トルコ地方選挙、空爆:トルコや地域や、より広汎な世界への影響?
2024年4月5日
Seth Ferris
New Eastern Outlook
最近のトルコ地方選挙後、パラダイムシフト状態のトルコについて、それが何を意味するのか、もし何かあるとすれば、それに関する新鮮な思考を私は必要としていた。トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアンが選挙での敗北以上の、いわゆる「進歩的」欧米の勝利を意味する未曾有の敗北を喫したのは今や明らかだ。このニュースはトルコの国内政治と外交政策両方に大変革をもたらすものになるかもしれない。
これは本当の声明だろうか、イエスなのかノーなのか、もしイエスならどの程度か?
この出来事は、NATOや欧米にとって良いことなのか、悪いことなのか、多くの人が疑問に思っているだろう。この地域で起きていることで全てを予測するのは時期尚早だ。
さて、今回の地方選挙での主要野党は与党政権が対抗すべき勢力だ。イスタンブール市長のエクレム・イマモグルは、同国最大の都市に対する支配を拡大し、大統領の最大の対抗馬としての地位を確保した。
これは確実に多くの側面がある話だ、それは国内政治と関係がある。
エクレム・イマモグルはこう述べた。「我々には長い道のりがあり、我々はわくわくしている。我々は若い。我々は正義に飢え、民主主義に全幅の信頼を寄せるトルコの若者だ。そして、我々は決してあきらめない!」
新たに再選されたイスタンブール市長エクレム・イマモグルがトルコ大統領タイイップ・エルドアン統治に対する主要挑戦者として浮上したのは氷山の一角に過ぎない。
イマモグルは若く、野心家で、53歳で、既にエルドアンのAK党と論戦を交わしていると説明されている。彼は市長選挙で勝利しただけでなく、彼の支持者や他野党が少なくとも6つのトルコの主要都市と首都アンカラを制した。だから、この勝利、いやエルドアンのAK党敗北は、国家レベルでの、ほとんど変革を委任するレベルの世論の大変化だ。
彼に投票した人々が、多くの外国の手先を含む現在の国家指導部に対する代替案として彼を認識しているのは明らかだ。この敗北は、70%以上で推移する暴走するインフレや、二転三転する外交政策や、パレスチナ人の権利を支持するという彼自身のレトリックにエルドアンが従わなかったことへの直接的反応である可能性が高い。
トルコで「民主主義と正義」の復活を約束すると正論をイマモグルが言っているので、今や問題は、彼がどれだけ外部から支援が得られるかだ。彼の台頭は保守票を惹きつけるため伝統的基盤を脱却した彼の共和人民党CHPにとっての突破口を意味する。これは市民的自由を弾圧していると非難されているエルドアンの公正発展党AKにとって脅威になるだろう。
直接的な影響
これまでのところロシアを遠ざけない点でトルコは非常に賢明だ。地方選挙で勝利した政党は、ほとんどがヨーロッパに屈服するか、この地域におけるアメリカの狙いに従属するかのどちらかで非常に親欧米だ(これらは必ずしも同じものでないのに注意すべきだ)。
既に財政や通貨政策が手に負えないので、議会選挙で勝てば、この新勢力はEUの制裁措置に同調して経済の喉元を切る可能性が高い。ダマスカスのイラン大使館領事館に対するイスラエル攻撃により、イラン人司令官と約6人の同僚将校が最近殺害されたことや、ガザで支援要員を意図的に標的にしたことと組み合わさって、トルコにとって次に何が問題になり得るのだろう?
24時間以内に、シリアのイラン領事館にイスラエルが空爆し、シリアとレバノンにおけるイラン秘密軍事作戦責任者で、近年殺害された人々の中で最高位と考えられているイラン上級司令官の一人、モハマド・レザー・ザヘディ将軍が殺害されて、外交は急速に時代遅れとなりつつある。
翌日、ガザ地区での標的攻撃で、連中はワールド・セントラル・キッチン支援要員七人を殺害したが、犠牲者にはアメリカ系カナダ人、イギリス人、ポーランド人、オーストラリア人が含まれていた。
ニューヨーク・タイムズ紙が報じた通り、外国人職員とパレスチナ人運転手は、行動をイスラエル軍と調整済みで、彼らの車をはっきり特定していたにもかかわらず、攻撃されたと彼らが働いていた慈善団体は主張している。
ワールド・セントラル・キッチンは最近キプロスから船でガザ地区に到着した二件の食糧輸送を組織し、ガザへの支援物資輸送上、重要な役割を担っていた。この攻撃の結果、イスラエルによる攻撃の危険性から、ガザに向ける多くの援助物資輸送が停止された。
ガザで進行中の大量虐殺をめぐる世界の非難に直面して苦闘するイスラエル指導者連中には、もっと大きな動機があるに違いない。
彼らは余りに無責任なだけなのか、それとも狂気の中にも何か流儀があるのだろうか?
しかし、一歩下がって、少なくともロシアとトルコの視点から、現実的になろう。
トルコ経済はエネルギーと観光と貿易の上でロシアにかなり依存しており、エルドアンは、このことを知っているが、もし議会が政敵に支配されれば、間もなく連中が非常に愚かなことをするだろうというのは妥当な考えだ。もし地方政府が現在の中央指導部から距離を置けば、レジェップ・タイイップ・エルドアン自身も、イスラエルのモデルにひらめきを求めて、気晴らしを模索するかもしれない。
あり得る気晴らしとGNPはうまく合致しない!
トルコ外務省が提供する公式貿易統計によると、ロシアはトルコにとって最も重要な貿易相手国の一つだ。両国間の貿易量は2019年に26兆3,090億米ドルに達し、トルコの輸出額は3兆8,540億米ドル、輸入額は22兆4,540億米ドルで、それ以来、観光や、ロシアからの貿易やエネルギーへのトルコの依存度は高まるばかりだ。
だからエルドアンは政治面だけでなく、事態を制御できると過信していたかもしれないが、暴走するインフレや地震救援にどう対応したかという最近の記憶や彼の仲間に腐敗した手下が多すぎる中、今彼は事態を軌道に乗せて内政に集中できるのだろうか?
公正発展党AKが20年以上政権を握って以来最悪の敗北で、ほとんどの主要都市と中央部の保守的地域で野党は大きく躍進した。
「残念ながら、5月28日選挙での勝利から9カ月後、地方選挙の試験では我々が望んでいた結果を得られなかった」と開票後にエルドアンは語り、結論として「我々は過ちを正し、欠点を正す」と付け加えた。
私が最も懸念しているのは、エルドアンが宿敵ビビ・ネタニヤフの策略に傚うかもしれないことだ。クルド人に対するシリアへの軍事介入拡大や、パレスチナ人への直接援助は、特に、それが可能な唯一の地域軍事大国トルコが、シオニストが押しつけたガザ封鎖を破ろうとして、イスラエルに立ち向かえば、大規模紛争を引き起こす可能性がある。
更に悪いことは、トルコの野党が権力の座に就き、外国のご主人様にそそのかされて、ロシアと対立するようになることだ。これはまさにアメリカとEUが望んでいることかもしれず、トルコにとって結果は破滅的なものになるはずだ。
レジェップ・タイイップ・エルドアンと彼の党は支持基盤を失いつつあるため、残された時間はほとんどなく、それゆえ彼は政治的、経済的自制を示して、トルコ国民の声に耳を傾け、内政、外交政策問題に正面から向き合うべきだ!
セス・フェリスは、調査ジャーナリスト、政治学者、中東問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
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