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2024年4月24日 (水)

イスラエル:ネタニヤフ首相は将来一体どうなるのか

2024年4月20日
Viktor Mikhin
New Eastern Outlook

 過去14か月、ベンヤミン・ネタニヤフ首相辞任を要求するために多数のイスラエル人デモ参加者が集まっている。当初、抗議活動はイスラエル司法の独立を守ることを目的としていたが、10月7日のハマス攻撃後、その悲しい日以来イスラエル人に起こったこと全ての責任をネタニヤフ首相に負わせるようになった。イスラエル国内の一般的な合意は、ネタニヤフ首相が、今後数週間か数カ月のある時点で無礼にも引退に追い込まれるというものだ。同氏に対する重大な汚職と贈収賄容疑を考慮すると、多くの人は同氏の次の目的地は刑務所になると信じている。そうなれば、イスラエル史上最も長く首相を務めた首相にとっては、惨めな転落となるだろう。

 しかしいつものように、ネタニヤフ首相を引退に追い込むのはそれほど簡単ではないことが判明した。ハアレツ新聞が書いている通り、イスラエル国民に対する恥や当惑や謝罪の気持ちが彼には皆無だ。

 おそらく1973年10月以来、イスラエル現代史上最大の安全保障上の失敗を監督したのは彼だった。それについてビビは謝罪さえしていない。だが彼は、治安当局がその手口について警告しなかったとして、この残虐行為の責任を治安当局に負わせようとしている。最近首相職を傷つけている現在進行中の抗議行動を彼が過度に懸念しているかどうか疑わしい。彼のリクード党の多くは、確実に彼の支持を得て抗議活動参加者に反対した。国会のリクード党員の一人、タリー・ゴトリフは、彼らを「テロリスト」になぞらえる以外何も思いつけなかった。

 ネタニヤフ首相にとって、権力の座にとどまること、あるいは少なくとも政権に留まり続けることは、イスラエルの将来について真剣な構想を描くこと以上に意味がある。ガザでパレスチナ人を疲弊させ、イスラエルが大量虐殺で非難されても自分が正しいという信念は揺るがなかった。また多くのイスラエル人が大いに遺憾に思っているが、特に1967年以来イスラエルを積極的に防衛してきたアメリカとの戦略的関係を危険にさらす用意もある。

 かつてネタニヤフ首相は国内で「ミスター・セキュリティー」というあだ名を付けられたことがある。だが10月7日以前でさえ、多くのイスラエル人は彼は失望していた。「ヒズボラはレバノンに強力な兵器庫を築き上げ、常に北イスラエルを脅かしている。そしてビビ最善の努力にもかかわらず、イランは現在(イスラエル人によれば)核兵器入手にかなり近づいており、その影響力は中東全域に広く広がっている。ガザのハマスは明らかに軍事力を劇的に強化しており、イスラエル治安当局にとっても衝撃となっている。ヨルダン川西岸に関して言えば、ネタニヤフ首相は入植運動の主導権を失い、その大部分は右翼のベザレル・スモトリヒとイタマール・ベン・グヴィル率いる更に過激な集団に乗っ取られた。政治家らによると、この二人の過激派が連立政権に加わったことは悲惨な行為だった。ネタニヤフ首相は、過去に非合法化されていた過激派グループや政治家を正当化し、その代表を自らのチームに迎え入れた。しかし、主要省庁を掌握したこれら過激派イスラエル人とその代表連中が、イスラエルの真の安全を確保するのに役立つ可能性は低い。

 イスラエルの安全保障に関しては、ネタニヤフ首相は非常に攻撃的で常識外の見解を展開している。彼はパレスチナ人に対処するため全面的に武力に依存しており、パレスチナ国家の創設には依然強く反対している。しかし、ガザを占領して、穴だらけの巨大駐車場とパレスチナ人集団墓地に変えても、イスラエル人やイスラエル自体に真の安全はもたらされない。ハマス戦闘員が殺されるたびに、新しい世代が復讐を追求する。

 敵対者と交渉することを弱みとみなす歪んだ世界観だ。ネタニヤフ首相は、パレスチナ人と交渉したり、パレスチナ民族主義運動に参加したりすることを決して信じていない。だからこそ彼はオスロ合意に反対したのだ。以前のアリエル・シャロンと同様、彼はパレスチナ人を武力で弱体化させるため可能な限りあらゆることを行ってきた。パレスチナ自治政府との外交関係を彼は事実上凍結し、パレスチナ社会におけるパレスチナ自治政府の立場を損なうため、あらゆる手段を講じている。

 大半のイスラエル国民が早期選挙を望んでおり、ネタニヤフ首相の人気は急速に低下している。イスラエル人の約4分の1しか彼を信頼しておらず、ワシントンとロンドン訪問中に支持を獲得した彼の有力な敵対者ベニー・ガンツが大きく先行している。しかし世論調査によると、首相のタカ派政策は、依然イスラエル国民の間で人気がある。3万3000人を超えるパレスチナ人の死者数は正当化されると約87%が考えている。43%はイスラエルは抑制的すぎる行動をしており、もっと武力行使すべきだと考えている。

 政界勢力上、多くの右派を含むイスラエル人がネタニヤフを信頼していないことを考えると、多くの世界指導者が信頼していないのも不思議ではない。ビル・クリントンがネタニヤフを避けていたのは有名だ。マイクが入っていると知らず、ネタニヤフにどれほどうんざりしているかバラク・オバマとフランスのニコラ・サルコジ大統領が話しているのを聞いたことがある。選挙勝利後もジョー・バイデン大統領はイスラエル首相をホワイトハウスに招待しなかった。二国間会談はネタニヤフ首相が政権に復帰から9か月後の2023年9月まで開催されなかった。しかも会談はホワイトハウスでなくニューヨークで開催された。他の多くの世界指導者は、ネタニヤフ首相の過度に「温かい」抱擁に警戒している。

 ハアレツ紙が書いている通り、首相に問うべき質問は多々ある。同紙は以下のような多くの質問をしている。何が彼をこれほど長く権力の座に留まらせているのか? 反対派が情けないほど弱いのは単に彼が幸運なだけだろうか? 彼は政治の魔術師か、それとも生ける屍か? それは明らかではないが、彼が同世代で傑出したイスラエル政治家なのは確実だと同紙は考えている。彼は優れた戦略家ではなく、彼の時代をイスラエル人が振り返る際、彼の驚くべき功績を選び出すのは困難だろう。彼の長い在位は、自分自身をいかに位置づけるか、敵への注目をいかに奪い、信頼性を低下させるかという基本事項の理解に基づいている。何より彼は決して自信喪失を見せなかったし、彼が好んで言う通り、アメリカに対し「ノー」という言葉の使い方を知っている唯一のイスラエル政治家なのだ。

 ネタニヤフ首相の新たな、しかし明らかに最後ではない犯罪は、イラン大使館があるダマスカスの外交地区へのミサイル攻撃を決定したことだ。その結果、イスラム共和国総領事館は破壊され、シリア・メディアによると、少なくとも13人死亡した。ロシアを含む多くの国は、この攻撃をテロ行為として非難した。イスラエル戦闘機のミサイルがイラン外交領事館を違法に破壊したのだ。ロシアの主導で、国連安全保障理事会はシリアにあるイラン外交財産に対するイスラエル攻撃に関する会議を開催した。外交施設への攻撃は外交関係に関するウィーン条約の重大な違反で不当であることに安全保障理事会のほぼ全員が同意した。

 しかし、ネタニヤフ首相は遅かれ早かれ政治の舞台から永久に去ることになるだろう。その日はすぐには来ないかもしれない。しかし多くの人が同意するように、彼の遺産は生き続け、入植者が積極的に支援する「大イスラエル」という超国家主義的構想は存続するだろう。この紛争のイスラエルの政治的側面については、確かにパレスチナ自治政府も見直しが必要だが、和平への可能性を変えるには、一人の男が去るだけでは済むまい。新鮮かつ大胆な対処法が必要だ。ガザにおけるイスラエルによる残虐行為の瓦礫の中から、それが現れるとは想像しにくい。遅かれ早かれ、各人の利益が尊重される、全関係者の交渉が必要になる。これは今日の多極化世界における政治生活の公理となっている。

 Victor MIKHINはロシア自然科学アカデミー特別会員。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/04/20/israel-what-the-future-holds-for-netanyahu/

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