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2024年1月 6日 (土)

民族浄化を今や「自発的移住」と言う彼ら

 人々に暴力的に何かを強要し、そうしなければ死ぬぞと言うのは「自発的」という言葉の意味とは真逆だ。

ケイトリン・ジョンストン

2024年1月2日

 この英語記事の朗読を聞く(ティム・フォーリーによる朗読)。

 ガザからのパレスチナ人移住「奨励」に取り組んでいるのをイスラエル当局は公然と認めており、過去3ヶ月、この飛び地を故意に居住不能にしているにもかかわらず、この移住は「自発的」だなどと馬鹿げた主張をしている。

 タイムズ・オブ・イスラエル紙はこう報じている

 月曜、ガザ地区の入植地再建とパレスチナ人の「自発的移住」奨励をベンヤミン・ネタニヤフ首相の極右閣僚二人が支持し、タカ派野党「イスラエル我が家」党首アヴィグドール・リーベルマンはレバノン南部を再占領するようイスラエルに呼びかけた。

 イスラエル議会クネセトでの両党派閥会議発言で、パレスチナ民間人の移住は、長期にわたる紛争の解決策として、また、イスラエル南部の住民が故郷に帰れるようにするために必要な安定を確保するための前提条件だとイタマール・ベン・グヴィル国家安全保障相とベザレル・スモトリッチ財務相が提示した。

 「この戦争はガザ住民の移民奨励に注力する「好機」だ。」と記者団と彼の極右政党「強いイスラエル(オツマー・レ=イスラエル)」にベン・グヴィルは語り、そのような政策は「正しく、公正で、道徳的で、人道的な解決策だ」と主張した。

 「ガザ地域の我々がいる領土から我々は撤退するわけには行かない。そこのユダヤ人入植地を排除しないだけでなく、それは重要だと私は考えている」と彼は述べた。

  「現在進行中のイスラエル・パレスチナ紛争の『正しい解決策』は、『この難民受け入れに同意する国々へのガザ住民の自発的移住を奨励すること』だ」と宗教シオニスト党員にスモトリッチは語り『イスラエルは確立した入植地を含めガザ地区領土を永久に支配する』と予言した。

 ガザ住民に祖国を出るよう奨励することが、10月以来、イスラエルがしていることなのを考慮すると「奨励する」という単語の繰り返し使用は特に目立つ。内部での強制退去でガザ住民90%の住む家をなくし、包囲戦で住民の半数を飢えさせ、この飛び地の医療体制丸ごと破壊して、疫病を蔓延させ、安全地帯に指定した地域を全く予想できない手口の頻繁な空爆で空爆し、死と破壊をもたらしながら、住民に極めて強く移住を「奨励」するのは、実は極力早急に、この地域を明け渡させるためだ。

 これはガザ住民の「自発的移住」という主張を明らかに全く無意味にする。人に何かするよう強いて、そうしなければ確実に死なせるのは「自発的」という言葉の意味と真逆だ。

 だがガザのパレスチナ問題の最終解決にイスラエルが近づくにつれ、この『自発的移住』というスローガンを我々は何度も目にしている。ガザのパレスチナ人全員、隣国エジプトのシナイ半島に設置した難民キャンプに移住させるか、他の国に受け入れられようにする計画を説明するため「自発的移住」や「自発的移民」等の言葉をネタニヤフやお仲間は繰り返している

 ガザを去って第三国に行きたい人々がそうするのを保証するチームを設立しなければならないとネタニエフよ言った。イラク侵略者のトニー・ブリンケンがそのようなチームの指導者候補としてブリンケンはイスラエル当局に目をつけられていると報じられているが彼はこれを否定している

 「今、彼らは差し迫った死の脅威の下、本質的に立ち退きを余儀なくされている。ガザの人々が突然パレスチナへの愛着を失ったわけではない。このままでは死んでしまうし、子どもも死ぬ。水、電気、食料、医療を遮断し、全ての避難所を破壊して、人に『まだ残っていたいか?』と尋ねれば、その人の退去決断は明らかに自発的なものではない」

 だが、どうやらそれが連中が語る物語のようだ。

 ガザ住民に祖国から逃れるよう促すのが、10月以来イスラエルの行動がまさに行ってきたことなのを考えると、これらの発言で「奨励」という単語の繰り返し使用は際立っている。一旦、ガザの住民の90%を国内避難で家を失わせ、包囲戦で人口の半分を飢餓に追い込み、この飛び地の医療システム全体を破壊し、今や病気を蔓延させす、その間、安全地帯と指定した地域を空爆で頻繁に襲い、上空から死と破壊の雨を降らせて、住民に、できるだけ早くこの地域から立ち退くよう連中は非常に強力に「奨励」している。

 暴力的に何かを人に強要し、そうしなければ必ず死ぬぞというのは「自発的」という言葉の意味とは正反対だ。

 だが、これは、イスラエルがガザのパレスチナ問題の最終的解決に近づくにつれ、何度も何度も出てくるスローガンだ。ガザのパレスチナ人住民が隣接するエジプトのシナイ半島に設置された難民キャンプに移動するか、世界中の他の国々に引き取られる計画を説明するため、「自発的再定住」や「自発的移住」などの言葉をネタニヤフとお仲間は繰り返し口にしてきた。

 「ガザから第三国に去りたいと望む人々がそうできるようにする」ためのチームを設立しなければならないとネタニヤフは述べた。イスラエル当局によって、イラク侵略者のトニー・ブレアが、そのようなチームの指導者候補として注目されていると報じられているが、ブレアはこれを否定している。

 「自発的移民」という主張の馬鹿らしさを先月ミッチェル・プリトニックがMondoweiss記事で書いている。

 「『自発的移住』という言葉を、今後数週間か数カ月間、かなり頻繁に耳にすることになるだろう。だが、それは想像しうる限り最も皮肉で不誠実な言葉の一つだ。もちろん、ガザを去る人々が自発的な訳など皆無だ。イスラエルが、そこを住めなくしたのだが、それは今の爆撃の前だった。

 「今、彼らは差し迫った死の脅威の下、本質的に立ち退きを余儀なくされている。ガザの人々が突然パレスチナへの愛着を失ったわけではない。このままでは死んでしまうし、子どもも死ぬ。水、電気、食料、医療を遮断し、全ての避難所を破壊して、人に『まだ残っていたいか?』と尋ねれば、その人の退去決断は明らかに自発的なものではない」

 しかし、どうやらそれが連中が使う物語のようだ。

 そして、それは何ら新しいことではない。何世代にもわたりナクバとして知られるパレスチナ人の暴力的強制追放も、自発的だとイスラエルは虚偽主張をしてきた。2000年、パレスチナ人は自発的、あるいは彼らの指導者の命令で退去したので、彼らの窮状に、物質的にも道徳的にもイスラエル人は何の責任もないというイスラエル版の歴史が国際社会に何十年にもわたり巧妙に売り込まれた」とパレスチナ人学者ガダ・カルミが書いた

 イスラエルが欲しい土地からパレスチナ人を移住させる陰謀も決して新しいものではない。2002年、ガーディアン紙に寄稿した「中東の新たな脱出」と題する記事で、パレスチナ人を他国に「移動」させる狙いは、現代シオニズムと同じくらい長年存在しているとイスラエル人歴史家ベニー・モリスは書いている。

 「移動させるという考えは現代シオニズムと同じくらい古く、過去100年その進展と実践に並行している。それを推進して来たのは非の打ち所のない論理だ。ユダヤ人国家の出現にパレスチナ人全員または一部が反対し、その核心で活動的または潜在的主柱となっているアラブ系住民が大量移住しない限り存続可能なユダヤ人国家はあり得ないのだ。この論理は1948年以前と1948年中、シオニストやアラブやイギリス指導者や官僚に理解され、宣言されていた。

 「早くも1895年、シオニズムの預言者で創始者のテオドール・ヘルツルはユダヤ人国家の樹立を見越して、日記にこう書いている。『通過国で雇用を確保し、国境を越える無一文の[アラブ人]住民を元気づけるよう我々は試みる一方、彼らの雇用をわが国では拒否する。貧しい人々の排除は、こっそりと慎重に行わなければならない。

 これは何とも古い思惑なのに、たった今できたての真新しいものとしてイスラエル当局は提示している。彼らたった今はこれを思いついたのではない。建国の父たちの発想段階にイスラエルがあった頃から、それは空想されていた。

 これがガザでの本当の狙いだ。(実際どんなふりをするにせよ)「ハマス殲滅」ではなく、ガザ地区のパレスチナ人民族浄化だ。

 ハマスはガザでの標的ではない。ハマスは口実に過ぎない。

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 画像はWikimedia Commonsから

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/01/02/theyre-calling-ethnic-cleansing-voluntary-migration-now/

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