同盟諸国の人権侵害は無視する政策を長年維持しているアメリカ
イスラエルがガザで戦時国際法に従っていると思うかどうかマスコミに言うのをアメリカのジェイク・サリバン国家安全保障担当補佐官は繰り返し拒否している。
ケイトリン・ジョンストン
2023年11月15日
イスラエルがガザで戦時国際法に従っていると思うかどうかマスコミに言うのをアメリカのジェイク・サリバン国家安全保障担当補佐官は繰り返し拒否している。
火曜日、ホワイトハウス記者会見でのザ・ヒルのニール・スタネージとのやり取りの書き起こしは以下の通りだ。
スタネージ:何度もおっしゃっているように、今日も戦時国際法が守られることの重要性について、あなたはおっしゃいました。イスラエルは約11,000人のパレスチナ人を殺害しています。そのうちの約三分の二は女性と子供です。病院の状況は悲惨です。イスラエルはまさに市街地に天文学的量の爆弾を投下しました。あなたの見解ではイスラエルは戦時国際法を遵守していますか? もしそうなら、どうしてそういう結論になるのですか?
サリバン:ええ、昨日も言った通り、ここに立っている私ジェイク・サリバンは、その決定を下す裁判官や陪審員になる立場にはない。これは法的な判断だ。私にできるのはバイデン政権の明確な政策を皆さんにお伝えすることだが、それは、この紛争が始まった当初から我々が明確に主張してきたことだ。ハマスが民間人を人間の盾として利用し、イスラエルの民間人居住地域に毎日ロケット弾発射し続け、民間人居住地域に潜り込んでいるにもかかわらず、イスラエル国防軍に更なる負担を強いているが、テロリストと民間人を分離し、民間人の命を守るため全力を尽くす行動をとる彼らの責任を軽減するものではない。
スタネージ: しかし
サリバン: つまり、そうだ。それは今も同じだ。これは、我々が公に述べているメッセージで、イスラエルの相手側にも個人的に伝えている。
スタネージ:しかし -
サリバン:そして、我々はそれを毎日行っている。
スタネージ:はっきりさせたいだけなのですが。政権の見解は、イスラエル国防軍がそうしているということでしょうか?
サリバン:私があなたに言ったのは、私はあなたの質問に法的判断を下す立場にはないということだ。私はそういうことをする立場にはない。私の立場はイスラエルの作戦がどのように行われるべきかに関するアメリカ政府の立場を述べることだ。そして、それが私がしたことだ。それが今も続いている。それが、この演台で私ができることだ。
President Biden and his administration have said that Israel *should* abide by the laws of war.
— Niall Stanage (@NiallStanage) November 14, 2023
But, as the death toll mounts, does the White House think Israel *is* doing so?
I asked National Security Adviser Jake Sullivan today.
His response —pic.twitter.com/bBGse306Hu
日曜日CNNの一般教書演説に出演した際も、イスラエルが戦争の規則に従って行動しているかどうか尋ねられた時、司会者のダナ・バッシュに「私はここに座って、その質問で裁判官や陪審員を演じるつもりはない」とサリバンは答えた。
バッシュの質問はイスラエルには「戦争の規則に従って行動する責任」があるというサリバン自身の主張から生じたものなので滑稽だった。サリバンは、これはイスラエルの責任だと主張したが、それが実際に起きているかどうかに関しては即座に述べるのを拒否した。
もちろんサリバンはワシントンの権益に同調する政府の犯罪性に関する質問に関し、こうした悪趣味な見世物的な曲解を演じているに過ぎない。紛争初期から、ウクライナでの戦争犯罪に関し、いささかの躊躇もなく直接かつ彼は繰り返しロシアを非難してきた。
誰が大統領執務室にいるのか、どの政党が支配しているのかに関係なく、アメリカ外交政策では、この明白な矛盾を何度も何度も目にする。アメリカ同盟国の犯罪性は無視され、軽視され、必死に曖昧にされる一方、アメリカの敵の犯罪性は脚光を浴び、誇張され、国際的注目の最前線に押しやられるのだ。
過去2年「ロシア指導部が戦争犯罪を行ったと非難されたくなければ、病院爆撃をやめるべきだ」などとツイートした後、今イスラエルのガザにおける大規模な残虐行為を力強く擁護する記事をアトランティック戦争プロパガンダ・メディアに発表したばかりのヒラリー・クリントンがこの矛盾を例示している。
元アメリカ国務長官といえば、アメリカ同盟国 対 アメリカの敵の犯罪性に関するこの矛盾は、実際はアメリカ政府内部の常軌を逸した政策だと2017年漏洩された当時のレックス・ティラーソン国務長官に宛てた国務省メモが説明していたことは言及する価値があるだろう。
トランプ政権初期の漏洩メモには、政治初心者ティラーソンに、アメリカ政府にとって「人権」は他国の足並みを揃えるための武器に過ぎないとネオコン帝国経営者ブライアン・フックが教える様子が書かれていた。帝国主義的言説支配の身勝手な本質の驚くべき洞察で、アメリカの権益に同調する国々が侵した人権侵害は見過ごし、そうでない国々に対しては、それを搾取し武器化するのがアメリカ政策だとフックはティラーソンに語っていた。
「トランプ政権が、エジプトやサウジアラビアやフィリピンなどアメリカ同盟国の場合、テロ対策を含む様々な重要な理由から良好な関係を強調し、人権に関する困難な矛盾に正直に立ち向かうことは十分正当化される」とメモでフックは説明した。
「現実的で成功する外交政策の有用な指針の一つは、同盟国は敵対国と異なる扱いを受けるべきで、より良い扱いを受けるべきであることだ」とフックは書いている。「海外でアメリカの敵対国を後押ししようとは我々は思わない。我々は彼らに圧力をかけ、競争し、打ち負かそうとしている。それゆえ、アメリカと中国やロシアや北朝鮮やイランとの関係では、人権を重要問題と考えるべきだ。これは、これらの国々の慣行に対する道徳的懸念のためだけではない。これらの政権に人権擁護を迫るのは、代償を課し、圧力をかけ、戦略的に主導権を取り戻すための一方法だ。
だから、人権に関する本当の道徳や価値観が、アメリカにはないように見えるとすれば、それはまさにそうだからだ。ウクライナで民間人が死んでいるのにホワイト・ハウスのジョン・カービー報道官が泣きながら、ガザで死んでいく民間人には無関心に肩をすくめるのは、彼の涙が世界舞台でアメリカ権益を増進するため使われる身勝手な武器で、人の苦しみに対する普通の共感的反応ではないからだ。
アメリカ帝国は、何も代表せず、何も信じず、自らの力以外どんな価値も評価しないのだ。この現実を理解し、同調する人々はアメリカ帝国内権力の最高層に昇進するが、脳内に正常な人間的共感力を持つ人々には、政府のある時点から先は、鍵のかかったドアしか見ない。
アメリカ帝国は思いやりと人道主義の微笑みを浮かべたプラスチック仮面をかぶった精神病質殺人者だ。だが、よく見れば、その下の血まみれな唸り声をあげる顔を垣間見るのは困難ではない。
____________
私の記事は全て読者のご支援によるものなので、この記事を良いと思われた場合、必要に応じて私のチップ入れにお金を入れる選択肢がいくつかあります。私の記事は全て、自由にコピーでき、あらゆる方法、形式で利用可能です。皆様が望むことは何であれ、記事を再発行し、翻訳し、商品に使えます。私が公開している記事を確実に読む最良の方法は、Substackメーリングリスト購読です。全ての記事は夫のティム・フォーリーとの共著。
ビットコイン寄付:1Ac7PCQXoQoLA9Sh8fhAgiU3PHA2EX5Zm2
----------
病院地下をハマス司令部に仕立て上げるイスラエル戦争犯罪国家。
Dialogue Works
All Lost, Total Failure Achieved | Scott Ritter 1:01:38
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
台湾総統選 統一候補擁立を決めた野党側が10ポイント以上上回る 世論調査で。→台湾総統選 急転直下で野党側が「統一候補」の発表見送り「協議は継続」。野党勢力は中国との協調を模索。与党勢力は台湾の独立志向。どちらが勝つかは東アジアの安全保障環境を大きく左右。
« 話すことで自身のPR上の利益を損ない続けるイスラエル | トップページ | この期に及んで我々の知性を侮辱するしかない連中 »
「アメリカ」カテゴリの記事
- 欧米帝国主義は常に嘘の溜まり場だったが、今やメディア・トイレは詰まっている(2024.11.30)
- 熟練専門家を前線に派兵して、戦争遂行努力の失敗を示しているウクライナ(2024.11.26)
- ネタニヤフに対するICC逮捕令状はアメリカの政策と共謀に対する告発でもある(2024.11.27)
「ロシア」カテゴリの記事
- 対シリア戦争を再燃させるアメリカと同盟諸国(2024.12.02)
- ロシアとの戦争でアメリカが負ける理由(2024.12.04)
- ロシア新形ミサイルが、いかにゲームを変えつつあるのか(2024.11.29)
- ドイツを消滅させたいと願うEU精神病院院長(2024.12.01)
「イスラエル・パレスチナ」カテゴリの記事
- ガザについて連中は嘘をつき、シリアについても嘘をついている(2024.12.03)
- ネタニヤフに対するICC逮捕令状はアメリカの政策と共謀に対する告発でもある(2024.11.27)
- 本物のイスラエル(2024.11.22)
- トランプ政権:「戦争タカ派なし」から「全員戦争タカ派」へ(2024.11.20)
「Caitlin Johnstone」カテゴリの記事
- ガザについて連中は嘘をつき、シリアについても嘘をついている(2024.12.03)
- 本物のイスラエル(2024.11.22)
- 既に戦争狂で一杯のトランプ政権(2024.11.16)
- ドナルド・トランプはあなたの友人ではない(2024.11.17)
- 大量虐殺の「多すぎる証拠」(2024.11.06)
「ウクライナ」カテゴリの記事
- 対シリア戦争を再燃させるアメリカと同盟諸国(2024.12.02)
- ロシアとの戦争でアメリカが負ける理由(2024.12.04)
- ロシア新形ミサイルが、いかにゲームを変えつつあるのか(2024.11.29)
- 欧米帝国主義は常に嘘の溜まり場だったが、今やメディア・トイレは詰まっている(2024.11.30)
- ドイツを消滅させたいと願うEU精神病院院長(2024.12.01)
« 話すことで自身のPR上の利益を損ない続けるイスラエル | トップページ | この期に及んで我々の知性を侮辱するしかない連中 »
コメント