ウクライナ状況報告:大きな損失、動員問題、少なすぎる防空システム
2024年1月10日
Moon of Alabama
ウクライナのもう一つの暗い最前線の話(アーカイブ)をウォール・ストリート・ジャーナルが掲載している。ウクライナ反攻が失敗した有名な「ブラッドリー広場」の隣の町、ヴェルボーヴ近郊でロシア軍陣地を占領しようとする空挺中隊の試みを描写している。
8月12日夜明け直後、ドローンが頭上を旋回し、農地と畑の間の並木に沿って標的に接近した。ハルチェンコの部下はロシア無人機はウクライナ電波妨害装置に撃墜されると聞かされており自軍ドローンと思い込んでいた。その後ドローンは爆弾を投下し始めた。木々は機関銃射撃で吹き飛んだ。自動発射装置から発射された手榴弾が周囲で炸裂した。
小隊は無力化された。衛生兵も含め20人程の兵士の半数以上が数分以内に死傷した。
「負傷者をどうする。畜生!」第一小隊指揮官マクシム・セルヘエフ上級軍曹は、無線で指揮官に叫んだ。「負傷者は俺たちより多い」
ロシア無人機や兵士に気づかれずに負傷者を救出するため、救助隊派遣前に、発煙弾を発射するよう中隊長が要請した。
最初の攻撃の試みで、なぜ煙幕が使われなかったのか説明されていない。また数十台の歩兵戦闘車や戦車が地雷原に突入し、ロシアの対戦車ミサイルに破壊された反撃第一段階でも、煙幕は役に立ったはずだ。
戦車小隊長課程を私が学んだ際、頻繁に砲兵隊に煙幕を要求したり戦車に取り付けられた発煙弾を使い我々の動きを隠したりした。ウクライナ兵はまれにしか使わなかった。
「これは第2次世界大戦とグデーリアンではない」と電撃戦の先駆者ドイツのハインツ・グデーリアン将軍に言及してウクライナ治安当局高官が語った。「これは第一次世界大戦と塹壕だ」
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その日の終わりまで完全な健康状態を保っていたのは第一小隊22名中3名だけだった。
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ヴェルボーヴはロシアの手中にある。ホロル部隊による歩兵の更なる攻撃は更に小さな前進をもたらしたが、損失は多く、飛躍的前進はなかった。
負傷者を避難させる唯一の手段として説明される古いウラル・サイドカー・オートバイの写真がWSJ報道に掲載されている。
このようなサイドカーは第二次世界大戦中、広く使用された。
ウクライナ軍は毎月兵士を約3万人失っていると言われている。
約二年前にロシアが面侵攻を開始して以来、死傷した兵士総数の公式数字をウクライナ政府は発表していない。
しかし今週末ウクライナ・テレビでウクライナ元検事総長がした主張により戦争でウクライナ人死傷者が増えている事例証拠は補強された。
現在、毎月約30,000人のウクライナ兵が死亡または重傷を負っており、戦争での負傷者と死亡者の総死傷者数は約500,000人だとユーリー・ルツェンコは主張した。
1日あたり1,000人だ。これはロシア国防省が日報で主張しているより多い。日報では一日平均約600人から700人のウクライナ人死者または重傷者とされている。報告書から漏れているのは、遠距離ミサイル攻撃のために把握されていない死傷者だ。
来年にかけて更に50万人動員したいとウクライナ政府が考えているのは、この高い損失が理由だ。損失は月に約41,000人だ。しかし政府が議会に提出した新しい動員法は(ロシア語で)違憲条項に満ちており大幅修正しなければなるまい。動員の取り組みが成功する可能性は低い。
12月と1月には、ウクライナの兵器製造工場を狙ったロシアによる大規模ミサイル攻撃が3回発生している。この攻撃でウクライナは防空網システムを使い果たした(機械翻訳)。
ウクライナ軍で対空誘導ミサイルが不足しているのをウクライナ空軍は認めた。
これはアメリカが間もなくウクライナにパトリオット・ミサイルを供給できなくなるだろうというニューヨーク・タイムズ記事に対するユーリ・イグナット空軍報道官発言だった。
「対空誘導ミサイルが不足しているのは明らかで誰もそれを隠していない。だからこそ欧米マスコミがそのように懸念しているのだ。わが国の防空システム状況を欧米諸国パートナーは良く知っていると思う」とユーリ・イグナトはテレソンで語った。
12月29日、1月2日、1月8日の過去3回のロシア軍の大規模攻撃を撃退するためウクライナ軍は大量のミサイルを費やしたと彼は述べた。
より大規模なミサイル攻撃が実施されるだろうが、発射したミサイルに代わる新しい対空ミサイルはごくわずかしかない。
最前線でロシア軍は「積極的防衛」行動を実践している。小規模な局地攻撃が、より良い陣地を取るために使用される。
ウクライナ人の犠牲は大きい。
「士気は大丈夫だ」と近くに立って兵士を見送ったコールサイン「シラ」と名乗る副大隊長が言った。「しかし肉体的に我々は疲労困憊している」
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情報司令官によると、ザポリージャ州前線に展開していた第117旅団の兵士は雨と泥の中を4マイル(約4キロ)の道を歩かなければならなかった。彼らが負傷し捕虜になれば、ロシア軍は彼らを処刑するだろうと彼は兵士に警告した。部隊への補給で弾薬や食料の搬入や負傷者搬出の長く困難な作業がウクライナが反攻を維持できなかった理由の一つだったと中隊長のアドルフ(23)は語った。
救急車や補給車は神風無人機で頻繁に攻撃を受けたため、彼の部隊はそれらを使用するのをやめ、代わりに志願兵技術者が担架を運ぶために加工した4輪バギーに頼った。
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前線の全部隊で死傷者数は多い。兵士たちによると、ここ数カ月でほぼ全員負傷したり、辛うじて脱出したりして生き延びているという。同名俳優にちなみバンデラスというコールサインを使っている第117旅団の諜報司令官は「人員が不足している」と言った。「武器はあるが兵士が足りない」
ある時点で、おそらく今の厳しい冬の終わりに、そのような部隊は崩壊するだろう。
それはロシアが積極的防御から大規模攻撃に変わる瞬間となるかも知れない。しかし偵察機や人工衛星によるNATOの監視が、あらゆる部隊集中を探知できるので、レッド・アローズのような劇的行動を準備するのは困難だ。
複数の局地攻撃を展開して弱点を見いだし、突破口が開けそうな後方部隊につなぐのが、おそらくより良い戦略だろう。
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リッター氏イスラエル軍を酷評!
Scott Ritter: Hamas' Control Strikes Fear: IDF Tanks on Edge in the Gaza Battlefield 35:07
ゴンザロ・リラ氏、ウクライナで亡くなっていた。母国もNATOも彼を救わなかった。正確には見殺しにした。
Gonzalo Lira's Death Reveals SHOCKING TRUTH About Ukraine and NATO 28:11
NOW, WHEN GONZALO LIRA IS DEAD, THE US STATE DEPARTMENT SENDS THE CONDOLENCES? "NO MORE POLAND". 10:02
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
台湾総統選挙は与党・民進党の頼清徳氏が約40%獲得し勝利。同時の立法院の選挙で113議席中、国民党52、民進党51、民衆党8で民進党は改選前より11議席減過半数を維持できず。→独立への勢力は減→中国が武力を利用し独立阻止の動くも減→台湾有事の可能性も減
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