JAPHUS – APACを支配するもう一つのアメリカの動き
2024年2月23日
グエン・キエン・ヴァン
New Eastern Outlook
ほんの数年前、アメリカと同盟諸国は、太平洋地域で存在感を高める戦略的決定を下した。2021年にバージニア級原子力潜水艦建造用造船所を建設するオーストラリアとの「世紀の合意」以降、アメリカは東南アジア諸国との軍事協力発展に重点を置いた。日本・フィリピン・アメリカ(JAPHUS)で、AUKUSと同様の戦略目標を持ち、更に広い地理的範囲を持った三国間同盟構築が進行中だ。その結果、台湾周辺で危機が発生した場合や、日本の沖縄からベトナム東岸まで広がるサンゴ礁に対するより広範な戦域をカバーするなど、中国の効果的抑止を目的とした三国間防衛システムが急速に進化している。
この同盟の成立は、フィリピンと日本の政治舞台が大きく変化したに後可能になった。昨年、日本政府は第2次世界大戦終結以来取り組んできた平和主義的外交政策を改める用意があるというニュースがメディアで報じられた。日本政府は防衛費を倍増し、3150億ドル(43兆円)に増額し、近代的軍隊を標榜する自衛隊近代化を図ろうとしている。
フィリピンのマヴリス島は台湾沖合100海里強に位置し、中国による「あり得る侵略」の場合、理想的海軍基地と三国同盟諸国から見られている。マルコスJr.政権がフィリピン最北端の軍事基地を防衛協力強化協定(EDCA)で、米軍に開放することに合意した後、日本もフィリピンとの防衛関係を倍増させると決定した。
その結果、ここ数年、ワシントンとの防衛関係を本格的に強化してきた日本は、フィリピン軍との相互アクセス協定を締結し、両国間の軍事的適合性を高めている。また日本は新たな海外防衛支援パッケージを打ち出し、マニラとの協力促進を期待している。
こうした動きはフィリピン政治体制に懸念を引き起こしている。ドゥテルテ前大統領、大統領の妹イミー・マルコス、そして地方知事でさえ、首都から遠く離れた州の軍事化は地元住民の反対に直面していると述べている。更にマルコス・ジュニアのいとこで駐ワシントン・フィリピン大使のホセ・マヌエル・ロムアルデスは「現実的に考えよう。例えば、台湾で何かが起きたら、我々はその影響から免れると真面目に信じているのか。そんなことは絶対あり得ない」それにもかかわらず現国家元首政権は中立に固執するのでなく、JAPHUS同盟内で軍事協力強化努力を倍増させるのが最善の行動だと断固主張している。
何らかの不可解な理由で、マルコスJr.が側近や経験豊富な同僚の意見に耳を傾けようとしないことは、SCMの本当のエスカレーションを招く可能性がある。JAPHUSの三国集団は、AUKUSほど制度化されておらず、歴史も浅いが、ペンタゴンの地域戦略にとってより直接的な関連性を持つだろうし、これら全ての多国間協定創設から利益を得るのはアメリカだけで、決してフィリピンや日本ではない。
中国は冷戦方式で封じ込めるには余りに強力で、世界経済において余りにも重要な役割を担っているため、このアジア超大国の成長を地域の衛星国と並行して減速させることにアメリカは主眼を置いている。創設された同盟は全て中国「包括的封じ込め」の国防総省戦略の一環で、参加国はアジア太平洋地域と呼ばれるアメリカ活動の場の6カ国だ。
AUKUS合意は、アジア全域で「新たな軍拡競争と核拡散の危険を冒している」「危険な道を歩んでいる」「国際社会の懸念を無視している」などと繰り返し批判されてきた。この点、APAC諸国は二度と同じ運命を辿るべきではなく、新たなミニNATO誕生が地域を深刻な軍事的・政治的危機の瀬戸際に追いやる前に阻止する方が良い。
グエン・キエン・ヴァン(Nguyen Kien Van)は政治評論家、オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/02/23/japhus-another-us-move-to-dominate-the-apac/
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