アメリカ政府は騙されてイスラエルの戦争に引き込まれるのだろうか?
マイク・ホイットニー
2024年1月5日
The Unz Review
今週のベイルート南部でのハマス幹部サレハ・アル・アロウリに対する無人機攻撃は、イスラエルが国境を越えて紛争を拡大したがっているのを示す有力な証拠だ。ここ数週間で、イスラエルは、ダマスカス空港でハマス副政治指導者(アル・アルーリ)、イラン革命防衛隊上級顧問(サイード・ラジ・ムサビ)、そして「12人近くのイラン軍高官」(フォックス・ニュース)を暗殺した。同時に、レバノンとシリアに対して、イスラエルはいわれのない空爆を複数回開始した。これら全ての挑発は地域全体を戦争に突入させるため、ガザを越えて敵対行為を拡大する方法をイスラエルが模索していることを示唆している。
C’mon @nytimes. Subheader suggesting a regional war “could draw in the US” like it’s being led versus leading. The @DeptofDefense is very much creating this moment. Don’t position it as responsive. It’s very proactive. pic.twitter.com/qmYrmjcfn6
— Dr. Michael Shank (@Michael_Shank) January 4, 2024
中東全域でのイスラエルの挑発は、地域全体の紛争にアメリカ合州国を深く引き込もうとする試みだ。敵(主にヒズボラとイラン)がひどく弱体化しない限り、イスラエルは支配的地域大国になれないのをイスラエル指導者連中は知っている。だがアメリカの支援なしには敵が弱体化しないこともイスラエルは理解している。それゆえ中東における最も緊密な同盟国を救うために、イランとヒズボラと軍事的に交戦せざるを得ないと感じる状況にアメリカを置かなければならないのだ。イスラエルが現在やろうとしているように敵と二正面戦争、三正面戦争を始めれば、アメリカはイスラエルのため介入せざるを得なくなり、イスラエルが地域覇権国として浮上する可能性が高まるだろう。それが現在の作戦の根本目標だ。
もちろん、このどれも、イスラエルがガザを殲滅し、住民をエジプト国境に押しやるのに使った口実「ハマスを打ち負かす」ことと何の関係もない。本当の狙いは、イスラエルの利益に最も適したやり方で、中東における基本的な力関係を変えることだ。下記は、水曜日のBBC記事抜粋だ。
イラン国営メディア報道では、イランのカセム・ソレイマニ司令官がアメリカに暗殺されてから4周年を迎えた今、イランのカセム・ソレイマニ司令官の墓地付近で二度爆発があり、少なくとも103人が死亡した。国営放送イリブは、南部の都市ケルマーンにあるサヘブ・アル・ザマン・モスク近くの行列に爆弾が命中し更に数十人負傷したと伝えた。映像には、道路に遺体が転がり、救急車が現場に急行する様子が映っていた。
水曜日の事件は、イランが支援するパレスチナ組織ハマス副指揮官が、レバノンでのイスラエル無人機攻撃で殺害された後、地域の緊張が高まる中で起きた。イランのカセム・ソレイマニ司令官の墓地付近での爆発で少なくとも103人死亡 - 国営テレビ、BBC
#StopTheEthnicGenocide pic.twitter.com/dm8QM2UVV8
— Emelia 🇸🇪 (@Bernadotte22) January 2, 2024
イランでのテロ攻撃の責任はイスラエルにあるのだろうか?
証拠は決定的なものではないが、近隣諸国における最近の暗殺や無人機攻撃のパターンと確実に一致している。爆破事件はイラン国民を激怒させ、彼らは報復を求め大挙して街頭にあふれた。繰り返しになるが、大衆の反応は、イランをイスラエルとの直接対決に引き込む感情的過剰反応を引き起こすイスラエルの狙いと完全に合致している。バイデン政権は、この地域に二つ空母群を配備しており、即座にイスラエルを支援する準備ができていることに留意願いたい。だからイランが(ミサイル攻撃や空爆で)応戦すれば、アメリカは争いに参戦するのに絶好の場所にいる。これは、なぜネタニヤフが罪に問われずに隣人を爆撃し続けているかを説明するかもしれない。アメリカ政府が「守ってくれる」のを彼は知っている。
❗️Multiple casualties reported in Baghdad following US airstrikes on the PMU headquarters at the Iraqi Interior Ministry complex, among them a high ranking resistance leader.https://t.co/VGOJDS5iKu pic.twitter.com/TYJyGhCLyK
— Daniella Modos - Cutter -SEN (@DmodosCutter) January 4, 2024
速報 |バグダッドで、イラク内務省人民動員隊PMU本部に対する米軍空爆後、複数死傷者が報告された。
アルジャジーラのその他の記事は以下の通り。
中東で敵対する民兵や軍隊に対する進行中の作戦の一環として、イスラエルはシリアとレバノンの陣地攻撃を開始した。
「(イスラエル軍は)シリア軍の軍事インフラを攻撃した」と、火曜日、ソーシャル・メディア・プラットフォームXへの投稿でイスラエル軍は述べた。
「(イスラエル軍)戦闘機もレバノンのヒズボラ・テロリスト・インフラを攻撃した」と記事は補足し「イスラエル主権に対するいかなる脅威に対しても作戦を継続する」と誓った。
月曜から火曜にかけて行われた最新の攻撃は、イスラエルと、敵イランとつながりがあるとイスラエルが主張する隣国間の緊張の急上昇を示している。イスラエル軍、シリアとレバノンの標的に攻撃開始 アルジャジーラ
なぜイスラエルはこのようなことをしているのだろう? ガザのパレスチナ人に対し大規模作戦を行っているのに、なぜ彼らは隣国を挑発するのだろう? これら全ての扇動は、イスラエルが戦争を拡大したがっていることを示唆するのではなかろうか? アルジャジーラの更なる記事は下記。
火曜日、ヒズボラの拠点ベイルート南部郊外のダヒヤで無人機攻撃が行われ、ハマス高官サレハ・アル・アロウリが殺害された。レバノン国営通信社の報道では無人機はハマス事務所に着弾し、6人が死亡した。
ハマスはアル・アローリの死を認め、イスラエルによる「卑怯な暗殺」と呼び、パレスチナ人に対する攻撃は「パレスチナの内外で、わが人民の意志や不動心を打ち砕いたり、彼らの勇敢な抵抗継続を損なったりすることに成功できない」と付け加えた。ベイルートで殺害されたハマス指導者サレハ・アル・アロウリは何者だったのか?、アルジャジーラ
#StopTheEthnicGenocide pic.twitter.com/MaiJOpzDRH
— Emelia 🇸🇪 (@Bernadotte22) January 3, 2024
アル・アローリ暗殺は、シリアやレバノンやガザへの攻撃と同様「自然な復讐行為」ではなかった。これら全て、イスラエルの敵を挑発し、ワシントンを戦争に引き込み、中東の地図を描き直す壮大な計画の一部だ。一言で言えばそれが基本戦略だ。政治評論家アルノー・ベルトランはツイッターで以下のようにまとめている。
左右のレバノンとイランを爆撃して地域戦争を引き起こすためイスラエルは最善を尽くしており、おそらく、最後の賭けとして得点を狙うため投げるロングパスとして、アメリカを戦闘にもっと関与させようとしているのだろうが、レバノンもイランもアメリカも、その餌には引っかかっていない。アルノー・ベルトラン @RnaudBertrand
ベルトランは正しい。自らが作り出した戦争にイスラエルはアメリカを引きずり込もうとしているのだ。イランとヒズボラは(これまでのところ)大きな自制を示し、報復の誘惑に抵抗しているという彼の発言も正しい。しかし、それは一体いつまで続くのだろう? 結局、彼らはイスラエルに同種手段で応酬せずに、自分達を永遠に叩くのを許すわけにはゆかない。そして、彼らは単に寝返りを打って死んだふりをすることもできない。そして、それは彼らがしていることではない。彼らがしているのは、より広範なイスラエル戦略をより良く理解するために展開する出来事を追うことだ。イスラエルが軍隊をガザから北部戦線に移動させ、そこで今後二週間内にヒズボラ過激派と衝突する可能性が高いが、彼らは時間を稼いでいる。それが起きていることのようだ。
一方、「地域戦争」は今や不可避かも知れないという主張を欧米マスコミは繰り返し、中東での新たな紛争に国民を備えさせようとしている。これら最近の見出しをチェックして、繰り返し発生する話題が見つかるかどうかご確認願いたい。
- バグダッドでのアメリカ攻撃、より広範な地域戦争の恐怖を引き起こす、ワシントンポスト
- 攻撃は中東とアメリカにとって、より広範な戦争の恐怖を高める、ニューヨークタイムズ
- 「我々は本当に地域戦争に近づいているのではないかと私は懸念している」とレバノン外相はCNNに語った
- 中東でのエスカレーション:地域戦争の危険性が高まっている、ガーディアン
- 地域戦争の恐怖が高まる中、ブリンケン国務長官イスラエル訪問 バロンズ
- より広範な紛争のリスクが高まる中、ブリンケン国務長官中東へ向かう、VOA
- ブリンケン国務長官が再び中東に向かう中、地域紛争の懸念高まる、AOL
おわかりだろうか? マスコミは中東でのより広範な地域戦争に国民を準備させているのだ。紛争は避けられず抵抗は無意味だと大衆を説得するため、このような記事が利用されているのだ。
だが、こうした記事は一体誰の利益のために書かれるのだろう? 誰の地政学的狙いが推進されているのだろう? 誤った情報に基づいて、何百万人もの人々が死に、何も得られない狂ったもう一つの大火にアメリカ国民が羊のように歩いてゆくことで利益を得る国は一体どこだろう?
もちろんイスラエルだ。
色々な事から判断すると、アメリカ人の命やアメリカ国家安全保障に、いかなる脅威ももたらさないヒズボラやイランに対しアメリカ軍を戦わせる狂気の作戦のため軍事力を提供するようアメリカ政府は要求されるだろう。この見当違いの戦争の狙いは、イスラエルの敵を排除し、イスラエルが「領土を確保」できるようにして、地域の覇権国、議論の余地のない中東支配者となれるようにすることだろう。
それは夢物語だ。
記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/is-uncle-sam-being-duped-into-fighting-israels-war/
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Judging Freedom ミアシャイマー教授対談
Prof. John Mearsheimer: Not a war crime, but GENOCIDE. 35:30
東京新聞 朝刊 一面
PFASを追う
相模原の河川汚染 本誌・京大調査
魚から平均濃度の340倍
週8グラム接種 健康リスク
東京新聞 朝刊 特報面
防災予算の割合 低下傾向
防衛費は過去最高記録
予備費拡大 「ずさん運用」「便乗」恐れも
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