« お忘れなく。このファシズムはトランプ政権下で一層ファシズムらしく感じられるはずだ | トップページ | ウクライナ情況報告:終焉を迎えた軍隊と国家 »

2024年5月18日 (土)

中国は決して忘れない:「報復は修羅場になりかねない!」

2024年5月13日
セス・フェリス
New Eastern Outlook

 

 中国大使館爆撃事件25周年、習主席のベオグラード訪問は、アメリカ国務長官中国到着時に受けた冷遇と併せて考えると、アメリカに明確なメッセージを送ったに違いない。ワシントンのエリート連中は、それがもう一つの問題だと理解できるほど賢いだろうか?

 

 アメリカのアンソニー・ブリンケン国務長官が中国に到着して飛行機を降りる際、伝統的な手厚い歓迎なしで出迎えられた。ブリンケンを出迎えた当局トップは、上海党委員会委員長で政治局員の陳吉寧だった。ブリンケンはアメリカ国務長官なので、儀礼上、少なくとも中国の王毅外相の面会が当然で、彼がいなかったのは注目に値する。

 

 また、ロシアとの緊密な関係を理由に、アメリカ、特にブリンケンが対中国制裁で恫喝しているのも注目に値するが、これは国連安全保障理事会に許められていない、あらゆる制裁を違法とみなす中国には決して好まれるまい。

 

 ウクライナにおけるロシアの特別軍事作戦開始以来、中国がロシアに武器供給しているのではないかという懸念を証拠なしにアメリカは高めている。現在彼らは「軍民両用」という包括的な用語で、あらゆる中国輸出品を狙っているようだが、これまでのアメリカの制裁実績を考慮すると、これはほぼ何でも意味することが可能だ。

 

 このような懲罰的制裁の実績は、特にイラクを見ると悲惨だ。医薬品や食料品以外の「二重用途」品目に対する制裁だけで最大50万人の子どもがイラクで亡くなったと考えられている。もちろん、これら数字は「水増し」されていると実際の証拠もなしにアメリカは主張している。

 

 このような制裁の本質を示す更なる証拠は、ローデシア、後のジンバブエや、イランや、現在のロシアに対する制裁適用で明らかだ。これらは経済的ながら、現在主要敵国に攻撃を加え始めている戦争兵器だ。

 

 言うまでもなく、ロシアとの貿易は急増し、2023年には目標の2000億ドルを400億ドルも上回り、中国経済の急成長を助けていることから、中国がすぐに方針を変えるとは思えない。予想を遙かに上回る成長率で、2024年の第1四半期だけで5.4%成長した

 

 EUが愚かにも拒否し禁止したロシアのエネルギー輸出を中国は喜んで手に入れ、増大し続ける自国の産業力を高めるのに役立てている。その見返りに、中国はアメリカとEUの制裁によって生じたロシアへの輸入不足を補い、ロシア経済を維持するために工作機械やコンピュータ・チップや他の工業製品を提供している。

 

 アメリカによる制裁の脅しに対して、中国外務省の汪文斌報道官が中国の立場を改めて述べた。全文引用する価値がある。

 

 「アメリカは、ウクライナに巨額の援助を提供する法案を可決する一方、中国とロシア間の通常貿易や経済交流について根拠のない非難を続けている。これは単なる偽善で、非常に無責任だ。中国はこれを断固拒否する。

 ウクライナに関する中国の立場は公正かつ客観的だ。我々は和平と政治的解決に向けた協議を促進するため積極的に取り組んできた。法令に従って二重用途品の輸出を政府は監督している。中国はウクライナ危機を引き起こした張本人でも当事者でもない。我々は決して炎上を煽ったり利己的利益を追求したりせず、いけにえになることを決して受け入れない。

 平等と相互利益に基づいてロシアや世界の国々と正常な貿易と経済交流を行う中国の権利は妨害されたり妨害されたりしてはならないことを改めて強調したい。中国の合法的かつ合法的な権利と利益は侵害されるべきではない。

 炎上を煽ったり、他人を中傷して責任を転嫁したりするのは、ウクライナ問題を解決する方法ではないのをアメリカは知る必要がある。全ての当事者の正当な安全保障上の懸念に対応し、対話と交渉を通じてバランスの取れた効果的かつ持続可能な欧州の安全保障構造を構築することによってのみ、前進する正しい道となる。

 

 地球上最も古く偉大な文明の一つに期待される通り、中国の立場はバランスが取れており、思慮深いものだ。祖先がまだ泥壁の小屋で暮らしていた時代に、中国は外交をしていたことをアメリカ政府全般、特にアンソニー・ブリンケンは忘れてはならない。

 

 戦争を長引かせるために、アメリカとEUが数十億ドルの兵器を投入し、他国にはロシアとの民間貿易停止を要求していることにも中国は嫌悪感を抱いている。この問題に関する欧米の偽善に対する彼らの明らかな嫌悪感を責めることはできない。

 

 さて、アメリカによる在ベオグラード中国大使館爆撃事件25周年問題に移ろう。1999年5月7日の中国大使館爆撃事件は重大な出来事だったが、当時多くの人はそれを、そういうものとは考えていなかった。この空爆により3人の中国人ジャーナリストが死亡し(当時としては衝撃的だったが、アメリカと「最大の同盟国」イスラエルによって行われる現代戦争では当然のことになった)多くの中国人が負傷した。

 

 当時、NATOによるユーゴスラビア爆撃への反対を国連で中国は表明し、攻撃を許可するアメリカ主導の措置に、ロシアとともに拒否権を発動していた。後にアメリカはこの爆撃は「不慮」だったと主張したが、当時、中華人民共和国より遙かに強力なアメリカが微妙なメッセージを送った可能性が高い。

 

 爆撃事件後、政府が10年ぶりに抗議活動を承認した大規模抗議行動が北京のアメリカ大使館前で起きた。またアメリカとの平和共存政策は報われないだけでなく、アメリカに積極的に濫用されていると中国は認識し、この爆撃が軍の大規模強化に注力するきっかけとなった証拠もある。

 

 「富国強兵」政策と呼ばれることが多いこの政策は過去20年間で実を結び、J-20FC-31などのステルス戦闘機や対弾道戦闘機や(「空母殺し」としても知られる) DF-21などのミサイルを中国は国産ができるようになった。これら全て既に実績あるロシアのSu-35や従来型の幅広い航空機や、急速に成長し近代化を進め今や世界最大となった中国海軍などに裏付けられている。

 

 中国の島嶼基地建設政策は、将来の戦争においてアメリカ空母を中国本土や重要な航路から遠ざけるのに十分な広さの「立ち入り禁止」地域を作り、これらの場におけるアメリカの優位性を打ち消すことを意図しているようだ。

 

 中国設計の兵器をくさす

 

 言うまでもなく、欧米軍事評論家は、実際の証拠を全く提供せずに、アメリカ兵器システムが「著しく優れている」と仮定し、中国設計の兵器をくさす傾向がある。ジャベリンATGMやスティンガーMANPADからレパード2、チャレンジャー2、エイブラムス、ブラッドリーAFVに至るまで「戦争に勝利する」HIMARSに至るまでの欧米「驚異の兵器」はウクライナでの大失敗から学んだろうと人は思うはずだ。パトリオット、ストームシャドウ、GLSDB(地上発射小径爆弾)は、いずれも戦争の流れを変えられず、多くの場合、見事に失敗した

 

 さらに悪いことに、銀行に対する経済的制裁であれ、中国の主要企業や輸出に対するものであれ、中国を制裁するという恫喝は、とんでもなく裏目に出る可能性が高い。中国は世界の工場で、世界の機能を維持する日用品の大部分を提供しており、工業製品だけでなく、現代の技術社会が機能し続けるために必要な重要な希土類元素も提供しており、利用可能な供給の92%を中国が管理している。

 

 潮目は変わった

 

 もはや中国は1999年のアメリカによる中国大使館爆撃事件に対して安全に報復する手段がなかった発展途上国ではない。今や軍事的・経済的超大国で、軍事的にもアメリカのいかなる侵略や一方的制裁という非常識な考えに対しても様々な方法で報復できる国だ。

 

 既に中国は保有する米ドル、特に国債を手放し、金を購入しているのが見られる。この活動が急速かつ大規模に増加すれば、脱ドル化・プロセスが急加速し、その結果、アメリカが紙幣を印刷し続ける能力に深刻な影響を与えることになるはずだ。

 

 アメリカ大手企業に対する対抗制裁も深刻な経済的困難を引き起こすはずだし、希土類元素の供給が遮断されれば、アメリカ・ハイテク産業、特にアメリカ軍産複合体を支える産業は突然急停止するはずだ。

 

 街一番大きな子どもではなく、街唯一の子どもなのに慣れきったアメリカ政府が、進展に全く追いつけず、頻繁にいじめていた子が、いじめっ子より大きく強くなったことに気づいた際、一体何が起きるか知ろうとしているように私には見える。

 

 頑張れ、アメリカ、責める相手は自分しかいない!

 

 セス・フェリスは調査ジャーナリスト、政治学者、中東問題専門家、オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

 

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/05/13/china-never-forgets-paybacks-can-be-hell/

----------

 

 Centre for Independent Studies ミアシャイマー教授講演

 

Why Israel is in deep trouble: John Mearsheimer with Tom Switzer 1:35:00

 

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

 

露新国防大臣任命。論理的、哲学的に論ずることが出来る人物「目標を設定し、それを達成できれば、主権国家。欧州の国は最早できず主権国家でない」。ウクライナ戦争は軍事技術、兵器生産能力の戦い。刻々変化する戦場の技術、量を最も的確に指導できる人物、それを露軍が最必要かもしれない。

 

「間違いを犯すことは許容される。だが嘘は許されない」 – ロシアの新国防大臣の引用文

 

 日刊IWJガイド

 

■銃撃を受けたスロバキア首相ロベルト・フィツォ氏は、一命を取り留めたとみられるものの、依然として重体! 銃撃の容疑者が「ウクライナ万歳!」、「裏切り者!」、「フィツォはもうたくさんだ!」と叫ぶ動画を公開! スロバキアのエストク内相は、「ウクライナへの軍事支援を停止したことに対する反発」した政治的暗殺行為だと明言し、スロバキアは「内戦の瀬戸際にある」と警告! IWJは、『RT』によるフィツォ首相発言集を全文仮訳!「いかなる国も主権を理由に罰されるべきではない」「(ウクライナ紛争は)2014年に、ウクライナのナチスとファシストが、ドンバスとルガンスクでロシア国民を殺害し始めたときに始まった」!

『スプートニク日本』は、『X』に、銃撃事件を起こしたユライ・ツィントゥラ容疑者(71)は、「左派の立場から政府を批判」し、「ウクライナ支持のキャンペーンに参加」していたことが確認されている、と投稿しました。

 「事件を起こしたユライ・ツィントゥラ容疑者(71)は小説家で、左派の立場から政府を批判していた。ウクライナ支持のキャンペーンに参加しているのがこれまでにも確認されている。動画は4月24日にスロバキアで撮影されたもの。活動家らは『ウクライナ万歳!』、『裏切り者!』、『フィツォはもうたくさんだ!』と叫んでいる」。

« お忘れなく。このファシズムはトランプ政権下で一層ファシズムらしく感じられるはずだ | トップページ | ウクライナ情況報告:終焉を迎えた軍隊と国家 »

アメリカ」カテゴリの記事

アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事

中国」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« お忘れなく。このファシズムはトランプ政権下で一層ファシズムらしく感じられるはずだ | トップページ | ウクライナ情況報告:終焉を迎えた軍隊と国家 »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ