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2024年3月20日 (水)

イスラエルが「独立国家」になりたいなら「独立国家」になってもらおう

 イスラエルは、国家として可能な限り依存している。文字通り、史上最強の帝国、すなわちアメリカ合州国と、その世界規模の同盟諸国と資産のネットワークの直接的な軍事的支援なしには存在し得ない。

ケイトリン・ジョンストン
2024年3月15日

 この記事の朗読(ティム・フォーリーによる朗読)を聞いてください。

イスラエルのガザにおける大量虐殺によるPR危機の責任をベンヤミン・ネタニヤフに負わせようとする民主党の奇妙な新戦術の継続で、木曜日、上院多数党院内総務チャック・シューマーはイスラエル首相を非難し、イスラエルでの新たな選挙を呼びかけた。

 「生涯にわたるイスラエル支持者として、私には明らかになった。ネタニヤフ連合は、10月7日以後、もはやイスラエルの要求に合わない。それ以来、世界は根本的に変化し、今イスラエルの人々は、過去にとらわれている統治構想によって窒息させられている」とシューマーは述べ「非常に多くのイスラエル人が自分たちの政府の構想と方向性に対する信頼を失っている時、この重大な岐路において、イスラエルの将来について健全で開かれた意思決定プロセスを可能にする唯一の方法は、新しい選挙だと私は信じている。

 これに対し、ネタニヤフ率いるリクード党は、シューマーに「選挙で選ばれたイスラエル政府を尊重し、弱体化させないよう期待する」と憤慨して反応した

 「イスラエルはバナナ共和国ではなく、ネタニヤフ首相を選出した独立し誇り高き民主主義国家だ」と声明は述べている。

 「われわれの政治的意見はともかく、イスラエル内政への外部からの政治的介入に我々は強く反対する。我々は独立国家で、バナナ共和国ではない」とイスラエルのナフタリ・ベネット元首相も同調した

「テロの脅威が欧米に向かっているので、イスラエルの正義の戦争を国際社会が支援し、それにより彼らの国を守るのが最善だ」とベネットは付け加えたが、この主張は複数の点でばかげている。テロの脅威が欧米で増大しているという主張には何の根拠もなく、ガザでのイスラエルの大量虐殺が「正義の戦争」であるという主張にも根拠がなく、イスラエルがガザでパレスチナ人を殺害するのを支援することで、欧米世界が何らかの形で安全になるという主張にも根拠はない。

 イスラエルの右翼が「バナナ共和国」という言葉を繰り返し使うのは、的を射ていると同時に露骨でもある。この用語は、1904年にアメリカ人作家O・ヘンリーが1904年に造語したもので、莫大な利益を上げる熱帯産果物輸出で、国民の労働力を強盗価格で搾取するためアメリカ帝国主義者が強権的手法で支配した中米諸国の描写だ。このほのめかしは、自国国境の南にある肌が褐色の人々の国々の内政をアメリカが指図するのは構わないが、イスラエルに、このようなことをするのは受け入れられないというものだ。

 この点、外交問題評議会の「戦争の同盟国へのシューマー攻撃」と題する悪質ネオコン、エリオット・エイブラムスによる記事で、更に厳しい言葉で強調されているのを我々は見た。シューマーの穏やかな非難の仕方を「他国の民主主義内政に対する非良心的干渉」とエイブラムスは呼び、このアメリカ上院議員は、内政を支配することにより、アメリカ合州国「植民地」のようにイスラエルを扱おうとしていると主張している。ほんの数年前、トランプ政権下、エイブラムスがベネズエラでクーデターを起こそうと公然と画策していたのを考えると、これは滑稽だ。

 しかし、もっと重要のは、イスラエルは「独立」国家だという馬鹿げた主張に注意を払うべきだ。

 イスラエルを独立国家と呼ぶのは、胎内の胎児を独立人格と呼ぶようなものだ。それは、病院のベッドで、体中チューブや医療機器で一杯で、褥瘡にならないよう二時間ごとに手動で体位を変える必要がある人を見て、その人を自立させるようなものだ。

 イスラエルは国家として可能な限り依存している。文字通り史上最強の帝国、すなわちアメリカ合州国と、その世界規模の同盟諸国と資産ネットワークの直接的軍事支援なしには存在し得ない。

 昨年11月、イツハク・ブリックという名の退役イスラエル少将が、ユダヤ・ニュース・シンジケートのコラムニストにこう言った。「我々のミサイル、弾薬、精密誘導爆弾、飛行機、爆弾は全てアメリカ製だ。蛇口を閉められた瞬間、戦い続けることはできない。あなた方には能力がない。アメリカ合州国なしで、この戦争を戦えないことは誰もが理解している。以上、終わり」

 それは「独立国家」の表現ではない。

 イスラエルは、アメリカ帝国に完全に依存しているのを知っており、だからこそ、アメリカやイギリスなどの帝国主義同盟国でのロビー活動に、これほどエネルギーを注いでいるのだ。イスラエルは、絶え間ない暴力なしには存在し得ず、アメリカ帝国主義戦争機構の支援なしには、絶え間ない暴力を維持できないのだ。

 イスラエルが絶え間ない暴力なしには存在できない理由は、イスラエルが、そこの住民や隣人が深く根ざす生活様式を持っていた既存文明の上に、いきなり落下した人工国家で、これまでそこに住んだことのない人々に支配される新しく作られた民族国家の突然の押し付けにより、その文明が大規模に破壊されたためだ。その出現が余りにも強引で不自然だったので、シオニストはヘブライ語と呼ばれる死んだ中東の言語を文字通り復活させ、それを彼らの国語にして、母国語を話す先住民のようにLARPするのが可能になったのだ。

 この異質な合成民族国家は、先住民の人間性を顧みず、古代の既存文明に突然押しつけられたため、これが起きて以来、この地域の先住民は、本来会わない移植臓器を拒絶する体のように、それを拒絶してきた。それゆえイスラエル国家がイスラエル国家であり続ける唯一の方法は、家が倒れるのを阻止するため永遠に働く建設作業員の巨大チームがある場合にのみ家が建っていられるのと同様、継続的に戦争状態にあることなのだ。

 だがイスラエル右翼が、このどれも起きていないふりをしたいなら、それはそれで構わない。彼らが望むなら、イスラエルを「独立国家」にしよう。武器を送るのをやめ、同盟国であることをやめ、現在の軍事的猛攻撃を支援するために、イエメンやイラクやシリアを爆撃するのをやめ、諜報、訓練、兵站支援の提供をやめ、地域の軍や諜報機関と連携して活動するのをやめ、ロビイストや影響力活動家が米国で活動するのを許すのをやめよう。そしてイスラエルの残虐行為を、外交的隠れ蓑やメディア言説歪曲で支援するのをやめよう。そうなったら、イスラエルがどれだけ長く独立していられるか見よう。

 もちろん、そんなことは起きない。アメリカ帝国の支配者連中は世界覇権という連中の狙いが、中東のような地政学的に極めて重要な地域に完全に依存し、親密な同盟国を持つことで大いに利益を得るのを知っており(だからこそ彼らはイスラエル・ロビーが存在し続けるのを許している)、イスラエルは実際、イスラエルがいかなる意味でも独立していないことを知っている。だがアメリカとイスラエルがこれほど切っても切れない関係にある事実は、イスラエルが他の国と同じように独立して自国の問題に取り組んでいる普通の国であるかのように装うのが、どれほど冗談かを示している。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/03/15/if-israel-wants-to-be-an-independent-nation-let-it-be-an-independent-nation/

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 Through the eyes of 今回はワルシャワ・ワジェンキ公園から
 ポーランドのシコルスキー外相 「我々は想像もしないことが出来るぞ」とプーチン大統領に警告。彼はノルドストリーム爆破時「ありがとうアメリカ」といった人物。ヌーランドの捨て台詞を思い出す言葉だ。

POLAND WARNS PUTIN: "WE CAN DO SOMETHING UNEXPECTED", SIKORSKI - "THANK YOU USA" 15:42.

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

NYT「日本、17年ぶりに利上げ。経済を刺激する積極的な取り組みの一章を終えた。2016年、日銀は借り入れコストをゼロ以下にする異例の措置を講じ、貸し借りを再開し、停滞する日本経済を刺激しようとした。日銀の政策金利目標はマイナス0.1%からゼロ─0.1%の範囲に」

 日刊IWJガイド

日刊IWJガイド・非会員版「日銀の植田総裁がマイナス金利を解除! ただし長期国債買い入れは継続! 田代秀敏氏は本丸は継続と喝破!」

はじめに~日銀の植田総裁が、17年ぶりにマイナス金利政策の解除と長期金利操作終了を発表! ただし「長期国債買い入れは継続」と表明!『日経』は2月23日付紙面で「もはや『バブル後』ではない」との見出しを打ったが、日銀の国債の買い入れこそが「アベクロダノミクス」の「第一の矢」だったはず! エコノミストの田代秀敏氏が、「終わらない国債依存」を指摘!「昭和バブル後」の敗戦処理もいまだ終わらず、そこにいつ弾けるともわからない「令和バブル」が重なる!

【第1弾! 2024年春季労使交渉の第1回回答の集計結果発表! 賃上げ率平均5.28%の33年ぶり高水準!】日銀が17年ぶりにマイナス金利を解除すると決定した根拠が、大幅な賃上げ! 賃金と物価が好循環し、デフレ克服の期待が! しかし、正社員と非正規の差は埋まらず、少子化対策は無策! 少子化のデフレスパイラルを克服せずして、経済のデフレ脱却なし!(『日本経済新聞』、2024年3月15日ほか)

<IWJ取材報告 1>「地方自治法改正案が成立すれば、国会審議もないまま、WHOパンデミック条約と改訂国際保健規則(IHR)の批准が閣議決定されるのではないか?」とのIWJ記者の質問に武見大臣は「法案の所管は総務省」と、「我関せず」の回答~3.19 武見敬三 厚生労働大臣 閣議後記者会見

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