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2024年3月14日 (木)

パレスチナと欧米リベラル派の無気力さ

 ガザでのイスラエル行動に反対する一方、何らかの形でイスラエルの存在が大量虐殺行為と切り離せるかのように「イスラエルの生存権」を支持すると主張する腹立たしいほどありがちなリベラル派がいる。

ケイトリン・ジョンストン
2024年3月4日

 この英語記事の朗読を聞く(ティム・フォーリーによる朗読)。

 ガザでのイスラエル行動に反対する一方、何らかの形でイスラエルの存在が大量虐殺行為と切り離せるかのように「イスラエルの生存権」を支持すると主張する腹立たしいほどありがちなリベラル派がいる。イスラエルは、文字通り、絶え間ない暴力と専制政治なしには存在し得ない国家で、それは建国以来途切れることのない歴史が証明している。イスラエルはそもそもの始めから欧米帝国主義の入植者-植民地主義の前哨基地として設置され、以来まさにそうであり続けている。

 先住民がいる所に人工的な民族国家を作って、先住民を新住民に法的に従属させるには、途方もない量の戦争や、警察暴力や、大量強制退去や、アパルトヘイトや、公民権剥奪や、抑圧なしに不可能なのは、歴史上決定的に明白だ。これには実際議論の余地がない。それは解決済みの(settled)問題だ(語呂合わせを意図しているわけではない)。

 ユダヤ人が歓迎され、安全が維持される国はあり得るのだろうか? もちろん。イスラエル以外に、そのような国は多々あり、世界のユダヤ人の大多数がそこで暮らしている。可能でないのは、必ずしも絶え間ない暴力や、専制政治や、虐待を伴わなずに、先住民がユダヤ人以下に扱われる歴史的パレスチナにおけるユダヤ人民族国家だ。この場合、様々な目標が直接矛盾しているのは自明だが、ここで我々が論じているリベラル派は、それが合理的に可能だと信じるふりをしているのだ。

 あの地域で、パレスチナ人とユダヤ人が平和的に共存する国家が存在する可能性は絶対あり得るが、それは現在のイスラエルとは大いに違うはずで、現在我々が見ているものと同じ国家であるふりを人はできないはずだ。そのためには、イスラエル文明の根本的で劇的な見直しや、深く根付いた人種差別の包括的解体や、政府や生活制度の抜本的再構築や、大変な苦労や、犠牲や、謙虚さや、内面の作業や、賠償を伴うので、現在存在している国家と同じ名で呼ぶのは無意味なはずだ。

 ところが、ガザにおけるイスラエルの残虐行為には反対するが「イスラエルの生存権は支持する」と言う際に、件のリベラル派はそう言っているわけではない。連中が言っているのは、イスラエルがこれまでそうだったような不当で専制的アパルトヘイト国家であり続けるのは望むが、殺戮は止めて欲しいということだ。連中は不正が続くのを望むが、その最も明白な行為が認知的不協和を引き起こすのは止めてほしいと願っているのだ。現状維持に必要な殺人という野蛮さがない現状維持を連中は望んでいるのだ。そのようなことが可能な空想世界に暮らしているふりを連中はしたいのだ。

 この空想を、より信憑性があるように見せるため、イスラエルによる虐待は彼が現れるずっと前から始まっていた事実にもかかわらず、またガザにおけるイスラエルの残虐行為が圧倒的多数のイスラエル人に承認されている事実にもかかわらず、ビビが大統領でなくても物事がうまくいくかのように、我々が見ている暴力はもっぱらネタニヤフ政権のせいにできるふりをリベラル派はしているのだ。イスラエルの暴力はネタニヤフの産物ではなく、ネタニヤフこそがイスラエルの暴力の産物だ。既に存在していた感情に基づいて、彼は政治家としての実績を築いたのだ。

 パレスチナ国家など決してあり得ないとイスラエル当局が公然と言っていることや、そのような措置には圧倒的多数のイスラエルのユダヤ人が反対していることや、将来の二国家解決を不可能にするため、明確な目標を持ってパレスチナ領にイスラエル入植地が建設されていることなど、不都合な事実を連中は無視し、自分たちの立場をより有効に見せるため二国家解決に関するおとぎ話を自分に言い聞かせている。これらの空想を、一種の認知的鎮静剤としてリベラル派は受け入れ、実際は実行可能な正義への道を支持していない事実にもかかわらず、くつろいで自分に安心感を与えることを可能にしている。

 誤解のないように言っておくが、イスラエル・パレスチナに関してだけリベラル派がこういことをしているわけではない。それは全てのことに対する連中の立場だ。あらゆる問題において、連中の立場は「現状は維持するが、自分にとって美しく、心理的に快適なものにする」というものに過ぎない。連中は正しいことをしたいのではなく、自分が正しいと感じたいだけだ。連中は、帝国主義者で、軍国主義者で、専制的寡頭政治イデオロギーで、その上に心地よい社会正義のバンパーステッカーを沢山貼っているだけだ。首に軍靴をぶら下げ、髪には花だ。

 それがリベラルの実態だ。連中は常にそうなのだ。1966年にフィル・オックスは「Love Me, I'm a Liberal」という曲を発売して以来連中は全く変わっていない。問題は変化し、主張も変わるが「現状は維持するが、自分は良い気分でいさせてくれ」という価値観は、何世代にもわたり全く変わっていない。

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 画像はGage Skidmoreから。 (CC BY-SA 2.0)

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/03/04/on-palestine-and-the-worthlessness-of-the-western-liberal/

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「防衛省とファナックが驚きの回答! ファナック社は『過去5年一度もない』と回答! 防衛省は『要請した事実はない』と回答!」

はじめに~パレスチナ人に対してジェノサイドを行っているイスラエルに対し、国際司法裁判所の判断にもとづき、日本は武器輸出をやめたはず! しかし、防衛省と産業用ロボットメーカー、ファナック社が驚きの回答! ファナック社は「イスラエルの軍需企業に対して産業用ロボットを販売、保守点検サービスを提供したことは、過去5年一度もない」と回答! 防衛省は「防衛省が要請したという事実はございません」と回答!

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