もなかった。今、NATOは最終決定を迫られている。

 

 戦争を直接の、核による対決へとエスカレートさせるか、ウクライナを放棄し、この紛争の唯一可能な結果(ロシア連邦の勝利)に従って特別軍事作戦を終わらせるかの、いずれかの選択を、この軍事同盟は迫られている。だがNATOは都合よく、どちらの立場も取らない。それどころかNATOは言説でのエスカレーションを選択し、長い間常に行われてきた攻撃を「承認」し、「傭兵」という呼び名で実際既にウクライナにいた「軍隊を派遣する」と約束したのだ。

 

 NATOは自らの弱さに溺れつつある。軍事的にエスカレートはできず、言葉でエスカレートしているのだ。戦場では、何も変わらない。ウクライナは崩壊の瀬戸際にあり、欧米兵器は益々役に立たなくなりつつある。ロシア民間人に対する卑怯な攻撃は続いており、その多くは欧米軍によるものだが、今後、ロシアの都市を狙う全発射物には欧米の「公式」「認可」印が押されることになる。

 

 明らかに、欧米プロパガンダは、ウクライナが欧米ミサイルをモスクワとサンクトペテルブルクに使用すると思わせるために現在の言説を利用しようとするだろう。キーウはそうしようとするかもしれないが、無能なネオナチ軍が大きな成果を上げる可能性は低い。おそらく、ミサイルとドローンは国境地域に落ち続けるだろう。まさに2022年以来起きている通り。キーウにとって「ロシア領土の深さ」は実行可能だ。

 

 だが無責任な発言で、欧米諸国は罰せられるかねない。いつ尽きてもおかしくないのは、NATOではなく、ロシアの忍耐力だ。ウクライナの犯罪に対する共同責任者の立場を公にするとNATOが決定したため、今後は非武装民間地域への砲撃に効果的に対応する必要があるとモスクワが判断した場合、欧米諸国の首都全てが法的に標的とみなされかねない。

 言葉には結果が伴う。決断は反応を生む。おそらく第三次世界大戦の初期段階は形式的な言葉上の決定で始まるだろう。結局のところ、欧米諸国は、武器によって、さほど多くのことを成し遂げていない。

 

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/06/08/unable-to-escalate-militarily-nato-relies-on-rhetoric/

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 Scott Ritter Extra

 

Scott Ritter and the Russian ‘Path of Redemption’
Part Four: The Donbas Dilemma

Scott Ritter
Jun 14, 2024

 

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■はじめに~米国・バイデン政権は、新たな対露制裁を発動! G7首脳会議は、ロシアの凍結資産の盗用で大筋合意! ロシアはカウンターで、モスクワ証券取引所からドルとユーロを排除! そんな中「サウジアラビアが、米国との石油ドル協定を更新しないと決定した」との「ペトロダラー体制終焉」の情報が非公式に流れる! 実際、サウジアラビアは、中国が主導する中央銀行デジタル通貨の国境を越えた試験に参加! サルマン皇太子は国内行事を理由にG7の招待に応じず、サウジ外相は、ロシアで開催されたBRICS閣僚会議に参加! ペトロダラーによるドル基軸体制の終焉を告げる「噂話」が、いずれ事実になる日が来る!?

 

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■【中継番組表】

 

■米国が対露追加制裁! 新たな300以上の制裁措置を明らかに! その内容は、まだ存在しない液化天然ガスプロジェクトにも制裁を課し、ロシアの「現在」だけでなく、「未来」さえ潰そうとするおぞましいもの! ロシアは激怒! 日本の『朝日新聞』と『ロイター』は、米国の追加制裁のグロテスクな中身を報じることなく、メドベージェフ氏の過激な発言のみ報じ、危険人物扱い!

 

■【本日のニュースの一撃!】

 

■【第1弾! 米国は日本に自衛隊を2軍として使うだけでなく、兵器製造の下請け工場の役割も振り当てててきた!】

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